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【相続放棄について】

相続放棄について説明しています。相続放棄のメリットやデメリット、相続放棄が有効なケース、注意点や期限などについてまとめています。

最新記事

相続放棄は取り消し可能?取り消す方法と条件を解説

「一定の期間が過ぎると相続放棄はできなくなるから、早く済ませよう。」

と慌てて放棄をしてしまい、あとで後悔するといったケースが見受けられます。

「借金しかないと思っていたら、現金はなかったけど株式がたくさんあった。」

「叔母に相続の放棄を勧められた。遺産のことはよくわからなかったので言われたとおりにした。」

「兄に、親にはどうやら借金しかないみたいだから相続は放棄した方がいいと言われて手続きをした。」

など、このような色々なケースで「相続を放棄してしまった」という方も少なくありません。

それでは、相続を放棄した後に取り消しはできるのでしょうか。

答えは「条件によっては、取り消しをできる場合もある」のです。

さっそく詳しく説明していきましょう。

 

相続放棄とは?

相続放棄とは、被相続人が残した現金や不動産、株式などの財産について、相続人が「自分は相続をしない」と放棄をすることです。

相続する遺産は土地や預金などプラスになる財産だけではありません。ローンや借金などのマイナスとなる財産も相続の対象となります。

もしプラスの財産よりマイナスの財産の方が多い場合は、一般的に「相続を放棄する」という決断をすることが多いでしょう。

しかし、マイナスの財産の方が多い場合でも、どうしても手放したくない思い出の品や家がある時には、「相続を放棄しない」という決断をすることがあるようです。

相続を放棄する手続きは、相続することが決まってから3か月以内にしなければいけません。

自身が相続することになる財産には、どんなものがあるのか、相続人は誰なのかを確認・検討し、戸籍謄本などの書類をそろえて手続きをします。

一度手続きをしてしまうと、取り消しは基本的にすることができないため、相続を放棄をする時は慎重に検討しましょう。

 

相続放棄の効果

相続放棄はさまざまな効果をもたらします。

まず、手続きを行うと「はじめから相続人ではなかった」という扱いになるので、代襲相続は起こりません。

それ故に、遺産を子供(被相続人の孫にあたる)に相続させたいと思っていても、自分が相続を放棄した場合は子供には財産を相続する権利がありません。勘違いをしやすい点なので注意しましょう。

また、同順位の相続人が相続する財産の配分が増えるという効果もあります。

「兄弟の遺産相続分を増やしたい。」という理由で相続を放棄することも可能です。こういったケースでは正式な遺産分割協議の場で決める方が柔軟に対応できます。

相続を放棄したあとに多額の財産が発覚し、「やっぱり自分にも少し分けてほしい。」と考えが変わることもあるかもしれません。

しかし、法律で定められているように基本的に相続の放棄は取り消しができませんので、あとから多額の財産が発覚したからといって取り消しをすることはできないでしょう。

同順位の相続人がいない場合は、次順位の相続人に相続権が移ります。

相続放棄により相続権が次順位の相続人に移った場合、次順位の相続人に公的機関から連絡がいくことはありません。

「気が付かないうちに相続人になっており、相続放棄の期間が切れてしまう。」という事態も起こり得ます。

マイナスの遺産が多いことで相続を放棄した場合は、必ず次順位の相続人に伝えるようにしましょう。

 

相続放棄が行われる理由

相続を放棄する理由には、下記の3つのケースが多いようです。

①借金しかない、もしくはプラスの財産よりも多額の借金があることが明確である
②プラスの財産はあるが、借金がありそうなので相続を拒否したい

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2019.7.10

遺産がいらない場合の対処方法とは?

「親にはお世話になったから、遺産はいらない。」

「遺産相続の親族間の争いは嫌だから、遺産はいらない。」

など、様々な理由で遺産がいらない場合、どういった手続きが必要なのでしょうか。

手続きを行わなかった場合、どのようなことが起こり得るのでしょうか。

今回は、遺産がいらない場合の対処方法を具体的な例を用いて、紹介します。

 

遺産がいらない場合、どうすればいい?

