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金融資産を相続する前に気を付けたいこと5つ

金融資産が相続財産に占めるウエイトは、相対的に見ると高いと考えられます

金融資産は、相続人にとって当座の生活費や相続税納税資金としても非常に大事な相続財産です。

また、金融資産は客観性が高く各相続人の利害関係が絡みやすい資産であるため、その相続手続きの過程ではトラブルが生じやすいものです。

一方で、金融資産は生前の相続税対策に活用しやすい資産ともいえます

本コンテンツでは、金融資産の相続手続きに際して気を付けておきたい基本的な5つのポイントを中心にご紹介します。

相続とは

相続人の決定

相続人には、大別して2つの種類があります。

1つめは被相続人の配偶者、すなわち「配偶者相続人」です。

ここでいう配偶者とは、役所に婚姻届を提出して民法上の正式な婚姻関係にある異性と定義されています。

そのような法的な婚姻関係が無いにもかかわらず、同居して生計を一にしているなど事実婚の状態にある女性を内縁の妻、あるいは単純な恋愛関係にある異性の愛人は相続人としての配偶者とは認められません。

2つめが被相続人の血縁者、すなわち「血族相続人」です。

被相続人の子ども、父母・祖父母などの直系尊属、あるいは兄弟姉妹が血縁者として相続人に該当します。また、被相続人の子どもや兄弟姉妹が被相続人の相続発生前に死亡していた場合は、孫や甥・姪が代襲者として相続できます。この他、未出生の胎児や父親が認知した非嫡出子も相続人になることができます。

上記に該当せず被相続人と血縁関係の無い特定の第三者である場合でも、被相続人が遺言で特定の人に財産を譲る旨の意思表示をしていた場合、その人は「受遺者」として相続人になります。

また、「被相続人が死亡したら、その遺産を特定の人に無償で譲る」旨の死因贈与契約を契約していた場合、その人は「受遺者」として相続人になります。

このように、広い相続人の範囲から、後述する遺産分割協議で実際の相続人を決定します。

相続分の決定

被相続人が亡くなると、それと同時に被相続人の財産(遺産)について相続が発生します。

民法第898条によりますと、相続発生時の遺産は「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する」とあります。

しかし、相続発生による相続人間の遺産の共有関係は、基本的に遺産分割によって最終的には消滅する一時的なものです。

相続人が1名であれば遺産は一括して当該相続人が包括承継するだけですが、相続人が複数人いる場合は全ての遺産が相続人全員が共同で相続することになります。

土地や建物など不動産だけではなく預貯金や有価証券までも当然に相続人全員の共有となりますので、このような状態では、権利関係の面からどの相続人も遺産を有効に活用することが難しくなります

したがって、共有状態にある遺産は例えば自宅不動産は配偶者・預貯金は相続人全員で均等に分けるなどというように、相続人間の話し合いによりそれぞれの相続割合を決めてその割合に応じて分割し、それぞれの相続人に帰属させるようにしなければなりません。

これが「遺産分割」であり、遺産分割によって遺産の共有関係は消滅します。

遺産分割は民法第906条「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」とあるとおり、遺産の種類や各相続人の状況などを考慮したうえで行われます。

しかし、遺産分割は民法第907条第1項「共同相続人は、次条の規定(被相続人による遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる」にあるように、被相続人が遺言で指定した方法以外の遺産分割協議そのものを禁止している場合、あるいは遺言の執行者が遺言の内容と異なる遺産分割に反対した場合以外は、原則的に相続人間の協議が行われ相続人全員の合意によって決定されるのです。

これが「遺産分割協議」です。

相続人間の協議分割の場合、すなわち遺産分割協議の結果として民法の原則である法定相続割合と異なる分割割合あるいは被相続人の遺言とは異なる分割割合になったとしても、それが各相続人の自由な意思に基づくものである限り有効です。…

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2019.2.25

死亡一時金と相続の関係とは??

職業が自営業やフリーランスなどで、企業に雇用されていなくて厚生年金に加入していない人は、国民年金1号被保険者ですよね。

厚生年金加入期間がなく、ずっと国民年金1号被保険者だった人は、老後の生活は老齢基礎年金のみですから、老後の生活を支えるために蓄えが必要です。

遺族年金も遺族基礎年金だけで、厚生年金のように寡婦年金や中高齢寡婦加算もなく、結婚もしておらず、子供もいない場合は、同居している両親を養っていても、遺族年金が全くもらえないため、国民年金は掛け捨てが多いと思っていませんか?

