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【不動産の相続】

不動産の相続について説明しています。マンション、土地、貸家建付地、山林など不動産の種類によって、評価額の計算方法が異なります。また相続税の求め方も異なりますので、不動産を相続する場合は注意しましょう。

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相続不動産を売却したときに必要な確定申告とは?

自宅の土地や建物など、相続の代表格ともいえる不動産。

現金・預貯金などの流動資産と違って、日常的に不動産の売買や権利のやりとりをする機会はないため、いざ相続となってから何をどうすればいいのか調べ始める方も多いと思います。

タイミングによっては、相続税申告と確定申告を同時に進めることもありえます。

「相続だけでも大変なのに、確定申告も?言葉は聞いたことがあるけど、よくわからないし実際にやったことはないし…」と不安な方もいるでしょう。

今回は、不動産を相続した場合、どのようなケースで確定申告が必要になるのか、また確定申告の手続きは具体的にどう進めたらいいのか、詳しく解説いたします。

 

確定申告とは?

確定申告とは、1年間(1月1日から12月31日まで)の所得と、それに対する所得税および復興特別所得税の金額を計算して、税務署へ確定申告書を提出する手続きのことです。

また、計算した所得税額よりも源泉徴収や予定納税で納めた税額のほうが多かった場合は、還付を受けることができます。

多くのサラリーマンは毎月の給与やボーナスから源泉徴収され、年末調整で会社側に精算してもらいますが、その精算を自分自身でやるようなイメージです。

サラリーマンでも給与以外の所得がある方や、2ヶ所以上で働いている方は、会社(1ヶ所)で年末調整を受けた後に確定申告、という流れになります。

 

不動産の相続で確定申告は必要?

不動産を相続したからといって、必ず確定申告しなければならない、というわけではありません。

不動産も財産のひとつとして相続税もしくは贈与税の課税対象となるので、そこへ所得税をかけると二重課税になってしまいます。

ただし、相続した後の不動産の取り扱いによっては、確定申告が必要となる可能性があります。

 

確定申告が必要となるケース

例えば被相続人の自宅を相続し、そこに住み続けるのであれば、所得税は発生しません(相続税や固定資産税は発生する可能性があります)。

所得税がかかる=確定申告が必要となるのは、相続した不動産によってなんらかの利益が発生している場合です。

具体的なケースを見てみましょう。

 

家賃収入が発生している場合

土地や建物などを相続し、その不動産を貸し付けて収入を得ている場合、不動産所得として確定申告する必要があります。

計算方法は以下のようになります。

総収入金額-必要経費=不動産所得の金額

○総収入金額

・名義書換料、承諾料、更新料、頭金など
・敷金や保証金など、返還しないもの
・共益費(電気代、水道代、掃除代など)

○必要経費

・固定資産税
・損害保険料
・減価償却費
・修繕費

 

遺産分割協議中に発生した不動産所得は、相続人全員に共有のものとなります。

それぞれ相続する割合が確定するまでは法定相続分に応じた申告をしなければならないので、注意しましょう。

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2019.8.18

相続財産が自宅のみの場合の分割方法とは?

亡くなった親が住んでいた自宅を相続することになったとしましょう。

もしも遺産が自宅のみだったら?

その自宅が、過去に自分も住んでいた思い入れのある家だとすると、そのまま残したいと思うでしょうし、両親と一緒に住んでいたのなら思い出と共に今後もそこに住み続けたいなどと思うでしょう。

しかし、相続人が自分以外にもいる場合にはどうすればいいのでしょうか。

また、高齢になり、人生のエンディングのことを考え始め「相続財産は自宅のみだな」と気付いた方。

自宅のみだからといって、相続の準備を怠ってはいないでしょうか。

自宅のみが残されて相続人が複数人いる場合、物理的に分けられませんので、相続人同士で争いが起こってしまう可能性もあります。

「老後の面倒を見てくれた相続人に自宅のみ譲り渡したい」と思っていても、相続財産の分割のなかでは思ったようにいかないケースもあります。

本記事では、相続財産が自宅のみのケースについてご紹介します。

 

遺産分割とは?