「遺産相続の話し合いは面倒。遺産はいらないから自分には関係ない」

と、相続人であるにも関わらず他の相続人と連絡を取らずに放置したり、また正式な手続きもせずにいると、後々に余計面倒なことが起こる可能性があります。

遺産相続とはプラスの遺産だけでなく、マイナスの遺産の両方を含みます。

遺産はいらないからと、他の相続人と十分に話し合いを行なっていないと、いつのまにか自分に不利益なを相続をさせられていることもありますので注意が必要です。

状況によっては、借金の返済の債務を負ったり、不動産の固定資産税を払わないといけなくなったりします。

また、事業を行なっていて多額の負債を抱えていた場合も、相続してしまうと大変な目に遭うでしょう。

いざという時にトラブルに巻き込まれないためにも、財産がいらない場合のための、必要な知識を深めておきましょう。

 

様々な対処法がある

遺産がいらない場合、一部または全てを放棄したり、譲渡したりできます。

放棄するか、譲渡するかによって、手続きや申請の期限、タイミングなども変わってきますので注意が必要です。

また口頭で伝えるだけで成立する場合もありますが、口約束のみではトラブルが起きる可能性が充分にあり、通常は書面で明記します。

 

遺産がいらない場合の対処法

遺産がいらない場合、様々な対処方法があります。

・遺産のプラスとマイナスの一切をいらないとする場合は相続放棄
・プラスの遺産のみいらない場合は相続分放棄
・遺産の全てまたは一部がいらない場合で他人(特定の方や第三者)に譲りたい場合は相続分譲渡

それぞれの遺産がいらない場合の対処法を1つずつ見ていきましょう。

 

対処1:相続放棄

相続は、亡くなった方の財産だけでなく負債を含めた全ての遺産を相続することですが、いらない遺産を全て放棄するのが相続放棄です。

 

相続放棄とは?

相続放棄とは、預金や不動産などのプラスの財産よりも、借金などの負債が多かった場合、遺産はいらないと一切の相続を放棄をすることです。

遺産を放棄する最大のメリットは、プラスの遺産より多い借金やローンなどの負債があった場合に、マイナスの相続をしなくても済むという点です。

デメリットは、手続きを済ませた後に、他にプラスの財産があったことを知りえたとしても、相続放棄の取り消しができません。

放棄をするかどうか迷った場合には他の方法もあります。

一部の遺産を相続し、負債をプラスの遺産で支払う限定承認

2019.6.19

相続で部分放棄したい。すべてを相続したくないときは

遺産を相続することになったけれど、マイナスの財産は相続したくないという方もいらっしゃることでしょう。

果たして、マイナスの財産を部分放棄し、欲しい財産だけを相続することは可能なのでしょうか。

この記事では、遺産の相続放棄や部分放棄に関するポイントを詳しく解説していきます。

 

相続を放棄することはできる?

親族が亡くなり、遺産を相続することになったものの、諸事情で相続を放棄したいという方もいらっしゃると思います。

果たして、相続を放棄することはできるのでしょうか?結論から言うと、可能です。

では、どのような方法で相続を放棄することができるのでしょうか。

まずは、相続のしくみから解説します。

相続が発生すると、相続人は亡くなった人の「全ての財産」を受け継ぐことになります。

そして、この財産は、プラスの財産だけではなく、借金のようなマイナスの財産も含む、全てを受け継いでしまうことになります。

つまり、現行の法律では、故人の借金までも相続することになるのです。

では、プラスの財産だけを相続すれば良いのではないかと思う方も、当然いらっしゃることだと思います。

しかし、それは認められていません。

プラスの財産だけを受け継ぐことはできないことから、借金のような債務を受け継ぎたくない方は、相続放棄という手続きをする必要があります。

この相続放棄は、単に相続を放棄する旨の意志を表明するだけでは足りず、家庭裁判所に申請しなければ、正式に効力のある相続放棄として認められません。

 

相続放棄とは

相続放棄とは、被相続人である故人の遺した資産や負債の全てを相続しない手続きを言います。

相続人本人が、その遺産を相続できることを認知してから3ヶ月以内に、家庭裁判所において相続放棄の手続きを行う必要があります。

相続放棄を行うと、被相続人の資産の全てを相続することができなくなります。

しかし、相続する財産が負債の方が多い場合、相続放棄をすることは有効な手段と言えます。

また、親類間の遺産相続の問題に巻き込まれたくない場合にも、同じく有効な手段となります。

なお、相続放棄をした場合、相続の権利義務の全てが次の同順位か次順位の相続人へと移っていきます。

ただし、代襲相続は行われないので注意が必要です。

たとえば、被相続人の子供が相続放棄した場合、その子供である孫が代襲相続をすることはできません。

 

