すてきな相続は大切な方を亡くしたあとの手続・届出から、
知っているようで知らない「相続」に関する情報をわかりやすく解説します。

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【相続税】

相続税について説明しています。相続税は相続する人物、相続の対象、評価額などによって納税の有無や納税額が異なります。また相続税を抑えるための対策もあります。相続税についての知識を得て、しっかり相続税対策を行いましょう。

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日本の相続税は世界に比べて高い?外国の相続税と比較

「相続税」と聞くとどのようなイメージを思い浮かべますか?

「高いと聞くけど。」「よくわからない、難しそう。」「お金持ちが支払う税金でしょう。」「日本は半分税金で持って行かれるって聞いた。」などと思っている方もいることでしょう。

たしかに日本の相続税は複雑で近寄りがたいものがあります。

この記事では日本の相続税の基本的な説明と、世界の相続税との比較をしていきます。

 

日本の相続税はどんな制度?

相続税とは亡くなった方(被相続人)が遺した財産を、その遺産を引き継ぐ方(相続人)が取得した際、支払わなくてはならない税金のことです。

日本の相続税は遺産の額や種類、相続人は何人いるのかなどのケースによって税額が異なります。

しかし、「なぜ払わなくてはいけないのか。」「親が築き上げた財産を受け継ぐのになぜ税金が課されなくてはならないのか。」と疑問に思われる方もいるのではないでしょうか?

日本の相続税制度の目的は「富の再分配」とされており、貧富の差を緩和させるための経済政策が背景にあります。

富の集中によって一部の富裕層がさらに裕福になるだけでは、資産が活性化されず日本の経済にも影響が出るため、このような制度が敷かれるようになったのです。

 

課税対象(現金・不動産など)

相続税は被相続人のすべての財産に対して課税されるわけではありません。

課税対象となる財産にはどのようなものが含まれるのか、詳しく見ていきましょう。

◆ 金融資産
現金・預貯金・有価証券(公社債、上場株式、投資信託など)

◆ 不動産(土地)
宅地・農地・山林・原野・牧場・借地権・地上権・貸借権など

◆ 不動産(建物)
家屋・倉庫・駐車場・借家権・マンション・アパートなどの物件

◆ 動産(持ち運べるもの)
自動車・家財・貴金属・宝石・骨董品など

◆ 権利各種
著作権・特許権・商標権・電話加入権・ゴルフ会員権など

◆ その他
被相続人が家族経営や個人経営をしていた場合は事業用の財産(機器・備品・商品・原材料・農産物など)も課税対象になります。

その他、被相続人の死亡により支払われる生命保険や死亡退職金などが課税対象となる「みなし相続財産」もあります。

相続の発生から3年以内の贈与も相続税の課税対象となります。

この場合、すでに支払い済みの贈与税は相殺され、余剰分は還付されます。

 

もし相続税の申告漏れがあると、追加で税金を納めることになり、無申告加算税や重加算税、延滞税などの支払いを税務署に行うことになるため、漏れの無いようしっかりと確認しましょう。

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2019.7.22

相続税の税務調査|絶対に知っておくべきポイント

相続税を申告するには、不動産・現金などの金融資産、債権など、さまざまな遺産を申告する必要があり、複雑で難しい点も多いものです。それ故に、申告漏れなども起こりやすいといえます。

そこで気になるのは「税務調査」について。

自分が税務調査の対象になるのか、ならないのか。税務調査がある場合、自分に何か落ち度があることが確実なのか。など、不安に思ってしまうと思います。

今回は、そんな税務調査について詳しく解説いたします。

 

相続税についての税務調査とは?

税務調査とは、税金が正しく申告されているかどうかを確認する調査です。

税務署が税金の計算間違いや、申告漏れの案件など、申告内容を調査し、正しい申告になっているか調べることを準備調査、必要であれば申告した人に直接確かめる実地調査があります。

相続税は、一定の控除額以上の遺産を受け継いだ相続人が課税される税金のため、高額になる事例が多いです。

また、相続税の申告手続きは複雑なので、申告内容に漏れや計算の誤りが起こりやすいため、税務調査の対象として税務署から目を付けられやすい手続きでしょう。

相続税もほかの税金と同じで国の収入になるため、税務署は調査を行い、納付漏れを防いでいるのです。

 

税務調査の対象をどのように選んでいる?

