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【相続税 】
相続税について説明しています。相続税は相続する人物、相続の対象、評価額などによって納税の有無や納税額が異なります。また相続税を抑えるための対策もあります。相続税についての知識を得て、しっかり相続税対策を行いましょう。

2019年7月17日 水曜日

土地の相続税計算に関わる「路線価」とは?

相続税について調べていく中で、何に対して相続税が発生するのか?相続税はいくらになるのか?自分でも相続税の計算はできるのか?などお悩みの方も多くいるのではないでしょうか。

亡くなった方の財産の時価に対して課税される相続税ですが、土地や家、株式、自動車、貴金属など内容によって相続税を算出するために必要なそれぞれの価値の評価方法は異なります。

今回は不動産について、その中でも土地の相続税の計算に関わる「路線価」に注目してご紹介していきます。

 

路線価とは?

土地の相続税について調べていくと「路線価」という単語を目にすることがあると思います。

路線価といわれると、鉄道や線路・沿線といった単語をイメージしてしまうかもしれませんがこれらとは全く関係ありません。

簡単に言うと、「路線価」とは国税庁が示している土地の値段のことで、土地の相続税の計算をするときに使用します。

路線価は道路に面する宅地1㎡あたりの評価額のことで、相続税や贈与税を算出する際の基準です。

 

土地の価値指標

その土地にどのくらいの価値があるのか調べる場合や、土地に関する相続税などの税金を算出するうえで4つの指標があります。

● 地価公示価格(公示地価)…国土交通省・土地鑑定委員会発表

公的な土地評価の基準となる一般的指標。
評価には、最近の取引事情や収益性なども加味される。
毎年1月1日を基準日とし、3月ごろに発表される。

 

● 路線価(相続税路線価)…国税庁発表

地価公示価格や売買の実例、不動産鑑定士による評価などを参考にした指標。
相続税、贈与税、地価税を算出する際に用いられる。
公示価格の80%を目安としている。
毎年1月1日を基準日とし、7月ごろに発表される。

 

● 固定資産税評価額…地方自治体(総務省)発表

市区町村が決めた土地にかかる税金の計算の基礎となる価格。
固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税を算出する際に利用。
公示価格の70%を目安としている。
毎年1月1日を基準日(3年に一度見直し)とし、3~4月ごろに発表される。

 

● 準地価(都道府県地価調査基準地価格)…都道府県発表

地価公示価格と似た性質の一般的指標。
地価公示価格は都市計画区域内を対象としているが、基準地価は都市計画区域外の林地なども補足されている。
毎年7月1日を基準日とし、9月ごろ発表される。

 

路線価の種類

路線価は2種類に分類されます。

それぞれの内容と、相続税にはどの路線価が適用されるのか見ていきましょう。

 

● 相続税路線価

相続税路線価は一般的に前述した相続税にかかわる路線価を指す。
土地の相続税や贈与税の計算を行う際、土地に価格を設定する場合には相続税路線価を参考にする。

 

● 固定資産税路線価

土地の固定資産税を計算するための基準となる価格。
相続税路線価が公示価格の80%を目安に設定されているのに対し、固定資産税路線価は70%を目安としている。
相続税路線価と同様に道路に面する土地の1㎡当たりの価格を示すもの。
市町村(23区は都)が決定し毎年4~6月に発表する。
3年ごとの見直しがあるが、大幅な地価の変動の際は価格の修正措置がなされる。

 

路線価が決まる仕組み

毎年更新される路線価はどのように決定されているのでしょうか。

1月1日に評価額は決定されますが、発表となるのは7月です。

そして、この約半年間の間に評価額を決める作業が行われています。

この作業は国から依頼を受けた不動産鑑定士や専門家が携わります。

・地価公示価格
・前年度の路線価
・直近の売買事例価格
・該当地近辺の都市計画情報

などを参考にして路線価は決定されていきます。

 

路線価の確認方法

該当エリアを管轄している税務署で相続税路線価は無料で見ることができますし、一部の図書館(国会図書館など)で確認することも可能です。

相続税や相続関連を専門としている会計事務所でも確認できるようですが、国税庁のホームページで調べるのが一番簡単です。

 

