2019年1月30日 水曜日
死亡保険金が相続税の課税対象になる場合
生命保険には、死亡保険金に対する相続税課税の優遇制度や、死亡保険金の受取人指定による遺言の代替機能などの各種メリットがあり、生前の相続対策においては必要不可欠なものと言っても過言ではありません。
しかし、実際に相続が発生して相続人が実際に死亡保険金を受け取ることとなると、多くの人は生命保険に関する知識が少なく、ましてや死亡保険金を受け取ることなど人生でも極めて稀な経験であることから、対応や取扱いについて戸惑ってしまうことが多いものです。
そこで本記事では、相続発生時に死亡保険金を受け取った方・あるいは今後受け取ることが明らかな人向けに、生命保険の死亡保険金に関する基礎から税金の取り扱い、さらに相続における論点についてご説明します。
相続対策として生命保険の活用を検討している方にも、有益な内容となっています。
目次
死亡保険金とは
まず、生命保険の関係者に関する用語の定義を確認しておきましょう。生命保険の契約当事者の関係は、預貯金や投資信託などと比べ複雑です。
- 契約者
保険者に契約上の保険料支払いの義務と保険金請求・受取の権利を有する人、一般的に保険会社と契約する人
- 保険者
契約者と契約上の保険金支払い義務と保険料受取の権利を有する人、一般的に保険会社
- 被保険者
その生死が保険の対象となる人、通常は契約者または一定範囲の親族
- 死亡給付(保険)金受取人
被保険者の死亡時に死亡保険金を受け取る人、通常は被保険者の一定範囲の親族などに限られる
そして死亡保険金とは、契約者と保険者が被保険者の生命に関係する損失を保障することを目的とする生命保険を契約しており、その契約に基づき被保険者が死亡した場合に保険者から受取人に支払われる保険金のことです。
続いて、なぜ生命保険の死亡保険金が遺産として多く残される傾向があるのか、背景を見てみましょう。
生命保険は、被相続人が亡くなった後に残された家族の生活を保障するためのほか、相続対策としてさまざまなメリットを持つ金融商品です。
相続発生時に遺産の一部が生命保険の死亡保険金だったということは、被相続人が残された家族の生活資金以外にも相続時のメリットを享受できるように取り計らったことによります。
そのメリットを具体的に見てみましょう。
まずは、生命保険の死亡保険金へ適用が認められている相続税の非課税枠です。
詳細は後述しますが、被保険者を契約者・法定相続人を受取人とする生命保険の死亡受取金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。
そして、法定相続人が受け取る死亡保険金には「法定相続人の数×500万円」の非課税枠が認められています。
つまり、預貯金で相続するよりも死亡保険金を受け取る形で相続した方が相続税は安くなるのです。
また、生命保険による死亡受取金は受け取った人の固有財産になるため、遺産分割協議(相続財産の分け方を相続人間で話し合って決めること)の対象資産とはなりません。
このため、例えば複数の同順位の相続人がいる中で全相続財産の価値のうち自宅不動産など1つの財産の割合が突出して高いことから、その自宅不動産を相続する人が代償分割(相続人の間で遺産分割割合に不公平が生じた場合、多くの遺産を受ける人がそうでない人に不公平分について現金などを渡すこと)分の原資とすることができるようにするためなど、何らかの事情で被相続人が特定の相続人に現金を多く残す必要があると考えた場合、その特定の相続人を死亡保険金の受取人にしておくことで、その特定の相続人は他の相続人の意見に左右されず実質的に現金を相続できるのです。
さらに、一般的に生命保険の死亡保険金は、契約者つまり被相続人が亡くなった後1週間から2週間程度で受け取ることが可能です。
これに対して預貯金の場合、預金口座などの名義人が死亡した事実を金融機関が知ると、金融機関は一旦その口座を凍結します。
その後、遺産分割協議による相続人の確定、戸籍謄本など各種書類の提出など金融機関所定の手続きが終わらない限り、その口座から預金を引き出すことは原則できなくなるのです。そして、この手続きには数ヶ月以上要する場合もあります。
