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【遺言について】

遺言、遺言書について説明しています。法的効力をもつ遺言を残すには、遺言書の書き方、注意点を知っておくべきです。遺言書の種類や遺言書の書き方などについてまとめています。

最新記事

遺言を書いた被相続人が認知症だった場合、遺言の効力は?

自身や親の年齢が上がってくると、気になってくるのが相続に関する手続きや遺言のことではないでしょうか?

認知症と聞いて、自分には無関係だと思っている方も多いと思いますが、厚生労働省が発表している日本の認知症の有病率は、85歳以上では27%とされています。

今や、85歳以上の日本人の、4人に1人が認知症になっているのです。

「自分は大丈夫」「両親はしっかりしている」と思いたくなりますが、誰もが認知症に直面する可能性があるのです。

親がもし認知症と診断されてしまった場合、有効な遺言を書くのは可能なのでしょうか?

今回は被相続人が認知症だった場合の遺言の効力について、また作成方法についてご紹介していきます。

 

遺言に関する規定

遺言は、次の人が書くことができると民法に規定されています。

・15歳に達した者
・遺言能力のある者

つまり、法律上満15歳以上で判断する能力があれば、誰もが書くことができるものなのです。

しかし遺言を書く場合は、必ず本人が直筆しなければならりません。

法定代理人や任意代理人が代わりに作成することはできませんので注意が必要です。

また、相続が開始された時に、遺言が有効になるのかのポイントは、本人が作成時点で遺言能力があったかどうかです

 

遺言能力とは?

遺言を作成できるだけの意思や判断する力が本人にあったかどうかを「遺言能力」としています。

具体的には、自分の資産状況や、相続人との関係がどのようなものであるかを把握しており、それらを考慮したうえで、遺書を作成できる能力です。

ここで勘違いしてはいけないのは、あくまでも作成した時点の判断できる力であり、亡くなる直前の状況ではありません。

 

認知症の人が書いた遺言、効力は?

認知症の人が作成した遺言は、認知症でない人が書いた場合と同様の効力があるのでしょうか?

認知症といっても、人によって軽いものから重いものまで症状はさまざまです。

例えば、認知症の人が日常的に介護が必要かどうかを判断する要介護認定では、その症状に合わせて7段階で判断されているほどです。

そのため認知症だからといって、一概に無効になってしまうということではありません。

また認知症の人が作った遺言の効力を判断するためには、医師の診断書などが必要になります。

では、認知症の人の遺言能力があるかを判断する基準について具体的に見ていきましょう。

 

認知症かどうか診断が必要

認知症である被相続人に遺言能力があるかどうか不明な場合は、医師の診断が必要です。

先にも述べたように、認知症には様々な症状がありますので、診断書は被相続人の認知症の症状がどのようなものであるのか、客観的に確認する材料となります

医師の診断書には、既に認知症の場合、傷病名や判断する能力について記載されることが多くあります。

例えば、診断書には以下のようなことが記載されます。

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2019.8.20

遺言書を見つけたら家庭裁判所で「検認」が必要!

相続の開始後に遺言書を発見したら、あなたはどのような行動をしますか?

テレビドラマなどの遺言書の発見シーンでは、その場で相続人が中身を確認する場面が描かれていることがあります。

実は、その行動は正しい行動ではない可能性があります。

遺言書を発見した場合は、その場で開封せずに、家庭裁判所に提出する「検認」の手続きが必要なケースがあるのです。

遺言について調べていると目にすることがある「検認」手続き。

こちらでは、遺言書の種類や、検認が必要となるのはどんな時か、また、手続きの概要や流れについて解説していきます。

 

遺言とは?

まず、「遺言」にはどのような役割があるのかご存知でしょうか?