そもそも、「子供がいても、亡くなった時に子供が大きくなって遺族年金対象者ではなかったら、子供のいない妻や夫と同じで、遺族基礎年金はもらえないのではないか」と思う人もいるでしょう。

しかし、国民年金は掛け捨て保険ではありません。

厚生年金ほど手厚くはないですが、遺族厚生年金の恩恵にあずかれない人には、少しでも厚生年金との均衡を保つ救済措置として死亡一時金があります。

死亡一時金も遺族年金の一種なのです

そこで、この記事では死亡一時金について解説します。

遺族年金同様、受給権のある遺族が自分で申請しないともらえない一時金ですから知っておくと便利です。

遺族年金とは

遺族年金には、国民年金保険料を財源とした遺族基礎年金と厚生年金を財源とした遺族厚生年金があります。

遺族基礎年金

遺族基礎年金とは?

遺族基礎年金とは、国民年金加入者で、65歳になっていなかったり、65歳を過ぎても受給を延長している老齢基礎年金受給資格者、老齢基礎年金受給者が亡くなった時に、その亡くなった方が生計を維持していた配偶者や子供族で、一定の条件を満たした人が受給できる年金型の社会保守制度です。

国民年金1号被保険者が亡くなった場合に限り、寡婦年金や死亡一時金の制度もあります。

遺族基礎年金の条件

18歳の誕生日の年度末(3月31日)を経過していない子供のいる配偶者は、配偶者自身の遺族基礎年金と子供の人数分をまとめて受け取ることができます。

しかし、もし子供が1級・2級という重い障害を患っていて、障害年金を受給している場合は、その子供が自分の障害年金を受給できるようになるまでの20歳の誕生日の前日まで、子供の遺族基礎年金は遺族である母親、あるいは父親が子供に代って受給します。

しかし、子供の分を受給している親が再婚した場合は、親の遺族基礎年金の支給は止まりますが、子供の遺族基礎年金は、子供が受給資格の条件の年齢要件に該当するその日まで子供本人が受給することになります。

配偶者や子供は、「生計を維持されていた」という生計維持要件もあり、自分の力で働いていて、亡き配偶者の遺族年金がなくても生活ができてしまう人は、受給できません。

この生計維持要件は、生前に同居していたことと、前年度の収入が850万円未満、あるいは所得が655万5千円未満(見込み所得含む)であることです

ただし別居していた場合でも、亡くなった被保険者が仕送りをしていたり、亡くなった被保険者の健康保険の被扶養被保険者であった子供に限り、定められた収入や所得を超えないという条件で、生計維持要件を満たした配偶者や子供が含まれます。

妻が夫と離婚を前提に子供を連れて別居していても、夫が妻子のために養育費などを払っていて、妻や子供の収入が生活維持要件の範囲内である場合、夫婦仲に関係なく、先述した遺族基礎年金受給者の要件に該当する妻子であれば、遺族基礎年金を受給できます。

遺族厚生年金

遺族厚生年金とは?

遺族厚生年金は、厚生年金加入者・老齢厚生年金の受給資格を満たしているが、まだ受給をしていない人や、老齢厚生年金受給者が亡くなったときに、その亡くなった方が生計を維持していた、配偶者と子供が受給できます。

この遺族厚生年金は、遺族基礎年金に比べて受給者の該当範囲が広く、配偶者や子供がいない場合でも、父母・孫・祖父母の順位で遺された生計を維持されていた遺族が受給できる年金型の社会保障制度です。

先述した通り、国民保険が財源の遺族基礎年金よりも、手厚い保障となっています。

遺族年金の1階部分が遺族基礎年金だとしたら、2階部分が遺族厚生年金です。…

2019.2.25

相続時にもらえる遺族年金とは

亡くなった人が国民年金や厚生年金等に加入している場合、あるいは受給権を満たして受給していた場合、一定の条件を満たした遺族が手続きをすることで、遺族年金を受け取ることができます。

ただし、遺族年金を受給するには、受給権のある遺族が、自ら手続きを行う必要があります。

つまり、自分が遺族年金をもらえるという知識を持っていなければ、受け取ることができない年金なのです。

縁起でもないことですが、もしもの時に遺族年金をもらうために、この記事では遺族年金を受け取るために必要な知識について紹介します。

年金制度は戦後に作られた制度で、制度施行よりも前に生まれた人への救済措置がとられていたり、時代の変化に則して少しずつ法改正が行われてきました。

そのため、旧制度の既得権がある場合や、法改正の段階的処置に該当する人もいます。

この記事では、現法律に則して遺族年金の原則論を紹介していきますので、亡くなった方の年齢・事情・納付状況等によっては、該当する遺族年金の条件や金額等が現状と異なる場合もありますので、ぜひ一度確認してみてください。

遺族年金とは

国民年金・厚生年金とは、国民の老後の生活を守るための社会保障制度です。

そして、この社会保障制度は、保険料を支払ってきた被保険者本人が、原則65歳以上になったときに、年金として支給され始める、老後の生活資金の糧となるものです。

しかし、この制度が作られたのは昭和36年です。

当時のモデル家庭は、ちびまる子ちゃんのまるちゃん一家のような家庭が一般的でした。

つまり、”夫婦と子供2人以上、夫が一家の大黒柱で妻は専業主婦で家事の一切を担って夫を支え、家庭を守り、子育てをする。その家族の生活を夫が経済的に支える。そして、核家族ではなく両親や祖父母が同居をする数世帯家族が一般的”であり、そういった家庭をモデルにして、考えられた制度です。

