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【相続税】

相続税について説明しています。相続税は相続する人物、相続の対象、評価額などによって納税の有無や納税額が異なります。また相続税を抑えるための対策もあります。相続税についての知識を得て、しっかり相続税対策を行いましょう。

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ネットバンキング内の預金は相続税の対象?

ネットバンキング(ネット銀行)はご利用でしょうか?

ネットバンキングでは、インターネットを介して口座を開設し、銀行取引ができます。

店舗やATMが少ないことが難点ですが、その分、運営上のコストがかからず、普通預金の金利が高く、手数料は安く設定されていることが特徴です。

相続の際にもこのネットバンキング内に故人が預金を残すケースが増えてきました。

そのため、相続財産を整理する際には、通帳だけでなくネットバンキングのアカウントの有無も調べる必要があります。

ネットバンキングは通常の銀行と同様の税率で、相続税の対象になるのでしょうか。

今回はネットバンキングの相続について解説します。

ネットバンキングも通常の銀行と同様

基本的にはネットバンキングも通常の銀行預金と同様に相続税が適用されます。

相続税の納付義務がある場合、相続開始を確認した日の翌日から10か月以内に申告・納付をする必要があります。

ネットバンキングを運営する金融機関は預貯金者の死亡がわった時点で口座を凍結し、相続人であっても現金を引き出せないようにする必要があります。

そのため、被相続人が亡くなった後に故人のネットバンキングの口座が見つかれば、相続人は他の銀行と同じように、対象となるネットバンキングを運営する金融機関に口座凍結の依頼をしなくてはなりません。

対象の口座の凍結後に相続を行います。

預貯金の遺産分割も他の銀行と同様です。

金融機関は相続の方針が決まるまで故人の預貯金を保護します。

各相続人は、法定相続分に応じて、金融機関に対する払戻請求を行います。

その際は、相続人全員の同意を得る必要があります。

また故人の戸籍、相続人の戸籍、相続人の印鑑証明書などのいくつかの書類の提出が求められます。

ネットバンキングの預金を相続する方法

ネットバンキングの預金を相続する際には、どの様な手続きを踏めばいいのでしょうか。

実は、まだネットバンキング内の資産に関する法律の整備は脆弱です。

基本的に、ネットバンキングの預金を相続する際はネットバンキング各社の規約に沿って相続の手続きを行っていきます。

相続税と同様にネットバンキングの預金を相続する際も一般的な銀行の手続きと同じ手続きを踏みます。

ネットバンキングだからといってネットで簡単に済む訳ではないので注意が必要です。

まず、故人のネットバンキングの口座が凍結されます。

預金名義人が亡くなっても凍結されるまでは口座を使って、現金をおろすことはできてしまいますが、法律上、名義人が死亡した銀行口座は使ってはいけません。

凍結の際、銀行側が勝手に凍結を進めることはありません。

故人のネットバンキングの情報を元にご家族が銀行に問い合わせを行います。

ネットバンキングで店舗を構えている金融機関は多くありません。

基本的に手続きは、電話等でカスタマーセンターとやりとりすることになります。

その後、銀行に故人に関する様々な必要書類(死亡届、相続届請求依頼書など)を提出します。

提出を要求される書類は場合によって異なるため、詳細は銀行スタッフに確認し、その指示に従いましょう。

主に共通している提出書類としては以下があります。

・遺言書(原本)

・検認調書もしくは検認済証明書(自筆証書遺言・秘密証書遺言)

・被相続人の戸籍謄本(もしくは法定相続情報一覧図の写し)

・相続人の印鑑登録証明書

・遺言執行者の選任審判書謄本(遺言執行者が選任されている場合)

戸籍謄本、印鑑証明書はお住まいの市区町村の役所で取得できます。

相続人全員の書類に関しては、全て発行から3か月以内のものを提出する必要があります。…

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2019.5.31

相続税を支払う対象者は誰?払う必要のないケースとは

相続税法の改正により、多くの人が相続税を支払う可能性が高まってきました。

しかし、支払う必要がある対象は、一体誰なのでしょうか。

おそらく、大切な人を失った後に、自分は相続税を支払う必要があるかどうかを即座に判断できる人はいないでしょう。

本稿では、事前に準備している人や、これから相続税の支払いの有無を考える人へ、相続税を支払う対象者について、解説します。

相続税の滞納などが起こらないように法律をしっかりと確認しておきましょう。

相続税を支払うのは誰?