自分自身では正しく申告をして、税金を納めているつもりなのに税務調査が入るとなったら、不安になりますよね。

税務調査を受けやすい人の例を挙げていきます。

 

全体の20%が税務調査の対象

全相続税申告のうち、税務調査が入る割合はおよそ20%です。税務調査は、相続税の申告を受けたもの、申告を受けなかったもの併せて対象になります。

20%ですから、5人に1人は税務調査(実地調査)の対象ということです。

税務調査の結果、不備が見つかった割合は、80%前後です。

相続税の申告漏れが発見されたもののうち、事実を隠したり、虚偽の申請をしたりした人には、重加算税という最大40%も課税される罰金が課せられます。

 

税務調査対象となる原因

相続税についての税務調査が行われる対象は、相続税が課税される財産(現金、有価証券、不動産など)を相続した人です。

相続税を申告すると、計算の誤りなどを機械でチェックしています。

相続税の申告をしていなかった人に対しては、税務署は故人・相続人のほぼ全ての所得や財産に関する情報を持っているため、相続税申告の内容との誤差を確認し、税務調査の対象とします

税務署は、KSK(国税総合管理)システムに亡くなった人の名前を入力して、亡くなった人の生前の給料や保険金の受け取り内容、不動産収入の内容、退職金の金額、有価証券・不動産の売買状況など、お金に関するさまざまな情報を得ることができます。

情報と相続税申告の内容の誤差が見つかった人は税務調査の対象として挙げられます。

税務署は相続税法第58条にて、市町村長などに対して、死亡届を受理した日の翌月末までに税務署に死亡の旨を通知することを義務付けているため、死亡の事実を遅くとも死亡日から2カ月以内に知ることができます。

 

税務署は無作為に税務調査対象を選んでいるのではありません。

準備調査をして、その調査の結果、間違いや嘘の可能性が高いものを選定します。…

2019.7.17

土地の相続税計算に関わる「路線価」とは?

相続税について調べていく中で、何に対して相続税が発生するのか?相続税はいくらになるのか?自分でも相続税の計算はできるのか?などお悩みの方も多くいるのではないでしょうか。

亡くなった方の財産の時価に対して課税される相続税ですが、土地や家、株式、自動車、貴金属など内容によって相続税を算出するために必要なそれぞれの価値の評価方法は異なります。

今回は不動産について、その中でも土地の相続税の計算に関わる「路線価」に注目してご紹介していきます。

 

路線価とは?

土地の相続税について調べていくと「路線価」という単語を目にすることがあると思います。

路線価といわれると、鉄道や線路・沿線といった単語をイメージしてしまうかもしれませんがこれらとは全く関係ありません。

簡単に言うと、「路線価」とは国税庁が示している土地の値段のことで、土地の相続税の計算をするときに使用します。

路線価は道路に面する宅地1㎡あたりの評価額のことで、相続税や贈与税を算出する際の基準です。

 

土地の価値指標

その土地にどのくらいの価値があるのか調べる場合や、土地に関する相続税などの税金を算出するうえで4つの指標があります。

● 地価公示価格(公示地価)…国土交通省・土地鑑定委員会発表

公的な土地評価の基準となる一般的指標。
評価には、最近の取引事情や収益性なども加味される。
毎年1月1日を基準日とし、3月ごろに発表される。

 

● 路線価(相続税路線価)…国税庁発表

地価公示価格や売買の実例、不動産鑑定士による評価などを参考にした指標。
相続税、贈与税、地価税を算出する際に用いられる。
公示価格の80%を目安としている。
毎年1月1日を基準日とし、7月ごろに発表される。

 

● 固定資産税評価額…地方自治体(総務省)発表

市区町村が決めた土地にかかる税金の計算の基礎となる価格。
固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税を算出する際に利用。
公示価格の70%を目安としている。
毎年1月1日を基準日(3年に一度見直し)とし、3~4月ごろに発表される。

 

● 準地価(都道府県地価調査基準地価格)…都道府県発表

地価公示価格と似た性質の一般的指標。
地価公示価格は都市計画区域内を対象としているが、基準地価は都市計画区域外の林地なども補足されている。
毎年7月1日を基準日とし、9月ごろ発表される。

 …

2019.7.15

【相続税の計算】相続人や被相続人が海外在住の場合は

グローバル化が進む現代において、身近な人が仕事や結婚などによって海外在住となることは珍しくなくなってきました。

そんななか、海外在住の近親者が亡くなる、または自身の海外在住時に日本で親が亡くなるなどして相続が発生することは十分に考えられます。

相続人または被相続人が海外在住であった場合、全ての相続関係者が日本在住である場合と比較してどのような違いが出てくるのでしょうか。

 