2つの立場で、遺言の役割について見ていきましょう。

被相続人からみた「遺言の役割」
・自分が築き上げてきた資産を、どのように相続人の間で使ってもらいたいか、自らの想いを記すことができる
・資産の分配を相続人間でもめないように、分配方法を記載することができる

相続人からみた「遺言の役割」
・被相続人の生前の想いや考えを知ることができる
・相続する資産の分配を、相続人間で争うことなく引き継ぐための道しるべとなる

このように、生前に資産の意向について被相続人に確認することができない場合でも、遺言があれば、生前の想いや考えを周りの人たちが知ることができるのです。

 

遺言の種類

被相続人と相続人、双方にとってとても大切な役割を持っている遺言書。

遺言には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3つの種類があります。

それぞれの遺言書の概要をご紹介します。

・自筆証書遺言
作成者:被相続人
作成場所:自宅など、どこでも可能
特徴:書き記すための紙とペン、印鑑があれば、簡単に作成できる

・公正証書遺言
作成者:公証役場の公証人
作成場所:公証役場
特徴:法律に基づいて作成するため、有効な遺言を確実に作成できる

・秘密証書遺言
作成者:被相続人
作成場所:公証役場
特徴:公証人含めて、誰にも内容を知られずに作成できる

 

自筆証書遺言は、一番手軽で手数料などもかからず作成できるため、広く利用されているものになります。

簡単に作成できる半面、記載内容の中に間違いがあったり、内容がはっきりせずに遺言が無効になってしまうケースもあるので、注意しましょう。

また、自分自身で保管する必要があるので、紛失のリスクには注意が必要です。

 …

2019.8.13

遺言書を無効にしたい!無効にできる条件や方法とは?

約40年ぶりに相続法が改正され、2019年から2020年にかけて随時施行されています。

今まで相続について考えたことがない人や自分とは無縁だと思っている人にも、法の改正により、自分や家族が亡くなった時どうすればよいのか、改めて身近なものとして認識されてきています。

相続の話は資産家の人だけではなく、一般家庭でも起こりうるものです。

法の改正では自筆遺言が書きやすくなる、法務局で遺言書が保管できるなど新たな制度が設けられました。

自分や家族が亡くなった際に相続をめぐるトラブルを起こさないよう、何がどう変わったのか事前に正しい知識を身につけておきましょう。

そして遺言書は、その内容に絶対従わなければならないのか、無効にできるのか悩んでいる人も必見です。

 

遺言とは?

遺言とは、自身が生きている間に作成し、亡くなった後の財産を有効活用してもらうための意思表示のことです

遺言書がなかったために遺産トラブルが起きたり、あったものの無効となってしまったというケースも少なくありません。

家族が骨肉の争いをするのは誰も望んでいるわけではありません。

そのようなトラブル防止を避けるためにも遺言書の有無は重要になってきます。

今回は遺言に関する事を中心に重要なポイントをまとめてご紹介します。

 

遺言の効力

遺言は自分の財産を誰にどれくらい渡すのか自由に決められます。

また被相続人の死後、相続争いが起こるのを防ぎたい場合、また財産分与の際に法定相続人以外にも渡したい場合にも効力を持ちます。

遺言は法定相続より優先されるため、遺産を分割をすることになった際にはその内容が重要となります。

作成時の被相続人の年齢や物事を判断できる状況であったか、遺言書の作成方法など細かく種類がわかれているため、知識を得ておくようにすると良いでしょう。

また、記載された内容全部に効力があるのではなく、有効になるもの、そして無効になるものとがありますので注意する必要があります。

記載されている項目の中でも法律的に効力をもつ法定遺言事項は、以下に挙げられますのでみてみましょう。

 

推定相続人の排除

相続人になるとされる予定の人を推定相続人と言いますが、被相続人への虐待や侮辱、ひどい非行などがみられる場合は、相続人から排除できる事由として認められ、相続資格を奪うことができます。

 

相続分の指定

被相続人は法定相続分に関わらず、各相続人に渡す相続分を自由に決めることができ、またその内容を第三者に任せることができます。

 

遺産の分割の方法と指定及び遺産の分割の禁止

被相続人は遺産の分割する方法を決めることができ、その方法を第三者に委ねることも可能です。

 

遺言執行者の指定または指定の委託

遺言に関する必要な手続きを、被相続人に代わって実現する執行者を指定したり、第三者に指定を委託することができます。

 

未成年後見人の指定

被相続人に未成年の子がいた場合、被相続人の死亡で親権者がいなくなった際に遺言で第三者に該当する未成年者の財産管理を委託することが可能です。

 

非嫡出子の相続に関すること

2019.6.23

相続に関する口約束は守られる?遺言書がなく口約束だけのときはどうすればいい?