まず、相続税は故人の遺産を相続した全ての人が対象になる訳ではありません。

相続した遺産の総額が

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)、

つまり課税対象額が3600万円を超える人でないと支払いの対象になりません。

この相続税を支払う必要のない金額を基礎控除額と呼びます。

基礎控除額の法定相続人には、相続放棄した法定相続人も法定相続人の数に含めます。

法定相続人とは法律上、相続の対象になると考えられる人です。次の人が該当します。

・ 配偶者

・ 親、子など一親等の血族

・ 代襲相続人の孫

相続税は、受け取った遺産の金額に応じて課されます。

そのため、多くの遺産を受け取った人がより多くの相続税を多く払うことになります。

相続税は受け取った相続人が、それぞれ申告し、納税するものです。

相続人の内の誰かが代表して支払うものではありません。

他の相続人が、代理で相続税を支払うと贈与とみなされ、贈与税の課税対象になるので注意しましょう。

 

法定相続人でない人が遺言などによって遺産を受け取るケースもあると思います。

その際も、相続税を納税する義務があります。

その場合、法定相続人でない人が納める相続税は通常よりも2割加算されます。

また、連帯納付義務にも注意しましょう。

連帯納付義務とは相続人が相続税を滞納した際に、残りの相続人が相続で受け取った額を限度に連帯して納付する制度です。

1人でも相続税を納税しない人がでると、税務署から他の相続人の方に納付通知書が送付されます。

その為、相続人全員がしっかりと相続税を納税したか確認するようにしましょう。

他の相続人に迷惑がかからないように、自身の納税手続きはぬかりなく行うことが大切です。

相続税が発生しないケースもある

前述の通り、相続税の申告、納付が必要なのは相続財産が基礎控除額を上回る人のみです。相続財産が基礎控除額(3,000万円+(600万円×法定相続人の数))未満の場合は、相続税はかからず、申告も必要ありません。

相続財産は、故人が亡くなった際に保有していた財産だけではなく、生前3年以内に贈与を受けた財産も一部が対象になるので、注意が必要です。

また、故人が負っていた借金、死亡時にかかった葬式の費用は、相続財産の計算から差し引かれます。

遺産の種類によって控除も存在します。

生命保険金、死亡退職金は、受け取った金額から、一定の非課税控除額を引いた額のみを足します。

相続税を減額するために生前に対策できることもある

2019.5.31

負債を相続する際の相続税はどうなる?

相続税の際には、相続した財産に一定の税率をかけて相続税額を計算します。一方、相続した財産には現金、不動産、有価証券などのプラスとなる財産だけでなく、借金、未払金といったマイナスの財産も含まれます。

債務控除といい、マイナスの財産を相続した場合は、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いて、相続した財産の総額を計算します。

この債務控除は、金額が大きくない場合や被相続人の債務を忘れていた場合などで、引き忘れることが多くあります。しっかりと資産を調べて、申告資料を作れば、大きな節税効果も期待できるものです。

また、被相続人が遺産を上回る大きな債務を持っている場合もあるでしょう。日本の相続税の法律には、相続人が理不尽な債務を受けない為に、相続放棄という制度があります。相続を知った日から3カ月という期限の中で、必要な手続きを行えば、不要な債務を避けることができます。

本稿では負債を相続した際の相続税の取扱い、必要な手続きについて解説します。

 

負債を相続する場合の債務控除とは

相続したプラスの財産からマイナスの財産を差し引くことを債務控除と呼びます。債務控除の対象となるものには下記のようなものが挙げられます。

・金融機関からの借入金

・個人からの借入金

・亡くなった後に支払う所得税、住民税、固定資産税

・未払医療費

・未払の水光熱費、電話代などの公共料金等

・テナントから預かっている敷金

・一方で以下の負債は債務控除の対象になりません。

・団体信用生命保険で補填される住宅ローン

・墓地や仏壇などの非課税財産に係る未払金

・保証債務

 

債務控除の金額が増えれば、その分相続税は安くなります。実際には債務控除ができるのに、控除し忘れている負債があると、その分、損をしてしまいます。

被相続人の債務は漏れなく確認し、忘れずに税務署に申告しましょう。

 

借入金は、相続開始時点で現実に存在するものしか債務控除できません。相続開始日は、原則、故人が亡くなった日です。

また、税務署は、確実な債務のみを控除として認めます。被相続人が借りた一般的な債務であれば、被相続人が払う必要があるので、確実な債務です。

一方で、借入金には他に「保証債務」、「連帯債務」という種類があります。債務控除の対象は「連帯債務」で、「保証債務」は原則として控除できません。保証債務とは、他の人の借金の保証人となった際にかかる債務です。

ただし、この保証債務は必ずしも保証人が負担するものではありません。確実な債務ではないのです。

連帯債務とは、借入を複数名で行う場合です。例えば、事前に夫婦で返済の割合を決めておき、夫婦共同名義の返済用口座を作って、夫婦で住宅ローンを返済するなどのケースがあります。