相続人が海外在住の場合

相続人が海外在住の場合、相続の流れや相続税の算出において日本在住者とどのような違いが発生するのでしょうか。

相続人が国内の遠方にいる場合と同様、海外在住であっても財産の相続を受ける権利がなくなるわけではありません。

また、相続人が海外在住だからという理由で、その相続人を除いた日本在住者だけで協議を行い相続を行うことは民法上認められておらず、もしそのような財産分与が合意されても受理されることはありません。

反対に、海外に在住しているというだけで手続きもなく相続を放棄することはできませんし、相続税が免除されるということもありません。

相続人である以上、どこに住んでいたとしても相続に関する協議に参加して必要な手続きを行う義務があり、相続税の納税義務も必ず発生します。

 

相続において、どの国の法律が適応される?

日本国籍の被相続人が亡くなって相続が発生した場合、相続や相続税の算出は日本の民法に則って行われることになります。

そのため、相続人が海外在住の場合も、相続における基本的な条件や相続税の計算ルールは相続人の全員が日本在住である場合と変わることはありません。

ただ、海外在住の相続人がいる場合には通常と異なる手続きが発生したり、相続税の対象となる財産の範囲が異なってくるなど、相続をすすめる上でいくつかイレギュラーな対応が必要となってきます。

 

遺産分割協議の対策

遺産分割協議とは、海外在住者を含む相続人全員で集まり、誰がどの財産をどのような割合で受け取るかを決める話し合いのことです。

遺言が残されており、且つ、その遺言に従って分割する場合は遺産分割協議は不要です。しかし、遺産の一部についての遺言しかない、あるいは遺言内容と異なる配分を行いたい場合には、相続人全員の合意を得るために遺産分割協議が行われます。

遺産分割協議が実施された際には、最終的に合意に至った内容を書面に残す必要があります。これを基準として相続が執行され、相続税の算出が行われます。

それが遺産分割協議書と呼ばれるもので、協議内容を細部まで正確に残すためだけでなく、将来、相続人の一部の人が「合意していない」などと主張しトラブルになることを未然に防ぎ、滞りなく相続を進めていくために必要となるものです。

遺産分割協議書には、相続人同士において契約書のような役割があり、また対外的には協議された相続内容を証明する証明書のような役割を持つことになります。

それでは、相続人が海外在住であった場合は、日本在住の場合と比較してどのような対応が必要になってくるのでしょうか。

 

海外在住の相続人はいくつかの書類の準備が必要

法的に有効となる遺産分割協議書を作成するためには、海外在住者を含む相続人全員分の必要な書類を揃える必要があります。

遺産分割協議そのものについては、海外在住の相続人が一時帰国するなどして全員で集合し、実施することは可能でしょう。

注意すべき点は、遺産分割協議書を作成する際に必要な書類をすべて不足なく揃える必要があるという点です。日本在住であれば問題なく取得できるような書類でも、海外在住の場合は取得できないものもあるからです。

そういった場合は、その書類に代わるものを用意することになります。

 

遺産分割協議書の必要書類

まず、遺産分割協議書には相続人全員の署名と実印による押印を行った上で、それぞれの印鑑証明書を添付する必要があります。

さらに、遺産のなかに不動産がある場合は登記申請のための住民票の添付が求められます。

 

サイン証明書

日本以外の国の多くにはそもそも「印鑑」の文化がないことがほとんどです。

海外在住の場合、日本であれば印鑑が求められる場面ではサインが用いられることになります。

したがって、海外在住者は、印鑑に代わって遺産分割協議書にサインをした上で、それが本人のものであると証明する「サイン証明書」を現地の日本領事館などの在外公館に出向いて発行してもらい、これを印鑑証明書の代わりに添付することになります。

 

在留証明書

2019.7.9

相続税が0円になった場合に注意することとは?

みなさん、遺産を相続されたご経験はございますか?