「この財産を相続させる」と言われ、その言葉を信じていたら実際には遺言書もなく、親族が亡くなったというケースは実は珍しくありません。

どんな人でも、期待とは違った結果に納得するのは難しく、多くの場合は相続トラブルへ発展します。

そこで、この記事では、被相続人の口約束について、トラブル回避のためにどうしたら良いのか、口約束を遺産分割時にはどのように扱うべきなのかを、解説していきます。

 

相続に関する口約束に法的効力はない

相続に関する口約束には法的効果はありません。

口約束を主張する相続人が有利になるような作り話が可能になってしまうためです。

相続分割協議のトラブルとして、裁判で争っても口約束は証拠として認めてもらえないのが現実です。

では、被相続人が生前に、相続させる約束をした、という口約束の証拠があればどうでしょうか?

被相続人が相続を相続を口頭で約束したという証拠はどのようなものがあるのかを見ていきましょう。

 

相続に関する口約束の内容を実現させるには

口約束の内容を証明する証拠や証人が必要

口約束で「財産を○○に相続する」という相続の約束をした証拠はどのようなものが有効か挙げていきます。

・ ボイスレコーダーの録音

・ 口約束を想像させるその後のラインやメールのやり取り(この場合は口約束を裏付ける別途証拠があった方が良い)

・ その口約束を聞いていた証人の存在

・ 被相続人が口約束をした相手に被相続人が相続させる意思があったことを知っている人物がいる

・ 被相続人が相続の口約束をして、その相続人の反応や態度について思ったこと、嬉し

かったことを第三者に書いた手紙やSNS、またはその話を聞いた第三者がいる

ポイントは、被相続人の言動を、相続人以外の人が確認できる証拠が有効です。

 

相続人全員の承諾を得る

一定の財産を特定の人物に相続させる事を口約束して、そのことを他の相続人になる人達に報告して承諾を得ましょう。

そうすることが、亡くなった後の相続トラブルを回避するために、最も円満な解決方法です。

事例として、子供のいない夫婦の場合を紹介しましょう。

結婚していて子供のいない夫婦の妻が事故で亡くなったとき、妻の名義の財産があったとします。

ところが、生前から妻は妻の名義の名義の財産を全て夫の名義に変更するという承諾を、全ての親族から得ていました。

妻が事故で亡くなった後、妻の弟が「名義変更前だから、兄弟にも相続の権利がある」承諾とは違う主張をしたとします。

しかし、他の親族の「事前の話し合いで夫への名義変更は承諾した」という証言、または妻が生前に相談していた弁護士にも陳述書を提出することで、兄弟の主張は却下されます。

このように、口約束だけでは相続トラブルになりやすいので、相続人全員の明確な承諾があればトラブルを発展させなくても解決できます。

また、一旦承諾しても、あとでまとまったお金が必要となる事情が生じてしまうこともあるので、口約束ではなく承諾した証拠を残しておくのが無難でしょう。

 

相続に関しては口約束よりも遺言書を用意してもらおう

相続に関するあらゆる約束は、必ず遺言書に記してもらうのが原則です。

2019.6.13

遺言信託で起こるトラブルにはどんなものがある?

愛する家族のために財産を残したい、相続争いなどというトラブルにはしたくない。相続に関わることになった場合、誰もがそう考えるでしょう。

そこで力を発揮するのが、遺言です。

しかしながら、法的に有効な遺言にするには、民法に定められるルールに従って作成されている必要があります。不完全で法的に通用しない遺言を遺してしまっては、かえって無用なトラブルを引き起こしかねません。

そこで近年では、信託銀行等などの金融機関において相続手続きをサポートする「遺言信託」のサービスを取り扱うところが増えてきました。

今回の記事では、相続における手段のひとつである「遺言信託」とはどのようなものか、その特徴やメリットなどを踏まえた上で、起こりうるトラブルについて考えていきたいと思います。

 

遺言信託とは?利用するメリットは?

遺言信託とは、一般的には信託銀行等などの金融機関による遺言書の作成助言および保管、遺言書の執行までをサポートするサービスです。

そもそも「信託」とは、ある人が自分の財産をしかるべき相続人に残したいと考えたとき、その財産の運用・管理・処分を信頼できる執行者に託すことです。

執行者という第三者を介することで、相続人同士の間で起こりうるトラブルを極力回避しようというわけです。

遺言信託では、その信託を遺言により設定します。信託銀行、弁護士、税理士と生前に信託契約を結ぶ方法がありますが、一般に「遺言信託」と呼ばれるものはおもに信託銀行等による遺言信託サービスを指します。

それでは、信託銀行等に遺言信託を依頼するメリットにはどのようなことがあるのでしょうか?

