すてきな相続は大切な方を亡くしたあとの手続・届出から、
知っているようで知らない「相続」に関する情報をわかりやすく解説します。

登録税理士
1122人
受付時間 / 10:00〜19:00
0120-052-993

相続対策

> 相続対策 > 相続の基礎知識
【相続の基礎知識】

相続について基礎知識を説明しています。相続とは、相続の手続き、生前にできる相続対策など、相続について知っておくべき情報をまとめています。

最新記事

相続の合意解除とは。合意解除ができる条件とは

家族が亡くなった時、悲しみも束の間、すぐにやってくるのが相続問題です。

相続人が複数いる場合には、被相続人の遺産をどのように分割するかを決定するため、遺産分割協議を行う人も多いのではないでしょうか。

しかし、遺産の相続にはトラブルがつきものです。遺産分割協議で合意した内容に納得がいかない場合や、合意した後に新たな遺産が発覚した場合など、遺産分割協議をもう一度やりたいと願う人も少なくないはずです。

実は、一度合意した遺産分割協議はやり直せる可能性があることはご存知でしたでしょうか。

この記事では、どのような条件であれば遺産分割協議をやり直すことができるのか、また、その際に注意すべきことなど詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

 

遺産分割協議とは

まず、そもそも「遺産分割協議」とは何でしょうか?

遺産分割協議とは、被相続人の遺産を、相続人同士でどのように分割するかを決定するための話し合いのことをいいます。そして、その話し合いで決まった内容を書面で提示したものが「遺産分割協議書」です。

もし、被相続人が遺言書を生前に作成していれば、その内容に準じて遺産の分割が行われます。一方、遺言書がない場合には、法定相続人全員が遺産を法定相続分の割合で共有することになります。兄弟がいるなど相続人が複数となる場合、誰がどの遺産を相続するのか、複数の遺産どのように分けるのかなど決定するために、遺産分割協議を行います。

 

遺産分割協議を行う際は、相続人が全員参加する必要があり、一人でも抜けていると協議は無効になってしまうので注意が必要です。もし、法定相続人の中に未成年がいる場合は、法定代理人という代わりに遺産分割協議に参加する人を探す必要があります。

また、認知症などで自分の意思を伝える能力がないと判断できる場合は、成年後見人を選任してもらい、後見人が遺産分割協議に参加する必要があります。

 

遺産分割協議は通常、誰が相続人なのかを明確にする「相続人調査」と、どれほどの遺産があるのかを明確にする「相続財産調査」を行ったのちに、相続人全員が話し合いをすることで決定していきます。そして、すべての相続人が遺産分割方法について合意したら、その内容を書類で提示するための「遺産分割協議書」を作成することで、遺産分割協議は終了となります。

 

しかし、相続財産の内容が土地中心で分割方法が難しかったり、財産評価額が高額だったりした場合、相続人同士で揉めて結論がすぐに出ないこともあります。

また、相続人が多ければ多いほど、合意形成まで長い時間がかかる傾向にあります。解決まで何十年もかかってしまうケースも少なくありません。

そこで、遺産分割協議を続けても結論が出ない場合には、家庭裁判所に申し出て遺産分割調停の手続きを行うことができます。遺産分割調停では、家庭裁判所の調停委員が、遺産分割の話し合いの仲介に入ることで協議を進めます。

しかし、それでも結論が出ない場合には、家庭裁判所の裁判官が審判によって遺産分割方法が決定されてしまいます。審判の段階に差し掛かると、各相続人の意見が全て反映されるとは限らず、より柔軟な解決が難しくなることが多いのが事実です。つまり、遺産分割が長引いた際には、できるだけ任意の遺産分割協議の段階で解決することが望ましいといえます。

 

遺産分割協議をやり直す「相続の合意解除」とは

それでは、一度成立した遺産分割協議を合意解除することは可能なのでしょうか。

そもそも「合意解除」とは、契約当事者が契約成立後に、契約内容を解消することに合意することをいいます。

この合意解除は通常、当事者双方が合意をすることによって認められます。つまり、これを遺産分割協議に当てはめて考えると、共同相続人全員が合意しているならば、一度成立した遺産分割協議をなかったことにすることをいいます。

果たしてこれは成り立つのでしょうか?裁判所は次のような見解を示しています。

 

※参考裁判事例(最判1978年2月17日民集44巻6号995頁)

『共同相続人の全員が、既に成立している遺産分割協議の全部又は一部を合意により解除した上、改めて遺産分割協議をすることは、法律上、当然には妨げられるものではなく、上告人が主張する遺産分割協議の修正も、右のような共同相続人全員による遺産分割協議の合意解除と再分割協議を指すものと解されるから、原判決がこれを許されないものとして右主張自体を失当とした点は、法令の解釈を誤ったものといわざるを得ない。』

 …

最新記事を見る
2019.6.15

相続は民法で定められている?相続における民法の効力は?