この「連帯債務」は返済が全額ではないものの、確実に発生しているので、相続税の対象になります。

 

負債に対しては相続放棄という方法もある

被相続人の負債は、相続人が相続することが基本です。プラスの財産だけを相続して、マイナスの財産は相続しない、という都合のいい相続はできません

一方、被相続人が多額の借金を残して亡くなった場合、相続人には大きな負担がかかってしまいます。そんな方のために負債を相続しない方法もあります。「相続放棄」を行うと、被相続人の財産の全てを一切相続しないという選択をとることができます。その際、プラスの財産だけを相続してマイナスの財産は相続しないという選択はできません。相続放棄をとった場合は全ての財産を放棄する必要があります。

相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に手続きをしなくてはなりません。「相続開始」からではなく、「自己のために相続の開始があったことを知った時」としているのは、相続人が被相続人の死亡をしらない場合があるからです。

相続放棄をしたい場合は、まず、相続放棄申述書を作成し、家庭裁判所に相続放棄申述書を提出します。

手続きを行う家庭裁判所は、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所です。どこでも手続きができるわけではないので、注意しましょう。相続放棄申述書の書式は、20歳以上用、20歳未満用に分かれています。また、相続放棄申述書を提出する際には、戸籍謄本、住民票等の書類を一緒に提出します。

書類の提出後に家庭裁判所における調査が入ります。場合によって、裁判所から質問書(照会書)が届く場合があります。裁判所の許可がおりれば、相続放棄申述受理通知書が自宅へ郵送されます。相続放棄申述書を提出してから、相続放棄申述受理通知書の受理までは、通常1から2か月くらいがかかります。…

2019.5.31

賃貸物件を相続した場合の相続税は?

世の中には、知らないと損をしてしまうことがたくさんあります。この記事でご紹介する賃貸物件を相続することで節税を行う方法は、まさにこれに当たるでしょう。

今回は、そもそも相続税をどの様に計算するのかをはじめ、実際に賃貸物件の評価額を計算する方法や、相続について相談できる専門家についてご紹介します。

 

相続税の計算と控除について

相続税を計算するためには、いくつかの段階を踏む必要があります。この段階を飛ばしてしまったり、疎かにしたりしてしまうと、誤った税額で支払い、意図せず納め漏れてしまう可能性がありますから、きちんと理解しておきましょう。

 

課税対象になる財産を計算する

まず、課税対象となる全ての財産を洗い出す必要があります。全ての財産というのは、

・相続財産

・みなし相続財産

・相続開始前の3年以内に贈与された財産

・相続時精算課税制度が適用される贈与財産

の4つに分かれます。

 

相続財産

相続財産は、一般的に誰もがイメージする財産のことです。例えば土地や建物、株式、現金、預貯金、債権などです。

絵画やゴルフの会員権、著作権、売掛金といった、一見見逃してしまいそうなものも、金銭に変えられるものは全て財産とみなされます。

 

みなし相続財産

これは、死亡退職金や生命保険金など、故人が亡くなった時に発生する相続財産のことです。これらは一般的な相続財産と異なり、非課税限度額という、法定相続人の数に応じた非課税の範囲が決められています。

生命保険金も死亡退職金も、

500万円×法定相続人数

が非課税限度額となっています。もしも、これを超えて発生してしまった財産がある場合は相続財産とみなされ、課税されます。

 

相続開始前の3年以内に贈与された財産

被相続人がなくなる前の3年以内に贈与されたものは、課税対象になります。通常、贈与には贈与税がかかるのですが、この場合は相続税がかかります。贈与はなかったものとみなされます。

 

相続時精算課税制度が適用される贈与財産

相続時精算課税制度は、その字面通り、相続時にその財産を精算し、課税をする制度です。具体的には、親や祖父母から財産の贈与を受けた際に、2500万円までなら贈与税が非課税になり、その代わりに贈与した方が亡くなった場合にその財産を相続財産の扱いにするという制度です。

この制度を利用できる続柄や年齢は限られています。

・贈与する側が60歳以上

・贈与される側が20歳以上

・贈与する側とされる側の関係が親子か孫と祖父母

 

相続税の課税価格を計算する

全ての課税対象となる財産を洗い出したところで、

・非課税財産

・債務や葬式費用

を課税対象となる財産から引きます。残ったものが、課税価格です

 …

2019.5.31

弔慰金は相続税の対象になるのか?