ですから、一家の大黒柱にもしものことがあった場合に妻子の生活に寄り添った制度ともいえます。

しかし、昨今の核家族化や晩婚・少子化、専業主夫も増えた男女平等の社会情勢を鑑みて、遺族年金の原則的な受給要件の「子のある妻」が、妻だけでなく夫も含むようになり、条文も「子のある配偶者」に変化しました。

さらに、晩婚化の影響を鑑みて、従来の寡婦年金との公平性から、30歳未満の子供のいない妻や55歳以上の子供のいない夫にも遺族年金の一時金の恩恵を受けられる可能性を見出しました。

年金受給の年齢に満たない人が亡くなった場合には、遺族年金の遺族の受給要件に、亡くなった人の保険料の納付要件も追加されます

遺族年金の種類

老後のための年金といえば、国民年金と厚生年金ですよね。

遺族年金も、国民年金から支給される遺族基礎年金と、厚生年金から支給される遺族厚生年金があります。

順次解説していきます。

遺族基礎年金

遺族基礎年金では、一定の遺族に遺族基礎年金が支給されます。

まずは、遺族基礎年金受給資格を持つ人を解説します。

受給資格を持つ人

受給資格者は、子供と配偶者です。

この子供と配偶者にもそれぞれ受給要件があります。…

2019.1.30

預金を相続するために何をするべき?手続きの手順と必要なもの

相続人を経験した多くの人に共通する相続手続きの感想は、「非常に手間がかかり大変だった」というものです。

特に何も予備知識や準備が無い中で実際に相続が始まると、その手続きの煩雑さから多くの人が忙殺され、相続手続きを断念したくなってしまう人すらいるのです。

少しでもこのような状態を回避するためには、やはり相続が始まる以前に少しでも相続手続きのことを「予習」しておくことが必要といえます。

そこで本コンテンツでは、相続人にとって当座の生活費や相続税納税資金として大事な預貯金の相続について、ご説明します。

相続の基本知識

被相続人が持つ財産を誰かが受け継ぐことを相続といいます。

被相続人の財産と一口で言っても、預金や不動産などのほかに、借金などの負の債権も含まれます。

被相続人の財産の権利・義務等は、被相続人と関係のある法定相続人に移転されます。

法定相続人ではない人にも、遺言書などで指定すれば、財産を受け継がせることができます(遺贈と呼びます)。

相続とは?

前述のとおり、被相続人が持つ財産を誰かが受け継ぐことを相続といいます。

遺産相続の分配割合は、民法によって定められた法定相続人と、その法定相続分が定められています。

法で定められた割合とは違った割合で遺産を分けたい場合には遺言書などが必要です。

法定相続人は、遺言書に法定相続人以外が指定されていても、遺留分という最低限得られる財産が保障されています。

相続税とは?

相続税は、被相続人の遺産を法定相続人が相続した場合や、法定相続人以外が遺言で指定され遺産を受け継いだ人の場合(遺贈という)でも、相続財産額が高額だとかかる税金です。

相続財産が高額であっても、法定相続人の人数に応じた基礎控除額が決められていますので、控除額を超えなければ相続税申告や納税の必要もありません。

相続税の課税対象となる財産は、現金や預金(貯金)、株式などの金融財産をはじめ、不動産、自動車や貴金属など財産として分かりやすいものから、著作権や商標権などのほか、売掛金や損害賠償請求権などの債権者としての権利など、保有している権利も含みます。

相続税の課税対象とならない財産は、墓地や墓石、仏具(投資対象とならないもの)などのほか、上限はありますが、死亡保険金や死亡退職金などです。

預貯金は典型的な相続財産

概要

被相続人(亡くなられた人)名義の預貯金は他の財産と同様に遺産分割の対象であり、相続税の課税対象となります。

従来、預貯金は遺産分割の対象外というのが説も根強かったのですが、平成28年12月の最高裁判決により、遺産分割の対象であるということが確認されました。

そして、預貯金は当然に相続税の課税対象となります。

これは被相続人が子や孫など相続人の名義で作成していた、いわゆる「名義預金」についても同様です。

相続税課税上の評価は預貯金の額面とされ、土地や建物、生命保険の死亡保険金などとは異なり、評価額に関する減額評価の特例はありません。

もっとも、他の遺産を含めた相続財産額が、「3,000万円+法定相続人の人数×600万円」の基礎控除額、これに加えて被相続人の配偶者であれば1億6,000万円の配偶者控除額の範囲に収まる場合は、相続税は課税されません