遺産分割とは、亡くなった人が遺言を残さないまま亡くなられた場合に、その遺産を相続人全員の共有の財産とし、相続人で話し合いを行うことによって分配の詳細を決めていくことです。

相続財産が自宅のみの場合、分割せずにそのまま置いておくことも可能です。

遺産分割に期限はありませんが、相続人の共有で持っていた財産の売却や賃貸などが必要となった場合には相続人全員で話し合いをしなくてはなりません。

その時に、兄妹などすぐ連絡が取れる人ばかりが相続人であればいいですが、兄妹がすでに亡くなっていて、その配偶者や子ども、孫など相続人が多数になっていた場合は、全員での協議が難しくなります。

全員が話し合いの場に集まれない場合は、代理人を立てるなどの手間や料金も発生します。

そうした理由で遺産分割は、遺産が亡くなった方の自宅のみというケースであっても、すぐにしておくべきだといえます。

相続財産は、相続割合に基づいて「分ける」必要がありますが、遺産が亡くなった方の自宅のみのように、物理的に簡単には分けることができない場合は、どうやって対応していけばいいのでしょうか。

 

相続財産が自宅しかないとき、トラブルになりやすい理由は?

例えば、亡くなった人に子どもが2人、長男と長女がいたとしましょう。

長男は亡くなった親と同居していて、長女は結婚し県外で暮らしているとします。

この場合、たとえ遺言で「自宅は長男が相続する」という旨があったとしても、法律的には相続人であれば最低限もらえる割合「遺留分」が定められているため、長女が権利を主張すれば相当分の遺産を譲らなければなりません。

しかし、相続財産が自宅のみの場合は先にも記したように、物理的に分けることができないため、場合によっては、その自宅を売却した金額で調整しないといけない場合もあります。

遺産が自宅のみの場合に、仮に遺言がなければ法定相続分の割合の額を支払わないといけません(遺言がある場合は、本来もらえる額の半分が遺留分となります)。

お金に余裕があれば良いですが、長男がこの件によって住む場所に困ってしまうこともあり得ます。

支払えたとしても、自宅のみといっても不動産の額を元にした割合なので支払う額が大きく、相続人の間で遺恨が残ったり、トラブルになってしまったりということもよくあります。

 

遺産が不動産、しかも自宅のみの場合の分割方法は?

遺産が自宅のみの場合にはどのように分割したらいいでしょう。

それぞれの状況に合わせて紹介します。

 

自宅を売るか、残すかで決まる

遺産が自宅のみの場合は、自宅をそのまま残すか売却するかで方法が変わってきます。下記にそれぞれのケースでの分割方法を説明していきます。

 

自宅を残す場合の相続

自宅を残す場合の相続分割方法は、下記の3つの方法があります。

 …

2019.8.17

相続不動産は遺産分割協議中に売却可能?勝手な売却の対処法も

遺産分割協議中は、どの遺産を誰が相続するのかまだ決まっておらず、話し合い中の状態です。

しかし遺産分割協議中であっても、相続人のさまざまな事情で不動産を売却したい、と思うことがあるかもしれません。

遺産分割協議中に土地や建物などの不動産を売却することはできるのでしょうか?

また、遺産分割協議中の財産はどんな扱いになるのでしょうか?

そのほか、遺産分割協議中はどのようなことに気をつける必要があるのでしょうか?

本記事では遺産分割協議中の相続財産の売却にまつわる情報を伝えます。

 

遺産分割協議中に、財産は売却できる?

被相続人の遺産をどのように分配するのか、残された相続人と決めていく話し合いを「遺産分割協議」といいます。

この遺産分割協議中は、当然ながら遺産の持ち主であった被相続人は亡くなっている状態です。

遺産分割協議中の被相続人の財産はどのような位置付けにあるのでしょうか?

また、その財産が建物や土地などの不動産であった場合、遺産分割協議中の維持・管理などのメンテナンスは誰が行うのでしょうか?

遺産分割協議中に財産の売却や賃貸契約などはできるのでしょうか?