皆さんは「相続」と聞くと、どんなイメージをお持ちでしょうか?

相続は、両親や祖父母など身近な人が亡くなった後、人生で一度は経験するものです。

日常的に起こることではありませんが、故人の亡き後の手続きをスムーズに進められるよう、あらかじめ準備をしておくことは大切です。

この記事では、まず相続とは深く関わる「民法」や、その効力がどれだけあるかについて見ていきたいと思います。

 

相続は民法で定められている?

相続には「民法」と「相続税法」が該当しますが、ここではこのうちの「民法」についてご説明します。

「民法」は市民生活や事業など私たちの生活における基本的なルールを定めた法律です。

民法第882条~第1044条に収められており、売買・賃貸借・不法行為などの財産に関する内容や、夫婦・親子・相続などの家族に関わる内容について書かれています。

 

民法では相続の何が定められている?

では、その民法にはどんなことが書かれているのでしょうか?

一緒に詳しく見ていきましょう。

  • 民法第882条から第885条まで

総則で、相続の原因(死亡)や場所、相続回復請求権、相続財産に関する費用についてが書かれています。

  • 民法第886条から第895条まで

「相続人」についての内容が書かれています。
ここでは「法定相続人」と言います。

  • 民法第896条から第914条まで

「相続の効力」についてが書かれています。
法定相続人の遺産取得分の目安、遺産の分け方についてもこの項目が該当します。
遺産取得分の目安は「法定相続分」と言い、遺言書を作成していなかった場合には、法定相続人全員で話し合って遺産の分け方を決めるという内容もここに書かれています。

  • 民法第915条から第940条まで

「相続の承認及び放棄」についての内容が書かれています。
法定相続人が遺産を引き継ぐことは絶対的な義務ではなく、遺産を放棄することや、借金などの負債を承継することも可能です。
相続で得た財産を上限として亡くなった人の借金を返済する「限定承認」や、財産も負債も全て承継しない「相続放棄」についてもここに書かれています。

  • 民法第941条から第950条まで

「財産分離」についての内容が書かれています。
亡くなった人に借金などの負債があった場合、遺産を引き継いだ人が代わって債権者に返済をする必要があります。
しかし返済に回さず、他の用途に使ってしまう場合も考えられます。
この事案を防ぐため、債務者は家庭裁判所に相続人の財産と遺産を分離する「財産分離」を請求することができます。

  • 民法第951条から第959条まで

「相続人の不存在」についての内容が書かれています。
親族がおらず、法定相続人に該当する人がいない場合には、まず家庭裁判所が相続財産管理人を選びます。
そして管理人が官報で相続捜索を告知し、一定期間現れなければ、遺産は国庫に帰属することになります。

  • 民法第960条から第1027条まで

「遺言」についての内容が書かれています。
遺言には、死後に財産を誰にどのように分けるのかの財産分与について示されます。
遺言書の作成にあたっては、ここで定められた遺言の要件を満たす必要があり、要件が満たされない場合無効となってしまいます。

2019.6.14

相続における二重資格とは?二重資格はどのようなケース

「相続」という言葉を聞くと、ドキッとする方も多いのではないでしょうか?

ドラマや小説などでも、資産家の遺産をめぐって争いが起きたり、事件に発展してしまったりしますよね。そのような相続に関するトラブルを聞いてしまうと、資産家でなくてよかったと思う方もいるかもしれません。

しかし、相続におけるトラブルは、実は資産家の家庭の相続に限ったことではありません。
実は、相続トラブルの多くは、遺産総額が数百万円の家庭で起こっているのです。ごく一般的な家庭においても、相続のトラブルは決して他人事ではないのです。

事実、平成27年1月の相続税の改正で、より多くの場合の遺産継承の際に、影響のあるもの(相続税のかからない基礎控除の額が大きく引き下げられるなど)となり、相続が身近な事柄として感じられるようになってきました。

ごく一般の家庭でもトラブルが起こりやすく、身近なものとなってきている相続ではありますが、実際には相続を経験していない人も少なくありません。また、人生で何度も相続を経験するものではなく、実際に自分の身にふりかかる瞬間までどうなるかは深く考えていないでしょう。

では、今後に起こるかもしれない遺産相続のトラブルを、どのように回避すればよいのでしょうか?

