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【相続の期限・時効 】
相続には期限、時効があります。しっかりと期限内に相続を行う、もしくは相続放棄する必要があります。相続の期限・時効について注意点をまとめています。

2019年2月1日 金曜日

遺産相続は時効があるので注意

「遺産相続が起きたけれど、急いで何か手続きをしなければならないのかな?」なんて、疑問に思っていないでしょうか。

実は、遺産相続にはさまざまな手続きがあり、それぞれに時効が決まっています

時効という言葉は遺産相続以外でも聞いたことがある人が多いと思いますが、具体的にどのような意味かを適切に知っている人は少ないはずです。

また、遺産相続についての知識も深くまで知っているという人は少ないと思います。

しかし、遺産相続が発生した場合には相続の基礎知識と時効についての知識は知っておくべきです。

そこで今回は、注意しておくべき遺産相続の時効についてご紹介します。

遺産相続の時効を理解して、安心して相続を行いましょう。

遺産相続の基礎

まず遺産相続の時効の話の前に、遺産相続そのものについて何も知らないという人が多いはずです。

遺産相続は人生の中で何度も繰り返し起こるようなことではないので、初めて経験した場合には戸惑う人がほとんどでしょう。

しかし、戸惑っているだけでは、遺産相続は進みません。

前に進むために、相続の基礎的な知識をおさえてから時効について考えていきましょう。

相続の基礎知識として知っておくべきなのは、以下の3点です。

  • 法定相続人
  • 法定相続分
  • 相続税の税率

これらの3点を知っておけば、相続の基礎的な知識は身についていると言っても過言ではありません。

それぞれについて、順番に確認していきましょう。

相続では、どのような人が遺産を相続できるのかを考えなければなりません。

前提として、法定相続人という法律で決められた相続人が遺産を引き継ぐことがスタンダードな相続方法となっています。

法定相続人は、亡くなった人の配偶者や子供、兄弟などであることが一般的です。

遺産を相続する対象は、原則として法定相続人となっています。

もし法定相続人以外が遺産を引き継ぐ場合は、亡くなった人の遺言が必要です。

その為、相続が起きたときには遺言がないかどうかをまず最初に確かめることが必要となります。

遺言が見つからないようであれば、法定相続人で話し合いを進めていきましょう。

ただし、法定相続人が全員一律に同じだけの遺産を相続できるわけではありません。

法律で遺産を相続できる分がそれぞれ決まっていることに注意が必要です

たとえば、亡くなった人の配偶者は法定相続人であり、遺産相続分は1/2と決められています。

そして、亡くなった人の子供たちも法定相続人なので、子供が3人いた場合は遺産の1/2をそれぞれ3人で分けることになるのです。

つまり、1/2×1/3なので、子供1人あたり1/6の遺産が相続されることになります。

しかし、実は法定相続分はあくまでも遺産を分ける目安でしかありません

必ずその割合で分けなければならないと訳ではなく、遺産分割協議という話し合いの際に参考にするべき割合です。

実際に遺産相続が起きた際は、法定相続人が法定の相続分でそのまま遺産を引き継ぐこともあれば、遺産分割協議によって法定相続分とは全然違う割合で話がまとまることもあります。