相続税は、全ての財産にかかるわけではなく、課税される場合とならない場合があり、計算をした結果、相続税が0円になる場合があります。

0円であれば、税務署へ申告する必要はないと思っている方がいらっしゃるかもしれませんが、必要な場合もあります。

相続税が0円になった場合、注意する点について詳しく見ていきましょう。

 

相続税が0円となっても油断は禁物

相続された税額、つまり相続税が0円の場合でも税務署への申告が必要な場合があるので、相続税について深く理解しておくことが重要です。

相続税が0円だからと安心せず、知識をしっかり持って対処していきましょう。

 

相続税申告が必要な場合がある

相続された税額が0円になる場合でも申告が必要なのは、以下のような場合です。

・配偶者の税額軽減を受けて0円になる場合

・小規模宅地等の特例を受けて0円になる場合

上記の特例を受けるときに申告する理由は、相続された税額が0円でも”特例を受けますよ”と税務署へ明示するためです。

 

よって税務署への申告が必要かどうかは、大きく次の2点をもとに判定が可能です。

1.相続税の基礎控除以上の相続する遺産がある

相続税の基礎控除以下であれば、0円となり税務署に対して申告する必要はありません

 

2.基礎控除以上の遺産総額で、配偶者の税額軽減特例・小規模宅地の特例を受けると相続税が0円になる

上記でも説明したように特例を受けた結果、相続された税額が0円になりますが税務署への申告が必要です

 

相続税が0円の場合にチェックすること

相続税が0円の場合にチェックすることは、どんなことでしょうか?

2015年に相続税の基礎控除について法改正にて減額がされたため、課税対象者が2倍近く増加しました。

相続税に使える節税ワザは意外に多く、やり方を熟知していれば不必要な損をしなくて済むでしょう。

つまり何もせずにいると、回避できる方法があったのに多額の相続税を課せられて苦しむことになりますので、相続税に対する知識を増やしておくようにしましょう。

 

どのようにして相続税が0円になったか

相続税は、血縁関係者や配偶者がいれば誰にでも発生し、10人いれば10通りあります。

相続税・遺言・遺産分割対策など相続に関わる問題は多岐に渡ります。

特例や控除を使って相続の税額が0円になる場合もありますが、0円だからといって申告せずにいると税務署から後になって申告漏れではないかと連絡が入ることもあります。

相続の内容は一般的に非常に難しいため、これらの相続に関する対策は、専門家に相談したり、適切なアドバイスを受ける方が良いでしょう。

そして相続税が0円であっても申告が必要なのかどうかきちんと整理しておくことが重要です。

 

相続開始3年以内に贈与を受けていないか

「相続開始前3年以内の贈与によって取得した財産」にも相続税が課税されますが、これはあくまで相続ではなく贈与ですが、相続税の課税対象です。

そのため、贈与財産も含めた相続の金額が基礎控除を超える場合は、申告が必要です。

ただし、全ての贈与が相続財産として相続税の課税対象になるわけではありません。

非課税になる贈与として、子育て・結婚資金の一括贈与や、贈与税の配偶者控除の対象となる贈与、住宅取得資金等の贈与が挙げられます。…

2019.6.18

ペットの相続には相続税がかかる?ペットに相続させるには?

犬・猫あわせて2000万匹近くが、家庭でペットとして飼われていると言われています。

可愛いペットですが、もし飼い主が死んでしまったら、ペット達はどうなるのか気がかりでしょう。

大切な家族であるペットが最後まで幸せに暮らせるようにしたいとお考えの人は、なるべく早く専門家にご相談することを心からお勧めします。

実際に、飼い主の亡き後、ペットの相続には相続税がかかるのでしょうか。

また、ペットに自分の財産を相続させることは可能なのでしょうか。

この記事では、これらの問題で論点となるポイントを解説していきます。

 

ペットは被相続人になれません

ペットに関する相続問題の1つとして持ち上がるのが、ペットに自分の財産を継がせることができるかどうかということです。

長年かわいがってきたペットは家族同然で、遺産を相続させたいと思う方も少なからずいらっしゃいます。

しかし、結論から言うと、日本においてペットは被相続人にはなれません。

それでは、残されたペットにどのようなことをしてあげられるのでしょうか。

以下で解説していきます。

 

アメリカの大富豪の飼い犬の話

まず、アメリカにおけるペットの遺産相続の事例を見ていきましょう。

過去に、アメリカで大富豪の飼い犬が亡くなったことが大きなニュースになりました。

その驚きの内容が、この犬は、なんと大富豪からおよそ200万ドルもの大金を相続した犬だったのです。

アメリカでは、州によっては、ペットに一定の財産を相続させることが可能なのです。

そのため、遺言によって、自身のペットに遺産を相続させることができます。

一方、日本でも、このように自身のペットに遺産を相続させていと考える方はいらっしゃいます。

果たして、日本の場合はどうなのでしょうか。

 

