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知っているようで知らない「相続」に関する情報をわかりやすく解説します。

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【相続人について】

相続人について説明しています。相続人とは、亡くなった方の財産を引き継ぐひとのことをいいます。法律で定められた相続人を法定相続人と呼び、順位によって受け取る財産の配分に違いがあります。

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相続人に認知症の方がいるとき、遺産分割協議はどうすればいい?

みなさんはご自身の相続について考えたことはありますか?

相続法の改正によりメディアに取り上げられる機会が増えたことで、ご自身や身内が亡くなった際には相続がどうなるのかと不安に思う方も多いでしょう。

相続を考える年齢は、高齢になってからで良いと思いがちです。

しかし高齢になると手足が不自由になったり、認知症になるなど意思能力が低下する可能性が高くなります。

近年では超高齢化社会となり、家族に認知症を患っている方が増えています。

そのため家族の死後、遺書が見つかったが当時認知症を患っていたため、スムーズに相続の手続きができなかった、相続人が高齢で手続きするのが大変だったというケースも多くあります。

認知症は誰にでもなりうる可能性があり、すでに認知症のご家族がいる方や、将来もし自身が認知症になったら相続はどうするのか、不安な方もいるでしょう。

今回は、相続での認知症に関するよくある問題やトラブル防止を解説しますので、事前に対処方法を押さえておきましょう。

 

認知症の相続人がいる場合どうなる?

高齢化が進み、夫婦のどちらかが認知症という家庭が増えてきています。

父親が亡くなり相続が開始した際に母親が認知症だった場合、子供たちは母親の負担を減らすためにも、母親を除いて遺産を分ける話し合いを行いたいと考えるケースがあります。

しかし症状の進行度合いにかかわらず、認知症であっても相続人であることに変わりはありません。

もし相続する方の中に認知症の方がいた際の相続に関する手続きはどうなるのでしょうか。

 

遺産分割協議を実施できない

一般的には相続が発生した際に遺書がなければ遺産分割協議を行い、相続する全員が納得する遺産分配を実施します。

しかし認知症の症状が重く自身で物事が決められない、判断できない、自分の意思が伝えられないといった症状があると、遺産の分割の話し合いに参加はできません。

認知症だけでなくその他の精神疾患があり、物事を理解し判断する能力が乏しい場合も同様です。

遺産分割協議を行うには正しい判断を行える人というのが前提としてあるため、認知症で意思能力が著しく低下している方が相続人にいた場合、遺産の分割協議は実施できないのです。

仮に相続人に認知症の方がいてその方を除いて遺産分割協議を行った場合は、その内容は無効となります。

また、認知症の方も含め無理に遺産分割協議を行った場合は、悪意があると判断され相続財産が不利益になる可能性があります。

 

遺産分割協議ができない場合の影響

相続人に認知症や精神疾患がある方がいて遺産分割協議を行えない場合は相続にどのような影響があるのでしょうか。

下記に相続する際の問題となるものをあげてみました。

<法定相続分しか相続されない>

相続が発生した場合、認知症の方を相続人から除外して相続人の人数を減らすということはできません。

一般的には相続を行う際には相続する人たちで協議による遺産の分割を行い、自分の納得できる割合で話し合いをすることができます。

しかし相続する方の中に認知症の方がいる場合には、遺産分割の話し合いができいため、法定相続分の割合で相続することになります。

<相続税対策ができない>

認知症になった方は、意思能力がない方として法律上扱われます。そのため判断力が乏しい方がした契約は、無効や取り消しとなってしまします。

もちろん相続対策についても法律行為として取り扱われるため、認知症の方が相続対策として契約したものも、無効となってしまいます。

<不動産が共有となる>

不動産を相続する際に一般的には名義を相続人の中の一人が取得することになります。

遺言があれば話は別ですが、ない場合は遺産分割協議を行い誰が相続するのか決めます。

しかし相続人に認知症の方がいて遺産分割協議を行うことができない場合は、その方の生活の保障のためにも相応の財産を別で与えない限り、不動産の名義は相続人全員の共有となってしまいます。

 

遺産分割協議を可能にするには?

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2019.8.12

胎児も遺産相続できる!相続権が認められる場合とは?

みなさんは、遺産相続についてご存知ですか?