路線価図で確認

相続税に関わる路線価図は国税庁のホームページに掲載されています。

毎年7月ごろにその年度のものが公開され、過去6年までさかのぼって確認できます。

土地の住所を選択していくだけで簡単に調べられますが、例えば、【東京都千代田区飯田橋1丁目】の路線価を調べる場合でご説明しましょう。

① 国税庁のホームページ路線価図・評価倍率表にアクセス。
<参照>国税庁 路線価図・評価倍率表 http://www.rosenka.nta.go.jp/

② 地図上または表示されている都道府県名をクリック。

③ 「路線価図」をクリック。

④ 「千代田区」をクリック。

⑤ 「飯田橋1」の横に表示された番号をクリック。
※ 複数のページ番号がある場合は、そのうちのいずれかを選択してください。
住所や地番に関連したページ番号ではないので、どれを選択しても構いません。

⑥ 調べたい土地を地図上で探す。
※ もし見つからない場合は、画面の左側にある「接続図」から隣接するページ番号を移動してみてください。
※ 一般的な地図と照らし合わせながら、学校や公園などを目印に探してみると見つけやすくなります。

 

路線価図の見方

続いてその見方を説明していきます。

見方のポイントは3点です。

① まずはその地図が何年度のものかチェック。

地図の左右上部に年度「令和1」と記載されています。

② 地図に書かれた数字とアルファベットをチェック。

図形に囲まれた数字とアルファベットが表示されています。
数字は相続税路線価1㎡あたりの価格(千円単位)で、「610C」の場合は610,000円/㎡。
「C」は借地権割合です。
※図形で囲まれていない場合もありますが、地図の道路上に数字とアルファベットが書かれているものが路線価です。

③ 地区と借地権割合をチェック。

相続税路線価を囲んでいる図形は地区区分を表しています。
地図の上部にその意味や地区の名前があり、アルファベット「C」の割合が記載されています。

 

全国地価マップ

また、「全国地価マップ」というサイトを利用して路線価を調べることもできます。

1つのサイトで4つの公的土地評価情報を無料で見ることができます。

例えば、【東京都千代田区飯田橋1丁目】の路線価を調べる場合

① サイトを開く。(<全国地価マップ>https://www.chikamap.jp/)

② 表示された「相続税路線価等」をクリック。

③ 利用する際の注意事項が表示されるので、内容を確認して問題なければ「同意する」をクリック。

④ 都道府県の地図または住所一覧から「東京」をクリック。(※住所の直接入力も可能です)

⑤ 市町村の選択から「千代田区」をクリック。

⑥ 「大字・町名一覧」の「飯田橋」をクリック。

⑦ 「字・町名一覧」の「飯田橋1丁目」をクリック。

⑧ 「番地(街区)一覧」ページでさらに番地を選択するか、「この場所を中心に地図表示」をクリック。

⑨ 表示されたら、その地図から調べたい土地を探す。

このサイトの地図は色つきで建物の名前も入っているため、国税庁のホームページでは見つけにくい場合はこちらを利用してもよいかもしれませんね。

ただし、掲載されている土地の価格に関してこのセンターが収集した情報を公開しているためサイトの利用者は自己責任でサイト内の情報を利用すること、とされていますので利用には注意が必要です。

また、各機関のデータが発表されてから集計されるので若干のタイムラグがあります。

 

税務署でも確認可能

路線価図は該当エリアの税務署で確認できます。

また、見方がわからない場合は「税についての相談窓口」へ電話で聞くこともできます。

具体的に相続税の個別相談を希望する場合は、電話か窓口で事前に相談日時を予約する必要があるようです。

 

路線価を使った土地評価額の計算方法

では実際の計算方法について見ていきましょう。

この評価額の計算方法は「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があります。

 