まず一つ目は、「お金のプロ」である信託銀行等などに、資産運用のノウハウを活用したアドバイスや金融商品のサービスを受けられることがあげられます。

実際に相続が実行されるまでの間は、お客様の預貯金として財産を運用することでより多くの財産が残せるよう有効活用できるのです。また、相続税対策のための生前贈与の商品を取り扱っているところもあります。

二つ目に、企業であることの安定性です。

文書や財産の保管に関しても、信託銀行等の厳重な管理体制に守られていますので比較的安心です。

それらに加えて、企業の提供するサービスであるという点で、個人間の複雑な人間関係に起因するトラブルや利害関係にとらわれず相続を遂行してもらえるということもメリットのひとつといえるでしょう。

遺言信託は、信託銀行等ではなく弁護士などに依頼することもできます。

ただ、弁護士などの場合、相続が完了する前に亡くなってしまったり、さまざまな事情により閉業してしまったりといっトラブルも想定されます。

その場合は当然、遺言信託の継続、執行はできなくなりますので、あらためて遺言信託先を選び直す必要があります。

信託銀行等であれば、そのトラブルやリスクも抑えられ安心して遺言信託を任せられるでしょう。

 

遺言信託で起こるトラブル例

このように遺言信託は一見便利で安心なサービスではありますが、一方でデメリットやトラブルがないわけではありません。

遺言信託を選択することによって起こりうるトラブルにはどのようなものがあるのか、発生しやすい3つのトラブルを挙げて説明していきます。

 

相続トラブルが起こったときに銀行では対応できない

信託銀行等は「お金のプロ」であり、「法律のプロ」ではありません。したがって、遺言信託を受けて実行するなかで、相続人とその関係者間などで法的な相続トラブルが発生したても対応することができません。

遺言書さえきちんと作っておけば相続トラブルは起こらない、ということではないのです。

遺言書の作成から実際に相続が完了するまで、被相続人、相続人、その他の関係者の身辺にどのような変化があるかは誰にも予想できることではなく、相続に関わる事態が発生すればその都度遺言書の内容を変更する必要が出てきます。

それまで問題にならなかったことが、重大な相続トラブルの原因になってくることもあるのです。

そのため、遺言書作成の段階で相続トラブルが起こりそうだと想定される場合、信託銀行等も遺言信託の契約そのものを引き受けないといった場合もあります。

そもそも信託銀行等が行う遺言信託で作成する遺言の内容は「財産に関すること」に限られます。

それ以外に遺言によって執行してほしい事がある場合、個人的事情や状況を考慮した契約を作成することは難しくなります。

なお、信託銀行等による遺言信託では出来ない例としては下記が主なものになります。

  • 現金以外の財産である不動産、株式など
  • 子どもの認知、相続人の排除、後見人の指定など身分に関すること

このように、将来起こりうる相続トラブルを予測・対応したり、財産以外の遺言内容についてフォローできないのが信託銀行等による遺言信託なのです。

あくまで、信託銀行等が提供する「財産の相続のための」サービスであると認識しておくべきです。

 …

2019.6.13

遺言信託のデメリット3つ。注意点やポイントなど

終活を意識して、遺影の写真を撮っておいたり、パソコンのパスワードや加入している保険についてメモしておいたりと、残された家族のことを考えていろいろ準備している方もいるでしょう。

遺産相続についてはどうでしょうか?遺産相続のことを「遺産争族」などと呼ぶ人もおり、着手すること自体がタブーのように感じてしまうかもしれません。

しかし、実は遺産相続の手続きの中には、期限付きのものがあります。期限を過ぎてしまうと、手続き自体ができなくなるものもあります。

また、期限に遅れたために余計な税金を払わなくてはならなくなったり、相続を後回しにするデメリットは多く存在します。

果たして、残されるご家族がそのようなことをご存じでしょうか。エンディングを考えている方も、どう進めていくか考えているでしょうか。

そのような中、遺言書作成から遺言書の保管、亡くなった時に遺言の執行まで引き受けてくれる「遺言信託」というサービスを信託銀行が提供し、利用者が増え続けています。

銀行に頼めるという点で信頼度が高そうなイメージを抱くと思いますが、実際にはどうでしょうか。

遺言信託のメリットとデメリットについて学んでいきましょう。

 

 遺言信託とは何か?何ができるか?