遺産相続とは、個人が亡くなった場合に、亡くなった本人の財産や権利義務などを配偶者や子どもに承継させる制度のことを言います。

亡くなった人を「被相続人」、承継する人たちを「相続人」と呼びますが、相続人には、実は母親のお腹の中にいる胎児も該当するのです。

では、まだ生まれていない胎児にはどのように相続権が与えられるのでしょうか?

今回は、胎児の遺産相続について、相続権が認められるケースや条件についてご紹介します。

 

法定相続人となれる条件

民法で定められた相続人のことを法定相続人と言います。

配偶者は必ず相続人として認定されますが、婚姻関係がないと対象外とされるため注意してください。

では配偶者に加えて相続人になることができるのはどのような人なのでしょうか?

法定相続分の分配も含めて、国税庁のホームページに詳しく書かれているので、見てみましょう。

◆第1順位 死亡した人の子供
その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。
子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供の方を優先します。

◆第2順位 死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。
第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。

◆第3順位 死亡した人の兄弟姉妹
その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となります。
第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。

なお、相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされます。
また、内縁関係の人は、相続人に含まれません。

 

【法定相続分について】

イ 配偶者と子供が相続人である場合
  配偶者1/2、子供(2人以上のときは全員で)1/2

ロ 配偶者と直系尊属が相続人である場合
  配偶者2/3、直系尊属(2人以上のときは全員で)1/3

ハ 配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合
  配偶者3/4、兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1/4

<引用>:国税庁/相続税/No.4132 相続人の範囲と法定相続分

2019.6.21

相続で養子を離縁した場合、相続対象にはならない?養子と死後離縁について

養子縁組を行ったものの、さまざまな理由で関係を解消(離縁)する場合があります。

その離縁をした後で気がかりになるのは、相続の問題でしょう。

養子を離縁した場合、果たして養親の死後、養子は相続対象とはならないのでしょうか。

この記事では、死後離縁の話も含めて、養子を離縁した後の相続に関する疑問に答えていきます。

 

相続で養子を離縁した場合、養子は相続人のまま?

養子縁組は、縁組後に離縁(養子縁組による親子関係を解消すること)することが可能ですが、離縁後は養方の財産を相続することはできません。

つまり、相続で養子を離縁した場合は、養子は相続人でなくなるのです。

なお、離縁前に開始した相続に関しては、離縁は影響しません。

ちなみに、養親の死後に離縁する死後離縁については、養親の遺産を相続することができます。

 

養子縁組解消(離縁)のメリット

養子縁組を解消(離縁)するメリットは、養子縁組をする上で生じていた親子関係に関する全ての権利義務がなくなることにあります。

具体的な例として、養親は養子を扶養する義務がなくなることが挙げられます。

また、養子は離縁をすることで、養親から将来遺産を受け取ることができなくなりますが、相続によるトラブルなども発生しなくなるので、そのような可能性が考えられる場合にはメリットであるといえるでしょう。

 

養子縁組解消(離縁)のデメリット

養子縁組を解消(離縁)するデメリットとして、親子関係の権利義務がなくなるため、養子は将来受け取るはずであった相続を受ける権利を失うことが、挙げられます。

相続税対策として養子縁組をしているケースもありますが、離縁してしまえばこれらの優遇措置は受けられなくなります。

また、養子は養親から扶養してもらえなくなることも、デメリットの1つです。

 

養子縁組解消(離縁)の条件・要件

養子縁組を解消(離縁)する条件・要件としては、普通養子縁組の場合、養親と養子の双方が離縁に同意する必要があります。

また当事者の一方が離縁を望んでいない場合は、他の一方の生死が3年以上分からない、他の一方から悪意で遺棄された、その他縁組を続けることが難しい重大な事由があるなど、いずれかの理由で離縁することが可能です。

上述した、生死が3年以上分からない、とは音信不通だけでなく、生死不明の状態でなければなりません。

また、他の一方から悪意で遺棄とは、例えば、養親もしくは養子のいずれかが金銭的な援助を必要としているのに、援助するだけの資産があるにも関わらず援助をしない、相手のことを顧みないことをいいます。

特別養子縁組の場合は、基本的に離縁は認められていませんが、重大な事由がある場合に離縁裁判で取り消しが可能です。

特別養子縁組とは、6歳未満の子供に対して特別な保護を目的に、家庭裁判所の許可を得て、養親は夫婦共同で、一方が25歳以上で、もう一方が20歳以上の夫婦と入籍している子供のことをいいます。