遺産の引継ぎの際のトラブルを回避するためには、事前に相続に関する知識を得ておくとよいでしょう。トラブルに発展しやすい事例を事前に知っていれば、その対策がとりやすくなります。スムーズに遺産の引継ぎができるよう、しっかりとした知識を身につけておくことが重要です。

この記事では、予期せぬ遺産継承が起こったとき、少しでもトラブルを回避できるような知識をお伝えしたいと思います。

 

相続における二重資格とは?

相続における知識の一つとして、「二重資格」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

民法には相続について、相続の資格を持てる相続人の範囲と、その相続人が相続できる割合を定めています。

通常は1人の相続人は、1つの相続人の資格しか持たず、シンプルにその資格が持つ相続ができる割合を遺産引継ぎする権利を持ちます。

 

相続における二重資格とは、1つの遺産の引継ぎ事由が発生した際の相続人の中に、相続人としての権利を二重に保有している人のことをいいます。

つまり、相続の二重資格者は、1人で2人分の遺産継承の権利を有することになり、それぞれの相続資格に基づいて、相続権の主張が認められています。

しかし、二重資格の権利があるとしても、相続分として受け取ることができるかどうかというのは、ケースによって判定は異なってくるので注意が必要です。

 

相続において二重資格の状態が生じるケースとは?

では、相続の際に二重資格が発生するとは、どのような家族構成の状況で起こるのでしょうか。

日本では、相続税や跡継ぎ対策、そのほかの事情から、養子縁組が行われるケースがあります。その養子縁組や婚姻などにより、相続人と被相続人との間に、二重の異なる親族関係が存在しています。この二重の異なる親族関係が、相続の際に二重資格を発生させることとなるのです

なぜかというと、孫を養子にしたり、養子と養親の子(実子)が結婚したりすることが制度上あるためです。このような場合に、複雑な親族関係ができたことで、二重資格を生み、遺産継承においてトラブルになる事例が多くあります。

しかし、二重資格の取り扱いについては、その資格の重複の内容により、異なります。正しく把握しておかないと、相続人の人数をはじめ、法定相続分や相続税にも関係してきますので、注意が必要です。

この注意が必要な二重資格を持つ相続人のいる遺産継承のケースには、どのようなものがあるのか、どのような判定になるのか、ケースを挙げて具体的にみていきましょう。

※ケースを理解するための大前提として、通常の各相続人の順位や取り分の目安、そしてその割合は以下となります。

  • 遺産の引継ぎでは戸籍上の関係を重視
  • 配偶者がいる場合は、必ず相続人となる
  • 配偶者以外の相続順位は、子が第1順位、親が第2順位、兄弟(姉妹)が第3順位となる
  • 配偶者と第1順位が相続人にいた場合、配偶者1/2、第1順位1/2(第1順位が複数いた場合は1/2を分け合う)
  • 配偶者と第2順位が相続人にいた場合、配偶者2/3、第2順位1/3(第2順しが複数いた場合は1/2を分け合う)
  • 配偶者と第3順位が相続人にいた場合、配偶者3/4、第3順位1/4(第3順位が複数いた場合は1/2を分け合う)

 

配偶者の親の養子となり子がいないケース

2019.6.14

非嫡出子がいる場合の相続の注意点。どんな点に気をつければいい?

最近のテレビドラマでは、結婚せず一生パートナーとして暮らすカップルや同性同士の結婚などの多様な家族像を描いていたり、未婚で子を産み育てる女性アーティストや女性スポーツ選手などがいたりと、多様な家族像や家族感を知る機会も多いです。

あえて結婚せずに出産し、子育てをしている一般女性がメディアに登場したり、 シングルマザー専用のシェアハウスができたりしていることから、一般の社会で家族の形が多様になり、さまざまな価値観を認める社会になってきていることを感じられます。

フランスは先進国の中でも高い合計特殊出生率1.88(2017年実績)です。これは、結婚にかわる緩いパートナーシップ契約が可能なことが背景にあるようですが、生まれた子の半分は婚外子だといわれています。

少子化に悩む日本社会でも、多様な家族のあり方がもっと認められていけば、婚外子が増えていくでしょうか?

