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【贈与税 】
贈与税について説明しています。相続税対策として生前贈与を行う方が増えていますが、贈与には贈与税が発生します。贈与税についての計算方法、贈与税の注意点などについてまとめています。

2018年12月26日 水曜日

贈与税には時効があるので注意しましょう

贈与税に時効があると聞いたものの、どのような意味なのかよくわからないとお悩みではないでしょうか。

贈与税とは財産を贈与したときに発生する税金です。

その贈与税には申告の期限があります。

実は、贈与税の申告期限が過ぎたまま一定の条件を満たすことによって、贈与税が課税されなくなるのです。

贈与税が課税されないと聞いて、興味を持った人も多いと思います。

しかし、時効が成立することはなかなかありません。

そこで今回の記事は、贈与税の時効について確認していきたいと思います。

贈与税の時効について理解して、納得いく納税を行いましょう。

贈与税とは

時効の説明に入る前に、そもそも贈与税とはどのようなものなのかについて確認しておきます。

贈与税とは、財産を贈与したときにその金額に応じて納めることになる税金のことです。

贈与税は、相続税を補完するような立ち位置だと考えられています。

なぜなら、相続税が課税されてしまうくらいなら、先に贈与により財産を譲って相続税を逃れておこうと考える人が出てくるためです。

そうなってしまうと、相続のときに財産が引き継がれることが少なくなり、相続税という制度がうまく機能しなくなってしまいます。

そのような理由で、贈与税という制度を作って贈与が起きたときにも課税をするようにしているのです。

したがって、贈与税の税率は相続税の税率と同じではなく、相続税の税率よりも高めに設定されています。

贈与というのは、自分の財産を誰か別の相手に譲ることです。

贈与は契約書を作るなどの特別な手続きなく行うことができます。

しかし、あとから税務署に指摘をされたときに問題となってしまうので、たとえ親と子供のような身近な関係であっても贈与のたびに契約書を作って管理しておいたほうが良いでしょう。

そして、贈与したならその財産は贈与された人が管理するべきです。

もしも口座にお金を入れて贈与したのであれば、通帳や印鑑、キャッシュカードといった口座に関係するものは名義人である本人が管理しておくようにしてください。

高額な財産を譲る場合には、事前に専門家に相談しておいたほうが将来的なトラブルを避けることができます。

専門家に相談することによって、トラブルを避けられるだけではなく、節税対策を教えてもらえることも珍しくありません。

高額な財産を譲ろうと思っているときは特に、節税には気を配っておくべきです。

贈与税の時効について

贈与税について理解したら、いよいよ時効について見ていきましょう。

贈与税の時効とは、決められた一定の期間を過ぎると贈与税の課税がされなくなるというものです。

贈与税を納めなくて済むというのは魅力的に思った人もいるかもしれません。

しかし、一定の期間は長く、実際に時効が成立することは多くないので注意しておいたほうが良いです。

初めから贈与税の時効の成立を狙って贈与を行ったとみなされると、結局贈与税を納めることにもなりかねません。

そうなると、無申告だった分のペナルティとして追加の税金を支払うことにもなりうるので注意しておくべきです。

贈与税の時効が成立する期間は、贈与について知っていたけれど納めていなかった場合と、贈与について知らなくて納めていなかった場合で変わってきます。

  • 贈与について知っていたけれど納めていなかった場合:7年間
  • 贈与について知らなくて納めていなかった場合:6年間

贈与について知らなかったというパターンのほうが期間は短いので、魔が差してそちらを狙いたくなる人も多いと思います。

しかし、税務署が贈与について知らなくて納めていなかったと認めてくれることは少ないです。

したがって、贈与税の時効が成立する期間は7年間であると考えておいたほうが無難だと言えます。

7年間もの間、贈与税を申告しないまま税務署に知られずに過ごすのは難しいです。

特に、大きな金額の贈与が行われた場合には発覚しやすいので、正直に申告を行いましょう。

時効の起算日

贈与税の時効についてはわかったけれど、定められている期間はいつから計算するのだろうと疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。

いつから日数をカウントするのかによって、時効が成立する日が変わってくるので気になるはずです。

贈与税の時効のためにカウントを始める日は、贈与税の申告期限からであるとされています。

贈与税を申告する期限日は、その贈与が行われた年の次の年の3月15日です。

「贈与が行われた年や日にちではない」ということを知っておいてください。

ちなみに、贈与税を申告する期限の日は、所得税の確定申告を行わなければならない日と同じなので、そちらで覚えやすい人はそう覚えておきましょう。

贈与税の申告期限日から6年か7年が経つことによって、時効が成立することになります。

つまり、贈与について知らないまま納めていなかった場合なら、その贈与税の申告期限日から6年で時効が成立するのです。

また、贈与について知っていたけれど納めていなかった場合なら、その贈与税の申告期限日から7年で時効が成立します。

時効が成立しない場合

贈与税の時効の成立する条件はわかったけれど、必ず時効が成立するのかが気になっている人もいると思います。

贈与税の時効は、一定の期間が過ぎたのであればどのような場合でも認められるというわけではありません

実は、贈与を行う前から時効が成立することを狙っていたような状況だと、時効が認められない可能性があります。

実際にそのようなケースが過去にも多くあるので、時効は決して自ら積極的に狙うようなことはしないでください。

贈与税の時効が認められることを狙って7年間が過ぎるのを待ったとしても、その後、贈与税が課せられることがあります。

しかし、もともと贈与税の時効の成立を狙って7年間が過ぎたわけではないのであれば、時効を認めてもらえることは絶対に不可能ではありません。

その場合には、いつどのように贈与が行われたのかがポイントとなります。

専門家でなければ判断することが難しいので、贈与税の時効について疑問や不安があるのであれば早めに専門家に相談しに行きましょう。

贈与税の申告方法

贈与税の時効の制度について確認したので、ここからは贈与税の申告方法について見ていきます。

贈与税の申告は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に財産の贈与を受けた場合に行わなければなりません。