弔慰金(ちょういきん)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

弔慰金は亡くなった方が働いていた会社や公的機関から、遺族がもらうお金です。

このお金を相続した場合に、相続税の対象になるのでしょうか。

今回は弔慰金が相続の対象になるのか、そして、弔慰金と間違えやすい香典や死亡退職金についてもその概要や弔慰金との違いも含めて解説しています。相続の問題は複雑で素人には難解です。

有料・無料で相談できる相手や機関も併せてお伝えしておきます。

 

そもそも弔慰金とは?

弔慰金(ちょういきん)とは、遺族を慰めるために、家族が亡くなった方に法人や公的機関が送るものです。弔慰金には、故人が働いていた企業から贈られる場合や、戦没者や自然災害で亡くなった方の遺族に対し、弔慰金を国が給付するということもあります。

弔慰金はさまざまな形で送られるものですが、そこには個人への弔いの気持ち、遺族への慰めの気持ちが含まれていることは共通しています。

弔慰金と間違えやすいものとして、香典があります。こちらも併せてご紹介しておきましょう。

 

・香典とは

香典は葬儀の際に死者の霊前などに供えるための金品のことを指します。通常は香典袋の中に入れられ、遺族に対して手渡され、喪主が受け取ります。

香典は宗教的な意味を持つため、葬儀の宗教や、故人の宗教によってその形は異なります。弔慰金が法人や公的機関が送るものであり、宗教的な意味を含まないのに対し、香典は個人からも送り、宗教的な意味を持つ点が異なります。

ちなみに、香典は一般的には社会通念上相当と思われる金額であれば、非課税の扱いとなります。

 

弔慰金は相続税の対象となる?

弔慰金について、そして香典について分かったところで、弔慰金にかかる相続税について解説していきます。

 

弔慰金は通常の範囲であれば相続税の対象にならない

通常、弔慰金は相続税の対象になりません。しかし、ある限度額を超えて受け取った場合は、その部分が退職手当金等として、相続税の対象になります

弔慰金の相続税がかからないのは以下の範囲です。

・被相続人の死亡が業務上の死亡である場合
被相続人の死亡した時の普通給与の3年分に相当する額までは相続税の対象外となります。

・相続人の死亡が業務上の死亡でない場合
相続人が死亡した時の普通給与の半年分に相当する額までは相続税の対象外となります。

また、名目上は弔慰金であっても、実質的には退職手当金であると判断される部分は相続税の対象になることがあります。

 

そもそも相続税は何にかかるのか

弔慰金の相続税については解説した通りですが、相続税は他に、どのようなものにかかるのでしょうか。

相続税は、基本的に死亡した方の財産を相続、遺贈することによって取得した財産にかかる税金です。内容としては現金や預貯蓄はもちろんのこと、土地や宝石、商圏、特許権、著作権など、金銭として見積もれる全てが対象となります。

また、次の場合も相続税の対象となります。

・相続や遺贈によってもらったとみなされる財産
この後解説する死亡退職金、被相続人が支払っていた保険料の死亡保険金などがこちらに該当します。

・被相続人から死亡する3年以内にもらった財産
死亡前3年以内に相続、遺贈で財産をもらった場合、それらも相続財産と同じように相続税の対象となります。

・相続時精算課税が適用される財産
被相続人が生きている間に相続時精算課税の対象となる財産をもらっている場合、これも相続財産とみなされ、相続税課税の対象となります。…

2019.5.31

駐車場を相続した場合の相続税は?

もし、一家で駐車場を所有していて、その名義人である人が死亡してしまった場合、駐車場を相続するにはどうすれば良いのでしょうか。その際、相続税はかかるのでしょうか。

実は、駐車場の相続を行う場合、その駐車場の形態や運営方法によって相続の方法が大きく変わってきます。

ここでは、どのような条件で土地の評価額に違いが出るのか、少しでも相続税を減額する方法など、駐車場を相続する際に知っておくべきことをご紹介していきたいと思います。

 

駐車場を相続した場合、相続税はかかるのか?

そもそも相続税とは何か?

相続税とは、被相続人の遺産を相続や遺言によって受け継いだ際に、その遺産総額が大きいとかかってくる税金のことを言います。

相続税の課税対象となる財産の代表的な例が土地や建物などの「不動産」で、駐車場もこの区分に含まれます。

相続税を納める義務がある人は基本的に、遺産を承継した相続人または遺贈を受けた人となります。ただし、小規模住宅や配偶者控除の特例が認められた場合、遺産を継承したとしても相続税を払わなくてもいいケースがあります。

また、海外資産を相続した場合にも、課税対象外となることがあります。この点に関しては、また後ほど詳しくご紹介していきます。

 

駐車場の相続税はかかるのか?