「遺言信託」とは、信託銀行などが取り扱う商品です。

遺言書作成時から相談に乗ってもらうことができ、遺言書の保管、亡くなった時には遺言の執行まで行ってもらえます。

このように相続に関する一連の手続きを引き受けてもらえるのが「遺言信託」です。

簡単にまとめると、遺言信託で主にできることは次の3つです。

  1. 遺言書作成と相談業務
    事前相談では生涯設計や生前贈与等を含めた遺産承継対策の全般にわたってアドバイスしてくれる。場合によっては弁護士や税理士とも協力して対応してくれる。事前相談に基づき公証役場で公正証書による遺言書を作成する。
  2. 遺言書の保管
    信託銀行が遺言書を保管し、異動・変更なども受け付ける。
  3. 遺言の執行
    遺言執行者として通知人から逝去の通知を受け取り遺言の執行を始める。
    具体的には遺言書の開示/遺言執行者の就職通知/財産目録の作成・交付/遺言の執行・実現/遺言執行完了の報告

遺言について何も分からない人にとって、「遺言信託」は頼りになりそうなサービスですね。

さて、信託銀行とはどのような銀行か、ご存じでしょうか。

給与の振り込みや保険料の引き落としなど、多くの人が利用している銀行は「銀行業務」を行っている銀行です。それに加えて「信託業務」と「併営業務」を行っている銀行のこと信託銀行といいます。

業務の範囲は、銀行によって異なりますが、それぞれの業務についておおまかに説明します。

【銀行業務:「お金」を取扱う業務】

  • 個人や法人からお金を預かる「預金業務」
  • 企業などに融資する「貸付業務」
  • 振込による送金など口座間のお金の移動を行う「為替業務」など

【信託業務】

  • 個人や企業などの財産に信託を設定し受託者に移転させて、その財産を管理・運用すること※お金以外にも株式などの有価証券、不動産、金銭債権など、財産として価値があるものは何でも信託することができます

【併営業務】

  • 遺言の保管や遺言執行業務などの相続関連業務
  • 企業の株主の名簿を管理する業務などの証券代行業務
  • 不動産の売買の仲介業務

 

普通の銀行業務に、さらにほかの業務まで取り扱えるということは、お金に関する知識はもちろん、信用度の高そうなサービスですね。

ところで、法的にいうと「遺言信託」は、信託銀行の商品名ではなく、信託行為を遺言によって行うという意味です。

例えば、Aさんが遺言で自分が所有するマンションの名義を、信頼しているBさんに移転させます。Bさんに、そのマンションを賃貸に出して家賃を得てもらい、その家賃収益をAさんの妻であるCさんに渡してもらう、というような仕組みのことをいいます。

 …

2019.6.12

遺言信託のメリット3つ。遺言信託を選ぶ理由とは

以前はタブー視されがちだった、自分の死を意識し最期をよりよく締めくくるための準備である「終活」。

その言葉が出始めた当初は、自分の葬儀や墓を生前に準備することが主な意味でしたが、最近では、自分の望む医療や介護について、遺言、相続の準備といった身辺整理をしておくメリットにも注目され、広い意味を持つようになりました。

その「終活」のなかでも、自分の死後に自身で築いた財産をめぐり家族間でトラブルが起きないことを願ったり、社会貢献に使ってほしいと意思表示したりと、相続に関する心配をされる方は少なくありません。

その想い(遺言)を確実に書面に残し、実行する方法の1つが「遺言信託」です

遺言信託を利用する上でのメリットやポイントについて解説していきたいと思います。

 

遺言信託とは?遺言を信託するとは?