4月1日からではなく、1月1日からであることに注意しておいてください。

ちなみに、法人からの贈与はここでは除かれます。

贈与税を申告する場合には、相続時精算課税制度暦年課税制度という2つの制度のいずれかを選択して申告することが必要です。

相続時精算課税制度と暦年課税制度という言葉を初めて聞いた人も多いと思います。

それぞれの制度について、簡単に確認しておきましょう。

相続時精算課税制度とは、贈与税の課税制度の1つで、生前贈与を使った財産の移動をスムーズにすることを目的として作られた制度です。

相続時精算課税制度では、贈与時に贈与財産の金額に応じた贈与税を納めて、その贈与を行った人が亡くなったときに贈与財産の価格と相続財産の価格を足し合わせた合計金額をもとに計算した相続税額から、すでに納めている贈与税の金額を差し引くという制度となっています。

注意するべき点は、一度この相続時精算課税制度を利用すると決めてしまうと、同じ贈与者からの贈与については、次に説明する暦年課税制度が使えなくなってしまうということです。

相続時精算課税制度を使えば、贈与時の財産価格で税金を納めることができるので、有価証券などの金額が変動する財産を譲りたいときには場合によっては節税できます。

たとえば、生前のうちは金額にすると安めの株式を持っていたとして、将来的に価格が上昇しそうであれば相続時精算課税制度を利用して安い贈与税を納めておけば良いのです。

ただし、相続時精算課税制度を利用するというときには、暦年課税制度で使われる基礎控除額の110万円は使えないことを知っておきましょう。

したがって、暦年課税制度と相続時精算課税制度のどちらを使ったほうが得になるのかを考える必要があります。

次に、暦年課税制度についても見ておきましょう。

暦年課税制度とは、贈与税の課税制度の1つで、1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額から、基礎控除の金額である110万円を控除した残りの金額に課税するというものです。

たとえば贈与された財産の合計金額が2,000万円であれば、2,000万円から110万円を差し引いた1,890万円に贈与税がかかることになります。

相続時精算課税制度を選択しなければ、暦年課税制度が適用されるので、一般的には、暦年課税制度で贈与税の計算がされることが多くなっています。

しかし、相続時精算課税制度の方が節税できることもあるので、心配であれば専門家に相談するのが良いでしょう。

贈与税の無申告には注意

贈与税の無申告には注意しておくべきです。

なぜなら、贈与税の無申告が税務署に知られてしまった場合には、ペナルティとして追加の税金を課せられる場合があります

贈与税を無申告だったということが税務署に知られた場合、最高で20%もの追加の税金が課されるので気をつけなければなりません。

6年間や7年間もの長期間、税務署に贈与の事実を知られないことは難しいです。

また、6年間や7年間もの長い期間、税務署からの調査がないかを不安に思いながら過ごすのは精神的にも大きなストレスになってしまいます。

したがって、贈与税を無申告のままごまかそうと思っているなら、絶対にやめておきましょう

贈与税の申告手順などに不安があって申告手続きが取れないようであれば、早めに専門家に相談しましょう。

申告手順などに困ったらご相談ください

最近では相続税の節税に「生前贈与」について耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか?

「相続税を節税できる=贈与税の申告をしない」ということではありません。

贈与税を無申告のまま乗り切ろうとするよりも、適切に節税を行ってしっかりと納税しておくべきです。

しかし、贈与税の申告については、個人で正しくすべてを行うことは難しいこともあります。

自力でどうにか頑張ってみようと調べながら挑戦しても、間違ってしまうのはペナルティのことを考えると怖いですよね。

贈与税の申告については税務署も目を光らせており、非常に厳しくチェックが行われています。

税務調査という申告した税金が本当に正しいものかを調べる対象に選ばれてしまうと、わずかなミスでも税務署の担当者には指摘を受けるはずです。

そもそも無申告であれば、厳しく指摘されることにもなりかねません。

あとで税務調査が入って税金のことで揉める可能性はできるだけ下げておいたほうが良いでしょう。

贈与税の申告手順などについて何かわからないことや不安なことが少しでもあるのであれば、早めにご相談ください。

贈与税の申告方法だけでなく、贈与税の節税対策についてなどについてもお力になれると思います。

税金のことで専門家に相談したことがないという人は少なくなく、専門家に相談に行くということになんとなく高いハードルを感じている人もたくさんいらっしゃることでしょう。

専門家に相談するのは緊張するという人も多いと思いますが、優しくあなたの悩みや不安を解消できるようにつとめます。

ちなみに、説明した通り、贈与税の申告には期限があるので、手続きには早めに取り掛かっておくべきです。

そのため、贈与をするのであればできるだけ早く専門家に相談しましょう。

2018年12月26日
贈与税の申告手順、必要書類や期限について【まとめ】
監修者太田諭哉
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公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
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