 

 遺産分割協議中の財産は「共有状態」

遺産分割協議中の財産の状態については、「遺産共有」と呼ばれています。

「遺産共有」とは、動産や不動産の所有者が亡くなった際、法定相続人による遺産分割協議が行われていない、もしくは遺産分割協議中で、遺産が法定相続人の間で共有となっている状態を指します。

このような遺産分割協議中、遺産が共有の状態にあるとどうなるのでしょうか?

 

共有状態にあるとどうなる?

この遺産分割協議中の共有状態でできることは、財産の「保存」行為です

建物の補修や修理、敷地内の樹木の剪定などのメンテナンスを各共有者が行うことができます。

“民法第252条

共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。”

同時に遺産分割協議中には固定資産税も納付する必要があります。

しかし、共有している者全員の同意なしに、財産の建築、大規模な修繕や取り壊しなどの処分は行うことはできません。

 

売却などの行為には合意が必要となる

同様に、遺産分割協議中は財産の売却や賃貸借契約締結などの変更行為に関しても、他の共有者全員の同意がないと行うことができません。

“民法第251条

各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。”

遺産分割協議中の共有状態では、共有者の一部がこのような変更をしようとしている場合、他の共有者がその行為を禁止し、原状回復を求めることもできます。

2019.7.21

小規模宅地等の特例とは?|宅地の相続における必須知識

大切な人が亡くなって悲しんでいるときに、すぐに相続税のことを考えられる方はそういないでしょう。

ですが相続税の納期は、悲しみに浸っている間にどんどん迫ってきます。「相続税を早く支払わなくては」と焦って支払いを済ませてしまうと、様々な特例を利用せずに、税金を多く払いすぎてしまう可能性があります。

今回ご紹介する「小規模宅地等の特例制度」も、相続税を減額することが出来る特例のひとつです。

では、小規模宅地の特例とは、どんな制度なのでしょうか。小規模宅地等の特例を賢く使えば節税になるかもしれません。いざというときのために、知識として備えておきましょう。

 

小規模宅地等の特例とは?

土地を相続することになったとき、都市部の土地だったために価格が高く、相続税も高くついてしまい、相続税の支払いのためにしぶしぶ土地を手放した、といった話を聞いたことがありませんか?

亡くなった方から譲り受けた土地を手放すのはとても残念なことです。そうならないためにも、小規模宅地等の特例を利用することで土地の評価額を下げ、それによって相続税も引き下がるという節税制度が「小規模宅地等の特例制度」です。

実際にはどのように節税につながるのか、小規模宅地等の特例について詳しくみていきましょう。

 

小規模宅地等の特例の概要

国税庁のHPには、「個人が、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その相続の開始の直前において被相続人等の事業の用に供されていた宅地等又は被相続人等の居住の用に供されていた宅地等のうち、一定の選択をしたもので限度面積までの部分(以下「小規模宅地等」といいます。)については、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額します。この特例を小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例といいます。」と書かれています。

ちょっと難しいので、わかりやすくいいかえると「小規模宅地等の特例とは、条件に合えば亡くなった方が残してくれた居住用の土地や事業に使っていた土地を相続する際に適応できる制度で、小規模宅地等の特例を利用することで、土地の評価額を引き下げることができる。」ということになります。

この小規模宅地等の特例を使うと、土地評価額を最大80パーセント減額できます。このことから、小規模宅地等の特例は非常に大きな節税対策といえます。

小規模宅地等の特例を利用すれば、相続税額が抑えられるので、税金を支払うために土地を手放すといったことが起きずに済むかもしれません。知っておかないと損をするといっても過言ではないでしょう。

 

小規模宅地等の特例、使う/使わないでこんなに違う

それでは、具体的に小規模宅地等の特例を使う場合と使わない場合では、相続税にどのくらいの金額の違いが出るのかみていきましょう。

例えば、父、母、子供、3人の家族構成で、大黒柱である父が亡くなってしまったとします。亡くなった父の財産は、住んでいる家6,000万円と現金や生命保険などを合わせた2,000万円です。