日本の民法でペットは「物(ぶつ)」

日本の民法において、ペットは人ではなく、「物(ぶつ)」として扱われています。

法律の世界では、「人」以外はすべて「物」として扱われるのです。

そもそも、民法とは「人」が「物や権利」をやりとりする際のルールを定めた法律です。

そのため「物」であるペットが、「物」を所有することは認められないのです。

また、アメリカや日本以外の国を見てみると、国によってその方針は異なり、隣接するフランスとドイツであっても、フランスはペットが相続できず、ドイツはペットが相続できるようです。

 

ペットは「直接」遺産を相続できない

ペットと遺産相続の件も、上記の話と同じことです。

ペットである犬は、法律上、「物」であるので、その「物」が「物」や「権利」である遺産を受け継ぐことは認められていません。

よって、ペットは「直接」遺産を相続できないのです。

 

「間接的」にペットに遺産相続をさせる方法

上述したように、日本においては、ペットに「直接」遺産を相続させることはできません。

しかし、「間接的」にならペットに相続させることが可能なのです。

言い換えると、あたかもペットに遺産を相続させたかのような相続ができます。

その方法を、以下でご紹介します。…

2019.6.10

あとから財産が見つかった!相続税はどうすればいい?

誰もが人生で一度は、「相続」の悩みを抱えるでしょう。
今回はもしも相続税の申告を間違えてしまったときに、どのようなペナルティを受けなくてはならないのか、このようなペナルティを受けないためにも、どのような予防策が必要なのかをご紹介します。
故意に、相続財産を過小に見せることで相続税を減らせば、当然ペナルティは重くなります。故意でなくとも、申告期限を守らなかったり、申告漏れがあったりする場合にはペナルティの対象になってしまう可能性があります。きちんと理解を進めた上で、漏れなく相続財産を申告しましょう。

相続税の申告をやり直す必要がある

長い時間をかけて、やっとの思いで相続税を申告した後、何かしらの理由で申告をやり直すことを修正申告と呼びます。
ここからは、どのような場合に修正申告が必要か、いくつか例を紹介していきます。

財産の評価に誤りがあった場合

特に不動産にありがちなケースです。
不動産の価値算定は非常に複雑な計算、プロセスを経て算出されます。また、評価を担当した税理士や不動産の専門家によっても、その判断が分かれることがあります
このように、その道のプロフェッショナルでも意見が分かれるような財産の評価ですから、ミスが見つかる場合もあるのです。

また、誰も見向きもしなかったために評価されなかった財産が、実は高価なものであったり、実際には価値があったりした場合にも相続税の修正申告が必要です。

隠れていた財産が見つかった場合

相続税の申告が終わってからしばらくして、タンスの奥や隠し場所から「へそくり」や銀行の通帳が出てくることもあります。
また、土地を持っていることが後から税務調査で発覚するケースがあります。

法律を正確に理解していなかった

相続税は、親族が亡くなったときに発生した相続財産にのみ課税されるわけではありません。
実は、被相続人が亡くなる3年前までさかのぼり、3年以内に贈与された財産にも相続税がかかります。これを知らず贈与税のみ支払っていた場合、相続税の修正申告を行わなくてはなりません。
また、同様に被相続人の死後に発生する死亡退職金や生命保険金なども、相続税の対象になります。何が法的に相続税の対象になるかは、きちんと調べておく必要があります

わざと財産がないように見せかけた

相続財産の中から、本来は申告しなくてはならない土地や財産を申告しなかったことが税務調査などによって明るみになった場合には、当然修正申告が必要です。
この場合には、重い加算がされます。

申告しないとペナルティは?

前の章では、どのような場合に修正申告が必要か紹介しました。
もし修正申告せずにいた場合、相続人はどのようなペナルティを被るのでしょうか。ここからは、そのペナルティを4種類ご紹介します。

重加算税

わざと税金を申告しなかったケースや、実際にはある財産を無かったことのように偽装した場合に当てはまるペナルティです。
重加算税は、「故意」に脱税を行ったとみなされるため、重いペナルティがくだされます

重加算税が課せられる対象は、

相続税の申告書は出したものの、実際にある財産を隠した場合
相続税の申告書をそもそも提出せずに、そのうえ財産を隠した場合

の2種類にわけられ、申告書を出した場合は納付するべき税額の35%、申告書を出さなかった場合は納付すべき税額の40%を支払う必要があります。

【例】
相続税を本来200万円支払う必要があったのにもかかわらず、100万円しか支払いませんでした。この場合、実際に納めなくてはならなかった100万円以外に、…

2019.5.31

相続税と特別受益の持ち戻しとは?