なお、基礎控除額や配偶者控除額の範囲に収まらなかった相続税額は以下のように計算されます。

相続財産額に税率を乗じ、カッコ内の金額を控除して得られた額が相続税となります。

  • 1,000万円以下:10パーセント(控除額なし)
  • 3,000万円以下:15パーセント(50万円)
  • 5,000万円以下:20パーセント(200万円)
  • 1億円以下:30パーセント(700万円)
  • 2億円以下:40パーセント(1,700万円)
  • 3億円以下:45パーセント(2,700万円)
2019.1.30

銀行で預金の相続をするために知っておきたい基礎知識

預貯金の相続については、仮に遺産分割協議(相続財産についての分割方法・割合について、相続人の間で話し合って決めること)が決了済みだったとしても銀行など金融機関に対して進めなければならない手続きであるため、非常に煩雑です。

しかし、銀行預金は相続人の今後の生活や相続税の納税資金としても必要な場合があり、面倒だからといって後回しにすべきものではありません。

本コンテンツでは、銀行預金の相続手続きをするために最低限知っておいて頂きたい基礎知識についてご紹介いたします。

銀行預金の相続で掛かる相続税

まず相続についておさらい(相続の基本知識~相続税とは)

相続税は、被相続人の遺産を法定相続人が相続した場合や、法定相続人以外でも遺言で遺産を受け継いだ場合(遺贈ともいいます)、相続財産額が大きいとかかる税金です。

 

相続をしたすべての人が対象となる税金ではなく、相続人の人数に応じた基礎控除額が決められていますので、その金額を超えないようであれば相続税の申告は必要ありませんし、もちろん納税の必要もありません。

 

相続税の課税対象となる財産は、現金や銀行預金(貯金)、株式などの金融財産をはじめ、土地や建物などの不動産、自動車や貴金属、会員権など財産として分かりやすいものから、著作権や商標権、特許権などのほか、売掛金や損害賠償請求権などの債権者としての権利など、保有している権利も含みます。

銀行預金と相続税の関係

相続税法上、銀行預金は当然に相続税の課税対象となります。

また、被相続人名義の銀行預金は他の財産と同様に遺産分割の対象であり、相続税の課税対象となります。

従来、銀行預金は遺産分割の対象外というのが通説でした。

しかし、2016年12月の最高裁によってこの通説が覆り、銀行預金についても遺産分割の対象であるとの判決が下されました。

つまり、銀行預金については相続人間の遺産分割協議に基づき分割割合が決定され、それに応じて相続税が課税されるのです。

なお、銀行預金の相続税課税上の評価は銀行預金の額面とされます。

土地や建物、生命保険の死亡保険金などに適用される評価額に関する減額評価の特例はありません。

そのため、多額の銀行預金を持つ富裕層の多くは、収益マンションやアパートの購入や相続人を死亡保険金の受取人とする生命保険に加入するなどして相続税対策を行っています。

そして、国税庁による基礎控除額や配偶者控除額の範囲に収まらなかった相続税額の速算表は、以下の通りです。

相続財産額に税率を乗じ、カッコ内の金額を控除して得られた額が相続税となります。

  • 1,000万円以下:10パーセント(控除額なし)
  • 3,000万円以下:15パーセント(50万円)
  • 5,000万円以下:20パーセント(200万円)
  • 1億円以下:30パーセント(700万円)
  • 2億円以下:40パーセント(1,700万円)
  • 3億円以下:45パーセント(2,700万円)
  • 6億円以下:50パーセント(4,200万円)
  • 6億円超:55パーセント(7,200万円)

インターネットでは家族構成のパターンに応じた速算表を見かけます。

しかし、その多くが法定相続割合のみを考慮したものに留まっています。

各相続人の相続税額は実際の分割割合や特別受益の有無、相続時精算課税制度の活用の有無などに応じて変わりますので、速算表だけで計算すること自体に無理があるという点をご認識ください。

そして、相続税の計算方法は諸制度や法律、さらには個別事情を複合的にしたものですので、非常に煩雑で分かりにくいものです。

このため、相続税や各種制度、法律について何も知らない人が単独で計算・申告をすると、過大申告あるいは過少申告となる可能性があります。

特に過少申告になってしまい税務署が悪質と判断した場合は、追徴課税などが課されてしまうリスクがあります

したがって、相続税の計算・申告や税務署との折衝については、多少のコストが生じたとしても税理士などの専門家に依頼することが確実です。…

2019.1.30

相続に伴う銀行口座の名義変更で必要なものは?

