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【相続税 】
相続税について説明しています。相続税は相続する人物、相続の対象、評価額などによって納税の有無や納税額が異なります。また相続税を抑えるための対策もあります。相続税についての知識を得て、しっかり相続税対策を行いましょう。

2019年6月10日 月曜日

あとから財産が見つかった!相続税はどうすればいい?

誰もが人生で一度は、「相続」の悩みを抱えるでしょう。
今回はもしも相続税の申告を間違えてしまったときに、どのようなペナルティを受けなくてはならないのか、このようなペナルティを受けないためにも、どのような予防策が必要なのかをご紹介します。
故意に、相続財産を過小に見せることで相続税を減らせば、当然ペナルティは重くなります。故意でなくとも、申告期限を守らなかったり、申告漏れがあったりする場合にはペナルティの対象になってしまう可能性があります。きちんと理解を進めた上で、漏れなく相続財産を申告しましょう。

相続税の申告をやり直す必要がある

長い時間をかけて、やっとの思いで相続税を申告した後、何かしらの理由で申告をやり直すことを修正申告と呼びます。
ここからは、どのような場合に修正申告が必要か、いくつか例を紹介していきます。

財産の評価に誤りがあった場合

特に不動産にありがちなケースです。
不動産の価値算定は非常に複雑な計算、プロセスを経て算出されます。また、評価を担当した税理士や不動産の専門家によっても、その判断が分かれることがあります
このように、その道のプロフェッショナルでも意見が分かれるような財産の評価ですから、ミスが見つかる場合もあるのです。

また、誰も見向きもしなかったために評価されなかった財産が、実は高価なものであったり、実際には価値があったりした場合にも相続税の修正申告が必要です。

隠れていた財産が見つかった場合

相続税の申告が終わってからしばらくして、タンスの奥や隠し場所から「へそくり」や銀行の通帳が出てくることもあります。
また、土地を持っていることが後から税務調査で発覚するケースがあります。

法律を正確に理解していなかった

相続税は、親族が亡くなったときに発生した相続財産にのみ課税されるわけではありません。
実は、被相続人が亡くなる3年前までさかのぼり、3年以内に贈与された財産にも相続税がかかります。これを知らず贈与税のみ支払っていた場合、相続税の修正申告を行わなくてはなりません。
また、同様に被相続人の死後に発生する死亡退職金や生命保険金なども、相続税の対象になります。何が法的に相続税の対象になるかは、きちんと調べておく必要があります

わざと財産がないように見せかけた

相続財産の中から、本来は申告しなくてはならない土地や財産を申告しなかったことが税務調査などによって明るみになった場合には、当然修正申告が必要です。
この場合には、重い加算がされます。

申告しないとペナルティは?

前の章では、どのような場合に修正申告が必要か紹介しました。
もし修正申告せずにいた場合、相続人はどのようなペナルティを被るのでしょうか。ここからは、そのペナルティを4種類ご紹介します。

重加算税

わざと税金を申告しなかったケースや、実際にはある財産を無かったことのように偽装した場合に当てはまるペナルティです。
重加算税は、「故意」に脱税を行ったとみなされるため、重いペナルティがくだされます

重加算税が課せられる対象は、

相続税の申告書は出したものの、実際にある財産を隠した場合
相続税の申告書をそもそも提出せずに、そのうえ財産を隠した場合

の2種類にわけられ、申告書を出した場合は納付するべき税額の35%、申告書を出さなかった場合は納付すべき税額の40%を支払う必要があります。

【例】
相続税を本来200万円支払う必要があったのにもかかわらず、100万円しか支払いませんでした。この場合、実際に納めなくてはならなかった100万円以外に、

100万円×35%=35万円

を重加算税として納めなくてはなりません。

また、このような行為を何度も行った場合、課税率が45%に、さらに申告しなかった暁には、50%を追加で収めなくてはなりません。

さらに、この税額に加えて、無申告加算税、延滞税、過少申告加算税が追加されます

無申告加算税

無申告加算税は、決められた期限内に申告書の提出をしなかった場合に課せられます
相続税が控除内で収まり、実際には納付する必要がない場合でも、申告だけはしなくてはなりません。
もし自ら無申告である旨を申告した場合は、納付税額の5%を、税務調査の通知を受けてからだと10%を、税務調査が行われ無申告が明らかになった場合は15%の徴税が課せられます。

【例】
税務調査が行われてから、相続税300万円を申告していないことが明らかになりました。
この場合、本来納めるはずの300万円に加えて、

300万円×15%=45万円

を無申告加算税として納めなくてはなりません。

延滞税

延滞税はその名の通り、納付の期限を過ぎても税金を納めなかった場合に追加で課せられる税金です
もし期限から2ヶ月以内に納めた場合は年利が2.6%、2ヶ月を超えてしまった場合は、年利8.9%を支払う必要があります。
延滞税は毎年変動があるため、税務署から出される最新情報を確認しておいてください。

【例】
相続税の納付期限から30日後に追加で60万円を納税する必要が出てきた。
この場合の延滞税は、

60万円×2.6%×30日÷360=1300円

となり、1300円支払う必要があります。

過少申告加算税

こちらは、なるべく避けたいペナルティです。
納付期限を守ったにもかかわらず、財産の評価額に誤りがあったり、隠れていた財産が見つかったりした場合に追加で税金を払わなくてはなりません
税務調査をするという通知が届く前であれば、罰則の対象にはなりません。税務調査の通知後では追加で納付する税額の5%を、税務調査の後であれば10%を追加で払わなくてはなりません。

【例】
本来は相続税として100万円を納める必要があったにも関わらず、税務調査によって新たに土地が見つかり、50万円を追加で相続税として支払う必要が出てきました。
この場合、

50万円×10%=5万円

を追加で過少申告加算税として納めなくてはなりません。

財産の把握漏れを防ぐには?