上記で述べたように、相続税の課税対象となる「不動産」の区分に駐車場も含まれるので、駐車場を相続した場合には相続税がかかります。その額は土地の評価額によって決まるものなので、駐車場の形態など様々な条件によって異なってきます。

しかし、駐車場の形態によっては更地で相続した場合に比べて納税額が低くなる場合もあり、駐車場を所有した状態で土地の相続を行うことは、相続税対策にもなり得るのです。

では、駐車場の相続税評価額はどのように決められるのでしょうか。次の章で具体的に見ていきましょう。

 

駐車場の相続税評価額の求め方

土地の所有者が自分で駐車場業務を行っている場合

駐車場の価額は、ほとんどの場合「雑種地」としてその土地が評価されます。雑種地とは、法律で定められている土地の利用区分(23類)に該当しない土地のことを言います。実際の評価方法は、その雑種地と似た付近の土地についての1平方メートルあたりの価額を基準に、それぞれの土地の形状等の条件の差を考慮して評定した価額に、その雑種地の地積を乗じて計算した金額によって評価します。

つまり、周りの似たような土地の評価額を調整して、自分の土地の評価額を決めるということになります。

これを算式に置き換えると、

駐車場を宅地として評価した場合の1㎡あたりの価額-宅地に転用する場合の1㎡あたりの造成費相当額)×地積

ということになります。

もしこの駐車場に、地盤改良や伐採、土盛りや土止めなどの工事が必要であった場合、「1㎡あたりの価額」から「宅地に転用する場合の1㎡あたりの造成費相当額」を控除することも可能ですが、都市部にある大半の青空駐車場の場合そういった状況になることはほとんどないと言っても良いでしょう。

 

駐車場業者に土地を貸して経営している場合

被相続人が貸駐車場一家で所有している土地の有効的な利用方法として、貸駐車場を運営しているというケースは多いのではないかと思います。

貸駐車場を評価する際には、土地をそのままの状態、つまり青空駐車場として貸付けているのか、利用者が屋根等の施設を自らの費用で造ることができる契約かどうかによって評価方法が大きく異なります。それぞれ、具体的に見ていきましょう。

 

土地を青空駐車場として貸し付けている場合

土地所有者自身が、所有している土地をそのままの状態、いわゆる青空駐車場として駐車場経営業者などに貸し出している場合、相続税評価は「自用地」として評価されます。

つまり、所有自身が土地をそのままもしくは砂利やアスファルトを敷いたり、フェンスを設置したりしたうえで、貸駐車場として利用した場合、自用地評価となり貸地としては評価できません。

これは単に、車を置かせてあげるというサービスについてお金を貰っているに過ぎないので、土地の賃貸借にはあたらず、貸地としては評価できません。貸

駐車場とはあくまで、一定期間自動車を保管することを引き受けることを目的とした契約であり、駐車場の利用という目的での貸付けに限定されます。

つまり、土地利用そのものが目的である賃貸借契約とは根本的に異なる権利関係であり、駐車場の利用権利は土地そのものには及ばないとされている

2019.5.31

退職金を受け取る前に亡くなった場合、相続税の対象になる?

退職金を受け取る前に亡くなった場合、相続税の対象になる?

死亡退職金といい、亡くなった方が本来受け取るはずだった退職金を遺族が変わりに受け取ることがあります。この死亡退職金は故人が直接保有していた資産ではありませんが、銀行の預金や不動産と同じように遺産の相続として認められるのでしょうか。

本稿では被相続人が退職金を受け取る前に亡くなった際に発生する死亡退職金について、相続税の課税対象になる条件、非課税枠の範囲を解説します。

 

退職する前に死亡した際に支払われる死亡退職金とは

死亡退職金は、亡くなった人が受け取るはずだった退職金を、故人の代わりに遺族に支払う制度です。会社によっては、「死亡手当金」、「功労金」と呼ばれます。

退職金は企業の退職時にもらえるお金です。法律で定められているものではなく、企業の就業規則によって支給される会社と支給のない会社にわかれています。制度に関しても、退職時にまとめて退職金が支払われる退職一時金制度と、一定の金額を年金として支給する企業年金制度などがあり、会社によって異なります。日本の企業は、一定の年数以上勤続した従業員に対して退職時に退職金を支払うことが多くあります。通常は年齢が定年に達した時に退職になり、その際に退職金が支払われます。勤めている会社の退職金が気になる方は、就業規則の中にある退職金規定を確認してみましょう。

退職金と同様に、死亡退職金についても、会社によって制度の有無がわかれます。退職金給付制度の中で、従業員が死亡した場合に、死亡退職金を遺族に支給する旨が定められていれば、死亡退職金は支払われます。

退職金も死亡退職金も支給額は会社次第です。規模が小さい会社、お金に余裕がない会社であれば、退職金制度を設けていない会社も多くあります。一般的には、対象となる人の勤務年数、役職に応じて変動します。