預金相続の基礎知識

被相続人(亡くなられた人)が遺した預貯金は、相続人にとって当座の生活費や相続税納税資金としても非常に大事な相続財産だと考えられます。

しかし、預貯金の相続手続きは銀行など金融機関に対して進めなければならないため非常に煩雑です。

また、預貯金は客観性が高く各相続人の利害関係が絡みやすい資産であるため、その相続手続きの過程ではトラブルが生じやすいものです。

したがって、預貯金の相続手続きに際してはぜひとも基本的なポイントを抑えておいて、想定し得る事態に備えて頂きたいと思います。

預金の相続税評価方法

被相続人名義の預貯金は、他の財産と同様に遺産分割の対象であり、当然ながら相続税の課税対象となります。

これは被相続人が子や孫など相続人の名義で作成していた、いわゆる「名義預金」についても同様です。

従前、預貯金は遺産分割の対象外というのが通説でした。

しかし、2016年12月の最高裁判決により、遺産分割の対象であるとされたのです

相続税課税上の評価は預貯金の時価、すなわち額面とされます。

土地や建物、生命保険の死亡保険金などとは異なり、評価額に関する減額評価の特例はありません。

キャッシュリッチな富裕層の多くが、収益マンションやアパートの購入や、相続人を死亡保険金の受取人とする生命保険に加入するなどして相続税対策を行っているのは、このためです。

もっとも、他の遺産を含めた相続財産額が、「3,000万円+法定相続人の人数×600万円」の基礎控除額、これに加えて被相続人の配偶者であれば1億6,000万円の配偶者控除額の範囲に収まる場合は、相続税は課税されません。

なお、基礎控除額や配偶者控除額の範囲に収まらなかった相続税額は以下のように計算されます。

相続財産額に税率を乗じ、カッコ内の金額を控除して得られた額が相続税となります。

  • 1,000万円以下:10パーセント(控除額なし)
  • 3,000万円以下:15パーセント(50万円)
  • 5,000万円以下:20パーセント(200万円)
  • 1億円以下:30パーセント(700万円)
  • 2億円以下:40パーセント(1,700万円)
  • 3億円以下:45パーセント(2,700万円)
  • 6億円以下:50パーセント(4,200万円)
  • 6億円超:55パーセント(7,200万円)

インターネットでは家族構成のパターンに応じた速算表を見かけます。

しかしそのほとんどが、法定相続割合のみのケースに留まっています。

各相続人の相続税額は実際の分割割合に応じて変わりますので、この点に注意してください

また、相続税は諸制度や法律などが複雑に絡み合っており、計算方法も煩雑です。

このため、税金について何も知らない人が単独で申告をした場合、誤った知識に基づいた計算などにより必要以上に多額の税金を支払ってしまったり、あるいは過少申告となり税務署から追徴課税などが課されてしまうリスクがあります

したがって、相続税の申告については多少の費用が生じたとしても税理士などの専門家に依頼したほうが無難です。

預金口座の凍結について

2017年以降、銀行などの金融機関が口座名義人の死亡の事実を知ると、預貯金口座は原則としていったん凍結されるようになりました。

これにより、しかるべき手続きが完了する前の相続人による入出金・振込・記帳・貸金庫・公共料金の引き落としなど、すべての取引が原則として不可能となったのです。…

2019.1.30

投資信託の相続。相続税評価と手続き方法

個人の資産運用手段として投資信託が広まっている中、個人が保有する金融資産において投資信託の占める割合はますます拡大しています。

特に昨今は、株式市場におけるマーケット環境の好調さと「貯蓄から投資」という政府の方針も相俟って、今後もこの傾向は続くと考えられます。

特に若年世代と比較して余裕資金が多く、さらに金融機関のセールスパーソンのセールスターゲットになりやすい高齢者であれば、なおさらです。

投資信託の相続手続きは、不動産などの相続手続きと比べてさほど手間が掛かるものではありません。

また、その金融商品としての特質上、預貯金と比べて他の相続人による無断の引き出しがなされる懸念が低い資産でもあります。

ただ、投資信託に関する相続手続きや相続税評価額の算定は、他の一連の相続手続きおよび全体の相続税評価額に影響を及ぼすものですから、たとえ相続が発生する前だとしても投資信託の相続について基本的な知識を押さえておくことに損はありません。

これを踏まえて本記事では、そもそも投資信託とは何か、相続手続きはどのように行うのか、相続税評価額はどうなるのか等、投資信託の相続に関する基本的な事項についてご説明します。