この場合、養子は実親やその親族とは親族関係が解消されています。

そのため、養親のいずれかが亡くなった場合や、重い病気になった場合、それから養親による虐待があった場合、実父母が相当の監護ができる、また養子の利益のために特に必要であると認められた場合などに限り、裁判所の決定によって離縁が認められることになっています。

 

相続人であることには変わらないが、死後離縁するケースとは

養子縁組をした後、様々な理由により、養子縁組を解消することもあります。

養子縁組を解消するには、「協議離縁」「裁判離縁」「調停離縁」「審判離縁」の4つの手段がありますが、養親と養子のどちらかが先に死亡したとしても、それだけでは養子縁組は解消されません。

しかし、養親もしくは養子が死亡後、生存している当事者が離縁を望んでいる場合には、家庭裁判所の許可を得て、離縁することが可能です。

これを「死後離縁」と言います。

この死後離縁を行った際に、養親と養子との間の相続関係はどうなるか気になるものですが、既に発生している相続権には全く影響はなく、死後離縁の後も相続人の地位は失いません。

ただし、死後離縁を行うことで死亡した当事者の親族との関係は解消されるので、仮に養親の死後に養子が死後離縁を行うと、養親の親族との間で相続権は発生しません。

死後離縁をするケースとしては、養親が亡くなって養子の方から申し立てる事例が圧倒的に多いです。

養子からみて養親の家族との関係が悪いというケースが良くある例です。…

2019.5.31

いとこが亡くなった場合の相続はどうすればいいの?

年齢を重ねていくと、両親や配偶者に先立たれた話を聞くかもしれません。

今では晩婚化が進み、生涯独身だったり、子供のいない夫婦も増え始めました。

例えば、両親に先立たれてしまった後、配偶者に先立たれたり独身だったりして、親や子供や兄弟姉妹といった法定相続人がいなくなってしまう人も、日本の高齢社会では珍しくなくなるでしょう。

そういった場合、身寄りの無い方が亡くなった後、その方の財産の相続はどうなるのでしょうか。

そこで、この記事では、例えば親兄弟姉妹、配偶者や子供といった身寄りのいない「いとこ」が死亡した場合、そのいとこの相続について解説します。

法定相続人と特別縁故者とは

遺言書がなく、法定相続人がいない場合の相続人はどうなるの?

法定相続人とは、亡くなった方(以下「被相続人」という)の配偶者と子、両親・祖父母といった直系尊属、兄弟姉妹が該当します。

しかし、被相続人に法定相続人がいない場合は、被相続人の財産は、原則として国庫に帰属します。

つまり、法定相続人のいない被相続人の財産は、国のものになってしまうということです。

高齢化社会が進み昨今、孤独死する方も増えてきました。

そのため、遺品の後片付けをするサービスが商売として成立してしまうくらいです。

しかし、身寄りが無いと思われていても、人は意外に誰かと繋がっているもので、探せばその親密さに大小の差こそあれ、特別縁故者がいる可能性があるのです。

このように、身寄りの少ない人が亡くなった場合、懇意にしていた一定の関係の人を民法は「特別縁故者」として、特別に相続人となれると定めています。

「特別縁故者に対する財産分与」として、民法958条の3に、以下のように定められています。

第958条の3

特別縁故者に対する財産分与

1

前条(相続人の存在が明らかにならなかった時の相続について)の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

2

前項の請求は、第958条の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。

特別縁故者とは?

民法第958条で明記されている「特別縁故者」について簡単に解説します・

特別縁故者になるためには、民法の特別縁故者に該当することを家庭裁判所に申し出て、認められなければなりません。

では、どういう人が家庭裁判所に申し出ることができるのでしょう。

民法第958条ではわかりにくいので、解説します。

ここでは亡くなった方を被相続人といいます。

・ 被相続人と生計を同じくする者(別居していても相続維持関係にあるものも含む)

(生計維持関係とは、健康保険の扶養者の条件と同じで収入の制限等もある)