相続放棄は原則全部の財産が対象

相続放棄は、「故人の遺した全ての財産を相続しない」ことを意味します。

一般的に、相続財産には、銀行の預貯金や不動産などのプラスの財産と、借金や債務といったマイナスの財産があります。

相続放棄を行うということは、受け継ぐ財産の全てを相続しないことになるので、マイナスの財産だけではなく、プラスの財産も全て相続しないことを意味します。

そのため、相続放棄する場合は、慎重に考えた上で手続きをする必要があります。

ちなみに、相続する遺産が、プラスの財産の方が多いと推測するものの、もしかするとマイナスの財産も存在するかもしれないといった場合で、相続放棄を迷うこともあるでしょう。

そんな時は、限定承認という方法があります。

限定承認の詳細は後述しますが、限定承認は手続きが非常に煩雑なので、専門家に依頼をする必要があり、相続放棄と比べるとお金もかかります。

このように、相続放棄をするか、あるいは限定承認をするかは、被相続人それぞれの事情によって変わるので、必ず専門家に相談してから判断を下した方が良いでしょう。

 

相続の部分放棄をするなら限定承認という方法がある

上述したように、相続する遺産が、プラスの方が多いのか、マイナスの方が多いのかで迷うことがあります。

そんな時は、相続の部分放棄をするという条件で限定承認という方法があります。…

2019.6.19

相続放棄した場合、ペットはどう対処される?

平成25年に動物愛護管理法が施行され、飼い主がペットを最後まで責任もって面倒をみる終生飼養が努力義務として明文化されました。

例えそうでなくとも、飼い主は最期を看取るまでペットに最大限の愛情を注ぎ家族同然として過ごすでしょう。

ある時、ペットの飼い主が亡くなった後、被相続人(故人)に多額の借金があることが発覚し、遺産の相続を放棄することにしました。

しかし、相続を放棄すれば、被相続人の遺産であるペットも放棄することになります。

さて、残されたペットはどうなってしまうのでしょうか?

大切なペットを手放さないために、相続放棄された場合のペットの対処について解説します。

 

相続放棄とは

多くの場合、人が亡くなると相続が発生し、被相続人の法定相続人にあたる子供や両親、兄弟、配偶者が遺産を相続します。

しかし、法定相続人が相続権利を保有しているのにも関わらず現金や預貯金、不動産などの遺産相続を一切しないことが相続放棄です。

相続放棄で多く見られるケースが、被相続人に多額の借金があった場合です。

相続は、プラスの財産だけではなく、借金などのマイナス財産も全て受け取らなければなりません。

被相続人が残した財産をプラス要素とマイナス要素で比較した時、プラス要素が多ければ相続する選択をするでしょう。

しかし、あまりにも借金を多く抱えている場合は、相続放棄という選択肢を取らざるを得ないでしょう。

 

単純承認

相続放棄をする場合、単純承認に注意しなければなりません。

単純承認とは、一切の条件をつけずに全ての財産を相続してしまうことです。

そして単純承認は、一定の事由により単純承認が成立してしまいます。

マイナスの負債が、プラスの財産の総額を超えていた場合、相続放棄の手段をとる方が相続人に負債が渡ることはありません。

しかし、相続放棄の手続き中に、ある行動をとってしまうと単純承認となってしまい、マイナスが多い遺産相続を単純承認してしまいます。

では、単純承認となってしまう条件をいくつかご説明していきます。

 

・単純承認となる条件

不動産を売却した時、預貯金を払い戻して自分のものとして使った時、物理的に壊したり捨てたりした場合に成立します。

相続財産の補修や相続債権の支払いをした場合は、単純承認とみなされず相続放棄することができます。

また、相続財産を隠匿し相続放棄をして、借金などのマイナス要素だけを免れようとした場合や、遺産目録に虚偽の記載をした場合など、背信的な行為をすれば単純承認となります。

例えば、遺産の内容を精査した上で、プラスの財産が残った部分を相続することができる、限定承認が生じた時に、判明している相続遺産を遺産リストに記述し、遺産目録を提出します。