相続について

相続なんて、自分には縁遠いもの。相続でトラブルになるのは、資産がたくさんある家庭だけ。」

相続に関して、そのように思っている方もいるかもしれません。

しかし、相続は誰の身にも突然起こりうる可能性があり、少ない相続財産であってもトラブルが起こることはあります。

事実、相続トラブルの多くは、遺産総額が数千万円の家庭で起きているのです。

相続が発生してから慌てないためにも、予めどのような相続が発生しうるか想定しておくことや、基本的な知識を得ておくことは大変重要です。

「相続」とは、ある人が死亡したときにその人の財産(すべての権利や義務)を特定の人に引き継ぐことをいいます。

簡単に言うと、亡くなった人の財産を配偶者や子どもといった関係者がもらうことです。

相続の手続きではこの亡くなった人を「被相続人」、財産をもらう人を「相続人」と呼びます。

今回は、このような相続についての基本知識と、近年増えてきている投資信託の相続について解説したいと思います。

相続財産になるもの

まずはじめに、相続で相続人が引き継ぐことになる財産とは、何を指すのでしょうか。

被相続人が残した資産全体を「相続財産」といい、大きく分けて3つに分類できます。

①プラスの財産

まずは、銀行預貯金や不動産、有価証券、貴金属など経済的価値のある相続財産です。

こちらは目に見えるものがほとんどなので、比較的わかりやすい相続財産となります。

また、気を付けなければならないのは、基本的には、被相続人名義のものが、相続財産の対象となりますが、例えば被相続人がお金の管理をしていた子ども名義の預金口座など、名義が違ったとしても、実質的には被相続人のものだと言える場合には、相続財産に含まれる可能性があります。

今回ご説明する投資信託もこのプラスの財産に該当します。

②マイナスの負債

相続するものは、経済価値のあるものだけではありません。

マイナスとなる負債も含まれ、典型的なものが、銀行やサラ金などからのローンや借金です。

そして、負債は借金のみではありません。未払いの家賃があった場合や、損害賠償義務を負っていた場合なども相続人が支払いの義務を負うことになるので注意が必要です。

2019.1.30

住宅ローンを相続した場合の相続税の計算はどうなる?

被相続人(亡くなった人)が残した相続財産が、預貯金や不動産など財産的価値があるプラスの財産のみであれば、あとは他の相続人とどのように分割するか協議することになります。

しかし、必ずしも相続財産はプラスの財産のみとは限りません。

特に住宅ローンのようにマイナスの価値の財産が相続財産になることも有り得るのです。

このコンテンツでは、もし相続財産に住宅ローンなどのマイナスの財産があった場合の考え方や対処方法などについてまとめてあります。

負の財産の相続

相続が発生した場合、被相続人が残した遺産に対して相続財産に対して相続人が取る選択肢は「単純承認」、「限定承認」、「相続放棄」の3つとなります。

現行の相続税法では、預貯金や不動産などプラスの財産を相続する人はて住宅ローンなどマイナスの財産も引き継ぐことを原則としており、プラスの財産だけ相続することは認めていません。

どうしてもマイナスの財産を引き継ぎたくない人は、相続放棄などの手続きをとる必要があります。

単純承認とは、プラスの財産に加えマイナスの財産についても相続することです。

もし相続発生後3ヶ月以内に後述する限定承認や相続放棄の手続きを行わなかった場合、相続人は単純承認したものとみなされます。

これに対して限定承認とは、相続するプラスの財産の範囲内で被相続人のマイナスの財産についても相続することです。

被相続人が残した遺産がプラスの財産とマイナスの財産が混合している場合、マイナスの財産をプラスの財産で弁済することが可能であれば、単純承認または限定承認を選択することになるでしょう。

この場合、相続税評価額はプラスの財産からマイナスの財産を差し引いた正味の財産について計算され、それが基礎控除額(3,000万円+法定相続人の人数×600万円)や配偶者控除額(1億6,000万円)の範囲を超えた分に対して相続税が課税されます。

最後の相続放棄とは、相続人が相続財産に対して有する権利や義務の一切を放棄し「何も相続しない」とすることです。

相続放棄により、プラスの財産よりマイナス財産が多くても住宅ローンなどの負債を引き継ぐことはなく、支払う義務は負わなくなるのです。

また、心情面などで相続そのものに関与したくない場合は、相続放棄を検討する価値があります。

相続放棄の場合、何も相続しないわけですから当然に相続税は発生しません。

相続放棄をするためには、家庭裁判所でしかるべき手続きを行う必要があります。

被相続人の生前に相続放棄を行うことは認められていませんので、一連の手続きは相続が発生してから着手することになります。

まず、被相続人が亡くなったことを知ってから必ず3ヶ月以内に、各相続人にて被相続人が生前最後に住んでいた住所地を管轄する家庭裁判所へ、相続放棄をする旨を申し出てください。

もし、相続発生後3ヶ月に到達しつつあるのにも関わらず、承認するか放棄するか決心が付かない場合、家庭裁判所に期間延長の審判を申し出てそれが認められれば、延長してもらえます。