・ 被相続人の介護や療養の世話をしていた者

・ 内縁の妻や親子のように生活していた者等の「特別の縁故があった者」と裁判所が認めた者

このように、概略的ではありますが、該当者が民法に定められていますので、本当に特別縁故者に該当するかどうかは、家庭裁判所の判断によります。

例えば、10年以上愛人と一緒に暮らして、生計維持関係も愛人の方にあったとしても、本妻が現れた場合、法定相続人は、戸籍上だけの本妻なのです。

実生活の関係を重視して、愛人(内縁の妻)が特別縁故者になれるかというと、それは不可能です。

民法では、戸籍上離婚していない以上、「内縁関係は公序良俗に反する」という理由で、法律は認めてくれないからです。

葬儀を行った人が、身内という判断が根付いているとも見れます。

そのため、特別老人ホーム等の葬儀や納骨を行った施設が特別縁故者に認められた判例もあります。…

2019.5.31

独身の人が亡くなった場合の相続はどうなるのか?

独身の人が亡くなった場合、両親に、親がいなければ兄弟姉妹に、亡くなった人の財産は相続されます。

世の中の高齢化と晩婚化で、昨今は、一生独身のままの人も増え始めました。

国勢調査の「生涯未婚率(50歳まで結婚歴が無い人の割合)」の直近のデータ(2015年)によると、男性が23.7%、女性が14.06%、つまり男性の4人に1人、女性は7人に1人が50歳現在独身だということになります。

また、2分で1組の夫婦が離婚してしまう時代でもあります。

法定相続人としての両親や子、兄弟姉妹がいれば問題ないのですが、両親が他界していたり、兄弟姉妹も子もいなかったりした場合の相続は、果たして誰が相続するのでしょうか。

この記事では、このような独身者が亡くなった時の相続についてあらゆるケースを解説します。

法定相続人がいない独身者であっても、相続を行えるケースがありますので、ぜひ大切な人への相続の形を見つけてください。

法定相続人と法定相続分

法定相続人

まず、冒頭で述べた法定相続人について解説しましょう。

法定相続人は、亡くなった人の配偶者、子、直系尊属(両親と祖父母)、兄弟姉妹ですが、この法定相続人の相続順位が以下のように決まっています。

1位:配偶者

1位:子

2位:直系尊属

3位:兄弟姉妹

相続順位が上の相続人が存在する場合は、下位の相続人には相続権がありません。

例えば、相続順位1位の配偶者と子がいない場合のみ、直系尊属や兄弟姉妹にも相続の可能性が生じます。

相続順位が上の直系尊属がいる場合は兄弟姉妹には相続権が無く、両親や祖父母、曾祖父母等、直系尊属が1人もいない場合、初めて兄弟姉妹に相続権が生じるのです。

法定相続分

法定相続人に配偶者と子がいる場合は、亡くなった人(以下「被相続人」という)の財産は、全て配偶者と子に相続されます。

しかし、配偶者に子がいない場合、配偶者は直系尊属や兄弟姉妹の相続順位の上の続柄の人達と、被相続人の財産を分けることになります。

その分割比率は以下の表の通りです。

配偶者

配偶者と相続財産を分ける法定相続人

法定相続分

子がいない配偶者 直系尊属がいる場合 直系尊属 配偶者:直系尊属=2:1
子がいない配偶者 直系尊属がいない場合 兄弟姉妹 配偶者:兄弟姉妹=3:1

「直系尊属」とは、直近の尊属1世代のみで、父親と祖父(2世代)がいた場合、直近の世代の尊属とは、父親のみです。祖父は法定相続人にはなりません。

また、直近の尊属1世代が父だけの時は1人で、父母の2人いた場合は2人で、被相続人の財産の3分の1を相続し、人数割りする事になります。

兄弟姉妹は何人いても、全員で被相続人の財産の4分の1を相続します。

配偶者がいない場合は、相続順位通りに法定相続人となり、被相続人の全財産を人数で均等割りか、協議して各々のそうっ族人が納得した比率で分割する事になります。

独身の人が亡くなった場合の相続

遺言がある場合は、遺言書が故人の遺志として法定相続人よりも優先されます。

しかし、ここでは遺言が無い場合として解説していきます。…

2019.5.31

おばが亡くなった場合の相続は?財産を相続するケースはあるの?

もし、あなたの親戚のおばが亡くなっても、普通、相続問題は発生しません。

しかし、おばが独身で子供もいない場合、おばさんの遺した財産はどうなるのでしょう。

遺言書がある場合はもちろんですが、ある条件が揃った場合、あるいは一定の手続きを踏めば甥や姪に相続権が発生することもあるのです。

そこで、この記事では、甥や姪が、おばさんの財産を相続できる場合について解説します。

おばが亡くなったとき、甥や姪は相続人になる?