多様な家族のあり方に対して、現在の法律はどうなっているでしょうか?

今回は婚外子の相続について調べていきます。

 

非嫡出子の相続の対象になる?

婚外子は、民法上では婚姻関係にある男女の間に生まれた子を嫡出子というのに対して、そうではない子の意味で「嫡出でない子」と表しています。

「嫡出でない子」は、一般的には「嫡出子」に打ち消す意味の「非」の文字を付けて「非嫡出子」(ひちゃくしゅつし)と呼ぶことが多いです

非嫡出子は日本にどのくらいいるのでしょうか。政府の統計によると、2017年に生まれた全946,065人に対し、非嫡出子は21,097人で、全体の2.2%に当たります。2004年に2%台となり、以降は2%台が続き、2014年から2016年は2.3%になりました。

100人に2人以上の割合で生まれているということです

日本にいる未婚のシングルマザーの数は、総務省が5年ごとに実施している2010年〜2015年の国勢調査結果に基づき、同省が記したレポート「シングル・マザーの最近の状況(2015 年) 」によると、17万 7千人です。

シングルマザー全体は106万 3千人で、2010年からわずかに減っているのに対し、未婚のシングルマザーは5年間で4万5 千人増(33.8%増)と、急増しています

その背景には前述の非嫡出子出生数の増加があるようです。

1947年以降、低下傾向にあった合計特殊出生率が、2005 年の1.26を底に、徐々に回復傾向になり、2015年には1.45となったのは未婚のシングルマザーの急増が影響していると分析されています。

また、下図の通り未婚のシングルマザーは、年齢層ごとに見ると、一番多いのが40~44歳であるものの、10代からなだらかな山型を描いていて、死別や離別と比べてグラフが比較的左側に位置しているため低年齢層に多いといえます。

非嫡出子は意外と多く存在し、しかも増え続けていますので、その子の相続は身近な問題となりつつあるようです。

 

非嫡出子とは

非嫡出子は、婚姻関係のない男女の間に生まれた子ではありますが、母親とは親子関係があることは明らかです。

非嫡出子の相続といった場合、親子関係が明らかな母親の遺産を相続することではなく、主に父親もしくは父方の遺産を相続できるのかどうかが焦点になるでしょう。

ここで「認知」が関係してきます。

認知とは、婚姻関係のない男女間に生まれた非嫡出子を男性が実の子と認めることです。 

認知という言葉自体は、耳にしたことがある方も多いと思います。

再びテレビドラマの話をしますが、愛人関係の男女の間に子ができた場面で、よく出てくる言葉ですね。

子が男性に認知されると、父親とその子との間に法律上の父子関係が生じます。

しかも、特別養子縁組をした場合を除き、一生涯、父子の関係が続きます。

2019.6.12

相続税における代償金とは?

遺産相続で最もよく揉めるケースの一つに、遺産分割があります。

遺産分割の方法は3つありますが、そのうち今回は代償分割について解説していきます。

 

代償分割は、現物で分けることの難しい相続財産を一人が相続する代わりに、他の法定相続人に対して、その対価を支払うという分割方法です。

遺産分割の種類、どのような場合に代償金が発生するのか、代償金が発生するケースやよくあるトラブルについても解説します。

相続税における代償金とは?どんなケースで発生する?

代償金(代償財産)とは

親族が死亡した場合、相続が発生します。相続の手続きは、死亡から10か月以内に申告しなければなりません

その際、一番の問題となるのが、相続人の遺産分割です。故人が遺言を残していれば、原則それに従って相続が進みますが、遺言がない場合も多くあります。

 

遺産は自宅と現金のみというケースが多い中、相続人が複数名いると、それをどのように分配すればよいのか、親族間で揉めることがあります。

 

例えば、自宅には故人の配偶者と長男の家族が同居していて、今後もこれまで通り住みたいという事であれば、自宅とその土地は、配偶者と長男家族が相続することになるでしょう。

兄弟がいる場合、問題になるのが他の兄弟の取り分です。長男が家屋を相続したため、次男、三男が現金を分配・相続するとなると、家屋と現金との価値に差が生じ、それが原因で兄弟の間で不公平感が生まれることがあります。こうしたケースに対応するため、代償分割という制度があります。