この時、財産を隠すために偽った遺産目録を提出する人がいます。

このような虚偽の申告を行なった場合、限定承認、相続放棄を認められず、単純承認が成立します。

 

相続放棄を行なう際のポイント、注意点

・3ヵ月以内に行う

相当の理由がない場合は、基本的には相続開始後から3ヵ月以内での相続放棄を行う必要があります。

ここでの相当の理由とは、被相続人に資産や負債の存在があったことを認識してから3ヵ月経過していないという条件を満たしていることが前提です。

 

・相続開始前の相続放棄は不可能

相続放棄は、相続開始前つまり被相続人の生前に、相続人の間で相続放棄の約束をしていたとしても一切の効力を発揮しません。

相続放棄は、相続開始後に一定の手続きをした場合に効力が生じます。

 …

2019.2.19

相続放棄の方法ってどうすればいい?メリットとデメリットもご紹介!

被相続人が亡くなり、相続が発生した場合、相続人は「単純承認」・「相続放棄」・「限定承認」の3つの相続方法の中から、どういった対応をするか考えなければなりません。

その中で相続放棄をする場合は、単純承認や限定承認とは異なった手続きを取る必要があります

それでは、相続放棄の方法から、相続放棄におけるメリットとデメリットについてご紹介いたします。

相続放棄とは

相続放棄とは、被相続人が亡くなったときに、相続人が被相続人の財産を一切相続しない相続方法のことをいいます。

そのため、相続放棄の場合、借金などのマイナス財産を相続しないだけでなく、現金などのプラス財産も相続しないといった特徴があります。

また、相続放棄の手続きを行い、相続放棄が認められると、民法(相続の放棄の効力)第939条において、相続放棄をした相続人は最初から相続人ではなかったとみなされることになっています。

ただし、民法(相続の放棄をした者による管理)第940条において、相続放棄をしてもほかの相続人が財産を相続するまでは、被相続人の財産を自分の財産と同じように注意しながら管理しなければならないとされているので、相続放棄が認められたらすぐに被相続人の財産相続において関係ないというわけではないので、その点には注意が必要です。

このほか、相続放棄は3ヶ月以内に行わなければならないことが、民法(相続の承認又は放棄をすべき期間)第915条に定められています。

また、同じく民法(相続の承認又は放棄をすべき期間)第915条には、家庭裁判所で手続きをすれば、相続放棄の期間の伸長ができる旨も定められています。

相続放棄の期間の伸長とは、正確には「相続の承認又は放棄の期間の伸長」と呼ばれる手続きであり、被相続人の財産の調査が難航しているなど理由がある場合には、相続放棄の手続きをする期間を延長することができます。

この手続きは、相続人を含んだ利害関係人または検察官が行うことができます。

このように、相続放棄は手続きを含め、民法によって細かく定められています。

相続放棄の手続き方法

相続放棄をすることを決めたら、家庭裁判所に「相続の放棄の申述」を行わなければなりません。

相続の放棄の申述は、相続人をはじめ、未成年者や成年被後見人の場合は法定相続人や特別代理人のみが行うことができます。

相続放棄をする場合は、家庭裁判所に申述しなければならないことが、民法(相続の放棄の方式)第938条において定められており、必要な手続きは大きく5つの項目に分けることができます。

1つ目は「相続放棄の申述書への記入」、2つ目は「標準的な申立添付書類の準備」、3つ目は「必要な費用の準備」、4つ目は「相続放棄の申述書及び標準的な申立添付書類、必要な費用の提出」、5つ目は「提出後の対応」です。…

2019.2.19

相続財産を受け取らない方法、相続放棄とは

相続人は財産を相続する権利がありますが、被相続人の残した財産の状況によって、相続の方法を選択することができます。

相続の方法には、被相続人の財産をすべて相続する単純承認、相続人が相続で得た財産の上限により、被相続人の借金を返す義務も相続する限定承認、被相続人のすべての財産の相続を放棄する相続放棄の3つの方法があります。