おばさんが亡くなった時、おばさんの遺言書に甥や姪の相続についての記載がない場合、甥・姪は、おばさんの法定相続人になる事はありません。

民法が定める法定相続人の優先順位と相続分の規定を紹介しましょう。

優先順位

法定相続人

相続分

1位

配偶者

・法定相続人が被相続人の配偶者のみの場合は全部

・子がいる場合 :2分の1

・子がいない場合:直系尊属と分ける場合は3分の2

:兄弟姉妹と分ける場合は4分の3

1位

・被相続人の配偶者がいない場合は全部

・亡くなった親の配偶者(父か母)がいる場合は2分の1

2位

直系尊属

被相続人の「※直近の直系尊属」全員(1人あるいは2人)で相続分を分ける。

・被相続人に配偶者も子もいない場合は、直近の直系尊属で全部

・子のいない配偶者と分ける場合は直近の直系尊属全員で3分の1

3位

兄弟姉妹

被相続人の兄弟姉妹全員で相続分を均等する。

・被相続人に配偶者・子・直系尊属がいない場合、兄弟姉妹全員で全部

・子のいない配偶者と分ける場合は兄弟姉妹全員で4分の1

上記の「※直近の直系尊属」について追加解説します。

例えば直系尊属が両親と祖父母がいた場合は、直近の尊属は両親です。

この場合は、両親2人で相続分を分けます。

直系尊属が父と祖母がいた場合、直近の世代ですから、父だけが法定相続人としての直系尊属です。

甥や姪がおばの財産を相続するケース

代襲相続の場合

代襲相続とは、本来の相続人が亡くなっている場合、その子供が、本来の相続人に代わって相続する事をいいます。

しかし、この代襲相続は、被相続人の法定相続人となるべく全ての人に該当するわけではありません。

配偶者がいるおばさんが亡くなった時に、甥・姪に相続権は発生しないのです。…

2019.5.31

おじが亡くなった場合の相続は?財産を相続するケースはあるの?

独身で子供もいないおじさんが亡くなった場合でも、両親や兄弟姉妹がいる場合は甥・姪は法定相続人に含まれません。

しかし、遺言書がある場合はもちろんですが、ある条件が揃った場合、あるいは一定の手続きを踏めば甥や姪に相続権が発生することもあるのです。

選択するための知識を備えておけば、トラブルを避けて、大切な人の財産を受け取れる可能性が出てきます。

この記事では、甥や姪がおじさんの財産を相続できる場合について解説します。

おじが亡くなったとき、甥や姪は相続人になる?

遺言が無い場合の相続について、民法では「法定相続人」が定められており、亡くなった人(以下「被相続人」という)の財産を相続できる相続人、その優先順位や相続分を明確に規定しています。

