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【相続に関する相談窓口 】
相続に関する相談窓口について説明しています。相続には専門知識が必要です。分からない点、不安な点がある場合は相続の専門家に相談しましょう。どのような相続に関する相談窓口があり、それぞれどのようなケースで相談相手として選ぶべきかをまとめています。

2019年2月25日 月曜日

相続税で悩んだら専門家に相談しましょう

相続は通夜・葬儀に始まり、相続税の申告・納付で終わります。

一連の相続手続きのゴールである相続税は多種多様な法律や制度に定められた計算過程を経て適正に算出されなくてはなりません。

誤った方法で申告・納付すると税金の過払いになったり、あるいは過少申告として税務署が悪質と判断した場合は追徴課税などが課されてしまうこともあり得ます。

そもそも相続税については、税務署職員や税理士などでない限り、十分な知識がないと考えられます。

また、相続人それぞれの相続税額を計算する基礎となる遺産分割協議(相続人どうしで話し合い、誰が・どの遺産を・どれくらい相続するか決めること)が不調となり、相続税を計算することすらままならなくなることもあるのです。

このように、相続税の適正な申告・納付に至るまでは専門的な知識が要求され、さらにはその過程で予想もしないトラブルが生じることもあります。

これに独力で対処することは、専門家でない限りきわめて困難であることが予想されます。

そのような場合にどのような専門家に相談すべきか、本コンテンツでは具体例を交えながらご紹介していきます。

 

相続税はいくらかかる?

相続税率

相続税とは、被相続人から相続または遺贈(遺言の指定により遺産を取得すること)によって遺産を取得した人に対し、その取得した遺産の額に応じて課される税金です。

2019年1月時点の相続税率は以下のとおりです。

後述する相続税の基礎控除額や配偶者控除額の範囲に収まらなかった相続税対象財産に対して税率を乗じ、カッコ内の金額を控除して得られた額が相続税となります。

・1,000万円以下:10パーセント(控除額なし)

・3,000万円以下:15パーセント(50万円)

・5,000万円以下:20パーセント(200万円)

・1億円以下:30パーセント(700万円)

・2億円以下:40パーセント(1,700万円)

・3億円以下:45パーセント(2,700万円)

・6億円以下:50パーセント(4,200万円)

・6億円超:55パーセント(7,200万円)

インターネットでは、家族構成のパターンに応じた速算表を見かけます。

しかし、その多くが法定相続割合のみを考慮しただけのものです。

各相続人の相続税額は、遺産分割協議の結果による実際の分割割合や特別受益の有無、相続時精算課税制度の活用の有無などに応じて変わりますので、速算表だけで計算すること自体に無理があるという点をご認識ください。

また、相続税の計算方法は諸制度や法律、さらには個別事情を複合的にしたものですので、非常に煩雑で分かりにくいものです。

このため、相続税や各種制度、法律について何も知らない人が単独で計算・申告をすると、過大申告あるいは過少申告となる可能性があります。

特に過少申告になってしまい税務署が悪質と判断した場合は、追徴課税などが課されてしまうリスクがあります。

したがって、相続税の計算・申告や税務署との折衝については、多少のコストが生じたとしても税理士などの専門家に依頼することが確実です。

相続税の計算方法

正味の遺産額を算出する

相続税の計算は、現金・預貯金・株式や投資信託受益権などの有価証券・不動産など相続対象となる財産をすべて明らかにすることから始めます

そして、「すべての相続財産-非課税財産-債務など+一定の贈与財産」で計算することにより、正味の遺産額を求めます。

相続財産合計額から差し引ける相続税の課税対象とならない非課税財産には、墓石や仏具など祭祀用品(骨董的な価値のあるものを除く)・死亡退職金や死亡保険金の一定部分・特定の公益法人への寄付分・死亡要因に対する損害賠償金などが該当し、債務には被相続人の借金・未払金・葬儀費用が該当します。

これに相続開始前3年以内の贈与財産および相続時精算課税制度の対象となった贈与財産があれば加算します。

基礎控除後の相続税課税対象財産額を算出する

相続税の課税対象となる財産額は、正味の遺産額から基礎控除額を差し引いて算出します。

ここでいう基礎控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の人数」です。

正味の遺産額から基礎控除額を差し引いた結果、相続税の課税対象となる財産額がゼロまたはマイナスであれば、相続税は発生しません。

法定相続割合に応じて相続税総額を算出する

相続税の課税対象となる財産額を、遺産分割協議の結果などによる実際の相続割合ではなく相続人それぞれが法定相続割合により相続したと仮定して各相続人の相続税額を計算し、その額を合計して相続税総額を求めます。