遺言信託には

 

  • 法的な意味として
  • 信託銀行などの金融商品の1つとして

 

の、2つの意味があります。

まず、法的な意味としての遺言信託とは、信託法の第三条の二に「特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の遺言をする方法」と規定されています。

これは、自分の財産を他人に運用してもらい、その利益は自分の指定した者(自分でも良い)に渡してもらうという仕組みです。

一般的にこの信託を行うには、委託者と受託者が信託契約を結びますが、委託者が遺言によって受託者に信託を依頼することもできます(受託者となるように遺言された方が、それを承諾するか否かは選択が可能)。

これが遺言信託の意味の1つです。

次に、信託銀行などの金融商品の1つとしての遺言信託とは、遺言書の作成から保管、遺言書の執行(本人が亡くなった後に相続手続きを信託銀行などが主導で進めること)を信託銀行などが行うことを意味します。

「相続対策をしたいけれど、どうしたら良いかわからない。」

「相続に関して不安を持っている。」

「相続人以外の人に相続したい。」

そんな時は遺言信託について専門家からメリットやデメリットを含め、アドバイスを受けてみましょう。

では「遺言を信託する」とはどういった意味でしょうか。

遺言とは、自分が生涯をかけて築きあげ、守ってきた大切な財産を、最も有意義に活用してもらうために行う遺言者による意思表示です

遺言者が自分の亡くなった後の財産や遺産分割内容の希望を、自筆(自筆遺言)あるいは公正証書(公正証書遺言)や他の方式で作成します。

遺言者自身が自分の残した財産をどこに託すかを決め、相続に関するトラブルを防ぐことに主な目的とメリットがあります。

信託とは、自分が持つ財産を信託銀行等の受託者に託し、管理・運用してもらうことをいいます

信託は、財産を信託する「委託者」、信託された財産を管理・運用する「受託者」、信託された財産から生じる利益を受け取る「受益者」で構成されます。

2019.6.12

遺言信託の費用はどのくらい?どのような費用がかかる?

近年「終活」という言葉が流行っていることからわかるように「自分が亡くなった後に、遺族たちに迷惑がかからないようにしたい。」や「自分の意思を遺族にしっかりと残したい。」と意識して過ごす方が増えたように思います。

自分の遺産を、遺族たちにどう相続するのかを考えたり、その為の準備をしておいたりということは、自分も含め遺族にとっても良い終活のひとつです。

その意思表示のひとつとして「遺言」がありますが、今回は「遺言」がしっかり遺言どおりに執行されるためのサービスである「遺言信託」についてご紹介します。

 

遺言信託とは

遺言信託とは、信託銀行等が遺言書作成の相談から、遺言書の保管、遺言書の執行まで相続に関する手続きをサポートしてくれるサービスのことです。

法律用語としても遺言信託という言葉があり「遺言において、遺言する人が信頼できる人に、特定の目的に従って財産の管理等する旨を定めることにより設定する信託のこと。」としています。この記事では、前者の信託銀行等がサポートしてくれるサービスとしての遺言信託についてご紹介していきます。

遺言信託は主に、下記に該当する人たちが利用しています。

  • 相続対策を考えている
  • 相続に関して不安がある(子供たちに相続でトラブルを起こして欲しくない。など)
  • 相続人以外の方に相談したい

 

また、遺言信託を利用するメリットは主に下記5つがあります。

  • 専門的な知識が必要な相続事務について、信託銀行からサポートを受けることができる
  • 遺言に記した資産内容から、その有効活用に関するアドバイスをもらうことができる(信託銀行は顧客から信託された資産を運用することが本業のため)
  • 弁護士や税理士は個人のため、遺言者より先に死亡してしまう可能性がある。金融機関(法人)である信託銀行で遺言信託サービスを行った方がその点で将来的な安心感がある
  • 相続人間のトラブルを防止することができる
  • 自分の面倒をよく看てくれた方、自分が亡くなった後に自分の財産を社会貢献に役立てたい人など、相続人以外の人に相続でき、遺言者の意思を確実に実現することができる

 

一方遺言信託には、デメリットやできないこともあります。

遺言信託のデメリットは主に下記4つです。

  • 財産以外の、子の認知や相続人の排除など身分に関する事項については遺言信託のサービス外である
  • 相続人同士で遺産分割に関する争いが既に起きている場合や、紛争になる可能性が高い場合は信託銀行は遺言執行者にはなれない(この場合は弁護士に依頼する必要があります。)
  • 相続税の申告など税務に関することは、遺言信託のサービス外であり、別途税理士に依頼する必要がある(税務申告については税理士資格が必要となる為です。別途税理士への費用がかかります)
  • 遺言執行時に支払いする費用(報酬)については遺産の額によるため、財産が少額の場合は弁護士に依頼した方が費用が安くなる時がある(遺言信託を扱っている銀行では最低報酬額が定められています。)