たとえば、現金は配偶者に渡し、土地は子供に渡すなどのケースです。

このような遺産の分け方だと、厳密には法定相続分ではなくなることが多いでしょう。

しかし、当人たちが納得しているのであれば遺産の分け方としては問題ありません

あくまでも目安でしかないものですが、参考にしながら話を進めれば全員の納得は得やすいので覚えておいてください。

遺産分割協議の手続きが終わって引き継ぐ遺産が決まったら、相続税の申告と納付という手続きに入ります。

相続税には、引き継ぐ遺産の金額に応じてかかる税率が決まっていますので、遺産が決まったらすぐに確認することをおすすめします。

詳しくは以下の表を参考にしてください。

相続で引き継ぐ財産の金額

相続税率

控除額

1,000万円以下

10%

0万円

3,000万円以下

15%

50万円

5,000万円以下

20%

200万円

1億円以下

30%

700万円

2億円以下

40%

1,700万円

3億円以下

45%

2,700万円

6億円以下

50%

4,200万円

6億円超

55%

7,200万円

表を見てみると、相続で引き継ぐ遺産の金額が1001万円以上なら、金額に相続税率をかけた相続税額から、控除額を差し引けることがわかります。

たとえば、相続で引き継ぐ遺産の金額が3,000万円であれば、「3,000万円×15%−50万円=400万円」です。

このように、表を見ながらなら簡単に相続税額を計算できるので、具体的に相続する財産の金額がわかるのであれば、一度試してみましょう。

相続する金額がそもそも合っているかどうか不安な場合や、計算方法が合っているのか不安という場合は、専門家に計算してもらったほうが安心です。

相続が起こった場合、引き継ぐ財産の金額に応じて税金が発生するので気をつけておかなければなりません。

特に、土地や家屋などの高額になりやすい遺産の相続が発生した場合には、相続税について早めに考えて確認しておかなければ、多額の税金がかかることに気付いたときにはもう手遅れになってしまいます。。

したがって、相続が起こったのであれば、遺産にかかる税金についても並行して考えるべきでしょう。

相続税の課税対象となるのは、亡くなった人の遺産で、亡くなった人が死亡時に残してくれた財産のことを言います。

この財産には、現金以外の財産も含みます。

たとえば、マンションや事務所などの不動産や、自動車や家具などの動産、債権や株などの金融資産などがあげられます。

ここで注意が必要なのは、上記のようなプラスの遺産だけではなく、マイナスの遺産も引き継ぐことになるという点です。

マイナスの遺産というのは、たとえば、借入金や保証債務、買掛金、預かり品の返還義務などが考えられます。

相続税の計算の際はプラスの財産だけを見るのではなく、マイナスの遺産を引き継ぐということも忘れずに覚えておいてください。

マイナスの財産を含め、どうしても引き継ぎたくないのであれば、相続放棄という、プラス・マイナスすべての遺産の引継ぎを拒否する手続きが必要となります。

しかし、そのような遺産についての手続きには時効という決められた期限があるので、遅れないように注意しなければなりません。

相続の基礎的な知識がわかったところで、次は遺産相続での時効について見ていきましょう。

遺産相続で時効のある権利

遺産相続に関する時効は、以下のように主に3つのものがあります。

  • 相続回復請求権の時効
  • 遺留分減殺請求権の時効
  • 遺産分割請求権の時効

まずはこれらの時効についておさえておけば、安心して遺産相続に備えることが可能です。

それぞれの遺産相続の手続きによって時効が異なっているので、その点は注意しておかなければなりません。

それでは、相続回復請求権の時効から順番に確認していきましょう。

相続回復請求権

相続回復請求権は実務ではあまり気にされない権利ですが、実際に必要となる可能性がゼロではないので最初におさえておきましょう。

相続回復請求権の時効は、自分の相続についての権利が侵されているとわかったときから5年間です

ただし、自分の相続についての権利が侵されていると気が付かなくても相続が起きてから20年が経過すれば相続回復請求権の事項になってしまいます。

相続回復請求権というのは、実際には利用されることが少ない権利です。

どのような権利かと言うと、本当は相続人ではない人が相続をしていた場合に、本当の相続人である人が遺産を返すように求めることのできる権利です。

一般的な相続ではそのようなことが起きることは少ないのですが、もしも不当に相続をされたことに気がついたのであれば、5年以内に手続きを行わなければなりません

自分の相続についての権利が侵されているとわかったなら、すぐにでも専門家のところに相談に行ってください。

遺留分減殺請求権

遺留分減殺請求権の時効は、相続が起きてから1年間とされています。

その前に、そもそも遺留分減殺請求権というものが何かわからないという人も多いはずです。

遺留分減殺請求権とは、亡くなった人の遺言などで遺産相続が一切できない状態にある人が、最低限の遺産をもらうことを請求する権利のことを言います

遺留分減殺請求権について知らなければ、遺言で兄にすべての遺産を譲ると書かれていたから弟である自分は一切もらえないのだという誤解をしてしまうので覚えておくべきです。