相続放棄を申し立てるに際して、家庭裁判所に提出する書類は概ね以下の通りです。

被相続人との続柄によって変わりますので、ご注意ください。

  • 相続放棄の申述書
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 申述人(相続放棄する相続人)の戸籍謄本
  • 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本(*申述人が被相続人の配偶者の場合)
  • .被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本(*申述人が被相続人の子またはその代襲相続人(孫、ひ孫等)の場合)
  • 申述人が代襲相続人(孫、ひ孫等)の場合、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本(*申述人が被相続人の子またはその代襲相続人(孫、ひ孫等)の場合)
  • 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本(*申述人が、被相続人の兄弟姉妹及びその代襲者(おい、めい)(第三順位相続人)の場合)
  • 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している人がいる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本(*申述人が、被相続人の兄弟姉妹及びその代襲者(おい、めい)(第三順位相続人)の場合)
  • 被相続人の直系尊属に死亡している人(相続人より下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合、父母))がいる場合、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本(*申述人が、被相続人の兄弟姉妹及びその代襲者(おい、めい)(第三順位相続人)の場合)

この他、相続放棄で注意して頂きたいこととして、仮に被相続人の子供たち全員が相続放棄した場合、被相続人の父母や兄弟姉妹など法定相続人として後順位にいる人たちが相続することになる点が挙げられます。

せっかく借金など消極財産の相続をしないために相続放棄したとしても、後順位の人に相続権が渡ればその人たちに迷惑を掛けることになるため好ましくありません。…

2019.1.30

死亡保険金が相続税の課税対象になる場合

生命保険には、死亡保険金に対する相続税課税の優遇制度や、死亡保険金の受取人指定による遺言の代替機能などの各種メリットがあり、生前の相続対策においては必要不可欠なものと言っても過言ではありません。

しかし、実際に相続が発生して相続人が実際に死亡保険金を受け取ることとなると、多くの人は生命保険に関する知識が少なく、ましてや死亡保険金を受け取ることなど人生でも極めて稀な経験であることから、対応や取扱いについて戸惑ってしまうことが多いものです。

そこで本記事では、相続発生時に死亡保険金を受け取った方・あるいは今後受け取ることが明らかな人向けに、生命保険の死亡保険金に関する基礎から税金の取り扱い、さらに相続における論点についてご説明します。

相続対策として生命保険の活用を検討している方にも、有益な内容となっています。

死亡保険金とは

まず、生命保険の関係者に関する用語の定義を確認しておきましょう。生命保険の契約当事者の関係は、預貯金や投資信託などと比べ複雑です。

  • 契約者

保険者に契約上の保険料支払いの義務と保険金請求・受取の権利を有する人、一般的に保険会社と契約する人

  • 保険者

契約者と契約上の保険金支払い義務と保険料受取の権利を有する人、一般的に保険会社

  • 被保険者

その生死が保険の対象となる人、通常は契約者または一定範囲の親族

  • 死亡給付(保険)金受取人

被保険者の死亡時に死亡保険金を受け取る人、通常は被保険者の一定範囲の親族などに限られる

そして死亡保険金とは、契約者と保険者が被保険者の生命に関係する損失を保障することを目的とする生命保険を契約しており、その契約に基づき被保険者が死亡した場合に保険者から受取人に支払われる保険金のことです。

続いて、なぜ生命保険の死亡保険金が遺産として多く残される傾向があるのか、背景を見てみましょう。

生命保険は、被相続人が亡くなった後に残された家族の生活を保障するためのほか、相続対策としてさまざまなメリットを持つ金融商品です。

相続発生時に遺産の一部が生命保険の死亡保険金だったということは、被相続人が残された家族の生活資金以外にも相続時のメリットを享受できるように取り計らったことによります。

そのメリットを具体的に見てみましょう。

まずは、生命保険の死亡保険金へ適用が認められている相続税の非課税枠です。

詳細は後述しますが、被保険者を契約者・法定相続人を受取人とする生命保険の死亡受取金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。

そして、法定相続人が受け取る死亡保険金には「法定相続人の数×500万円」の非課税枠が認められています。

つまり、預貯金で相続するよりも死亡保険金を受け取る形で相続した方が相続税は安くなるのです

また、生命保険による死亡受取金は受け取った人の固有財産になるため、遺産分割協議(相続財産の分け方を相続人間で話し合って決めること)の対象資産とはなりません。

このため、例えば複数の同順位の相続人がいる中で全相続財産の価値のうち自宅不動産など1つの財産の割合が突出して高いことから、その自宅不動産を相続する人が代償分割(相続人の間で遺産分割割合に不公平が生じた場合、多くの遺産を受ける人がそうでない人に不公平分について現金などを渡すこと)分の原資とすることができるようにするためなど、何らかの事情で被相続人が特定の相続人に現金を多く残す必要があると考えた場合、その特定の相続人を死亡保険金の受取人にしておくことで、その特定の相続人は他の相続人の意見に左右されず実質的に現金を相続できるのです。