では、民法で定められた「法定相続人」の優先順位とその相続分について解説します。

・ 1位:配偶者

・ 1位:子

・ 2位:直系尊属

・ 3位:兄弟姉妹

相続の優先順位が最も上の者が法定相続人となり、下位の相続人には相続権がないのが一般的です。

ただし、例外があります。

子のない配偶者の場合、「2位:直系尊属」や「3位:兄弟姉妹」にも相続権が生じます。

相続の優先順位が上位である直系尊属が1人でもいたら、優先順位下位の兄弟姉妹には相続権は生じません。

そして、その相続分についても「配偶者と直系尊属」「配偶者と兄弟姉妹」では、以下のように分割割合が異なります。

・ 「配偶者と直系尊属」 配偶者:直系尊属=2:1

・ 「配偶者と兄弟姉妹」 配偶者:兄弟姉妹=3:1

このように、法定相続人は民法で明確に規定されているのです。

ということは、「甥や姪を相続人に加える」という被相続人の遺言が無い場合は、甥や姪は法定相続人になる事はできないといえます。

しかし、民法の相続の規定では遺言書がなくても甥・姪が財産を相続できる「代襲相続」という例外を設けています。

次は、甥・姪がおじさんの財産を相続できるケースについて見て行きましょう。

甥や姪がおじの財産を相続するケース

代襲相続の場合

先述したように、民法の規定では、「代襲相続」というものがあります。

この代襲相続について、先に解説しましょう。

例えば、子供がいなくて独身の被相続人が亡くなって、両親も祖父母も兄弟姉妹もいない場合は、被相続人の財産を相続できる法定相続人がいないことになります。

また、本来の法定相続人になるべき親や兄弟姉妹が既に他界しているケースもあるのです。

代襲相続とは、このような法定相続人がいない、あるいは亡くなっている場合、その「法定相続人の子が代わって相続することができる」という制度です。

しかし、全ての法定相続人に代襲相続が認められているわけではありません。

被相続人との続柄でいうと、「子」と「兄弟姉妹」だけです。

そして、「子」については何世代でも代襲相続ができ、「兄弟姉妹」については1世代のみです。…

2019.4.10

相続人が勾留されている場合、相続手続きはどうなる?

もし、家族の中に被疑者として勾留されている人がいて、会うこともできない場合の相続はどうなるのでしょう。

相続実行の手続きには、遺産分割協議書と相続者全員の戸籍謄本と印鑑証明が必要です。

しかし、勾留中の相続人は協議にまともに参加することは難しくなります。

このような場合、いったい相続の手続きはどうしたら良いのでしょう。

結論から申し上げると、勾留または服役中の相続人がいるケースにおいては、弁護士にご依頼することを強くお勧めします。

この記事では、拘留中の相続人がいる場合の、相続実行の方法について解説します。

相続人が勾留されているとき

勾留とはどういう状態?

勾留とは、取り調べや裁判の判決が下るまでの期間、被疑者の身体を拘束する事をいいます。

勾留の目的は、逮捕されて検察に送られる前の警察の取調中の被疑者が証拠隠しや逃走されないよう、警察署の留置所に拘束したまま取り調べを行うためです。

起訴前の勾留は原則最大20日以内となります。

被疑者が検察に送られた後も、被疑者は拘置所に入れられ、検察の取り調べが始まります。

その後、検察による起訴が決まると、裁判が始まるまで、あるいは裁判中は被疑者は管轄裁判所内の拘置所に移送されます。

この間、証拠隠滅・逃走の可能性がないと裁判官が判断した場合は、保釈されることもあります。

拘留中は、まだ刑が確定されておらず無罪の可能性がある人なのであり、犯罪者でない人の身柄を拘束しているわけですから、最低限の人権保護に配慮がなされています。

なお、刑罰が確定した人が服役している状態のことを「拘留」と言います。

「勾留」と「拘留」も、読み方は「こうりゅう」ですので、間違えないように注意しましょう。

相続人が勾留・服役中の場合

遺産分割協議書の作成にあたって

遺産分割協議書には、全ての相続人本人の住所・氏名を手書きで署名し、実印を押します。

住所・氏名は、ワープロやパソコンの印字でも法的に無効というわけではないのですが、実印の押印だけでは、本人が押印していない等のトラブルが発生する可能性もあるので、住所・氏名も手書きの方がお勧めです。

遺産協議書には、実印を押しますので、印鑑証明も必要になります。

印鑑はどうする?

在監者による拇印

本人が拘留・服役中の場合、印鑑証明が登録されていたとしても、市区町村で印鑑証明を発行する事はできません。

その場合、明確な規定が民法にあるわけではないのですが、下記のように、不動産登記の先例として、拘留・服役中の場合、印鑑証明の代わりに拇印で対応する事が可能となっています。

不動産登記先例 (昭和39年2月27日民事甲第423号)
刑務所在監者が登記義務者として印鑑証明書を提出できない場合には、本人の拇印である旨を刑務所長又は刑務支所長が奥書証明した委任状を添付すべきである。

通常、過去の判例は、先例として法的効力を有します。

刑務所で服役している人が相続人の場合、相続手続きのうち、不動産登記に関する印鑑証明は拇印で対応できるため、まだ犯罪者ではない勾留中の被疑者の立場にある相続人にも同じように対応されるのが一般的です。

金融機関やその他相続手続きの窓口によって、規定が異なる部分もありますが、事情を話せば、一般的に拇印(奥書証明付)対応が可能です。

そのため、全ての相続手続きの窓口で、事情を話して拇印の奥書証明で、印鑑証明に替えることができるかどうかを確認しておきましょう。

奥書証明

「奥書(おくがき)」とは、本文の最後に、著者や持ち主、あるいは書物を読んだ人による手書きの文章を言います。

例えば、昭和39年の判例による先例は、服役者の拇印に本人のものであることを、刑務所長や刑務支部長に「奥書」してもらうことで、その拇印が間違いなく現在服役中の相続人のものであることを証明し、その奥書証明書付の拇印を印鑑証明代わりに利用したのです。

