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2019年2月25日 月曜日

相続時の死亡功労金の扱いはどうなる?

死亡功労金は相続において特殊な財産の部類に入るため、一定の知見を得ておくことは今後の相続手続きを円滑に進めるうえで有用です。

本コンテンツでは、在職中であるにもかかわらず、不幸にもご家族が亡くなり、死亡功労金が入った人向けに、相続における死亡功労金の考え方や相続税の計算方法、および死亡功労金の相続事例についてご紹介します。

死亡功労金(死亡退職金)とは

一般的に、死亡功労金とは退職金規定のある企業や役所等に勤務している役職員が在職中に死亡した場合、その死亡により役職員としての地位は失うものの、生前の勤続年数や役職等に応じて勤務先から支給されるものです

役職員の死亡を理由として支給されるものであれば、金銭に限らず物品で支給されたものも死亡功労金として考慮されます。

ただし、退職金規定があっても、役職員が死亡した場合は死亡功労金として支給せず、遺族には弔慰金などの名目で支給する企業や役所等もあります

なお、故意の犯罪行為により死亡功労金の給付対象者を死亡させた遺族、または死亡功労金給付対象者が死亡する前に、その者の死亡によって遺族給付金を受けるべき遺族を故意の犯罪行為により死亡させた者に対しては、死亡功労金は支給されないことが一般的です。

これは続欠格の該当事項を定めた民法第891条を準用していると考えられます。

また、被相続人が生前に自己の故意の犯罪行為ないし重大な過失により、死亡または死亡の原因となった事故を生じさせた場合であれば、死亡功労金は不支給または大幅減額となることが一般的のようです。

続いて、死亡功労金の性質や相続における考え方をみてみましょう。

そもそも退職金とは、雇用者と被用者の労働契約関係が終了した場合に雇用者側から被用者側に支払われる金銭であると広く理解されています。

また、学術的に退職金の性質そのものを考えると雇用契約終了時までの「賃金の後払い説」、雇用者が被用者の雇用期間中の労に報いるための「報奨金説」に分かれますが、いずれにせよ受取人固有の財産とされます。

これに準じ、被用者つまり被相続人(亡くなった人)の死亡を雇用者つまり勤務先との労働契約関係の終了事由とし、それに基づき支払いが発生する死亡功労金については、勤務先は被相続人の遺族の生活保障を目的に支払っていると考えられているため、「相続財産」ではなく「受取人である遺族固有の財産」と捉えます。

このため、遺産分割協議(相続財産についての分割方法・割合について、相続人の間で話し合って決めること)は不要とすることが一般的とされています

なぜなら、遺族に死亡功労金の支給がある以上は、勤務先に死亡功労金を支給する根拠となる退職金規定があるはずです

また、死亡功労金を遺族の誰に対して支払うかについては、勤務先の退職金規定次第ですが、死亡功労金は法定相続人としての第一順位にある配偶者に対して支給され、配偶者がいない場合は子どもや両親など、相続順位に従って支給するとしている企業や役所が多いようです。

このように、退職金規定は受給権者の範囲・順位などが民法と著しく異なる定め方がなされている場合が多く、特に一般企業においては顕著です。

また、一般的に死亡功労金の規程は生計について専ら亡くなった人に依存していた遺族の生活保障を目的として「民法とは別の立場で受給権者を定めたもの」であると解されることから、受給権者である遺族は相続人としてではなく、勤務先における退職金規程の定めにより直接これを自己固有の権利として取得するものとされているからです(最判昭60.1.31)。

死亡功労金の相続税

課税対象となる死亡功労金

死亡功労金に課税されるのは所得税?相続税?