・小規模宅地等の特例を使わない場合

相続財産(家6,000万円+その他2,000万円)8,000万円ー基礎控除(3,000万円+相続人(3人)×600万円)4,800万円=相続税640万円

・小規模宅地等の特例を使った場合

相続財産(家6,000万円×20%+その他2,000万円)3,200万円ー基礎控除(3,000万円+相続人(3人)×600万円)4,800万円=相続税0円

後者は基礎控除が相続金額を上回ったため、相続税は0円となります。

この計算に出てくる基礎控除とは、税金がかからない範囲の金額を示します。仮に、相続財産がもともと少なかった場合には、小規模宅地等の特例を使わなくても相続税が0円になるケースも考えられます。

 

注意すべき点は、相続税が0円でも税務署への申告が必要となる点です申告がない場合、小規模宅地等の特例は受けられません。申告をして初めて、小規模宅地等の特例が適用になるので、申告は忘れずに行いましょう。

相続財産の金額によって差はありますが、小規模宅地等の特例を使った場合と使わなかった場合、上記の例では相続税が640万円から0円になるという大きな差がでました。…

2019.7.16

【相続税の計算】海外にある不動産を相続する場合

家族が亡くなったら、とても悲しく辛いですが、悲しんでばかりもいられません。遺族は、さまざまな手続を行う必要があります。

その中でも、特に遺産相続に関する手続きは、兄弟姉妹にトラブルが起こりやすく、事前に準備しておいた方がスムーズに進行できます。

特に、相続税の申告・納税は期限を過ぎてしまうと追加徴税を課されたり、借金の相続が必要となったりするので注意しましょう。

昨今では、日本でも海外に不動産を所有する資産家の方も増えており、海外の別荘やリゾートマンションなどを円高の機会に購入する投資家も多くなっているため、海外の不動産の資産価値は上がっています。

国内の不動産を購入していた場合は、その時価と相続税評価額が異なるため、不動産を購入することが相続税の節税対策となり得るのですが、海外の不動産を相続する場合はどうなるのでしょうか。

日常生活を送る上で何度も経験することではないからこそ、事前に知っておいた方がいざという時に困りません。

今回は「【相続税の計算】海外にある不動産を相続する場合」をご紹介します。

 

海外の不動産を相続

亡くなった方が海外に不動産を持っていると、その遺族は相続するか放棄するかの選択肢を突きつけられます。

海外の不動産の中には、固定資産税評価額が存在しない国もあるため、税務上、相続税評価額の計算はたやすくはありません。

日本の国税庁では、税法の法令解釈通達の第1章総則で「評価方法の定めのない財産の評価」のうち、「国外財産の評価」を下記の通り定めています。

「5条の2 国外にある財産の価額についても、この通達に定める評価方法により評価することに留意する。 なお、この通達の定めによって評価することができない財産については、この通達に定める評価方法に準じて、又は売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価するものとする。」

わかりやすく言うと、海外の不動産は、この通達の定めでは評価できない財産であり、時価などを参考に算出するか、算出できない場合には専門家に評価額を出してもらいましょう。

 

海外の不動産も相続税がかかる

国内の税法では、海外の不動産も国内の不動産と同様に相続税がかかり、日本と同様に評価額を算出する必要があります。

そして、遺産に課される相続税を納める納付期限は被相続人が死亡した日の翌日から10ヶ月以内と定められており、期限までに納付できない場合には延滞税が課されるので注意しましょう。

 

納税義務

海外の資産を相続しようとする全ての人に、日本で相続税を納める義務はあるのでしょうか。

具体的に、納税義務は、下記の3つのパターンに分けられます。

1)相続が発生する時点で、相続を受け取る相続人または財産を残して亡くなった被相続人のいずれかが日本に住んでいる場合は、相続人に相続税を納める義務があります。

2)日本に住んでいなくても、過去10年以内に先の相続人もしくは被相続人が、日本に居住していた場合は相続人には相続税を納める義務があります。

3)相続人と被相続人が海外に移住してから10年以上を経ている時には、日本国内にある相続財産に課された相続税のみを納める義務があります。

 …

2019.7.14

相続税の節税 | 不動産相続と現金相続、どちらの方が節税になる?