この中で、相続財産を一切受け取らない相続方法は、相続放棄のみです

では、相続放棄とは一体どんな相続方法であり、どのような手続きが必要になるのか、詳しくご紹介いたします。

相続放棄とは

被相続人が亡くなったとき、相続人が相続する財産をすべて放棄することを相続放棄といいます

相続放棄が受理されると、民法(相続の放棄の効力)第939条によって、最初から相続人ではなかったとみなされるといった特徴があります。

また、相続放棄をする場合は期限内に必要な手続きを行わなければなりません。

相続放棄には期限がある

相続放棄をするときには、相続放棄の申述という手続きを行います。

この相続放棄の申述は、被相続人の財産を相続する立場にあることを知ってから3ヶ月以内に行わなければなりません。

この3ヶ月以内という期限は、単純承認や限定承認でも同じであり、民法(相続の承認又は放棄をすべき期間)第915条で定められています。

しかしながら、被相続人の財産の調査をしていても、すべての財産がわからないなどの理由で相続放棄をするべきか限定承認すべきかなどの判断ができない場合は、相続放棄の期限を延長する「相続の承認又は放棄の期間の伸長」を被相続人の最後の住所地の家庭裁判所で行うことが可能です。

この相続の承認又は放棄の期間の伸長は、相続人を含む利害関係人または検察官のみが行うことができます。

そのため、相続放棄を3ヶ月以内にできない場合は、相続の承認又は放棄の期間の伸長を行い、手続きの期限を延ばすとよいでしょう

この相続の承認又は放棄の期間の伸長についても、民法(相続の承認又は放棄をすべき期間)第915条で定められています。

また、相続の承認又は放棄の期間の伸長を行うためには、相続人1人につき、収入印紙800円分と連絡用の郵便切手の費用が必要ですが、連絡用の郵便切手は各家庭裁判所によって金額が異なります。

たとえば、相続の承認又は放棄の期間の伸長の手続きをするには、東京家庭裁判所の場合、82円×4枚と10円×4枚の合計368円分が必要となり、水戸家庭裁判所の場合、82円×5枚と10円×5枚の合計460円分、長野家庭裁判所の場合、82円 ×1枚の合計82円分が必要となります。

そのため、各家庭裁判所に事前の確認をしなければなりません。

確認方法は、各家庭裁判所に電話をする方法と、ホームページの該当ページで調べる方法の2種類があります。

また、相続の承認又は放棄の期間の伸長には、申立書と標準的な申立添付書類が必要になります。

申立書は「家事審判申立書」の「事件名」の欄に「相続の承認又は放棄の期間の伸長」と記載し、申立人または法定代理人の名前などの必要事項を記入します。

また、標準的な申立添付書類をそろえければなりませんが、これは申立人の立場によって必要な書類が異なります。

下記の表は相続の承認又は放棄の期間の伸長の標準的な申立添付書類の一覧です。

 

≪相続の承認又は放棄の期間の伸長の標準的な申立添付書類の一覧≫

※○は共通の該当書類を示します。

相続の承認又は放棄の期間の伸長
被相続人の住民票除票又は戸籍附票

利害関係人からの申立ての場合、利害関係を証する資料(親族の場合、戸籍謄本等)

2019.2.18

借金を相続した場合どうすればいい?知っておきたい対処法

相続人として、被相続人の財産を相続することになった場合、預貯金や不動産などの資産だけでなく、借金という負債も相続することになってしまうことは誰にでもありうることです。

そんなとき、借金などの負債の相続の方が資産の相続よりも多い場合、相続人が経済的な負担をしいられないようにするために、相続放棄という方法で対処することができます。

それでは、借金などの負債を相続しなければならないときに、知っておきたい対処法について詳しくご紹介いたします。

相続放棄で対処

被相続人が亡くなり、相続人として財産を相続することになった際、マイナス財産である借金などの負債の方が多い場合は、借金を相続しないように相続放棄という方法で対処することができます。

相続放棄とは

相続放棄とは、被相続人のプラス財産である現金や不動産などの資産も、マイナス財産である借金などの負債も、すべての財産の相続を放棄することをいいます。

相続放棄をするには、相続放棄の申述を被相続人の最後の住所地にある家庭裁判所で行う必要があります。

相続放棄の手続きをすべて行うことにより、相続問題のトラブルに巻き込まれなくてすんだり、被相続人のマイナス財産を相続しなくてよかったりなどメリットがある一方、一度相続放棄をしてしまうと撤回することができず、さらに代襲相続も不可能になってしまうといったデメリットも存在しています。