生命保険が持つこの換金性の高さと利便性により、被相続人が葬儀費用や相続人の生活費などに不安があると感じていた場合は、預貯金よりも生命保険による死亡保険金で受け取る形にしておく対策を取っていることがあるのです。
死亡保険金にかかる税金3種類
不慮の事故や病気など何らかの事情により被保険者が死亡し保険金の受取人が死亡保険金を受け取る場合、保険金受取人が誰であるかによって相続税、所得税、贈与税のいずれかの課税の対象となります。
下の表をご覧ください。
保険料の負担者と保険金受取人が同じである場合には所得税が課税され、被保険者と保険料の負担者が同じ場合には相続税が課税されてしまいます。
被保険者と保険料の負担者、保険金受取人が全て異なる場合は贈与税が課税されます。
被保険者 | 保険料の負担者 | 保険金受取人 | 税金の種類 |
A | B | B | 所得税 |
A | A | B | 相続税 |
A | B | C | 贈与税 |
[平成30年4月1日現在法令等 国税庁ホームページ記載表引用https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1750.htm]
契約関係によって課税される種類が異なるのでそれぞれ分けて詳しくご説明します。
相続税
死亡保険金には「500万円×法定相続人の人数」を上限として相続税の非課税枠があり、受取人が相続人である場合、相続人が受け取った死亡保険金の合計金額が非課税枠内であれば相続税はかかりません。
法定相続人1人につき500万円の非課税枠があるということは、例えば夫が亡くなり妻と子供2人が残された場合、法定相続人は3人のため500万円×3人=1500万円(非課税枠)までは掛けていた死亡保険金から差し引くことができます。
3,000万円の死亡保険金をかけていたとすると3,000万円-1,500万円=1,500万円となるので、相続財産に加算される金額は非課税枠を差し引いた1,500万円になります。
このとき計算上の法定相続人には相続を放棄した者の人数も含まれることになるので注意が必要です。
なお相続税自体にも基礎控除があり、死亡保険金も含めた全ての相続財産から基礎控除額を引いた金額が相続税の課税対象となります。
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
上記を踏まえると相続税=全財産-相続税基礎控除額-生命保険非課税枠という計算になります。
また死亡保険金の受取人が相続人以外である場合にはこの非課税枠はありませんので、法定相続人に妻や子がいる場合に親や孫が受取人になると非課税枠は適応されません。
所得税
保険料の負担者と保険金の受取人が同じ場合に死亡保険金に所得税が課税されます。
被保険者が夫、保険料の負担者が妻、保険金受取人が妻の場合を例にしてみましょう。
この場合は妻が自分でお金を出して自分で受け取っているので所得税がかかるのです。
また、所得税には受取方法により一時所得と雑所得が課税されます。
- 死亡保険金を一時金で受領した場合(一時所得)
支払われた死亡保険金から今までの払込保険料を差し引き、さらに50万円(特別控除額)を引いた額の1/2の金額が一時所得となります。
一時所得=(受け取った保険金-掛金-特別控除額50万円)×1/2
- 死亡保険金を年金として受領した場合(雑所得)
死亡保険金を一括で受け取らずに年金形式で受け取る場合は、どの所得にも分類できない雑所得として扱われます。
雑所得=1年間に受け取った年金額-払込保険料
この額が25万円以上の場合、この金額の10.21%が雑所得として源泉徴収されます。
上記2つの受取方法は、生活費として毎月コツコツもらう方が良いのか、一括で大きい支払いを受ける方が良いのかという観点で選択する場合が多いようです。
贈与税
死亡保険金の被保険者と保険料の負担者、保険金の受取人が全て異なる場合に贈与税が課税されます。
例えば夫が被保険者、妻が保険料の負担者で、妻の万が一に備えて子供を死亡保険金の受取人に指定して契約した場合などが当てはまります。
夫が亡くなり、妻は生きている場合、保険料の負担者である妻のお金が子供に渡ることになるため生前贈与とみなされ、贈与税が課税されます。
贈与税にも基礎控除額(110万円)があります。
