相続が発生したら、相続税を納めなければなりません。
その場合、相続税を申告して納付しますが、それで一安心というわけにはいかないこともあります。
なぜなら、相続税の連帯納付義務という制度があるためです。
実は、自分以外に相続した人が相続税を納めなかった場合、それを連帯納付する必要が出てきます。
そこで今回は、相続税の連帯納付義務について解説していきます。
どのような場合にどれくらいの金額を納付することになるのかを知って、安心して相続を完了させましょう。
相続の基本知識
遺産相続は、普段から心づもりしている人は少ないかもしれませんので、いざという時のために相続の基本知識についておさらいしておきましょう。
そもそも、相続とは、亡くなった人(被相続人)の所有する不動産や預金通帳などの財産を次の世代の人が引き継ぐことです。
法律上では、亡くなった人の妻や夫などの配偶者、その子ども、兄弟姉妹、両親などの家族が引き継げます。
日本では、私有財産(個人や指摘集団の所有する財産)が認められています。しかし、その財産を持っていた人が亡くなった場合には誰かが引き継がなければなりません。
負の財産(借金)を抱えて亡くなった場合に、そのお金を貸していた債権者が、債務者が既に亡くなったからといってその借金の返済を請求出来なくなるのも理不尽です。
そのため、相続財産を引き継ぐことで、その私有財産を維持し、取引の安定を図っています。
しかし、相続を引き継ぐには相続税を納付する必要があり、相続税には連帯納付という制度があります。
連帯納付という言葉は、あまり馴染みがないかもしれません。
この連帯納付も含め、相続手続を円滑に進められるように注意しておくことは、主に3つあります。
相続財産の内容
まず、相続の対象となる遺産が何かを確認しましょう。
現金や預貯金、不動産などが一般的ですが、昨今では仮想通貨取引をしている場合や海外に不動産を所有しているというケースもあります。借金などの負の財産や土地の権利なども財産の対象に含まれます。
一方で、相続できると思っていたものが実は相続されない財産や権利であるというケースもあります。
相続人は誰か
相続する遺産を誰が受け継ぐことになるかについても、事前に確認しておきましょう。
相続財産が確定しても、相続人が確定しなければ、きちんとした遺産相続の手続はできません。
本来は、相続人は配偶者や子、兄弟姉妹、親などの親族ですが、もしかしたら本来の相続人とは別の人に遺産を相続させたいケースもあるかもしれません。
そのような場合には遺言状がないと手続ができません。また、もし誰も相続しないとなった場合、遺産は最終的にどうなるのでしょうか。借金だらけの遺産であれば本来受け取るべき相続人は相続したくないかもしれません。
どのような財産を誰が引き継ぐのか、または引き継げるのか、事前に対応策を知っておくとよいでしょう。
そして、「相続することになる財産」と「相続人が誰なのか」が決まったら、民法の規定に基づいて遺産を分配する割合をはっきりさせておきましょう。
基本的に遺産は民法で定められた相続人と相続の分配によって分配するため、遺産をこの規定とは違う割合で分配する場合は事前に遺言書を残しておく必要があります。
相続税対策
亡くなった家族の遺産を相続する際には、相続を開始したその日から10ヶ月以内に相続税を支払わなければなりません。
ここで注意したいのが先にも少し触れた連帯納付です。
相続税は、遺産を相続した時に自分以外の人で相続税を納めていない人がいると、その相続税を連帯納付の制度に従って支払わなければなりません。
この連帯納付は、自分が支払うべき相続税をきちんと納付していても、自分以外の相続人が相続税を納めていない場合は連帯して相続税を支払う義務があるという制度です。
もし、相続税の連帯納付義務をよく理解していなければ、税務署から自分以外の相続税を支払うよう通知が来て驚いてしまうかもしれません。
そうならないよう、この連帯納付についてもどのような制度なのかをしっかり把握しておきましょう。
連帯納付については、後で詳しく説明します。
相続税とは
そもそも、相続税とは何でしょうか。
相続税とは、亡くなった人の財産を民法の規定に基づいて相続したり、遺言状に基づいて引き継いだりする際に、遺産となる財産の額が大きい場合に課される税金のことです。
相続税は、遺産を相続する人数によって控除する額が決められています。…