相続放棄をする際には、被相続人の財産をきちんと調査した上で慎重に行うことが重要です。

限定承認との違い

限定承認とは、被相続人の借金を返す義務がどの程度であるかが不明確で、なおかつ、財産が残る可能性もあるといった場合に、相続人が相続で得た財産の限度によってのみ被相続人の借金を返す義務を相続することをいいます。

これは民法(限定承認)第922条に定められています。

そのため、限定承認の場合、被相続人の財産のうち、金銭などの資産も借金などの負債も両方とも相続した上で、その中から借金を返済し自分の元々持っている財産は保護することが可能であるのに対し、相続放棄は預貯金や不動産などの資産も借金などの負債も両方とも相続自体を放棄してしまうといった違いがあります。

また、限定承認と相続放棄には手続きを行える立場の人が違うなど細かい違いがあります。下記の表は限定承認と相続放棄について比較した表です。

≪限定承認と相続放棄の違いについて≫

※内容については、裁判所のホームページの「相続の放棄の申述」及び「相続の限定承認の申述書」から引用しています。

では、表の上から順に見ていきましょう。

限定承認の申述と相続放棄の申述は、申述人以外に特に大きな違いはないように見えます。しかし、細かい部分には違いが存在しています。

まず、申述人に関しては、相続人数が複数人に及ぶ場合の限定承認は、相続人の全員が共同で行わなければならないと、民法(共同相続人の限定承認)第923条において定められています。

一方、相続放棄の場合は、相続人または法定代理人(場合によっては特定代理人)がそれぞれ個人で行うことが可能です。

相続人ではなく、法定代理人が申述を行う場合は、相続人が未成年者や成年被後見人のときです。

成年被後見人とは、精神上の障害によって、常に物事の筋道や道理を理解する能力を欠いている人であり、家庭裁判所で後見開始の審判を受けた人のことをいいます。

これは、民法(後見開始の審判)第7条において定められています。また、それだけでなく、特別代理人の選任が必要な場合もあります。

これは、法定代理人が先に申述している場合を除いて、未成年者と法定代理人が共同相続人であり、未成年者だけが申述する場合や複数の未成年者の親権者や後見人などの法定代理人が一部の未成年者だけを代理して申述する場合に該当します。

このように、申述人に関しては、限定承認と相続放棄とでは、大きな違いがあります。

次に申述期間、申述先、申述に必要な費用についてですが、限定承認と相続放棄に違いはありません。…

2019.2.18

相続で負債を抱えてしまっても大丈夫。相続放棄で落ち着いて対処

被相続人が亡くなった際に発生するのが相続です。
相続というのは、被相続人の財産をすべて相続することを指すことが多く、これは単純承認と呼ばれる相続方法にあたります。

しかし、被相続人の財産が預貯金や土地などのプラス財産よりも借金などのマイナス財産の方が多い場合は、単純承認をするのではなく、相続放棄という方法を取ることができます。
もし、相続するときに負債の方が多かった場合は、落ち着いて相続放棄の手続きをすればよいということです。
それでは、負債を相続しないための相続放棄の方法について見ていきましょう。

相続放棄とは

相続放棄とは、その名の通り、相続人の立場となったとき、被相続人の財産のすべての相続を放棄することをいいます。
この相続放棄について、詳しくご紹介いたします。

概要

相続放棄とは、被相続人の財産である資産や負債についての相続をすべて放棄することをいいます。
相続放棄をすると、相続人は何か相続したいものがあった場合でも相続することはできません。

相続放棄をするためには、相続放棄の申述という手続きを行います。これは民法(相続の承認又は放棄をすべき期間)第915条により、被相続人の財産を相続することを知ってから3ヶ月以内に行わなければならないとされています。
ですが、3ヶ月以内に相続放棄の申述の手続きが行えない場合は、相続放棄の期間を伸長することができることになっています。
これも民法(相続の承認又は放棄をすべき期間)第915条に定められており、「相続の承認又は放棄の期間の伸長」の手続きを家庭裁判所で行います。
ここで注意が必要なのは、相続放棄の申述の手続きは相続人または法定代理人、特別代理人が行えるのに対し、相続放棄の期間の伸長の場合は、相続人を含んだ利害関係人または検察官しか行えないという点です。
相続放棄をする場合には、相続放棄の手続きだけでなく、相続の承認又は放棄の期間の伸長の手続きについても把握しておくとよいでしょう。