相続することができる財産の種類は多岐にわたります。

多くの方はまず現金、預貯金などの金融資産を思い浮かべるでしょう。株式や国債などもこちらに含まれます。それ以外に、所有している土地や建物などの不動産、家具や車といった動産に分類されるものがあります。

財産の種類によって課税される相続税が異なってくるのはご存知でしょうか。

現金の金額にすれば同じ価値に見える「財産」でも、その種類によって算出される相続税に大幅な差が出てきます

例えば現金で保有している1億円と、1億円分の土地などの不動産では、一見同じ価値でも相続税は現金より不動産の場合の方が安くなります。

だからといって被相続人の死後に遺産である現金を使って不動産を購入しても、土地を相続したとは認められません。なぜなら、原則として「相続開始時」=「被相続人が亡くなった時点」で相続税の計算が行われるためです。

そのため、相続税の節税対策をする上では生前から早めに取り掛かることが重要なポイントとなります。

後悔することのないように、今回の記事では、相続税の対象となる財産のうち現金と不動産を比較して、相続税を節税する上でどのような違いが出てくるのかを見ていきましょう。

 

現金相続と不動産相続、相続税が節税になるのは?

相続税の計算にあたっては、相続財産が持っている価値を具体的な金額にして評価した「評価額」を算出する必要があります。

評価額が下がれば、その分相続税を安くすることができます。あらゆる財産について、評価額を下げられる細かな規定が国税庁による「財産評価基本通達」に定められていますので、これを余さず適用していくことが相続税を節税する上で重要となります。

評価方法の基礎となるのは、相続開始時の「時価」となります。

現金で保有している財産についてはその金額がそのまま100%時価であり、相続税の計算における基礎となる「評価額」となりますが、一方、不動産に対しては時価をそのまま評価額とするのではなく、評価を減額する規定が多くあります。

条件に該当すれば、本来の不動産そのものの時価より大幅に減額して評価することが可能なのです。

 

不動産の評価方法

相続税の不動産評価方法には「路線価方式」と「倍率方式」の2通りがあり、どちらの方式で計算を行うかについては自由に選べるわけではなく、予め地域ごとに決められています。

評価の際には、相続する不動産がどちらの評価方式の対象となるのかを国税庁から公表されている路線価図・評価倍率表と照らし合わせて確認します。

 

・路線価方式

路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことで、国税庁によって毎年定められます。

この「路線価」という指標によって相続税評価を行う方式が路線価方式です。おもに市街地や住宅地などの土地が該当することが多いです。

路線価方式の場合、一般的に使いやすい土地、例えば正方形に近く平坦な宅地のような土地が想定されています。しかし、土地によっては傾斜があったり形がいびつであったりと全てがそのような使い勝手の良い土地であるとは限りません。

そのため、土地の形状などの特徴によってさらに評価減額が可能な規定が相続税法によって細かく定められています。

 

・倍率方式

路線価が定められていない地域の土地は「評価倍率表」を用いて相続税評価を行います。おもに人口の少ない地方の土地、山林、田畑がこれに該当します。

土地などの不動産の固定資産税評価額に所定の倍率をかけて相続税評価を算出します。

このように倍率方式の場合、固定資産税評価の時点で土地の特徴に応じて評価減額などの調整が行われているため、路線価方式と比較して計算が容易であるといえます。

 

現金は不動産にしたほうが相続税の節税効果大

不動産に対する評価制度の存在によって、相続税の減額が可能なことがお分かりいただけたでしょうか。

これは、価額がそのまま相続税の基礎となる現金との大きな違いです。

相続税の節税という観点では、現金で財産を保有することはもっとも節税に向かないといえるでしょう。

相続する財産のうち、現金の割合が高ければ高いほど相続税も比例して高額になるのです。

 

価値の変動のない現金の方が安心であるという考え方も根強くあるでしょう。実際に相続税を支払う際には現金が必要になりますから、不動産化すると支払い時に困るという懸念もあります。…

2019.7.13

相続税・贈与税と「不動産の名義変更」の関係とは?