先述のとおり、被相続人の死亡を原因とする退職によって支給される死亡退功労金は、被相続人の生前の功労に対する報酬の性質または未払い賃金の後払いという性質を含むという考え方があります。

これに立脚すれば、遺族にとって死亡功労金は相続財産と考えられます。

しかし、死亡功労金は基本的に遺族の生活保障を目的として被相続人の勤務先から勤務先から支払われる性質ものということが税務上の取り扱いとして一般的な解釈です。

したがって、死亡功労金は相続財産ではなく、「遺族など受取人固有の財産」と位置づけられています

そうであれば、死亡功労金は遺族にとって相続財産ではないので、受け取る遺族に相続税は課税されないと思われがちです。

しかし、受給権者としての遺族が受け取る死亡功労金は税法上「みなし相続財産」と扱われ、原則として所得税ではなく相続税の課税の対象となります。

ただし、相続税の課税対象となる死亡功労金は、死亡を理由とした退職で支給される金額が被相続人の死亡後3年以内に確定したもの、および生前に退職しており退職金額が被相続人の死亡後3年以内に確定したものとされております。

なお、被相続人の死亡後3年を経過してから死亡功労金の支給額が確定した場合は、当該支給額は所得税の課税対象となります

課税対象となる死亡功労金の計算方法

国税庁の各通達や相続税申告書第10表「退職手当金などの明細書」などによりますと、課税対象となる死亡功労金の額は以下の式で計算されます。

その相続人の課税される死亡功労金・退職手当等の金額=相続人が受け取った退職手当金等の金額-(非課税限度額)×{(その相続人が受け取る退職手当金等の金額)÷(すべての相続人が受け取る退職手当金等の合計額)}

なお、勤務先から死亡功労金とは別に支払われることがある弔慰金についても、一定の額を超過した分については、死亡功労金と同様に相続税の課税対象となります

ここでいう一定の額とは、以下の通り被相続人の死亡事由により異なります。

  • 業務中に死亡した場合:被相続人の死亡当時の普通給与の3年分に相当する額
  • 業務外で死亡した場合:被相続人の普通給与の半年分に相当する額

また、勤務先から支給された香典などについては、それが社会通念上妥当と考えられる金額であれば死亡退職金等とは扱われず、相続税も所得税も課税されません

死亡功労金の非課税枠

死亡功労金は、死亡保険金と同様に全額が課税対象となるわけではありません

すべての相続人(相続を放棄した人や欠格・廃除により相続する権利を失った人を除く)が取得した死亡功労金を合計した額が、「500万円×法定相続人の数」で算出される非課税限度額以下であれば、相続税は課税されないのです

ここでいう相続人には、相続を放棄した人、および養子について被相続人に実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人まで含めて計算することが認められています。

なお、死亡功労金の受取人が法定相続人以外の人である場合は、この非課税枠の適用はありません。

死亡功労金の相続税計算方法

相続税の課税対象となる死亡功労金は、以下の方法で計算します。

その相続人が受け取った死亡功労金等の金額-非課税限度額(500万円×法定相続人の数)×その相続人が受け取った死亡功労金金等の合計額÷すべて相続人が受け取った死亡功労金等の合計額

上記で計算された相続税課税対象額に対して以下の税率を乗じ、カッコ内の金額を控除して得られた額が相続税となります。

  • 1,000万円以下:10パーセント(控除額なし)
  • 3,000万円以下:15パーセント(50万円)
  • 5,000万円以下:20パーセント(200万円)
  • 1億円以下:30パーセント(700万円)
  • 2億円以下:40パーセント(1,700万円)
  • 3億円以下:45パーセント(2,700万円)
  • 6億円以下:50パーセント(4,200万円)
  • 6億円超:55パーセント(7,200万円)

死亡功労金の相続例

特別受益に考慮する

特別受益とは、例えば起業のための資金・留学費用・結婚時の祝い金や住宅の贈与など、生前の被相続人から、特定の相続人に為されていた高額の贈与や遺贈(遺言により財産を贈与すること)のことです。

このような贈与や遺贈が、特定の相続人にのみ為されていた場合、これらを特別受益として考慮せず相続人全員の相続割合を決めてしまうと、生前の特別受益を受けていた相続人と受けていなかった相続人の間で不公平が生じることになります。