相続の場面でトラブルに発展しやすい要因の一つに、不公平感があります。

例えば、生前贈与を多く受けた人が、相続人としてさらに財産を相続することになる場合があります。

贈与された財産を無視して遺産分割をすると、法定相続人同士で不公平感が生まれます。

では、どのように遺産分割をすればよろしいでしょうか。

特別受益の持ち戻しとは、相続の際の公平さを保つための手法です。

では、特別受益の額はどのようにして評価するのでしょうか。

また、どの様な財産が対象になるのでしょうか。

特別受益の対象、持ち戻しの計算法、主張の方法の具体的な内容について詳しくみていきましょう。

特別受益の持ち戻しとは

特別受益は、相続人に対して「遺贈」された財産を指します。

例えば、被相続人の子供が、被相続人から不動産の生前贈与を受けることがあるでしょう。

その不動産が、特別受益の対象になります。

生前贈与を受け取りながら法定相続分通りの遺産を受け取れば、その相続人は比較的多くの財産を手にします。

民法第903条1項では、相続人間の公平性を保つため、「特別受益の持ち出し」という制度を設けています。

この「特別受益の持ち出し」は、特別受益分を考慮しつつ、具体的相続分を算定します。

 

特別受益財産には主に以下の様なものが考慮されます。

l 持参金や支度金など婚姻のための資本

l 学資(高等学校教育を含む義務教育の費用以外)

l 不動産

l 金銭

l 有価証券

l 投資信託

l 金銭債権

l 生命保険金

l 死亡退職金

l 遺族扶助料

車やゴルフ会員権などが対象となることもあります。

幅広い財産が対象になるので、気を付けましょう。

また、生命保険の金額が、総相続財産に比べて極めて小さい額の場合は持ち戻しの対象としないこともあります。…

2019.5.31

アパートを相続するなら知っておくべき相続税のこと

相続する際の相続税の計算を複雑にするのは、不動産です。

一見したところでは価値の分かりにくい不動産を引き継ぐことになれば相続税はどうなるだろうかと心配している人もいる事でしょう。

特に、一軒家ではなくアパートメントなどの不動産との向き合い方は広く知られていないというのが現実です。

そこで今回は、不動産、特にアパートといった収入のある物件を相続する際に相続税がどのように決まっていくのか、可能な節税対策と合わせて紹介していきたいと思います。

そもそも相続税の計算方法とは?

今回紹介するのは、アパートの相続税についてですが、多くの方が相続する財産はアパートだけに留まりません。

お金はもちろんのこと、アパート以外の不動産や、有価証券などの遺産もあれば借金などの負債もあります。

そのため、相続税について全体的な知識が必要になってきます。

そこで今回は、相続税の計算方法についてご紹介します。

ここで計算方法を抑えておけば、アパートの相続税についても見通しを立てやすくなることでしょう。

相続税の算出方法

まず、財産目録を作成して遺産と債務の全てを把握しなければ相続税の計算はできません。

負債の見逃しは、相続した後のトラブルに発展します。

負債があまりに大きい場合は相続放棄できますが、放棄するには期限があります。

負債を見逃して大きな借金を背負わないよう注意する必要があります。

次は相続財産の課税価格を算出します。

遺産のうち非課税財産があれば相続財産から除外して計算します。

葬儀費用などは非課税となりますが、そうではないものも含まれていますので弁護士など専門家に相談しましょう。

課税対象のものは不動産や貴金属、骨董品などの他にも著作権、特許権といった無形のものでも課税対象に含まれます。

また、相続開始前3年間に行われた生前贈与や遺贈は相続遺産として持ち戻し計算が行われます。

生命保険の死亡保険金と死亡退職金もみなし相続財産として計算されます。

課税価格が決まれば次は相続税の総額計算になります。

その上で覚えておかないといけないのが基礎控除となります。

基礎控除は、以下の計算で求められます。

基礎控除=3000万円+相続人の数×600万円

課税価格からのこの基礎控除を差し引いた金額が課税遺産総額です。

つまり、最低でも3600万円が基礎控除となります。

課税対象の遺産総額を法定相続分で分けたと仮定して、各々に振り分けられた財産からそれぞれ相続税を算出します。

そして、算出した値を合計すれば金額が、相続税の総額になります。

不動産の相続は相続税以外にも費用がかかるのに注意!