相続が発生すると、亡くなった親から実家を譲り受けるなど、不動産の相続もしばしば発生します。

その譲り受けた不動産に実際に住む、売却して資産とする、運用するなど、不動産相続後の使い道もさまざまです。

相続後、スムーズにその不動産の使途を果たすには名義をしっかり変えておくなど、それ相応の手続きが必要となってきます。

また、相続で譲り受けた不動産にも相続税がかかってきます。

こちらについても譲り受け方により相続税が控除できる制度があるので、しっかり把握しておくことが大切です。

本稿ではそういった不動産名義と相続税に関する情報を中心にご紹介します。

 

相続時の不動産の名義変更について

被相続人から不動産を相続した場合、不動産の名義を変更する「相続登記」という手続きが必要です。

この手続きは義務ではありませんが、名義を変更しておいた方がメリットとなるケースが多いため、今回は相続登記(不動産の名義変更)について紹介します。

 

相続登記とは

相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった場合、故人の名義になっている土地・家・マンションなど不動産の名義を変更する手続きのことです。財産を引き継ぐ相続人へ名義を変更することとなります。

これには登記申請が必要となり、登記申請を行うことによって、不動産の名義が代わり、不動産の所有者が代わります。

相続登記(不動産の名義変更)を行う人は次の3パターンに分かれます。

・相続人みんなで遺産分割の話し合いをして相続登記
・遺言の内容に従って相続登記
・法定相続分で相続登記

特に申請に期限はありませんが、そのままにしておくとさまざまなデメリットがありますので、なるべく早く手続きすることがおすすめです。

 

相続登記の手順

相続登記手続き(不動産・土地・家・住宅・建物の名義変更)をするには、不動産のある住所の管轄地である法務局に行って、相続登記(不動産の名義変更)を申請します。

相続登記手続きの流れは、次のようになります。

①相続の発生
不動産の持ち主が亡くなることにより発生します。

②遺言書の有無の確認
遺言書の有無によって、相続財産を取得する人や相続登記の手続き、必要書類がかなり変わってきます。

便利な方法として、公証役場で公正証書遺言検索システムを利用するとよいでしょう。自筆証書遺言の場合は、遺言書検認の手続きを行います。

③相続人の調査・確定
遺言書がない場合、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本などの書類を確認します。この書類を元に、相続関係説明図(いわゆる家系図)を作成します。

④相続財産の調査・確定
遺産が多い場合には、死亡後10ヶ月以内に相続税の申告が必要です。

逆に、相続債務が多い場合、相続発生後3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述によって、債務を引き継ぐことを免れます。

相続税は、相続財産の合算にかかってくるので、相続財産や債務がどのくらいあるのかを早めに確定しましょう。

⑤遺産分割協議
誰がどの財産をどれだけ相続するのか、すべての相続人で協議します。

相続人に未成年者がいる場合は特別代理人を、行方不明者がいる場合は相続財産管理人をそれぞれ選任しなければいけません。

⑥遺産分割協議書の作成

2019.7.12

【相続税の計算】一軒家を相続した場合|節税も解説

相続税について、考えることはありませんか?

そのタイミングは、高齢の両親が病気をした時や大黒柱の夫が倒れた時など様々だと思います。

もしも相続をすることになったら、相続税という税金はどれくらいかかるのだろう?

そんな不安が湧いてきませんか?

相続税という言葉を聞くと、高額な税金を取られてしまい結局何も残らなかった、なんて話も聞いたことがあります。

今回は、一軒家を相続したらどのくらい相続税がかかるのかを調べ、節税対策についても考えてみました。

 

一軒家の相続税はどのくらい?

