すてきな相続は大切な方を亡くしたあとの手続・届出から、
知っているようで知らない「相続」に関する情報をわかりやすく解説します。

登録税理士
1122人
受付時間 / 10:00〜19:00
0120-052-993

相続対策

> 相続対策 > 相続放棄について
【相続放棄について】

相続放棄について説明しています。相続放棄のメリットやデメリット、相続放棄が有効なケース、注意点や期限などについてまとめています。

最新記事

相続放棄の手続き方法や掛かる費用等まとめ

相続放棄の手続き方法は、実際に手続きを行う立場にならなければ、知ることのないものだと思います

相続放棄の手続き方法の中でも、書類の記入については難しくありませんが、必要な書類をそろえたり、被相続人のすべての財産を調査したりと手間や時間がかかる部分があります。

また、費用等も一律ではなく、相続放棄の手続きを行う家庭裁判所によって異なるため、自分で調べなければなりません。

そこで今回は相続放棄の手続き方法や掛かる費用等についてご紹介いたします。

相続放棄とは

相続放棄とは、被相続人の財産の相続方法の1つであり、相続財産を相続せず、すべて放棄することをいいます

相続放棄をする場合は、民法(相続の放棄の方式)第938条でも定められているように、相続放棄をする旨を家庭裁判所に申述しなければなりません。

相続放棄の注意点

相続放棄には5つの注意点があります。

まず1つ目は「相続放棄には手続きを行わなければならない期間があるということ」です。

民法(相続の承認又は放棄をすべき期間)第915条において、相続人が相続開始を知ったときから3ヶ月以内に手続きを行わなければならないことが定められています。

3ヶ月以内にただ手続きをすればよいというわけではなく、相続放棄の手続きは受理までが必要です。

また、相続人と家庭裁判所の相続開始時期の認識が異なった場合、相続放棄が受理されないことがあるので、相続開始を知ったときがいつなのかを明確にしておく必要があります。

それだけでなく、相続が発生したことを知ったらすぐに相続できる財産や負債がどの程度あるかを調査しなければなりません。

2つ目は「相続放棄は一度却下されると再度手続きを行うことができないこと」です。

相続放棄の申述の手続きを行い、家庭裁判所に受理されないことがあります。

もし、受理されなかったことが不服な場合は、即時抗告をすることになります。

この即時抗告とは、高等裁判所に不服を申し立てることです。

ちなみに、この期間は2週間以内と決まっています。

3つ目は「一度相続放棄をしたら撤回ができないこと」です。相続放棄の手続きが受理された場合は、民法(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)第919条により、撤回できないことが定められています。

4つ目は「相続放棄をすると、代襲相続ができなくなること」です。

相続放棄をすると、民法(相続の放棄の効力)第939条にも定められているように最初から相続人ではなかったとみなされます。

そのため、代襲相続が本来可能であった立場の相続人に相続権が移ることはありません

5つ目は「相続放棄をした場合でも、被相続人の負債に関して、連帯保証人になっている場合は負債の弁済を請求されること」です。

相続放棄をすることで、最初から相続人とみなされないため、被相続人の負債の相続を放棄することができます。

しかしながら、それは相続人としての相続放棄をしただけにすぎないため、被相続人の負債の連帯保証人となっていた場合は、連帯保証人として弁済をしなければならないことに変わりはありません。

相続放棄の手続き方法

相続放棄をすると決めた場合、…

最新記事を見る
2019.2.15

相続放棄をすることで得られるメリット5つ

相続放棄は被相続人の財産を放棄するといった意思表示をすればよいというものではありません。

単純承認(被相続人の財産である資産も負債もどちらもすべて相続する方法)とは異なり、家庭裁判所に提出する書類も多く、手間も時間もかかるのが現実です。

しかしながら、被相続人の財産の状況や相続人の都合によっては、相続放棄をすることで得られるメリットは多く、相続放棄を選択した方がよい場合があります。

ここでは、相続放棄をすることで得られるメリット5つを中心にご紹介いたします。

相続放棄とは何か

相続放棄とは、被相続人の財産の相続をすべて放棄することをいいます

相続放棄をするためには、まず、被相続人の財産の調査をすることが必要です。

被相続人の財産というのは、現金や不動産、農地などの資産だけでなく、借金などの負債も含みます。

これは、相続放棄をした方がよいかどうかの判断をするだけでなく、相続放棄の手続きをする際に資産や負債を記入しなければならないからです。

また、相続放棄の手続きは、相続放棄をする意思を表示し、必要な書類を提出したら簡単にできてしまうものではなく、実際は細かい手続きの連続であり、時間との戦いでもあります。

これは、相続放棄の手続きに必要となる書類が立場によって異なり、多くの書類を用意する必要があるためです。

それだけでなく、相続放棄の手続きを完了させるための期限は、被相続人の財産を相続することを知ってから3ヶ月以内と民法(相続の承認又は放棄をすべき期間)第915条によって定められています。

これらのことからもわかるように、相続放棄の手続きは決して簡単なものではありません。

また、一度相続放棄を却下されてしまうと、基本的に再度相続放棄の手続きを行うことはできません(ただし、相続放棄の却下をされ、不服がある場合は、即時抗告を2週間以内に行い、高等裁判所で審理してもらうことが可能です)。