しかし、印鑑証明書代わりの奥書証明付の拇印を用意できても、勾留または服役中の相続人は、遺産相続協議に参加することはできません。

そのような事情を持つ相続人の代理人として、弁護士や司法書士が相続人の意思通りに相続協議に参加し、相続協議と手続きをしてもらうことになります。

つまり、相続協議とその手続きの委任状も必要になります。

特に、刑務所での手続きは、さまざまな検閲を通過する必要があるので、非常に困難で時間がかかります。…

2019.4.8

孫に遺産を相続させるには?|方法と注意点まとめ

全ての人が、配偶者や実子、ご両親や祖父母に全ての財産を相続させたい訳でもないことは私もわかります。

それは悪いことではなく、単に相続税の節税対策のためや、あるいは何らかの事情でお孫さんに財産を相続してもらいたい事情があるのだと思います。

そんな中で、被相続人(亡くなった人)の財産を、孫に直接渡してあげる事は出来ないか、と考える方もいらっしゃるでしょう。

この記事は、お孫さんに遺産を相続させたいけれど、どんな方法があるかのか、トラブルを回避する方法を知りたいという方のために、孫への遺産相続の基礎知識や注意点などを詳しく解説していきます。

孫への相続・基礎知識

お孫さんに、自分の財産を相続させたいと考えておられる方も中にはいらっしゃいます。

財産を孫に相続させるためには、どのような方法があるのかを、基礎から解説していきます。

相続順位について

人が亡くなった際に、その故人の財産を相続するには、法定相続人である必要があります。

この相続人となる人の範囲は民法で定められています。

では、どのような人が相続人となるのでしょうか。

詳しく見ていきましょう。

まず、亡くなった人の配偶者は必ず相続人になります。

そして、配偶者以外の相続人には以下の相続順位があります。

第一順位:直系卑属(子)

第二順位:直系尊属(両親、祖父母)

第三順位:兄弟姉妹

つまり、亡くなった人の遺産を相続できるのは、親族のなかでは、配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹だけです。

被相続人の子供が相続する場合は、孫は原則として法定相続人にはなりません。

孫に遺産を相続する方法

上述の通り、孫は原則として法定相続人になりませんが、代襲相続を行う場合、孫が祖父母の遺産を引き継ぐことのできる相続人になることがあります。

代襲相続が孫に遺産を相続する一つ目の方法です。

代襲相続とは、例えば、父母の遺産を相続するだった子供が、父母よりも先に亡くなってしまった場合に、その子供の子供である「孫」に相続の権利を生じることです。

孫に遺産を相続する二つ目の方法は、「孫に相続させる」ことを記した遺言書を作成することです。

遺言書は、相続人だけでなく、相続させたい資産金額も指定できるので、孫に遺産を相続させたいときには最も推奨される選択です。

三つ目の方法は、孫と養子縁組をすることです。

孫と養子縁組をして親子となったら、戸籍上は「孫」から第一順位の「子供」となるので、直接、祖父母から孫へ財産を相続させることができます。

四つ目の方法は、生前贈与です。

生前贈与なら、自分の望む相手に自分が望むように財産を譲ることができます。

孫に財産を贈る際は、相続をせずに、生前に贈与するという手段もあります。

それぞれの方法を細かく解説していきます。

代襲相続を行う

相続人が既に亡くなっている場合、その相続人の子や孫が代わりに相続することを代襲相続と言います。

上述したように、原則として孫は相続人にはなれませんが、既に相続人が亡くなっている場合、その相続人の子供が代わりに相続権を継承することができます。

ただし、被相続人の子が相続放棄をした場合には、孫が代わりに相続することはできません。

また、法定相続人全員が相続放棄をした場合には、最終的に被相続人の相続財産は国庫に帰属することになりますが、このようなケースであっても代襲相続が生じることはありません。

さらに、代襲相続の注意点として、代襲相続ができる状況を意図的に作り出すことはできないので、条件がそろわない限り、孫への代襲相続は通常できないと考えた方が良いでしょう。

遺言書を残す

孫の父母が生存している場合は、孫に祖父母の遺産を相続する権利はありません。

しかし、父母が死亡している場合に限り、孫に財産を相続させることができます。…

2019.4.6

相続順位の疑問|子など直系がいない場合はどうなる?