一軒家を相続すると、相続税はどのくらいかかるのでしょうか。

一軒家の大きさや土地の広さによって相続税は変わってきますが、そもそも一軒家の価値を評価するだけでは、実際に支払うことになる相続税額は計算できません。

 

一軒家だけの相続税額の計算はできない

それでは、なぜ一軒家だけでは相続税額の計算ができないのでしょうか。

その理由は、相続税は財産ごとに分けて計算するのではなく、相続する財産の総額に対し、いくら払うかが決まるためです。

家の価値がいくらなのかは重要な要素ではあるものの、それだけでは相続税額を算出できません。相続財産の総額を算出する必要があるのです。

 

では財産の総額を計算するためには何が必要でしょうか。

まず最初に、相続税の課税対象と非課税対象について確認してみましょう。

 

・課税対象

1.現金、預金、不動産、貴金属、書画骨董など(日本国内だけでなく海外所有のものも含む)。
2.みなし相続財産(死亡保険金や死亡退職金のように亡くなってから受け取るもののこと)。

貴金属のように金銭的な価値のあるものは全て課税対象といわれても納得ができます。

しかしながら、死亡保険金や死亡退職金にまで相続税がかかるのは、亡くなった時のお金やこれまで働いてきた証のお金にまで…とがっかりしていまいますよね。

ですが、これらも現金とみなされるので必然的に相続税として認識しなければなりません。

子供のため、孫のためと貯めていた名義預金すら課税対象になるので注意が必要です。

 

・非課税対象

1.墓地・墓石・仏壇・仏具・仏像・神棚・庭内神し(ていないしんし)
2.相続人が国や地方公共団体などに寄付した相続財産

非課税対象となるものは、お寺などが税金を優遇されるのと同じように営利目的でないものです。

財産を現金で残さずに、墓所を生前に購入しておくこともある種の節税といわれています。

 

まずは遺産総額を算出

一軒家の相続をする際、相続税額が気になるのであれば、まずは一軒家以外にどのくらいの遺産があるのか調べる必要があります。

遺産の総額を計算してからでないと、トータルの相続税額は算出できないということを覚えておきましょう。

総額をもとにどのように計算するかは、後ほど詳しくご紹介します。

次は、一軒家の価値を評価する方法について見ていきましょう。

 …

2019.7.11

【相続税の計算】土地を相続した場合|節税も解説

皆さんは相続を経験したことがありますか?

人生で遺産や土地を相続する機会は、そう多くないですよね。

相続税はどうなるの?土地は?など様々な疑問が浮かぶことと思います。

知識を持たずに進めてしまうと、相続税を払い過ぎてしまうことになります。

また、相続が原因で兄弟や親族の中が悪くなったり、相続がきちんとできなかったり色々問題が出てくることもあるでしょう。

親が亡くなってから、配偶者や子が土地を引き継ぐことを「相続」、親が生きているうちに配偶者や子孫が土地を引き継ぐことを「生前贈与」といいます。

「こうしていればよかったのかな」と後で後悔することのないように、相続税の計算や事前の準備などについても詳しくみていきましょう。

 

土地の相続

遺産に土地が含まれている場合、相続を進め相続税を算出する上で重要になってくるポイントがいくつかあります。

まず、所有者を被相続人から相続人の名義に変更する手続きが発生します。

これは厳密にいうと義務ではなく期限もないのですが、被相続人名義のままにしてしまうと、売却、建て替え、借り入れ時の担保にするなどの取り扱いが一切出来ないので非常に困ることになります。

また、土地はそのままでは公平に分けることが難しい財産であるため、複数の相続人がいる場合、どのような方法で分割するか協議する必要が出てきます。

具体的には、土地そのものを分ける、売却するなどして現金化した上で分ける、土地を受け継いだ相続人が他の相続人に相応の現金で代償金を支払う、といった方法から検討することになります。

これは相続税額にも影響しますので、慎重に協議する必要があります。

そして、土地はそのままの時価が相続税対象になるわけではありません。

現金に換算するとどれほどの価値があるかという「不動産評価額」を基準にして相続税が計算されます。

この記事では、土地の評価方法と相続税の算出・節税について詳しく解説していきます。

 