 

遺言信託は下記の流れで行われます。

【遺言作成・保管時】
遺言作成・保管時事前相談→遺言書の作成(公正証書)→遺言書の保管→定期照会・見直し

【遺言執行時】
遺言者死亡→信託銀行へ通知→遺言執行者の就職→財産目録の作成→遺言の執行(遺産分割・名義変更の手続き)→完了

ここで注意すべきことは「遺言信託を行っている銀行では遺言書は自分で書いたものは受け付けておらず、公正証書遺言のみ受け付けてもらえる」ということです。

公正証書遺言は公証人のもとで作成されるため、遺言書の法定要件を欠いたりすることがなく、内容が明確です。また、原本が公証人役場で保管されることで、偽造や紛失を防止することができるからです。

遺言信託は銀行にて遺言書の作成段階から相談を受け付けてくれるので、遺言書をまだ書いてない方は、内容についてもアドバイスを受けることができます。

 …

2019.5.31

遺言信託とは?どこに相談すればいい?

「争続」という言葉もあるくらいです。

誰でも、自分が死んだ後に大切な家族が、相続のために一生仲違いをしてしまうような「争続」関係になってほしいとは思っていません。

そんなことにならないように事前に遺言書を残すことは有効ですが、その内容を実行する遺言執行者の存在も必要不可欠です。

そこで、この記事では、確実に遺言を残して実行する方法の一つ、「遺言信託」について解説します。

遺言信託とは

法的な意味の遺言信託

遺言信託とは、信託銀行等が遺産の管理と遺言の執行を行ってくれる行為を言います。

信託の方法は、信託法の3条に規定されていて、そのうち「遺言信託」については、信託法3条二に次のように掲げられています。

信託法3条二
特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の遺言をする方法

つまり、信託には、次の3者の関係を理解しておくことが重要です。

A:委託者(遺言者)

B:受託者

C:受益者(相続人となるべく遺言で指定された者)

例えば、遺言信託は「A(遺言者)が、自分の財産を遺言でBに委託して運用したり、管理したり、処分したりしてもらって、相続時にC(相続人)に利益をもたらしてもらう」という流れになります。

Aの財産をBが運用したり処分したり管理したりするのですから、AとBは「AがBにそれらの権限を与える」「Bがそれらの役割を承諾する」というふうに、お互いに契約を結ばなければなりません。

法的には、財産の運用・処分・管理を行うBがどういった人であるべきかという指定は無く、Aが定める人となっていて、AとBが「信託契約」を結ぶのが一般的です。

そして信託法では、「遺言信託」の場合、信託契約を結ぶBについては、Aが遺言で「遺言執行人」として指名することになっています。

Bは信託銀行・弁護士・税理士等と生前信託契約を結んで遺言に指定する方が、信託契約はが間違いないでしょう。。

そしてBが遺言執行人となり、遺言内容通りにつつがなく相続が実行されます。

銀行等のサービスである遺言信託

受託者のサービスを銀行等の金融機関が行う「遺言信託」という金融サービスがあります。

銀行等金融機関が行うサービスとしての「遺言信託」は、銀行等の金融機関が遺言書の作成をサポートし、遺言執行者(受託者)となり、相続の実行を行うサービスです。

銀行といっても、信託業務を扱っている銀行が一般的です。

信託業務を取り扱う銀行等は、日常的に、お客様の預貯金の管理だけでなく、金融商品によって、お金の管理・運用・処分を行う機関です。

つまり、銀行等が行う金融商品としての「遺言信託」も、いずれ相続財産になるであろうお客様の資産の「管理・運用・処分」が中心です。

財産を遺したい大切な家族に、相続税の負担をかけずに財産を遺したい、と思う人達には、専門家のアドバイスが必要です。

ここで、相続税対策になるお金のアドバイスについて、銀行等金融機関が専門家としてサービスを提供しているのです。

アドバイスの過程で、信託贈与のための預貯金のサービスを提供し、金融機関の利益にも繋がります。

例えば、遺言者が健在なときには、相続税対策のために生前贈与の金融商品、あるいは、お客様の預貯金で国債や株といった信託業務(金融商品)を行って、お客様の資産を運用・管理・処分して、お客様の資産を増やします。