もしも相続が発生して遺言で極端な遺産分割の方法を定められており、それに不満があるなら専門家のもとに相談に行ってみてください。

多くの場合は、最低限の満足できる程度の遺産は認められます

しかし、相続が起きてから1年が経ってしまうと遺留分減殺請求権は認められなくなってしまうので早めに行動に移すことが大切です。

実際に相続が起こる前でも、遺産の話になったときに誰かにすべての財産を譲るなどという話が出ていたときは、特に遺留分減殺請求権の時効については注意しておきましょう。

遺産をもらいたいのに一切もらえないまま時効が来てしまうのはもったいないことです。

遺産分割請求権

遺産をどのように相続人それぞれに割り振っていくのかという遺産分割協議を行うための遺産分割請求権には、具体的な時効はありません。

したがって、極端に言えば遺産分割協議をずっとしなかったとしても、遺産を分割することを求める権利は時効で失われないのです。

しかし、遺産分割についてはできるだけ早めに手続きを行っておくことをおすすめします。

なぜなら、後回しにしたところでなんの得にもならないためです。

遺産を分けることを後回しにしたままだと、遺産は相続人全員が一緒に所有しているという共有の状態になります。

現金だけを相続したという場合であればまだしも、土地や家屋などの不動産も相続した場合には共有状態では売ることが難しいです。

遺産を共有状態のままにとどめておいても良いことはないので、葬式などの手続きが終わったら早い段階で遺産分割協議は行ってください

遺産について話し合うのは大変かもしれませんが、そのときは専門家に相談して法定相続分通りに分けてもらうなどの対処をしてもらいましょう。

相続税申告の時効

先程、遺産を引き継いだら相続税を申告しなければならないと説明しました。

相続税申告の期限は、相続が起きてから10ヶ月以内です

ただし、相続税申告にも時効があります。

相続税申告の時効は、遺産相続が起きてから5年か7年です。

この期間、税務署に遺産相続についての税金の調査が入られずに納めることもしなければ、相続税申告の義務はなくなります。

5年か7年かの違いは、相続の申告が必要ないと疑わずに信じ切っていた場合にのみ、5年という時効となるので注意してください。

5年間や7年間くらいなら申告しなくてもバレないだろうと思う人もいるかもしれませんが、遺産相続については税務署のチェックが厳しいので早めに真面目に遺産相続の手続きは行っておくべきです

相続放棄にも時効がある

実は、相続放棄にも時効が存在しています。

しかも、かなり短い期間が設定されているので注意しなければなりません。

相続放棄の時効は、相続が起きてから3ヶ月と定められています

先程も説明をした通り、相続で引き継がれる財産は、現金や土地、不動産などのプラスの財産だけではありません。

借金などのマイナスの財産も一緒に引き継ぐことになります。

そこで、そのようなマイナスの財産を引き継ぐくらいなら、すべての財産を引き継ぐことをやめてしまいたいと考える人も多いです。

そのような場合には、相続放棄の手続きを行う必要があります。

相続放棄の時効は相続が発生したことを知ってから3ヶ月と短いので、すぐに行動に移さなければ間に合わなくなる可能性も高いです。

相続放棄の手続きは家庭裁判所に必要な書類を出すことで行います。

しかし、必要書類は1枚ではなく複数あるので、確実に相続放棄を行うためには専門家に相談したほうが安心です。

亡くなった人に多額の借金があるなど、相続をしたくない事情があるのであれば早めに専門家のところに相談に行きましょう。

まとめ

遺産相続にはさまざまな手続きがあり、それぞれに時効が決まっています。

時効という言葉は遺産相続以外でも聞いたことがある人が多いと思いますが、具体的にどのような意味かを適切に知っている人は少ないはずです。

しかし、遺産相続が発生したときには相続の基礎知識と時効についての知識は知っておいたほうが円滑に無事に手続きを完了させられます。

今回ご紹介したような遺産相続の時効についてしっかり理解して、安心して相続を行ってみてください。

ちなみに、遺産相続については税務署のチェックも厳しいので、少しでも不安があるようであれば専門家のところに相談に行ったほうが不測の事態は避けられるでしょう。

相談に行く際には、早めに行けば行くほど時効に達するまでに時間が取れますので、迷ったらなるべく早く相談に行くことをおすすめします。

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監修者太田諭哉
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公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
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