不動産を相続した場合には、相続登記が必要になります。

その際に、相続税以外に支払わなければならない費用が出てきます。

相続人や被相続人の戸籍謄本など複数の書類が必要になってきますが、まずはその書類の取得に費用が掛かります。

また、司法書士などの専門家に手続きの代行を依頼した場合はその報酬も支払います。

そして忘れてはならないのが相続登記の際にかかる登録免許税です。

登録免許税は不動産の登記を行う際にその内容で異なってきますが、相続登記の場合は課税価格の0.4%です。

アパートの相続税評価額の求め方

ここまでは相続税の計算方法について紹介しました。

現金ならば上記の計算方法で大まかに相続税の予想をすることは出来ることでしょう。

しかし、アパートをはじめとした不動産の場合は、購入した当時の値段そのままを不動産の価値として相続税を計算するわけにもいきませんし、どうなるのか疑問に思うかもしれません。

2019.5.31

相続税がある理由。なぜ相続税の制度があるのか

人が亡くなった時に、故人の遺産を相続した人にかかる税金が相続税です。

平成27年1月には税改正が行われ、相続税の基礎控除額が下がりました。

そのため、過去と比べて、多くの方が人生のどこかで相続税を支払う可能性がでてきました。

相続する財産は故人が最後に配偶者や子供のために残すことができるものです。

亡くなった人が家族のために残した遺産に税金がかかることで、家族の生活が苦しくなることもあるのではないかと思う人もいるでしょう。

しかし、事前の節税対策で相続税を減らすことはできます。

そして、節税対策をすることにより日本の経済機能が正常に働くようにするのもまた、相続税制度の目的と言えます。

本稿では、相続税の成り立ちと、改めて相続税が存在する理由を解説します。

相続税とは

そもそも相続税とは何でしょうか。

相続税は亡くなった方の遺産を相続した場合に、かかる税金です。

必ずしも全ての方にかかるものではなく、一定の金額を超える際に金額に応じた相続税率が適用されます。

高額な相続財産が無い場合は、相続税を払う必要はありません。

相続税の申告、納税は非常に大変な作業です。

相続財産の全てを換金できるとは限りません。

全て現金で相続された場合であれば、その額を申告し、その中の一部を相続税として支払えば済みます。

しかし、相続財産には不動産など、評価額が明確ではない資産も対象になります。

相続税を支払う人は、相続財産を引き継いだ人です。

遺産を相続する権利を持つ法定相続人、もしくは特別縁故人が税金を支払う人とされます。

ただし、遺産を相続していない場合は相続税も支払う必要はありません。

また、遺言によって法定相続人ではない人が遺産を譲り受ける場合もあります。

その場合は、法定相続人ではありませんが、相続税を支払う義務があります。

相続税は法人税や所得税とは課税対象が異なります。

法人税や所得税は、稼いだ額に対して税金がかかります。

稼いだお金を使いこまない限り、納税資金は確保されます。

相続税は故人の財産に対して税金がかかります。

そのため、故人の遺産が土地や建物ばかりだった場合は、納税資金が不足するケースもあります。

その際は、相続税を払うために、今まで住んでいた家を売却するなどして、資金を確保しなくてはいけません。

一方で、土地や家を売却すると、売却益に対して更に所得税がかかります。

上記の様なケースを避けるためにも生前の相続税対策が重要視されています。

相続税の申告は故人の死亡時の所在地を管轄している税務署に行い、税務署にお金を納めます。

税務署に許可を受ければ、例外として、何年かに分けて納める延納、相続で取得した財産そのもので納める物納といった方法もあります。

納税は税務署だけでなく、金融機関や郵便局の窓口で行うことも可能です。

なぜ相続税があるのか?

実は、外国と比べても日本の相続税は高い水準にあります。

では、なぜ相続税があるのでしょうか。

いくつかの理由について解説します。

全てが納得のいく理由にはならないかもしれません。

しかし、相続税は国にとってはどうしても必要な税収でもあります。

税金がなくなってしまえば、国が国として運営できなくなります。