土地の相続税計算の前に

なぜ土地の相続税計算をするのかというと、亡くなった方の財産をお金の価値に変えて、相続税を算出するためです。

相続税って何?と思っている方もいますよね。

相続税とは親や親族から遺産や土地を受け継いだ場合に、遺産総額の金額が大きい場合にかかる税金のことです。

詳しくいうと、土地の評価額が「基礎控除額3,000万+(600万円×法定相続人数)」を超える場合にかかります。

遺産総額が基礎控除額の一定金額より少なければ、相続税は課税されません。

つまり、相続税評価額が3,600万円に満たないなら、相続税を払う必要はありません。

 

次に、相続税を計算するにあたり、土地の名義変更の手続きをせねばなりません。

被相続人(亡くなった方)の名義になっている土地を、相続人の名義に変更する手続きを相続登記といいます。…

2019.6.18

ペアローンの相続は?配偶者が亡くなった場合、親が亡くなった場合

家を買うという事は、人生においての大きな決断の一つであり、絶対に失敗を避けたい場面の一つでしょう。

夫婦でローンを組んで、より住みやすい家を買いたいと考えているのなら、ペアローンというローンの組み方があります。

ペアローンは共働きの夫婦にはうってつけで、現代の夫婦の形にも適したローンであると言えます。

しかし、このペアローンを「相続」するとなると、注意点がいくつかあります。

円満な相続のために、この記事を参考にしてみてください。

 

ペアローンとその仕組みとは?

そもそも、ペアローンとは何でしょうか。

ローンとひと口にいっても多種多様な形が存在します。

ペアローンは一般的には夫婦で組むことが多く、パートナーと手を取り合い一蓮托生で負債を返済していくローンです。

夫婦で家を購入し、新たな門出を成功させるために、この章ではペアローンの仕組みや成り立ちを多方面から解説します。

 

ペアローンを組む事とは

ペアローンは一人でローンを構築する際、希望の借入額に届かないケースに採用するのがほとんどです。

ペアローンを組むことによって、二人で一つのローンを組むことになるので、借入額が上がり一人でローンを組む時よりも高額な物件を購入することが可能となります。

 

ペアローンの大まかな仕組み

ペアローンとは相互関係で借入をするパートナーの連帯保証人になることを意味します。

連帯保証人制度とは万が一、借り入れた借用人が返済する能力が認められなかった時、借用人に代わり連帯保証人が全額返済する義務を負う制度のことです。

そのため連帯保証人とは極めて責任の重い役割であると言えます。

ペアローンは、お互いがお互いの連帯保証人になることで、有事の時はパートナーの全責任を負うリスクと引き換えに、一人の時よりも条件の良い家に住むことを叶えるのです。

 

ペアローンのメリット・デメリット

ペアローンのメリットの一つは、二人の年収で借りたほうが借入額を増やすことができ、金利の優遇が大きくなる可能性があることです。

また、二人で住宅ローン控除を受けられる等も利点です。

一方で、気を付けなくてはならないデメリットもあります。

互いの連帯保証人になるというペアローンの礎が、二人で心強いというメリットと表裏一体のデメリットであるといえます。

例えば、ペアローンを借り入れたパートナーが仕事を失い、収入がゼロになったとします。

その場合に連帯保証人であるがために、パートナーの返済まで負担することとなります。

また、返済が滞るなどすると、場合によっては借入先に一括返済を求められるケースもあります。

 

配偶者が亡くなってもペアローンは相続の対象ではない

配偶者が亡くなっても、自らが負担する負債を完済しない限り、ペアローンを利用して購入した物件は相続できるわけではありません。

この場合、手元に現金があるなら、夫か妻のいずれかのペアローンを完済する方法がおすすめです。

一方のペアローンを完済すると住宅の名義や持分割合はそのままで、抵当権のみが抹消されます。

また、完済すれば債務はすでに終了しているため、贈与税も発生しません。

ただし、一括返済をする場合、完済する当人の預貯金から出金することが必要です。

 

配偶者が亡くなった場合は二人分を返済するくらいの覚悟が必要

もし、ペアローンを組んでいるパートナーに不幸があり、亡くなった場合、ペアローンにより購入した不動産は亡くなった側のローンはゼロになりますが、もう一方の負債はそのまま残ります。