したがって、相続人間の公平を図るために特別受益分は相続財産の実質的な前受けと考え、特別受益を受けた相続人の分割割合は特別受益相当分について減らすことができるのです。

死亡功労金の受取額についても、特に被相続人の収入により複数の遺族が生計を立てていた場合には、基本的に特別受益が準用されるという考え方があります。

仮に生前の贈与などと同じ考え方に基づき受取人固有の権利として死亡功労金を受け取ったとしても、その金額があまりにも高額であるため結果として相続人間で不公平が生じると考えられる場合は、不公平分相当が特別受益に準じるものとして、相続人の間で遺産分割割合の調整がされることがあります

死亡功労金が遺産分割協議の対象になることも

先述のとおり、被相続人の勤務先の退職金規定に定めた受取人として死亡功労金を受け取った場合は、受取人固有の財産として扱われ遺産分割協議の対象とはなりません。

しかし、勤務先に支給者の定めがなく死亡功労金が支払われた場合は遺産分割協議の対象となる考え方もあります

この場合、遺産分割協議における相続人間の話し合いにより死亡功労金の受取人となった相続人が、死亡功労金を受け取ることとなります。

死亡功労金をめぐる訴訟事例その1

家族は内縁の妻と養子のみの被相続人が在職中が死亡し、勤務先からの死亡功労金をめぐって内縁の妻と養子が争いになりました。

このため勤務先は、死亡功労金を法務局に供託しました。

そして、妻と養子は供託金の還付請求権をめぐって裁判になりました。

第一審および第二審では、内縁の妻の主張を退け死亡功労金の受取であろうと民法の相続の規定に従うべきとの判決が出され、養子が勝訴しました。

しかし、最高裁では第一審および第二審の判決を破棄し、内縁の妻が供託金の還付請求権を有することを確認する判決となりました

この理由は、被相続人の勤務先の退職金規定に、死亡功労金の支給を受ける遺族について「職員の死亡時、その収入により生計を維持していたもの」「第1順位は配偶者であり、これには事実上の婚姻関係と同様の事情にある者も含む」と定義されており、さらに「配偶者があるときは、子に対しては何も支給しない」とされていたためです。

そして、この規定は民法とは異なる立場で勤務先が定めているものであり、これにより受け取る死亡功労金は相続財産ではなく受取人の固有財産であると解することが相当であるためとされています。

当該判決は、死亡功労金の受給者は被相続人の勤務先の規定次第であり、死亡功労金は受取人の固有財産であって相続財産には該当しないという考え方の根拠となっています。

死亡功労金をめぐる訴訟事例その2

妻と前妻の子ども2人を家族とする被相続人が在職中が死亡し、勤務先からの死亡功労金をめぐって妻と前妻の子ども2人が争いになりました。

死亡功労金について、妻の主張はあくまで妻自身に支払われた妻固有の財産、前妻の子ども2人の主張は相続財産として、法定相続人である前妻の子ども2人と分割すべきとするものです。

第一審では前妻の子ども2人の主張が認められましたが、第二審ではこれを破棄し妻の主張を認める判決となり、最高裁でも第二審の判決を支持する結果となりました。

この理由は、被相続人の勤務先に死亡功労金の支給先に関する規定は無いものの、勤務先の理事会が死亡功労金の支払先を被相続人の妻とすることを決議した理由が被相続人に対する内助の功を支えたことに報いるためであることから、相続とは別に妻が受け取ることが妥当としているためです。

死亡功労金は相続財産ではないことを明確に協調した判例です。

相続で困ったことがあればご相談を

以上のように、死亡功労金は他の相続財産とはやや異なった考え方をする財産です。

そして、その受け取りをめぐり家族間で争いになることもあります。

もし死亡功労金の相続税に関して困ったことがあれば税理士に、死亡功労金をめぐってトラブルになった場合は、ぜひ弁護士に相談してみてください。

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監修者太田諭哉
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公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
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