 

代償分割とは、現物分割が難しい場合に、相続人が相続財産を土地・家屋などで取得し、他の相続人に対しては法定相続分の現金を支払うことで、公平性を保つ方法です

遺産の内、ほとんどが自宅であるという例は、相続の際に数多く見受けられるケースです。

不動産は金銭に換金しない限り、分割しにくい財産であるため、不動産を相続した人のみが利益を得てしまい、他の相続人に不公平感が生じます。

 

遺産が自宅等の不動産と預貯金のみの場合、相続人が不動産を相続し、他の相続人に対しては法定相続分に値する金銭を支払います。これが代償分割であり、支払う金銭を代償金或いは代償財産といいます。

遺産分割の種類

遺産分割には3種類があります。

 

【現物分割】

土地・家屋・現金が遺産であった場合、相続人の1人が土地・建物を、他の相続人が預貯金を相続します

しかし、土地・建物と預貯金の価値が必ずしも一致するとは限らないため、不公平な分配になる可能性があります。

 

【換価分割】

土地・家屋など財産の全てを現金化し、相続人全員で分配する方法です

2019.5.28

被相続人・相続人が外国人のときの相続税

日本に在留している外国人の数は増加傾向にあります。

在留外国人が多くなれば、相続の際にも被相続人が外国人であるケース、相続人が外国人であるケースも増えていくでしょう。外国籍の方が被相続人もしくは相続人にあたる場合、相続手続きはより複雑になります

 

まず、どちらの国の法律を適用して、相続を行うかという疑問を明らかにしなくてはなりません。日本でなく、外国の法律が適用になるケースもあるためです。相続に必要な書類手続きも場合によっては、海外に問い合わせて取得する必要があります。

 

本稿では、被相続人、相続人が外国人であった場合の相続税について解説します。

被相続人が外国人(外国に籍を置く)だった場合

外国籍の方が、日本で亡くなった場合の相続についてご紹介します。

基本的には、外国籍の方が日本で亡くなった場合、被相続人の本国の法律に従って相続を行います。ただし、被相続人が二重国籍の場合、どの国の法律を適用するか判断が難しいケースがあります。詳細をみていきましょう。

 

最初に確認しなくてはならないのが、どの国の法律を適用するかという点です。

基本的には、被相続人の本籍のある国の法律が適用されます。通則法第36条でも「相続は、被相続人の本国法による」と規定されています。アメリカなど、州によって法律が異なる国もあります。その場合は出身地や過去の住所を参考に、被相続人に最も密接な関係がある地域の法律を適用します。

 

欧米では多重国籍を認める国もあり、被相続人の国籍が複数ある場合も考えられます。

通則法第38条1項では、

 

  • その国籍のうちのいずれかが日本の国籍であるときは、日本法を当事者の本国法とする
  • その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国があるときはその国の法を、その国籍を有する国のうちに当事者が常居所を有する国がないときは当事者に最も密接な関係がある国の法を当事者の本国法とする

 

と規定されています。

 

日本国籍を持つ方が日本で亡くなった場合は、日本の法律を適用します。

日本の国籍を持たない場合は、出身地や過去の住所などを参考に、被相続人に最も密接な関係がある国がどこにあたるかを定め、その国の法律を適用します。

また、対象となる外国人が日本を常居所としていた場合は、日本の法律が適用になることもありえます。密接な関係がある土地の判断は難しいケースも多くありますので、悩まれる方は専門家に相談してみましょう。

 

通則法第41条では、「当事者の本国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による」と規定されています。アメリカ、イギリス、中国などでは、現預金・有価証券の相続は被相続人の本国の法律に従うように定められている一方で、不動産の相続については、その不動産が所在する国の法律に従うようにできています。

例えば被相続人の国籍がアメリカである場合、現預金・有価証券の相続はアメリカの法律に従いつつも、日本で所有している不動産については、日本の法律に基づいて相続することになります。

 

日本の相続税の課税に関しては、全世界課税といい、被相続人の国籍は関係なく被相続人と相続人の住所、財産の所在によって課税範囲が決定します

相続税は相続人に課税されるもので、例え被相続人が海外に移住していたとしても、相続人が財産を受け取っている以上、日本の相続税が課税されます。

 