学校卒業後にすぐに入社し定年まで勤めあげた場合の平均的な退職金の額は、大学卒2374.2万円 高校卒2047.7万円とされています。(参照:2016年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果、日本経済団体連合会)従業員数が少ない場合はその分、額も小さくなる傾向にあります。

遺族が死亡退職金を受け取る際には、故人の勤めていた会社に対して、死亡退職届を提出します。その後、人事は亡くなった社員の厚生年金処理、遺族補償年金の処理などを行います。死亡退職届を提出した後は、担当人事から社員証などの書類の返却を求められます。指示に従って返却しましょう。

 

死亡退職金は、遺産分割となる一般的な財産とは分配の仕方が異なります。遺産分割の対象となる財産には、

現金、預貯金、土地、家屋、借地権・借家権、株式、債券、投資信託、金銭債権、損害賠償請求権、自動車、貴金属、骨董品、美術品、ゴルフ会員権、家財道具、特許権、著作権

などが挙げられます。以下のようなマイナスとなる財産もあります。

借金、買金掛、住宅ローン、未払月賦、未払税金、未払家賃、葬式費用、未払医療費、保証債務

 

死亡退職金については相続財産の決まりとは若干異なり、遺産分割の対象とはならない財産にあたります。勤務先の企業の退職金規程に基づいて、被相続人が事前に受取人を指定していた場合は、その死亡退職金は受取人の固有財産となります。被相続人が直接受取人を指定していない場合でも、企業の退職金規程等において受取人が指定されているケースもあります。その場合も死亡退職金は受取人固有の財産となります。

被相続人からの直接の受取人の指定、退職金規程等の規定がない場合は相続人の全員がそれぞれの相続分に応じて、死亡退職金を分割するケースが一般的です。そのため、死亡退職金は原則として、遺産分割の対象とは異なり、受取人固有の権利であると考えられています。

そもそも相続財産ではないので、相続を放棄した相続人であったとしても死亡退職金だけを受け取ることができます。

遺産分割協議書への記載はどのように対処すればよいでしょうか。
死亡退職金は遺産分割の対象とはならないため、遺産分割協議書への記載も必要ありません

死亡退職金の以外にも、故人が勤めていた会社から遺族が受け取るお金に弔慰金があります。弔慰金は、会社が遺族に慰めの意を表すために贈られるお金です。葬儀の際に参列者から遺族が受け取る香典とは異なります。業務上の事故等で死亡した場合は高額な弔慰金が支払われる傾向にあります。

 

死亡退職金は相続税の対象?

死亡退職金は相続税の対象になります。死亡退職金は被相続人の死亡によって受けとったものであり、「みなし相続財産」の対象です。「みなし相続財産」は被相続人が死亡した際に所有していた財産ではなく、その人の死亡によって発生した財産を指します。生命保険も「みなし相続財産」の対象です。

死亡退職金は被相続人の死亡後3年以内に、支給金額が確定しているかが、課税の基準になります。また、死亡退職金は金銭だけでなく、現物支給された物も含まれます。

退職時には被相続人は生きていたものの、支給時に亡くなっている場合も考えられます。このような場合でもその支給金額が被相続人の死亡後3年以内に確定していれば、相続税の課税対象です。

死亡退職金とは異なり、弔慰金では相続税の課税を行いません。ただし、弔慰金があまりにも高額な場合は、一部の金額が相続税の課税対象になることもあります。

具体的には、故人が業務上の死亡であった場合で、死亡時の普通給与(給料、俸給、賃金、扶養手当、その他手当など)の3年分が限度。…

2019.5.31

相続税を滞納するとどうなるのか?

故人が亡くなった日から10か月以内に、相続税の申告と納税をする必要があります。
では、相続税をこの10カ月を超えて滞納した場合はどうなるのでしょうかどうなるのでしょうか。

不注意による滞納でなくても、遺産分割協議が進まずに払えないというケースも考えられます。もしくは、10カ月を超えてから新たな財産が見つかり、再度、申告、納税をするケースもあるでしょう。

本稿では、相続税を未払いにした際のペナルティとその対策法について解説します。

 

相続税を滞納した場合のペナルティとは

延納の手続きも取らずに相続税を期限までに申告せず、未払いにしていた場合は、延滞税のペナルティが課されます

また、申告をしなかった場合、正しい申告をしていなかった場合も無申告加算税のペナルティが発生します

まず、延滞税ですが、これは未払いの税金に対する利子として発生します。本来の納付期限の翌日から最終的に相続税を納付した日までの期間に対してかけられます。

税率は納付までの期間によって以下のように異なります。

 申告書の提出期限の翌日から2か月以内に相続税を納付:年2.6%

 申告書の提出期限の翌日から2か月以降に相続税を納付:年8.9%

 