それ以外にも、相続放棄が受理されると撤回することができないということが、民法(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)第919条において定められています。

相続放棄の撤回は、相続放棄の手続きを完了しなければならない期間である3ヶ月以内であったとしてもできないこととされています。

ですから、相続放棄を行う際は、慎重にならなければなりません。

そのため、相続放棄の手続きが自分の手に負えないと思ったときは、専門家である司法書士や弁護士に相談し、被相続人の財産の調査から相続放棄が本当に必要であるかを判断し、相続放棄をすると判断した場合には相続放棄の手続きを依頼することも1つの選択肢であるといえるでしょう。

相続放棄と限定承認の違い

相続放棄と限定承認には、いくつもの違いがあります。

まず、相続放棄は1章の「相続放棄とは何か」でも記載しているように、被相続人の財産をすべて放棄することです。

しかし、限定承認は被相続人の残した負債がどのくらいあるかわからないものの、財産が残る可能性がある場合や、被相続人の財産に負債が多いとわかっていてもどうしても相続したい財産がある場合などに、相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人債務を相続することをいいます。

相続放棄がすべての財産を放棄したい相続人が行うのに対して、限定承認は一部の財産を相続したい相続人が行います

このように、相続放棄と限定承認は、根本的な部分が異なっているのです。

また、申述の手続きを行う場合にも異なる点が多々あります。

たとえば、申述人ですが、相続放棄の場合は、相続人または法定代理人(場合によっては特別代理人)しか行うことができませんが、このとき、相続人は個人で手続きを行うことができます。

ですが、限定承認の場合は、相続人が各個人で手続きを行うのではなく、共同で行わなければなりません。

また、相続放棄も限定承認も必要な書類は、申述書と標準的な申立添付書類と名称は同じものの、その内容は相続放棄と限定承認では異なります(ただし、標準的な申立添付書類は一部共通しているものもあります)。

このように、相続放棄と限定承認にはさまざまな違いがあります。

相続放棄をすることのメリット5つ

相続放棄は被相続人の財産の相続をすべて放棄しなければならないため、マイナスなイメージがあるかもしれません。

ですが、相続放棄には被相続人の財産の状況や相続人の立場によって、多くのメリットが存在しています

ここでは、相続放棄をすることのメリット5つをご紹介いたします。

被相続人のマイナス財産を相続しなくてすむというメリット

2019.2.13

相続放棄にはデメリットもあることを理解しておく

被相続人が亡くなり、相続が開始されたことを知ったときから、相続人には遺産の相続が発生しています。

相続が発生したことを知った場合、3ヶ月以内に、資産も負債もすべて相続する単純承認を選択するか、被相続人の負債が不明瞭であり、財産が残る可能性があるときに財産の限度によって被相続人の負債を限定的に相続する限定承認を選択するか、資産も負債もすべて放棄する相続放棄を選択するか決めなければなりません。

ただし、例外として、遺産が調査をしてもどの程度あるかわからない場合などは、相続の承認又は放棄の期間の伸長をすることで期限を延期することが可能です。

負の財産が多い場合には?

負の財産が多い場合は、そのまま相続してしまうと、借金だけを相続してしまうことになるため、相続人に金銭的な負担がかかってしまうというデメリットがあります。

どうしても相続したい財産がある場合を除いて、すべての相続を放棄する相続放棄を選択するとよいでしょう。

では、相続放棄について詳しくご紹介いたします。

相続放棄について

相続放棄については、民法第915条、第919条、第938条、第939条、第940条においてさまざまなことが定められています。

  • 民法(相続の承認又は放棄をすべき期間)第915条

相続放棄を行わなければならない期間と相続放棄の手続きを行う期間を延ばすために必要な手続きについて定められています(詳しくは、4章「相続放棄の期限は?」をご参照ください)。

  • 民法(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)第919条

相続放棄の手続きを一度行ったら、相続放棄の期間内であっても撤回が不可能であることが定められています。

  • 民法(相続の放棄の方式)第938条

相続放棄をする場合には、その旨を家庭裁判所に申述しなければならないこと

  • 民法(相続の放棄の効力)第939条

相続放棄をした相続人は、最初から相続人ではなかったとみなすこと

  • 民法(相続の放棄をした者による管理)第940条

相続放棄をした相続人は、相続放棄をしていない相続人が相続財産の管理をすることができるようになるまで、自分の財産と同じように注意して相続財産の管理をしなければならない

このように、相続放棄については、民法でその詳細が定められているので、民法に従って手続きをしなければなりません。

負の財産が多い場合は特に有効

相続放棄は特に負の財産が多い場合に有効な相続方法です。

相続放棄は、その名称の通り、すべての財産の相続を放棄することをいいます。

ですから、負の財産である借金などの相続も放棄できるのです

また、相続放棄は明らかに負の財産が多い場合選択するとよい相続方法であるともいえます。

限定承認も活用する

相続方法には、相続放棄以外にも限定承認と単純承認があります。

このうち、限定承認とは、民法(限定承認)第922条において定められているのですが、被相続人の借金を返す義務がどれくらいあるかわからず、なおかつ、財産が残ることも考えられる場合に、相続人が相続によって得た財産の限度によって被相続人の借金を返す義務を相続することをいいます。

限定承認を選択する場合は、相続財産の中でどうしても相続したい財産がある場合などに有効です。…