日本の相続税を適用するのであれば、相続税の総額の計算は、被相続人の国籍に関係なく、日本の民法を基に計算されます。

 

相続の際には申告期限に注意が必要です。相続税の申告期限は被相続人の死亡から10カ月以内です。

一方、被相続人が外国人の場合、必要な書類の取得に時間がかかります。10カ月以内に申告できないケースもあります。そんなときは、未分割申告を行います。未分割申告とは、先に法定相続分で遺産分割を行うと仮定して相続税を計算、納付し、遺産分割ができた後で修正申告を行う方法です。

2019.5.28

相続税の圧縮とは?圧縮の方法や対策は?

みなさんは、現在おいくつですか?

どの年代だとしても、現在所有している資産の相続について考えておいて損はありません。特に年配の方は、既に資産を相続する相続人が決まっていて、それなりの準備を進めている方もいるでしょう。しかし、ただ資産を相続させるだけでは、相続人が「相続税」という大きな負担を抱えることになってしまいます。

そこで、負担を少しでも軽くする手段として、「相続税の圧縮」をおすすめします。様々な圧縮法の中から、自分の資産額に合った方法を選択することで、相続にかかる税金を最小限に抑えることができます。

本記事では、「相続税の圧縮」という言葉を初めて聞いた方でも、その全体像を理解できるように、圧縮方法や対策について詳しくご紹介します。

相続税の圧縮とは

「相続税の圧縮」は、納税額を合法的に引き下げることをいいます。相続財産の内容や形を変えることで、相続税そのものの減額を図ります。

 

相続税を節税できる圧縮には、主に以下の3つの方法があります。

 

  • 被相続人が保有する資産の組み換え・評価方法の見直しを行う
  • 相続財産自体を圧縮してしまう
  • 非課税枠・基礎控除額を増やし、課税部分を圧縮する

相続税の圧縮を行うメリット

相続税の圧縮方法は複数あるため、相続人にとってどの方法が一番節税になるのか、様々な角度から検証しなければなりません。圧縮方法によっては検討や手続きに多くの時間を要しますが、その手間をかけることで、大きな効果を得ることができます。

ここでは、相続税の圧縮をすることでどのようなメリットが得られるのか解説します。

より多くの資産を残すことができる

被相続人が現金として資産を残した場合、相続される資産の全てが課税対象になってしまいます。

しかし、不動産の購入や非課税枠の活用、生前贈与などによって相続税を圧縮することで、相続人の実質的な負担額を大きく減らすことができます。

資産に対する評価や引き下げ率は圧縮方法によって変わるため、より多くの資産を残すには、できるだけ多くの方法を検討し、自分に合った方法を見つけることが重要です

子や孫と相続について生前のうちに考えることができる

相続税の圧縮は、被相続人が存命のうちから考えることができる節税対策です。

例えば下記のような方法について、子供や孫と一緒に最適な手段を検討することができます。

 

  • 法定相続人を増やす場合、誰と養子縁組するか
  • 不動産を購入する場合、どのように運用していくか
  • 生前贈与を行う場合、誰に対して・どのくらいの期間・どのくらいの金額を贈与するか
  • 被相続人自身の老後の資金をどのくらい確保・運用していくか

相続税の圧縮方法の例

相続税の圧縮による節税効果は、「制度上規定された評価減」と「市場価格と相続税評価額の差」によって生じます。

ここでは、相続税の圧縮方法の一例として挙げられる、「不動産の購入」「非課税枠の活用」「相続人数の増加」についてご紹介します。参考までに、具体的な数字でのシミュレーション結果もご紹介します。

不動産の購入

2019.5.28

電話加入権を相続した場合の相続税は?

近年、スマートフォンの普及により、若者世代を中心に固定電話の利用大幅に減少しています。

しかし年代ごとの固定電話保有率(2018年)を見てみると、20代・30代の固定電話保有利用率が50%以下なのに対し、40代の固定電話保有率は約80%、50代に関しては90%以上と、まだまだ固定電話を使用する家庭は多いといえます。

 

電話加入権」という言葉はあまり聞きなれない言葉だと思いますが、実は相続財産として評価がつく財産として理解しておく必要があります。

固定電話の所有者が亡くなってしまった場合、親族はどのような手続きを行えばよいのでしょうか?

また、電話加入権を相続した場合、相続税はかかるのでしょうか?