無申告加算税は税務署調査を受ける前と後で税率が異なります。

自主的に誤りや、申告漏れに気付き、申告を行った場合は、税率は低くなります。

 税務署の調査の事前通知より前に自主的に申告:5%

 

税務署の税務調査の事前通知を受けてから、税務調査を実際に受けるまでの間に申告を行った場合の税率は以下です。

納付する税額のうち50万円まで:10%

納付する税額のうち50万円を超えた部分:15%

 

税金が高くなるのは、税務調査を受けてから申告を行った場合です。

納付する税額のうち50万円まで:15%

納付する税額のうち50万円を超えた部分:20%

 

また、過去5年間に相続税の無申告加算、重加算税をかけられた経験がある場合は税金がより高くなります。

納付する税額のうち50万円まで:25%

納付する税額のうち50万円を超えた部分:30%

 

確定申告の期限から1カ月までの間は猶予期間が設けられています。その1カ月の間に自主申告を行い、税金を期限内に納付していれば、無申告加算税は発生しません。

課税を免れるために財産を隠す、書類を偽装するなどを行った場合は悪質な行為とみなされます。その場合、無申告加算税ではなく、税率40%の重加算税が課されます。重加算税も、過去5年間に相続税の無申告加算、重加算税をかけられた経験がある人の場合は税率が50%になります。

未払いを続けると他の相続人が代わり支払うことになるので注意しましょう。連帯納付義務といい、同じ故人から遺産を相続した人は、連帯して相続税を納める義務が発生しています。1人の相続人が相続税の未払いを続けた際に、他の相続人へ税務署から通知が送付されることがあります。その際、他の相続人は自身が相続した遺産の範囲内で未払いの分の税金を納付します。…

2019.5.31

相続税は電子申告できる?申告の方法は?

相続税は被相続人が亡くなったその日から10ヶ月以内に申告することが定められています。いきなりやってくる相続税申告に、戸惑いを覚える人も少なくはないでしょう。

相続開始後、相続人には期限までに必要な書類を揃えたり、大量の申告書類を作成して税務署に提出したりする義務が課されます。これらの準備にはかなり時間と手間がかかり、相続人のみで全て対処するのは至難の業です。

これらの手続きを全てオンラインで済ますことができればかなり楽になると思いませんか?
法人税や所得税においては電子申告(e-tax)が主流になってきた中、相続税の電子申告は可能なのでしょうか?

 

相続税の電子申告は現在不可

結論から言うと、現在(2019年6月)の時点では相続税の電子申告が完全には導入されていません。現状では、相続税の申告については書面による手続きしかできず、e-Tax(電子申告システム)という税の申告や納税となどの手続きをインターネット等を利用して電子的に手続きするシステムを使うことはできません。

現在のところ、電子申告が可能なのは、所得税・法人税・消費税・贈与税・酒税・印紙税・復興特別法人税の申告のみで、相続税の申告も電子申告に対応していません。

しかし、相続税についても、2019(平成31)年相続開始分の相続税申告書から e-Tax による提出が可能になる予定で、2019年10月の運用開始に向け、政府は現在システム開発を行っている段階です。

10月というのは、相続税の申告期限10か月を考慮してのことだと考えられます。これらの対応については、第3章で詳しくご紹介していきたいと思います。

 

相続税を書面で申告する方法・流れ

相続税申告の電子手続きの導入が検討されてはいるものの、完全に電子化するまではまだ時間がかかると考えられます。やはり、しばらくは続く書面ベースの手続き方法は押さえておくことが賢明です。

この章では、相続税を書面で申告する方法や流れを説明していきたいと思います。

 

まずは申告の有無を確認する

申告方法について考える前に、まずは申告の必要があるのかを判断する必要があります。相続税は、納税の義務がある場合のみ申告の義務が生じますが、例外もあります。相続税を納める必要があるのは、遺産総額が基礎控除額を超える場合のみです。

基礎控除額は以下の計算式で計算されます。

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

また、配偶者に対する税額軽減の特例を受ける場合は、たとえ申告する税額が特例により0円になっても相続税の申告は必要となるので注意しましょう。

 

申請と納付期限の確認

相続税の申請期限と納付期限はともに、被相続人の死亡翌日から10ヶ月となっています。 「申告を期限直前に行った結果、申告は終わったけど、納付が期限内に間に合わなかった」ということも起こりうるので、なるべく早めの準備を心がけましょう。

ただ、相続税は不動産などの現物を相続することも多く、多額な納税額になってしまい現金一括納付が困難である場合も少なくありません。その場合には、続税の納付における「延納」と「物納」が認められています。