さらに、一般的に生命保険の死亡保険金は、契約者つまり被相続人が亡くなった後1週間から2週間程度で受け取ることが可能です。

これに対して預貯金の場合、預金口座などの名義人が死亡した事実を金融機関が知ると、金融機関は一旦その口座を凍結します。

その後、遺産分割協議による相続人の確定、戸籍謄本など各種書類の提出など金融機関所定の手続きが終わらない限り、その口座から預金を引き出すことは原則できなくなるのです。そして、この手続きには数ヶ月以上要する場合もあります。

生命保険が持つこの換金性の高さと利便性により、被相続人が葬儀費用や相続人の生活費などに不安があると感じていた場合は、預貯金よりも生命保険による死亡保険金で受け取る形にしておく対策を取っていることがあるのです。

死亡保険金にかかる税金3種類

不慮の事故や病気など何らかの事情により被保険者が死亡し保険金の受取人が死亡保険金を受け取る場合、保険金受取人が誰であるかによって相続税、所得税、贈与税のいずれかの課税の対象となります。

2019.1.30

損害保険金を受け取った場合にかかる相続税とは

相続財産の中で損害保険契約が占めるウェイトは、小さいほうかもしれません。

しかし損害保険は被相続人(亡くなった人)の契約内容次第では巨額の保険金の受け取りが発生する場合があります。

また、被相続人が自宅不動産や事業用資産を保険の目的物としていた損害保険契約は、相続発生を機に解約して新たな保険契約を締結するよりも、既存の契約を継続しておいたほうが相続手続き上、スムーズにいくことも多いのです。

本記事は相続財産に損害保険契約があった人向けに、損害保険契約のアウトラインから相続に関する留意事項、相続税など各種税金の取り扱いなどについて基本的なことをご紹介します。

相続税の基本知識

平成30年7月に相続法が改正され、今まで相続について考えたことがなかった方も考える機会が増えたのではないでしょうか。

自分が亡くなったときに、残された大切な家族に少しでも多く財産を残したい、家族には迷惑をかけたくないと思う方も多いでしょう。

自分の家族の場合は相続税はかからないだろうと思って何も準備していなかったが、いざ身内が亡くなって初めて相続税がかかることを知り、多額の税金を支払うはめになったというケースも少なくありません。

今回ご紹介するのは今から知っておきたい相続税に関する基本知識と損害保険金についてです。

損害保険金というとあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、一般的に知られているものですと火災保険や自動車保険などが挙げられます。

 

損害保険は偶然生じた損害をカバーするための保険で、損害保険金の給付対象は自然災害や盗難、怪我なども含まれます。

被相続人に予期せぬ損害が発生し、損害保険金が給付された場合に税金が発生するケースもあります。

突然のことで損害保険金に相続が関係することを見落としていた、知らなかったということがないように、この記事を読んで一度契約内容を見直してみましょう。

相続税とは?

被相続人が亡くなり遺産を相続した際に課税される税金が相続税です。

相続が発生した場合、全ての方が相続税を支払うと思いがちですがそうではありません。

国税庁によると平成29年に相続税の申告をした方の割合は8.3%と多くはありません。

相続税は遺産を相続した人に課税され、配偶者でなくても相続税がかかるケースもあります。

相続税は遺産の取得割合によって異なります。また、遺産額から予め差し引くことのできる基礎控除という非課税枠が存在します。

相続税の基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

法定相続人は被相続人の配偶者と血族に限定されており、遺産を放棄した人も法定相続人に加算されます。1人であれば相続税の基礎控除額は3,600万円、2人の場合は4,200万円となり基礎控除額以内であれば相続税は課税されません。

相続税を支払う必要がある場合は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内に、財産を取得した人の住所地ではなく被相続人の住所地を所轄する税務署に納税します。

 みなし相続財産とは?

相続財産には預貯金や土地などの不動産だけではなく、生命保険金や死亡退職金などみなし相続財産と呼ばれものも含まれます。

みなし相続財産とは民法では相続財産にあたらないものの相続税法では相続財産となるものを指します。

生命保険金や死亡退職金は被相続人の固有の財産でありませんが、被相続人が亡くなり相続や遺贈によって取得するものであるため相続税の課税対象となります。

生前は所有していなかった財産であっても、被相続人の死亡が原因で財産を受け取ったとみなされるわけです。

ただし、生命保険金、死亡退職金それぞれに非課税枠があるので一定額までは相続税は課税されません。

生命保険金の相続税非課税限度額=500万円×法定相続人の数
死亡退職金の相続税非課税限度額=500万円×法定相続人の数

その他みなし相続財産には、相続開始前3年以内に贈与された相続財産や定期金に関する権利、生命保険契約に関する権利など様々なものがあります。

相続財産にならないと思っていたものが、実はみなし財産に該当し相続税がかかってしまったという事態にならないよう事前に把握しておきましょう。

損害保険の手続き

まず、損害保険の関係者に関する用語の定義を確認しておきましょう。

損害保険の契約当事者の関係は、預貯金や投資信託などと比べ複雑です。…