路線価方式

市街地などの宅地は、路線価図であらかじめ金額が定められているので、この方法で計算します。

計算式は、(正面路線価)×(※奥行価格補正率)×(面積)=(評価額) となります。

※奥行価格補正率とは、奥行きが長く使いにくい土地は減額して調整するためにこの補正率を使います。

同じ面積でも正方形か縦長の長方形かによって、その土地の使い勝手が変わりますよね。

奥行価格補正率は国税庁のホームページに載っていますので気になる方は見てみてください。

簡単な例で計算してみましょう。

【普通住宅地区 路線価「300D」・奥行10m、幅20mで面積200㎡の土地】の場合の評価額

300,000(路線価)×1.0(奥行価格補正率)×200(面積)=60,000,000(評価額)

 

倍率方式

倍率方式は路線価が決まっていない地域(倍率地域)を評価する方法です。

倍率地域かどうかは、前述した国税庁のホームページで確認できます。

計算式は、(固定資産税評価額)×(倍率)=(評価額)となります。
こちらも例で見てみましょう。

【固定資産税評価額 500万円、宅地の倍率1.1倍の土地】の場合

5,000,000(固定資産税評価額)×1.1(倍率)=5,500,000(評価額)

 

複雑な計算となる場合も

前述ではシンプルな例で紹介しましたが、実際には複雑な形の土地の場合や2つの道路に面した土地など単純に計算できないことが多々あります。

しかし土地の評価額をきちんと補正することで相続税の負担を減らせる可能性もあるため、相続税の節税にも補正は外せないポイントなのです。

 

補正が必要な場合がある

それでは補正が必要となるのはどういった場合でしょうか。

土地評価額を算出するための計算式、路線価方式の中でも紹介した奥行価格補正率の他にも補正を行って評価する場合があります。

評価額の補正ができる土地の例をご紹介します。

① 間口が狭く奥行の長い土地・・・評価は下がる傾向

② 道路に挟まれた土地(1)(表側、裏側の両方が道路に面している)・・・評価は上がる傾向

③ 道路に挟まれた土地(2)(角地である)・・・評価は上がる傾向

④ 旗竿地(旗の様な形の土地。道路から奥まったところに土地がある)・・・評価は下がる傾向

⑤ ゆがんだ形の土地(ゆがんだ四角形、三角形の土地など)・・・評価は下がる傾向

⑥ がけ地(傾斜度が30度以上の急傾斜地である)・・・評価は下がる傾向

上記は一部の例で、実際にはその土地の形状を考慮して補正が行われます。

これらの補正について、国税庁のホームページ内に「補正率表」がありますので参考にしてみてください。

<参照>国税庁 土地及び土地の上に存する権利の評価についての調整率表http://www.rosenka.nta.go.jp/docs/mei_h19_frm.htm

 

困ったらプロに相談

前述で補正が必要な土地について説明してきました。

しかし「こんなに複雑では自分の調べたい土地の相続税がわからない!」と困っている人もたくさんいます。

その場合にはプロに相談して、相続税の問題を解決してもらうほうが安心です。

相続に関する相談は、その内容によって相談する専門家が変わります。

今回紹介してきた土地の相続税に関する相談は、税理士に相談してください。

税務署でも相続税に関する相談は受け付けていて基本的なことは教えてくれますが、相続税の節税になるポイントや注意点などの詳細までは省かれてしまうことがあるため税理士への相談がおすすめです。

相続について何を相談すればよいかわからないという方は、まずは相続の手続きの種類について調べてみるとよいのではないでしょうか。

 

まとめ

この記事では、土地の相続税に関わる路線価やその調べ方や見方、簡単な計算方法を説明してきました。

路線価は国税庁のホームページや専門のサイト、税務署で調べることができます。

自分で相続税の評価額を詳細に計算することは難しいかもしれませんが、相続税の計算には路線価という価格があり、それは1年に1度決定される価格であるということは覚えておいて損はありません。

税率の高い相続税は土地の評価額が少し変わるだけで、納める税金額が変わります

基本的な情報をしっかりとおさえておくことで、当事者となった時に困らずに進められるでしょう。

とはいえ、土地の評価額の算出などは、専門家に任せるのが確実です。少しでも自信がない場合は、相続税のプロに相談することをおすすめします。

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監修者太田諭哉
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公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
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