また、相続放棄は民法(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)第919条 により、撤回できないことが定められています。
ですから、相続放棄をする場合は、十分に被相続人の財産を調査し、慎重に行う必要があります。

限定承認とは

限定承認とは、相続財産の中で相続したいものがあるものの、借金などの負債があり、弁済もしなければならないといった場合に、相続した財産を上限として、負債も相続するという相続方法のことをいいます。
たとえば、被相続人の財産のうち、不動産に相続人も住んでいる場合、相続放棄によってすべての財産の相続を放棄してしまうと、不動産を相続することができず、住む家を失ってしまうことになります。

ですが、限定承認の先買権の制度を利用することによって不動産を取得することが可能になります。

この先買権とは、競売にかけられた被相続人の財産において、競売を差し止めて、相続人が取得を希望する財産を鑑定人が評価した評価額に従い、相続人が評価額を支払うことで、希望する財産を取得することができるといった制度のことをいいます。
これは民法(弁済のための相続財産の換価)第932条において、限定承認を行い、先買権の制度を利用することで、相続放棄とは異なり、負債額が多かったとしても相続したい財産を相続することが可能になると定められています。

また、限定承認で財産を相続することによって、相続人が元から持っている財産は減ることがないため、相続人に金銭的負担がかかる心配もありません。…

2019.2.18

相続放棄の手続き時に注意すべきこと

相続放棄は、ただ単純に相続を放棄する意思を表明すればいいといったものではありません。
相続放棄を行うためには、相続放棄の手続きをしっかり行う必要があります。
相続放棄の手続きをするには、さまざまな書類を準備しなければならないため、時間との勝負になる部分も否めません。
これは相続放棄には手続きを完了させなければならない期限があるためです。
それでは、相続放棄の手続き時に注意しなければならないことを中心にご紹介いたします。

相続の負債を逃れる手段

相続放棄は、相続の負債を逃れる手段として、しばしば選択される相続方法です。
相続放棄の手続きを的確に行うことで、本来相続するはずだった相続財産をすべて放棄することができます。
それでは、相続放棄について、その概要と相続放棄を活用できるケースについて詳しく見ていきましょう。

相続放棄とは

相続放棄とは、被相続人の最後の住所地にある家庭裁判所において、相続放棄の申述という手続きをすることにより行うことができる相続方法の1つです。
相続放棄は、被相続人のプラス財産もマイナス財産もすべて放棄するといった特徴を持ちます。

相続放棄については、民法 第3節 相続の放棄において、(相続の放棄の方式)第938条に「相続放棄をする際には家庭裁判所で手続きが必要であること」、民法(相続の放棄の効力)第939条に「相続放棄の手続きをし、受理されると、相続放棄の手続きを行った申述人は、最初から相続人ではなかったと見なされること」、民法(相続の放棄をした者による管理)第940条に「相続を放棄しても次の相続人が財産相続を開始するまでは、財産の管理を自分の財産と同じように注意を持って管理しなければならないこと」とが定められています。

また、民法(相続の承認又は放棄をすべき期間)第915条には、相続放棄の手続きは、「相続する財産があることを知ってから3ヶ月以内に行わなければならないこと」、また「相続放棄をする期間を伸長したい場合は家庭裁判所で手続きをすれば伸長できること」が定められています。
このほか、民法(相続の承認又は放棄をすべき期間)第915条の2には、「相続放棄をする前に被相続人の財産を調査することができること」も定められています。

一見、相続放棄はただ被相続人の財産の相続を放棄するだけに見えますが、その手続きなどについては民法で細かく定められているため、手順を踏んで的確に行うことが必要となります。

相続放棄を活用できるケース

相続放棄を活用できるケースは大きく分けると5つあります。

(1)被相続人の残した借金などの負債を相続したくないケース

被相続人の財産をすべて相続する単純承認という相続方法の場合、現金などのプラス財産だけでなく、借金などのマイナス財産も相続することになります
単純承認はプラス財産がマイナス財産を上回っている場合は、特に問題はありませんが、プラス財産よりもマイナス財産が上回る場合は相続人に経済的負担がのしかかってしまいます。