本稿では、具体的な相続税の額、申請方法などについてこの記事で詳しく解説していきます。

電話加入権とは?

そもそも電話加入権とは、NTT東日本とNTT西日本の加入電話回線を契約するために必要となる権利のことをいいます。

この権利は、電話回線を設置する際に「施設設置負担金」を支払うことによって得ることができます。電話加入権を得るための施設設置負担金は、2019年現在、37,800円を支払う必要があり、権利所有者は加入している電話を再設置、移転などを無料で行うことができます。

ただし、電話の利用を休止する場合は、工事費を支払わなければなりません。休止の場合は5年ごとに更新の手続きが必要で、更新手続きを行わなかった場合、NTT側は5年間の自動延長手続きを行います。

電話加入権はもちろん解約することもできますが、解約をしても設置負担金は返還されないので注意が必要です

 

ちなみに、現在では、NTT電話回線を経由しないサービスや、ひかりIP電話などが登場し、電話加入権が不要な電話回線が広まっています。もしご家族が、それらの電話サービスを利用している場合、電話加入権の相続は発生しないので一度確認してみることを推奨します。

電話加入権も相続税の対象。評価額は?

電話加入権も相続税の対象

NTTの電話回線を引くために必要な電話加入権は、「相続財産」としてカウントされ、相続税が発生します。つまり、財務上は資産として計上される権利です。

電話加入権は、もともと電話会社が設備投資の一部を顧客に負担してもらうことを目的に、加入電話を使用する権利として設けたものです。したがって、途中で契約変更や電話加入権の売却等をすることなく、そのまま権利を維持し、続けていく人が多く存在しているのが現状です。

もし、相続する財産の中に、電話加入権が含まれている場合には、後述の方法で相続税評価を行うことになります。

相続税評価額を調べる方法

電話加入権には、土地や建物などの相続財産と同様に、相続税評価が存在します。

それでは、電話加入権の場合、相続税評価額はどのように計算するのでしょうか?

電話加入権の評価額は国税庁が提示する、「財産評価」のうち「第7章 第7節 電話加入権」の通り決定されます。以下にその内容を記述しておきます。

 

“第7節 電話加入権

161 電話加入権の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。(昭41直資3-19改正)

(1) 取引相場のある電話加入権の価額は、課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価する。

(2) (1)に掲げる電話加入権以外の電話加入権の価額は、売買実例価額等を基として、電話取扱局ごとに国税局長の定める標準価額によって評価する。”

 

つまり、評価の方法は大きく分けて2パターン考えられます。

 …

2019.5.15

相続財産管理人とは?|選任が必要な場合と予納金を解説

皆さんは、相続を放棄したい時、その権利に伴う義務があることをご存知ですか。

相続する人が存在しない場合や、相続を行わないとした場合などでその相続財産の管理が必要となります

例えば、亡くなった人からお金を返してもらいたい場合もあるかもしれません。

または遺言により相続財産の一部を受け取りたい場合、相続放棄された財産については誰に言えばいいのでしょうか。

そんな時に「相続財産管理人」が管理を行います。

この記事ではその相続財産管理人が必要となる場面や、何を行うのかなどについて詳しく見ていきましょう。

 

相続財産管理人とは

相続財産管理人というのは、亡くなった方に相続人がいない場合に、その方の相続財産を管理清算する人のことを指します

通常誰かが亡くなり相続の必要性が出てきた際は、民法の定めにより「相続人」が相続財産を引継ぎ管理します。

しかし独り身で相続人に相当する人がいない場合、相続人が遺産の相続を放棄した場合は、誰も遺産を相続財産を管理できません。

ですので、利害関係人や検察官が相続財産管理人を擁立するため家庭裁判所へ申し立て、相続財産管理人に遺産を管理させます。

 

相続財産管理人が必要な理由

民法940条で「相続財産の相続を拒否した者はその相続財産の管理を誰かが始めるまでは管理を継続しなければならない」と定めています

民法第951条や952条で「相続人のいない相続財産は法人とし、それに相当する時は相続財産の管理人を立てなければならない」と決められています。

相続をしないとした際でも、その相続人が財産を放棄し管理しない場合、相続人は法律違反で罰せられます

このような法律があるため相続財産管理人を擁立し、管理を進めていくことが必要なのです。

 