各相続人の相続税額を決定する

相続税総額を、遺産分割協議の結果などによる実際の相続割合に応じて各相続人に割り振ります。

被相続人の配偶者については、被相続人の財産形成に対する寄与分や今後の生活などを考慮して、「配偶者の税額軽減」が適用されます。

具体的には、配偶者が相続する相続財産評価額には最大で1億6000万円が控除されるものであり、別の言い方をすると相続税評価額が1億6000万円に満たない場合は相続税は発生しないのです。

他にも、相続人の状況や他の相続の発生状況に応じて未成年者控除、障がい者控除、相次相続控除、外国税額控除などの適用が受けられる場合があります。

具体例

以下では、法定相続人は長男と長女、相続税評価額が3,000万円の家を長男が相続するケースを想定します。

まず、法定相続割合に応じて長男と長女が家を共同で相続すると仮定します。

この場合長男と長女の法定相続割合はそれぞれ2分の1ですから、1,500万円ずつ相続することになります。

次に国税庁による相続税の速算表に基づき、長男と長女の相続税額を計算します。

評価額が1,500万円の場合は税率は15%・控除額は50万円とされていますので、1,500万円に15%を乗じて得た額から50万円を控除した金額である175万円が、長男と長女それぞれに課される相続税となり合計は350万円となります。

最後に、実際の相続割合に応じて支払う相続税を計算します。

家は長男が相続しますから長男の相続割合は100パーセント・長女は0パーセントになりますので、長男が支払う相続税は350万円・長女が支払う相続税は0円となります。

専門家に相談するメリット

相続税に限らず、一連の相続手続きは非常に複雑であり、多くの知識と忍耐力、そして時間を要します。

特に役所や裁判所は基本的に平日の昼間しか開いておらず、その時間に手続きを行う必要があることから、多くのサラリーパーソンにとって自分で相続手続きを行うことは仕事の時間を削らなくてはならないことになります。

また、他の相続人や第三者と、遺産をめぐり予想もしないトラブルに巻き込まれてしまうことも珍しくありません。

このため、相続を経験された多くの方々から「相続手続きは自分ひとりで行うべきものではない」というお声を聞きます。

多少の費用が生じたとしても任せるべき点は弁護士や税理士、司法書士などの専門家に任せたほうがご自身の時間を有効に使えますし、相続税の計算過程における間違いも起きにくくなるでしょう。

なお、相続では以下のように依頼したい項目によって依頼すべき専門家が異なります。

弁護士に相談する

弁護士は相続人の代理人として相続税を申告することはできませんが、相続に関するさまざまなアドバイスやトラブルへの対処を依頼することができます。

たとえば、相続する財産の取り分をめぐり他の相続人と揉めることになってしまった場合、さらに調停や裁判などの裁判所の介入を余儀なくされた場合、相続人の代理人は弁護士しかなることができません。

司法書士に相談する

司法書士には、被相続人および相続人を確定させるための戸籍謄本の取り寄せと、相続する不動産の権利部(所有者の住所・氏名や抵当権などの内容)に関する登記を依頼することができます。

行政書士に相談する

いわゆる「町の法律家」として、わたしたちの身近な存在です。

相続において、行政書士には戸籍謄本の収集、遺産分割協議書の作成が依頼できます。

税理士に相談する

税理士には税金に関する諸々の相談と、相続人の代理人として相続税を申告するための書類作成および税務署への申告を依頼します。

これらの業務は、税理士法の規定により税理士にしかできません。

専門家に相談すべきケース

(1)多くの戸籍謄本を取得しなければならないケース

相続人を確定させるためには、被相続人の戸籍謄本相続人全員の現在の戸籍を証明する戸籍謄本や戸籍全部事項証明書を用意しなければなりません。

戸籍を集めると言うと、役所に行って申請すれば全て揃うだろうと簡単に思われがちです。

しかし、実際は想像以上に大変であることもあります。

なぜなら、相続手続きには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍と何種類もの戸籍が必要となるからです。