そして、お客様が亡くなって、相続が実行されるとき、遺言執行人となって、相続をつつがなく行い、報酬を得る、といったサービスが提供されています。

このように、「遺言信託」という金融商品は、少しでも有利な相続をするためのアドバイスを銀行等が行い、お客様の相続のお手伝いをするサービスです。

信託銀行の遺言信託サービスは、以下のような業務が行われています。

・ 公正証書遺言の作成(銀行等の金融機関が受託者で無い場合は遺言の種類に制限はない)

・ 遺言書の保管(公正証書の原本は公証役場にあるが、その遺言者本人が「公正証書正本」として公証役場から受け取る「公正証書遺言」原本の複写を銀行等に預ける)

・ 「公正証書正本」と遺言内容の定期的な照会や見直し(公正証書の作成のやり直しには別途公証役場に支払う費用がかかる)

・ …

2019.4.1

遺言書の効力の範囲とは?記載できること/できないこと

遺族のために遺言書を書いて残している人は多くないでしょう。

ほとんどの人が遺言書のことなど気にせずに日々を過ごされているのではないでしょうか。

一方、仲睦まじく暮らしていたのに、家族が遺産を巡り骨肉の争いを繰り広げてしまうという話も実際に現場でよく目にします。

そして、どのような人でも、そんな争いをするより、残された家族でどんな未来に進んでいくかを話したい、という想いがあることも明確でしょう。

しかし、残された家族は、亡くなった人を悼みながら遺産分割協議を行わなければなりません。

ご遺族の方々が「悪いことが起きた」状態で複雑な協議を調停することは、人間にとって困難なことの一つです。

遺言書の本当の効力とは、残された家族に早く立ち上がってもらい、自分の人生に目を向けてもらうことなのだと、私は思います。

遺言書を書くことを検討されているのであれば、早い内から遺言書の準備を進めることを心からお勧めします。

遺言書とは

自身が人生で築いた財産の処分や相続、子どもの認知など自身の最終意思を伝えるための手段です。

遺言書の基礎知識

まず、遺言の定義について触れたいと思います。

簡潔に表すと、遺言とは故人が自らの死後のために遺した言葉や文章です。

読み方は「ゆいごん」と呼ばれることが多いですが、法律用語では「いごん」と呼ばれます。

遺言書は自分の生涯を終えた時に、自らの最終意思を反映させるための手段です。

遺言書を遺すことで故人が生前に有していたあらゆる財産を、自らの死後、ご自身の思いに従って家族等に自由に相続させること、処分することが出来ます。

民法第961条に、「十五歳に達した者は遺言することができる」と定められています。

遺言書は法的な文書であるため、法律に基づいて書き記す必要があります。

遺言書の大前提として、2名以上の人が共同して遺言出来ない、という定めがあります。

一つの遺言書には遺言を遺す本人以外の遺言は記載できないということです。

また、遺言書は本人が全て自筆で書く必要があり、パソコンのワードやエクセル等のソフトを用いて紙面に残した遺言書は無効となってしまいます。

遺言書は自らの意思でいつでも書き直すことができ、最新の日付と署名のある遺言書のみが有効です。

遺言書は自己の財産の処分だけでなく、身分についても触れることが出来ます。

自己の財産を相続する推定相続人の排除や、自らの子ども認知等が挙げられます。

遺言書の種類

遺言書は大きく分けて、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類の形式があります。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言を遺す意思のある本人が紙に遺言を書き記す方法です。

紙の書式や筆記用具は問わないため、紙とペン、そして印鑑があれば遺言を書く上での要件は満たします。

行政への手続きや費用も一切かからないため、3種類ある遺言書の形式の中で最も敷居が低く、使われている遺言書です。

また、遺言書の内容や存在を秘密にしておくことが出来るのも大きなメリットと言えます。

しかし、遺言書が改ざんされたり、紛失したりするリスクも存在します。

また、筆者の死後、遺言書の存在が気付かれない可能性もあります。

公正証書遺言

公正証書遺言は、遺言書を公正証書にしたもので、公証役場で作成します。

公証役場にいる公証人と呼ばれる人が、法律に基づき証書を代筆で書面にします。

公正証書遺言を作成する上で重要なのは、証人が2人必要なことです。

証人に選ぶ人の条件に最低限、以下にある5項目に該当していないことが必要になります。

・未成年者

・遺言によって財産を相続する人とその配偶者や直系血族…