「財産を妻に残したいなら、子供がいない夫婦は遺言書を残す必要がある」ことを知っていますか?

子供がいない場合は、法定相続人は配偶者だけでなく、他の親族にも相続の権利が生じるのです。

つまり、例え夫婦で築いた財産であっても、直系の子がいない夫は、死んだらその財産を「法定相続人」である他の親族にも分け与える義務が生じます。

この記事では、子供がいない場合の相続がどうなるのか、相続順位と相続分について詳しく解説します。

もし、配偶者や他の人に望むとおりに財産を相続してほしいのであれば、早々に遺言の準備を始めることを心からお勧めします。

直系とは

相続では「直系」という言葉がよく出てきます。

直系とは、生物学には親や子供の血縁関係をいいます。

しかし、相続の場合は生物学的な意味より、戸籍上の親子関係が重視されます。

DNA鑑定で簡単に血縁関係が99%以上もの確率で、科学的に立証できる時代に、戸籍に拘るのはおかしな話だともいえます。

民法ができた時代はDNA鑑定は無かったので、女性が産んだ子供が自分の子供であるかどうかは、女性が主張して男性が父親である事を認知して戸籍に記すしか証明する手立ては無かったのです。

つまり、相続の手続きは、未だに戸籍の関係に基づいています。

今は、被相続人が亡くなった後に、妊娠している女性が現れる、または他の女性が子供を連れてきた場合、家庭裁判所を通さずにDNA鑑定だけで子供として相続することを認めるケースの方が多いかもしれません。

なぜなら、DNA鑑定があれば100%裁判所は認められるので、裁判のプロセスは全て飛ばしても結果は同じだからです。

しかし、子供の将来のために、戸籍に父親の名前を明記するためには、やはり家庭裁判所に申し立てる手続きが必要となります。

戸籍上の直系とは戸籍上の親子関係で、直系尊属と直系卑属があります。

直系尊属とは、両親、祖父母、曾祖父母等です。

直系卑属とは、子供、孫、曾孫等を指し、養子や婚外子も直系卑属に含まれます。

ですから、生物学上の実の父子であっても、父親が認知していない子供は、戸籍上子供である事が証明されず、「子」としての相続権が無いのです。

反対に、血縁関係が全く無い養子であっても、養子縁組をして戸籍上の子供として認知されていれば、正式に相続できます。

このように、民法で定められた法定相続人の「直系」とは、戸籍上の直系尊属と直系卑属に限られます。

基本的な相続順位

配偶者

配偶者は、戸籍上の「子(養子も含む)」と同様に1位です。

亡くなった方(以下「被相続人」という)に配偶者がいなくて、子供だけの場合は、子供が被相続人の全財産を相続できます。

しかし、「子」がいない配偶者の場合は、次順位の直系尊属や兄弟姉妹と、民法の規定に従って財産を分けなければなりません。

第一順位 直系卑属

被相続人とその配偶者との間の子供、被相続人が認知した婚外子、あるいは養子縁組を結んだ子供が戸籍上の第一順位の直系卑属に該当します。

再婚した連れ子を実の子とする、すなわち養子縁組した場合も直系の「子」として第一順位の直系卑属となるのです。

しかし、被相続人の実の子が亡くなっている場合、その子供がいればその子(被相続人の孫)が代襲相続人として、亡くなった実の子の代わりに被相続人の財産を相続します。

第一順位の直系卑属(代襲相続人も含む)は、同順位の配偶者と財産を半分ずつ分けますが、被相続人の配偶者がいない場合は、全財産を受け継ぐことになります。

第二順位 直系尊属

直系尊属とは、被相続人の戸籍上の両親のことです。

両親のどちらもいない場合は、祖父母や曾祖父母等が第二順位の直系尊属人となります。

ただし、被相続人の配偶者に子供がいない場合のみ、第一順位の配偶者は民法の法定相続分の規定に従って直系尊属と遺産を分けることになります。

しかし、もしも被相続人に子供がいる場合は、相続権がありません。

第三順位 兄弟姉妹