ですが、相続放棄の手続きを行い、相続放棄することで、被相続人の借金の相続をしなくて済むようになります。

ただし、相続放棄はすべての財産の相続放棄をしてしまう相続方法なので、事業などを行っていたり、被相続人の財産である不動産に住んでいて出て行くことができなかったりする場合は、相続した財産を上限としてマイナス財産も相続する限定承認という相続方法があるのでそちらを検討するとよいでしょう。

(2)遺産相続のトラブルを回避したいケース

遺産相続のトラブルは、1,000万円以下の財産の場合によく起こるとされています。
なぜ1,000万円以下の場合にトラブルが起きやすいかというと、それ以上の財産がある場合は節税などを含め、被相続人が生前に税理士に相談していることが多く、その際にあらかじめ遺産相続のトラブルにならないようにアドバイスを受け、対策をしているからだといわれています。
そのため、遺産相続のトラブルに発展することが1,000万円以下の財産の場合に比べ、少ない傾向にあるとされています。

しかしながら、1,000万円以下の財産の場合、金額的に揉めるようなことはないだろうという被相続人の生前の考えから、遺産相続に関して何も対策をしていない場合が多く、トラブルになってしまうのです。

ですが、相続放棄の手続きを行い、相続放棄が受理されれば、民法(相続の放棄の効力)第939条により、相続放棄をした人は最初から相続人ではなかったと見なされるため、遺産相続のトラブルが起こった場合でも、相続自体に関係がなくなり、遺産相続のトラブルに巻き込まれる心配がありません。…

2019.2.18

相続放棄をするための必要書類とは

相続放棄とは

相続放棄とは、相続人が被相続人の財産の相続をすべて放棄することです。

相続放棄をするとプラス財産もマイナス財産もすべての財産の相続を放棄するため、被相続人の遺産はひとつも相続することができません。

相続放棄をするためには、必要書類が多く存在しており、相続放棄の手続きを行う申述人(相続人や法定代理人など)の立場によって、必要書類の種類が違うため、しっかりと事前に必要書類について確認をすることが重要となります。

では、相続放棄の必要書類について詳しく見ていきましょう。

相続放棄の必要書類

相続放棄の必要書類は数種類ありますが、まず1つ目に必要なのが「相続放棄申述書」です。

これは、どの申述人も必要事項を記載して提出する必要があります。

次に必要となる書類は、「準的な申立添付書類」と呼ばれるものです。

この準的な申立添付書類は、一部共通していますが、相続放棄をする人がどの立場にあるかによって、必要となる書類が異なるのが特徴です。

詳しくは、3章の「必要書類を準備する際の注意」をご参照ください。

また、標準的な申立添付書類をそろえることが難しい場合は、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することでそろえてもらうことができます。

また、専門家に依頼すると、被相続人の財産の調査なども行ってもらうことが可能なので、相続放棄の必要書類だけでなく、相続放棄における細かい手続きを自分で行う必要がありません。

相続放棄申述書

「相続放棄申述書」は、裁判所のホームページからダウンロードすることができます。

相続放棄申述書を用意したら、必要事項を記入していきましょう。

まず、相続放棄申述書を提出する裁判所(被相続人の最後の住所地にある家庭裁判所)と相続放棄申述書を作成した年月日を記入します。

 

▼申述人の記名押印の項目

申述人の記名押印の項目に申述人の名前と押印をします。

もし、未成年者などの法定代理人が作成する場合は、相続放棄をする人の名前(ここでは仮に田中花子とします)と法定代理人の名前(山田太郎)を記入します。

記入例としては、「田中花子の法定代理人 山田太郎」となります。このとき、押印するのは、法定代理人のものになります。

 

▼添付書類の項目

添付書類の項目には、添付した書類が書かれた項目があるので添付する書類にチェックを入れ、用意した枚数を記入します。

 

▼申述人の項目

申述人の項目には、本籍(国籍)、住所、電話番号、氏名(フリガナ)、生年月日、職業、被相続人との関係(該当する箇所に○を付ける)を記入します。

住所は裁判所からの連絡でも使用するため、正確に記入するようにしましょう。また、電話番号は日中でも連絡がつくものを記入します。

 

▼法定代理人等の項目※申述人が20歳未満の場合のみ記入

法定代理人等の項目には、未成年者との関係(親や後見人など)に○を付けます。

その後、法定代理人の住所、電話番号、氏名(フリガナ)を記入します。…