また、贈与税の税率には「一般贈与財産用(一般税率)」と「特例贈与財産用(特例税率)」の2種類があります。
特例税率とは祖父母や父母からその年の1月1日において20歳以上の者(孫や子)への贈与の計算に用いられ、一般税率は特例以外の場合で兄弟間や夫婦間などの贈与に用いられます。
贈与税の計算方式は下記のとおりです。
贈与税=(死亡保険金-基礎控除額110万円)×贈与税の特例税率-(課税価格に応じた控除額)
一般贈与財産用(一般税率)[国税庁HP記載表引用https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm]
基礎控除後の課税価格 | 200万円
以下 |
300万円
以下 |
400万円
以下 |
600万円
以下 |
1,000万円
以下 |
1,500万円
以下 |
3,000万円
以下 |
3,000万円
超 |
税 率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
控除額 | ‐ | 10万円 | 25万円 | 65万円 | 125万円 | 175万円 | 250万円 | 400万円 |
特例贈与財産用(特例税率)
基礎控除後の課税価格 | 200万円
以下 |
400万円
以下 |
600万円
以下 |
1,000万円
以下 |
1,500万円
以下 |
3,000万円
以下 |
4,500万円
以下 |
4,500万円
超 |
税 率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
控除額 | ‐ | 10万円 | 30万円 | 90万円 | 190万円 | 265万円 | 415万円 | 640万円 |
死亡保険金の非課税枠
死亡保険金に限らず、相続財産には基礎控除額「3,000万円+600万円×法定相続人の数」が適用されます。
相続税はこの基礎控除額を超える場合に累進課税により発生するのです。
また、被相続人の配偶者であれば相続財産額1億6千万円または法定相続分相当額を超えない限り、相続税が課税されることはありません。
これとは別に、生命保険の死亡保険金については特有の非課税枠が認められています。
そして、死亡保険金の非課税枠は、契約者・被保険者・死亡保険金受取人の属性と同一性の有無や受け取り方法により大きく変わります。
相続税法第12条の規定により、死亡保険金受取人が法定相続人であれば当該受取額に対して「500万円×法定相続人数」の非課税枠が適用されます。
ただし、死亡保険金受取人が法定相続人以外の人の場合は、この非課税枠の適用はありません。
また、契約者と死亡保険金受取人が同一人物・その配偶者などが被保険者の契約内容で被保険者が死亡した場合、死亡保険金に対する課税区分は所得税(一時所得)となり、課税対象額は「(死亡保険金-既払込保険料-特別控除50万円)×50パーセント」に減額されます。
契約者・被保険者・死亡保険金受取人がそれぞれ別人物の場合、死亡保険金に対する課税区分は贈与税となり、課税対象額は死亡保険金から基礎控除110万円を差し引いた額となります。
なお、遺族年金特約(被保険者死亡時に、死亡保険金額を一時金で支払うのではなく年金原資として、死亡保険金受取人に年金を支払うという特約)により年金形式で死亡保険金を受け取る場合は、相続税評価額および受取額の税務上の取扱いがやや特殊になります。
まず、相続人が年金を受け取る権利は相続税法第24条により「年金受給権」として評価され、受取人が相続人であれば「500万円×法定相続人数」の非課税枠が適用されます。
受け取る年金は雑所得と扱われ、「受取年金額+年金開始後の配当金(増加年金)-必要経費(受取年金額×(正味払込保険料/年金受取総額又は見込額))」で求められた金額が、その他の所得と通算して総合課税されます。
この他、契約者と被保険者が別人で契約者の死亡により保険契約を相続する場合は、相続手続の一環として契約者の名義変更を行います。
この場合、相続税評価額は「生命保険契約に関する権利」として評価された金額、具体的には相続した時点の時価となります。
相続税の課税対象になる具体例
契約者と被保険者が同一人物である場合、生命保険契約の死亡保険金は相続税の課税対象となります。