選任する必要がある場面

相続財産管理人の選任が必要となる場面は4つに分ける事が出来ます

ここからは、それぞれの場面について詳しく見ていきましょう。

 

法定相続人がいないとき

法律で定められた相続人のことを法定相続人と言います。

相続財産管理人はこの法定相続人が存在しない場合に必要になります

法定相続人には順位があり、下位順位の者は、上位順位の者が死亡や相続放棄をしない限り相続権はありません。

被相続人の相続手続きにおいて、選任申し立てを行う利害関係人や検察官、法定相続人が本当に存在しないのかどうか確認する必要があります。

法定相続人の存在の有無は戸籍謄本で明らかになります

したがって、亡くなった方の「生を受けてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本」を集めて確認します。

法定相続人の存否が不明な時ではなく、いないと分かっている場合に相続財産管理人が求められます。

 

法定相続人が全員相続放棄したとき

2019.4.9

子連れ再婚の連れ子の相続権はどうなる?連れ子に財産を残す方法

いろんな家族にケースに対応するため、相続の法律は非常に複雑なものになっています。

そのため、どの様な場合に相続権が発生するのか、決まりをよく理解できていない人が多いと思います。

しかし、遺産相続においては、法律を理解していないという理由で家族が崩壊するケースが珍しくありません。

全ての人が遺産相続を巡る争いを避けたいと思っているにも関わらず、経験がほとんど無いために、自らその引き金を引いてしまう時があるのです。

日本において離婚や再婚件数は年々、増加傾向にあります。

そんな中、子連れの再婚で連れ子に相続権はあるのか気になる方もいるかと思います。

この記事では再婚相手の連れ子の相続に必要な手順に関して解説しますが、「遺言書の書き方」や「遺留分」、「相続させたい割合が決まっている」場合は、弁護士に相談されることを心からお勧めします。

再婚相手の連れ子に相続権は「ない」

再婚相手に連れ子が居た場合、再婚と同時にその連れ子と自動的に法律上の親子となる訳ではありません。

したがって、連れ子には財産の相続権がありません。

連れ子に自身の財産を譲り渡すためには、養子縁組を行うか、遺言書を作成するという二つの方法があります。

配偶者と血族に相続権がある

再婚した場合、その配偶者と「血族」には相続権があります。

つまり、配偶者と「自分の」連れ子には相続権がありますが、「再婚相手の」連れ子には相続権はありません。

民法において、財産を相続できる人は、亡くなった人の血族と配偶者と定められています。

血族とは親子、兄弟姉妹など血縁関係にある人々のことですが、血の繋がりがなくとも同じ戸籍に属している人も「血族」の対象となります。

つまり、養子であれば、血のつながりこそありませんが「血族と同視される者」と認定されるため、財産を相続することができるのです。

連れ子に相続権を与えるには?

上述したように、再婚したばかりの連れ子には財産の相続権がありません。

相続権があるのは、亡くなった人の配偶者と血族に限られます。

では、連れ子に財産を相続させることはできないのでしょうか。

そんなことは決してありません。

以下の方法で、連れ子に財産を相続させることは可能です。

連れ子に財産を相続させる方法は、二つあります。

一つは、「養子縁組を行う」方法で、もう一つは、「遺言で遺贈する」という方法です。

これらの方法について以下で詳しく見ていきましょう。

養子縁組で法的に親子になる

養子縁組を行う事で、法的に親子になります。

事実上、実子と同じ身分になるため、養子縁組の結果、養親の財産を相続することが可能になります。

 

・養子縁組に必要なことは?

養子縁組は、養子縁組届を、連れ子もしくは再婚相手の居住する自治体または本籍地の役場に提出する必要があります。

提出先の自治体が本籍地以外の場合、戸籍謄本の提出も必要なので注意しましょう。

また、書類を役所に提出する際は、届出人の他に二十歳以上の二人の証人の押印や署名が必要です。

そのため、養子縁組を行う場合、誰に証人になってもらうかを決めて、その人達に依頼しましょう。

それから、届出の際は本人確認を行うので、必ず本人の写真入りの各種証明書や免許証等を持参しましょう。

養子縁組の種類

養子縁組には二種類あり、一つは「普通養子縁組」、もう一つは「特別養子縁組」があります。

「普通養子縁組」は、婿養子に代表される縁組の形です。

再婚相手の連れ子を養子にする場合も「普通養子縁組」で行われることがほとんどです。