延納とは、金銭的に納付が困難な場合、期限内に延納申請書を提出することで担保を提供することで、5年以内の年賦延納が認められます。また、不動産などが相続財産に含まれる場合は最長20年まで延長できる場合もあります。

一方、延納すらも厳しい場合や、延納による納付が困難となった場合に、物納申請書

2019.5.24

外国税額控除を使って相続税を抑えるには

外国税額控除をご存知でしょうか。法人税、所得税においては比較的よく使われているものです。簡単に言うと、外国で徴収された税金は、日本では徴収しないという制度になります。

実は、この外国税額控除は相続税においても活用可能です。相続の際、故人が海外に財産を持っているケースもあると思います。海外に相続財産がある場合、日本の相続税と海外の相続税が二重で課せられてしまいます。外国税額控除はそのような二重課税を回避するために特例として設けられている制度です。

2015年の改正で、非課税枠の基礎控除額が引き下げられ、課税対象が広がったことにより、相続税はより身近なものになりました。亡くなった人の約6%が相続税を支払う見込みです。そのため、活用できる控除はしっかりと学習する必要があります。本稿では外国税額控除を使って相続税を抑える手法について紹介します。

 

外国税額控除を使えば相続税の負担が減る可能性がある

外国税額控除とは、外国で納付した税額を一定の範囲で日本の税額から控除する仕組みです。二重課税を防ぎます。所得税・法人税を例に、まずは、外国税額控除についてみていきましょう。

日本の居住者と法人の所得は、海外で稼いだお金も含めた「全世界所得」に課税がなされます。一方、国外の取引により外国で課税の対象となる所得を得た場合は、同じの所得に対して日本と外国の双方で課税を受けてしまいます。これを防ぐために、所得税・法人税の場合、外国税額控除制度により控除できる外国税の限度額が決まっており、次のように算出されます。

課税年度の所得に対する所得(法人)税×(課税年度の国外所得金額/課税年度の全世界所得金額)

上記の金額を上回る金額については控除の対象外となり、通常通りの支払を行う必要があります。

相続税の外国税額控除の対象となるのは故人の海外の財産に課された相続税額です。海外で徴収された税金が、日本で徴収される税金よりも高い場合は、その金額以上の税金を納める必要はありません。日本で徴収される税金が、海外で徴収された税金よりも高い場合には、差額分を日本で納税する必要があります。

どれだけ海外で相続税を納めていても、日本で算出された相続税以上は控除できないように設計されているのです。

具体的には、下記の計算式で外国税額控除の上限が決まります。この計算式で算出される外国税額控除の上限を、外国で納めた相続税がうわまわる場合は、この上限額が控除額となります。

日本で納める相続税の額 × 外国にある財産の額 ÷ 財産総額

日本で納める相続税の額は、贈与税額控除、配偶者控除等の控除した後の日本における相続税額です。外国にある財産の額は、外国にある財産の合計額から、その財産に係る債務を控除した額になります。

財産総額は、相続により取得した財産のうち、課税価格計算に基礎算入された金額を指します。
外国税額控除の金額を計算する際は、遺産分割協議で確定した各々の納税額を使用します。

 

外国税額控除を使えるケース

外国税額控除を活用できる人は、次の要件に当てはまる人です。

・外国にある遺産を相続した人

・外国にある遺産について、外国で「相続税に相当する税」が課税された人

相続税の制度は海外によって様々です。海外では相続税を廃止する国、そもそも存在しない国もあります。

カナダとオーストラリアは1970年代に相続税の制度を廃止しました。ニュージーランドも1992年に、スウェーデンも2004年に相続税の制度を廃止しました。マレーシア、シンガポール、中国にも相続税はありません。アメリカも数億円もの資産がないと、相続税がかかりません。これらの国に財産を持っていた場合は、二重課税が発生していないこととなりますので、相続税の外国税額控除は適用できません。

また、日本の財産のみを相続して、外国にある財産を相続しなかった人も、外国税額控除の適用対象外となります。

ちなみに日本の最高税率は55%で諸外国と比べても高くなっています。フランスは40%、米国は40%、英国は40%、ドイツは30%が最高税率に設定されています。

具体的な計算例を見ていきましょう。

 

・被相続人の財産が日本と海外で一億円ずつあるケース

計算を分かりやすくするために、相続人は被相続人の配偶者1名としましょう。日本で納める相続税が5,000万円、外国で納める相続税が4,000万円とします。外国税額控除の適用をしなければ、この配偶者は海外分の相続税を4,000万円分も余計に納めることになります。具体的な控除額可能な額を計算してみましょう。

日本で納める相続税の額 × 外国にある財産の額 ÷ 財産総額