これを少し深堀りしてみましょう。
被相続人が自己を被保険者として生命保険契約を締結していた場合、死亡保険金が相続財産となるか否かは、死亡保険金受取人としてどのような指定がなされているかがポイントになります。
保険金受取人が被相続人である「自己保険」の場合、保険金請求権はいったん本来の保険金受取人である被相続人に帰属します。
そして、相続手続きを経て被相続人の財産を承継する相続人に帰属すると考えられるため、相続財産であるとするのが通説の見解です。
また、被相続人に有効な遺言がある場合では、相続財産は遺言により処分される対象となるため、保険金受取人は法定相続人ではなく遺言により指定された受遺者となります。
一方で、受取人を特定せず「相続人」と指定されていた場合は特段の事情がない限り、「他人のための保険契約」と解されるとして、当該生命保険の死亡保険金は相続財産とはならず相続人たるべき人の固有の財産または固有の権利(保険金請求権)になるとされています(最三小判昭40.2.2、最二小判昭48.6.29)。
この場合、相続人たるべき人が取得する保険金請求権は、法定相続分の割合になると考えられています(最二小判平6.7.18)。
また、受取人に被相続人以外の特定の人が指定されていた場合についても、当該生命保険金は相続財産とはならずに当該特定者の固有財産となります。
ところで、相続財産とならない死亡保険金についても、特別受益と遺留分減殺請求の対象になるかについては十分に考慮する必要があります。
相続人が留学費用や起業費用、住宅の購入資金など被相続人から多大な金銭的支援を受けており、それが他の相続人と比較すると著しく不公平と合理的に考えられる場合に、その不公平分を「特別受益」といいます。
特別受益は相続人が本来相続する分の前取りと考え、他の相続人との公平性を保つ関係から、遺産分割の際に本来の相続分から特別受益相当分を控除することになります。
先述の通り、相続人が受け取る生命保険の死亡保険金は相続財産ではなく受取人固有の財産または権利であり、民法903条1項に規定する遺贈または贈与に関する財産ではないことは判例でも確認できます。
したがって、他の判例でも生命保険の死亡保険金は民法1031条に規定する遺留分減殺請求の対象にはならないとされています(最一小判平14.11.5.)
しかし、死亡保険金の特別受益の該当適否については、最高裁判決において「相続を契機とする各相続人の遺産取得で、個々の場合において著しい不公平があると認められる特段の事情がある場合、特別受益に準じて持戻しの対象となる」との判決が出ています(最二小判平16.10.29)。
つまり、相続人間で著しい不公平がある場合は、本来相続財産ではない生命保険の死亡保険金であっても、民法903条の類推適用によって分割前の相続財産に加えることが認められる場合があり得るのです。
この判決では、「特段の事情」の定義として相続財産額・死亡保険金の額・被相続人との同居の有無・被相続人との介護等に関する貢献の度合い(寄与分等)・各相続人の生活実態等を挙げています。
しかし、死亡保険金の額が財産額全体に占める割合、死亡保険金の額の絶対額等がどの程度であれば「特別の事情」相当となるのかについては具体的に判示されていません。
したがって、死亡保険金にも特別受益が適用されるか否かについては、結局のところ相続人間の分割協議等や、今後の訴訟における裁判所の判断に委ねざるを得ないというのが現状なのです。
確定申告やその他の手続き
被保険者の死亡である死亡保険金受取事由が発生したら、まず保険者である保険会社に連絡を入れ、今後の死亡保険金の受け取り方法などについて説明を受けてください。
その際、生命保険契約の種類によっては受け取り方法について一時金・年金形式・名義変更して契約存続のいずれかを選択することになります。
必要書類としては、大体のケースにおいて保険会社からは以下についての提出を要請されます(保険会社や被保険者の死亡事由などによっては、この限りではありません)。
- 生命保険証券
- 死亡保険金の支払い請求書
- 被保険者の住民票
- 受取人の戸籍抄本
- 受取人の印鑑証明
- 受取人の本人確認書類(運転免許証など)
- 医師の死亡診断書または死体検案書