さらに戸籍は本籍地の役所でしか取得できず、もしも戸籍に記載のある本籍地の役所が市町村合併などにより他の役所に合併されている場合は、そもそも本籍地の役所はどこかということから調べなくてはならないのです。

また、これまでの戸籍法の改正により戸籍の様式には「明治31年式」・「大正4年式」・「昭和23年式」・「平成6年式」があり、それぞれ記載内容や様式が異なるため、慣れていなければ読み取るのが非常に難しいのです。

さらに、兄弟姉妹が相続人の場合や、相続人の誰かが既に死亡している場合は、その子供が代襲相続人として相続人になるため、取得しなければならない戸籍が何十種類になることも想定されます

このように、戸籍謄本の取得は意外に大変なのです。多くの戸籍謄本を取得しなければならない場合は司法書士や行政書士、弁護士に依頼するとよいでしょう。

(2)隣地との境界画定がまとまらないケース

相続することになった不動産を、相続税の納税資金に充当するために売却または物納することになると、その不動産が隣地との境界が未確定だった場合は、土地を画定させるために面積について正確に測量する必要があります

具体的には、隣の土地の所有者と協議や現地の立ち合いをしたうえでお互いに境界画定書を取り交わし、現地に境界標などの目印を打ち込みます。

また、不動産の隣地が道路や公共用地などの公有地である場合は、平日に役所の管理者が立ち会うことになります。

確定測量については、土地家屋調査士に依頼することが一般的です。

土地の測量だけでなく、境界確定についても隣地所有者や役所との交渉を進めてもらえます。

しかし、土地の境界は双方の財産価値と直結する話です。境界の位置をめぐって隣地所有者との話し合いがまとまらず、売却や物納に影響が出てしまうこともあるのです

このような場合は、弁護士に依頼して法的知見を活かした交渉をすることが得策でしょう。

安心できる専門家の選び方

相談実績を確認しておく

相談・解決実績の数や質と専門家のスキルは比例する傾向があるようです。

まずは専門家の実績をホームページや口コミサイトなどで確認しましょう。

ただし、どのような実績アピールや口コミも、100%事実を書いているとは必ずしも限りませんので注意しましょう。

過去にあなたの周りの信頼できる友人や親類が、今あなたが抱えているような問題を専門家に解決してもらったことがあるならば、その専門家を紹介してもらうのも良いかもしれません。

専門家の得意分野を知っておく

法律や税務の分野は非常に幅広いことから、弁護士や税理士のような専門家であっても相続の分野に精通しているとは必ずしも限りません。

特に法テラスで相談する場合、担当する弁護士はあくまで法テラスの当番弁護士であるため、その弁護士が相続問題に強い弁護士ではないこともあり得るのです。

刑事事件が得意分野である弁護士や法人税に強い税理士よりも、相続に強い弁護士や税理士に相談するほうがあなたにとって良い結果が期待できます。

専門家に相談する場合は、その専門家が相続を得意分野としているか事前にしっかりと確認しておきましょう

専門家毎に費用を比較する

各専門家に支払う費用は、国などが一律で規制しているわけではありません。

各専門家の多くは基本的に自由競争の世界に生きる個人事業主といっても過言ではなく、需要や供給を各専門家がそれぞれ判断して依頼者が支払う費用を決めることができます。

したがって、専門家に相談するときは可能な限り多くの専門家の費用を比較してみましょう。

なかには他の専門家と比較して著しく安い費用を提示している専門家がいるかもしれません。

しかし、安いからといってすぐに決めてしまうことはせずに、その専門家の費用はなぜ安いのかを考えたり調べたりしてみましょう。

大きな事務所で規模の経済効果を働かせることができるからかもしれないですし、あるいは他の専門家と比較して仕事の評判が芳しくないことから費用を安くしないと仕事が取れないという理由があるのかもしれません。

相続税で困ったら専門家へ

相続に関与する回数は、長い人生でも片手で数えられる程度でしょう。

つまり、多くの人が相続税については不十分な経験と知識で臨まなくてはならないのです。

それであれば最初から専門家に任せておいたほうが間違いは起きにくくなり、ご自身の時間を生産的に使えるのではないのでしょうか。

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相続が開始されたらまずは相談窓口へ
監修者太田諭哉
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公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
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