せっかく相続の申告が完了していても、修正申告をするとなると、時間と労力、お金がかかり、良いことは一つもありません。
事前に財産をしっかり把握することで、申告漏れを防ぐことができます。ここからは、どのように財産の把握漏れを防ぐかをご紹介します。

生前に一覧を作る

一つ目の方法は、被相続人が生前に財産の一覧を作成しておくことです
生きているうちからこのように財産の整理をして可視化することは、身辺の整理とも合わせて「生前整理」と呼ばれています。
財産の一覧を作成するには、そもそも何が財産にあたるのかをカテゴリー分けし、それぞれに対して所有している財産を明確にしていくのが手っ取り早いでしょう。
例えばカテゴリーとしては下記のようなものが挙げられます。

  • 不動産銀行にある預貯金
  • 証券
  • 絵画や骨董など美術品
  • 家具
  • 現金
  • 債務

これらをExcelやノートに整理して書いておくことで、漏れなく相続税の申告をすることができます。
ネット上に財産目録のテンプレートがあるので、それらをダウンロードし、整理するのもひとつの手です。

財産の一覧を作成するのは、相続税の申告のためだけでなく、遺言の内容をしっかりと伝えること、相続人のために財産がどのくらいあるのかを知らせるためにも重要なことです。
このような資料があれば、遺産を分割する際にも兄弟間でもめることが少なくなります。
特に親族がいくつもの土地を所有している場合など、全容を把握することが難しければ難しいほど、当人である被相続人がこの資料をまとめることが重要です

郵便物や所持品から検討をつける

もし事前に財産のリスト一覧を作成することができなかった場合、被相続人の所持品や郵便物から、漏れなく財産を申告するための情報を集めましょう

例えば、郵便物からはどの金融機関を使っていたのか、どこのゴルフ場に通っていたのかなど、大まかに被相続人の行動を推測することができます。
また、被相続人が持っていたものから、その趣向や趣味を把握し、「もしかすると、これを持っていたのではないか」というものが、新たに見つかるかもしれません。
相続人だからといって、被相続人のことを全て把握していないということを念頭に置いて、財産を網羅的に調査するようにしましょう

困った場合は専門家に相談を

今回のように相続税の申告漏れに限らず、相続税に対して相談をしたいという場合、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、無料で相談できるいくつかの機関や専門家をご紹介します。

税務署

税務署は無料で相談ができる上、国が運営している機関であることから、何より信頼して相談することができます。
細々とした計算や書類の整備、実際の手続きをしてくれるわけではありませんが、相談事項がある場合や、分かりづらい制度を噛み砕いて説明して欲しい場合には、ぜひ利用してみましょう。電話での相談も受け付けていることから、近くに窓口がない場合にも、相談することが可能です。
しかし、注意すべきこととして、税務署では正確な知識を教えてもらうことはできますが、節税対策や相続税の圧縮に関しての相談には応じていません

法テラス

税務署と同様、相続に関して無料で相談できる機関です。設立に国が関わっていることから、こちらも安心して相談することができます。
法テラスは正式名称を日本司法支援センターといい、法律の相談に応じてくれる機関です。3回までなら無料で同じ相談に応じてもらえます。電話での匿名相談も受け付けているため、自分の身元を明かさずに疑問を解消したい場合にも利用することができます。
また、弁護士や司法書士を雇って問題を解決したいけれど、金銭的に余裕がないという方が、それらにかかる費用を建て替えてもらうことも可能です。
法テラスは問題を解決してくれる機関というよりは、状況を整理し、解決の方向を指南してくれると捉えるべきです。実際の解決への手続きは、法テラスで紹介してもらった専門家に相談しましょう。

司法書士

司法書士がどのような仕事をしているかはあまり知られていませんが、会社や不動産の登記手続きをはじめ、生活の中で生じた問題を解決してくれる存在です。
次にご紹介する税理士が税務の専門家であるのに対し、司法書士は法律の専門家です。
司法書士は相続の相談を法律の側面からサポートしてくれます。例えば、遺言書が正しく執行されるよう、遺言執行人を選ぶための手続きをしてくれたり、遺産の分割に必要な協議書の作成を代行してくれます。
様々な実績を持っている司法書士を探すことで、スムーズに問題や疑問を解決に導いてくれるでしょう

税理士

司法書士が法律家の専門家であるのに対し、税理士は税務の専門家です。今回のような相続税の修正申告などは手続きを含めて全面的にサポートしてくれます。その他にも、相続税に関わる税務の代行や、書類の作成代行を行ってくれます。税理士に相談すれば、一般には知られていない節税のアイデアや工夫を教えてもらうことができるため、相続税を圧縮したい方にはおすすめの相談先です

まとめ

この記事では、相続財産があとから見つかったり、申告漏れていたりした場合にどのようなペナルティがあるのか、そしてそのような事態を防ぐために、どのような対策が必要なのかを解説しました。
相続税の申告漏れは思っている以上に申告なペナルティが課せられます。ついつい大丈夫だろうと思わずに、後から大きな後悔をしないよう、被相続人に財産のリスト作成を依頼しておきましょう。

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監修者太田諭哉
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公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
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