多くの生命保険契約では、死亡保険金請求権について「支払事由が発生した日の翌日から起算して3年を経過したときは時効により消滅する」などと約款に規定されています。
他の相続手続きで忙殺されてしまうこともあるかと思いますが、保険金の請求漏れにはご注意ください。
死亡保険金を受け取ったら、納税手続きに入ります。
契約者と被保険者が同一人物かつ被相続人・受取人が相続人の場合、死亡保険金は相続税の課税対象となりますので、相続発生日の翌日から10ヶ月以内に相続税を申告する必要があります。
また、契約者と受取人が同一人物で被保険者が配偶者等だった場合の死亡保険金は所得税の課税対象となり、契約者・被保険者・受取人がそれぞれ別人物の場合の死亡保険金は贈与税の課税対象となります。
死亡保険金が所得税または贈与税の課税対象となった場合は、確定申告が必要となります。確定申告書の提出期限は、受け取った死亡保険金が所得税の課税対象であれば受け取った年の翌年2月16日から3月15日まで、贈与税の課税対象であれば受け取った年の翌年2月1日から3月15日までとされています。
事前にできる死亡保険金の相続税対策
被保険者が亡くなると受取人に死亡保険金が支給されるため、残された家族の生活を保障する目的で生命保険に加入する方は多いと思います。
死亡保険金を受け取ると受取人は相続税、所得税、贈与税のいずれかが課せられるため、事前に相続税対策を行っておけば相続人にきちんと財産を残すことができます。
事前にできる死亡保険金の相続税対策をいくつかご紹介致します。
- 生命保険は終身保険を契約したほうが良い
生命保険の種類には定期保険と終身保険があります。定期保険は保障期間が決められているため保険契約が満了してから被保険者が亡くなった場合、保険契約が終了しているため死亡保険金を受け取ることができません。
終身保険では被保険者が亡くなったあとに受取人がお金をもらうことができ、相続財産が非課税枠の範囲内であれば相続税を支払う必要がなく節税することができます。
- 死亡保険金の受取人を配偶者以外にしておく
相続税には配偶者控除があるため特例を利用した場合、最大1億6千万円までは相続税が非課税となります。
そのためほとんどの場合配偶者が相続税を支払うことはないので相続税の納税資金として生命保険を活用する場合は死亡保険金の受取人を配偶者以外にしておく必要があります。
- 生前贈与を活用
被保険者の財産を生前に贈与することで相続財産を減らすことができます。
この場合贈与税がかかりますが、贈与税には基礎控除額(110万円以下)があります。その非課税枠内で生前贈与した現金を使って生命保険を活用することができます。
例えば非課税枠内で贈与される現金をもとに父親が被保険者、息子が保険契約者として生命保険に加入します。
死亡保険金の受取人を息子とすると父親が亡くなった場合、契約者と受取人が息子のため保死亡険金は一時所得の扱いとなります。
契約者が父親で息子が受取人だった場合、保険金には相続税がかかります。
そして非課税枠(500万円×法定相続人の人数)を上回った場合は相続税の課税の対象となります。
つまり、契約者と受取人が息子である方が保険金を相続財産としてではなく一時所得として受け取れるため、相続税の節税対策として効果的です。
- 養子縁組を活用
生命保険には相続税の非課税枠(500万円×法定相続人の数)があります。
養子も実子と同じ扱いで法定相続人となるため、養子縁組を活用して法定相続人の数を増やせば相続税の非課税枠を増やすことができます。
ただし、養子の数には制限があるため注意が必要となります。
死亡保険金による相続税の節税を検討している方は、契約者や被保険者、受取人が誰なのかを契約前にきちんと確認しておくことが大切です。
契約内容によって課税される税金の種類が変わるため、自分がどのケースに当てはまるのかを知っておかないと返って損をする可能性があります。
まとめ
以上の通り、死亡保険金の税務上の取り扱いについては3パターンとなります。
相続が発生して死亡保険金を受け取ることになったら、まず当該保険金がどのような契約形態・当事者関係に基づき締結されているものかをよく確認し、適切に納税手続きを行ってください。
また、事情次第では特別受益が認められることも有り得ることにご留意ください。