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【遺言について 】
遺言、遺言書について説明しています。法的効力をもつ遺言を残すには、遺言書の書き方、注意点を知っておくべきです。遺言書の種類や遺言書の書き方などについてまとめています。

2019年5月31日 金曜日

遺言信託とは?どこに相談すればいい?

「争続」という言葉もあるくらいです。

誰でも、自分が死んだ後に大切な家族が、相続のために一生仲違いをしてしまうような「争続」関係になってほしいとは思っていません。

そんなことにならないように事前に遺言書を残すことは有効ですが、その内容を実行する遺言執行者の存在も必要不可欠です。

そこで、この記事では、確実に遺言を残して実行する方法の一つ、「遺言信託」について解説します。

遺言信託とは

法的な意味の遺言信託

遺言信託とは、信託銀行等が遺産の管理と遺言の執行を行ってくれる行為を言います。

信託の方法は、信託法の3条に規定されていて、そのうち「遺言信託」については、信託法3条二に次のように掲げられています。

信託法3条二
特定の者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨並びに当該特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨の遺言をする方法

つまり、信託には、次の3者の関係を理解しておくことが重要です。

A:委託者(遺言者)

B:受託者

C:受益者(相続人となるべく遺言で指定された者)

例えば、遺言信託は「A(遺言者)が、自分の財産を遺言でBに委託して運用したり、管理したり、処分したりしてもらって、相続時にC(相続人)に利益をもたらしてもらう」という流れになります。

Aの財産をBが運用したり処分したり管理したりするのですから、AとBは「AがBにそれらの権限を与える」「Bがそれらの役割を承諾する」というふうに、お互いに契約を結ばなければなりません。

法的には、財産の運用・処分・管理を行うBがどういった人であるべきかという指定は無く、Aが定める人となっていて、AとBが「信託契約」を結ぶのが一般的です。

そして信託法では、「遺言信託」の場合、信託契約を結ぶBについては、Aが遺言で「遺言執行人」として指名することになっています。

Bは信託銀行・弁護士・税理士等と生前信託契約を結んで遺言に指定する方が、信託契約はが間違いないでしょう。。

そしてBが遺言執行人となり、遺言内容通りにつつがなく相続が実行されます。

銀行等のサービスである遺言信託

受託者のサービスを銀行等の金融機関が行う「遺言信託」という金融サービスがあります。

銀行等金融機関が行うサービスとしての「遺言信託」は、銀行等の金融機関が遺言書の作成をサポートし、遺言執行者(受託者)となり、相続の実行を行うサービスです。

銀行といっても、信託業務を扱っている銀行が一般的です。

信託業務を取り扱う銀行等は、日常的に、お客様の預貯金の管理だけでなく、金融商品によって、お金の管理・運用・処分を行う機関です。

つまり、銀行等が行う金融商品としての「遺言信託」も、いずれ相続財産になるであろうお客様の資産の「管理・運用・処分」が中心です。

財産を遺したい大切な家族に、相続税の負担をかけずに財産を遺したい、と思う人達には、専門家のアドバイスが必要です。

ここで、相続税対策になるお金のアドバイスについて、銀行等金融機関が専門家としてサービスを提供しているのです。

アドバイスの過程で、信託贈与のための預貯金のサービスを提供し、金融機関の利益にも繋がります。

例えば、遺言者が健在なときには、相続税対策のために生前贈与の金融商品、あるいは、お客様の預貯金で国債や株といった信託業務(金融商品)を行って、お客様の資産を運用・管理・処分して、お客様の資産を増やします。

そして、お客様が亡くなって、相続が実行されるとき、遺言執行人となって、相続をつつがなく行い、報酬を得る、といったサービスが提供されています。

このように、「遺言信託」という金融商品は、少しでも有利な相続をするためのアドバイスを銀行等が行い、お客様の相続のお手伝いをするサービスです。

信託銀行の遺言信託サービスは、以下のような業務が行われています。

・ 公正証書遺言の作成(銀行等の金融機関が受託者で無い場合は遺言の種類に制限はない)

・ 遺言書の保管(公正証書の原本は公証役場にあるが、その遺言者本人が「公正証書正本」として公証役場から受け取る「公正証書遺言」原本の複写を銀行等に預ける)

・ 「公正証書正本」と遺言内容の定期的な照会や見直し(公正証書の作成のやり直しには別途公証役場に支払う費用がかかる)

・ 遺言者が死亡した後の遺言執行の役割

ただし、信託銀行は法律や税の専門家ではないので、「遺言信託」という金融商品は、法的な「遺言信託」の全てを賄うサービスではなく、銀行等の金融機関でも対応できる一定の範囲内で行うサービスとなります。

この「一定の範囲内で行うサービス」であることは、「遺言信託」の申し込みの際の、約款にも詳しく明記されているでしょう。

銀行等による遺言信託を利用するメリット

面倒な手続きのサポートを受けられる

銀行等の「遺言信託」という金融商品の場合、銀行等が遺言執行者となり、下記の手続きのサポートを行ってくれます。

・遺言の作成(銀行等が受託者の場合、公正証書でなければならない)

・遺言書の保管(公正証書正本の保管)

・遺言内容の定期的な照会や見直し

・遺言者が死亡した後の遺言執行者の役割と相続手続きのサポート

資産の整理から、遺言内容のアドバイス、遺言執行者の指名等を自分で行うのは困難です。

とくに、遺言執行者をお願いする人を探すのも、いざとなると大変です。

費用はかかりますが、さまざまな人間関係の配慮もいらず、遺言書を作成して、遺言者が亡くなって相続の実行を完了するまでの期間、企業組織としてサポートしてくれるのがメリットでしょう。

ただし、不動産の相続が多い場合は、不動産の名義変更等の手続きの代行を銀行等はできないので、銀行等が司法書士を手配したり紹介してくれたりします。

そのため、法務局の費用の他に、司法書士の手数料が別途かかる点を注意しておきましょう。

相続人同士のトラブル防止

銀行等の「遺言信託」という金融商品の場合、実際に起こる相続トラブルには対応できません。

法定相続人の遺留分減殺請求、相続廃除手続き等に関するトラブルには、法律の専門家ではない銀行等が手出しできない領域だからです。

しかし、遺言書の作成時に相続トラブルを回避できる遺言内容へのアドバイスによって、相続トラブルを未然に防ぐことができるかもしれません。

ご家族の事情なども話してみて、最善の遺言内容や財産の運用方法をご相談してみることができるでしょう。

被相続人の遺志を確実に実行することができる

銀行等の金融商品「遺言信託」の申し込みをお客様が行うとき、金融商品「遺言信託」の商品サービスの内容・手続き、遺言執行の方法、法的にできること、できないこと、その他説明しなければならないこと、費用等についても、詳しく説明し、お客様に納得してもらった上で、お客様の申し込みを受け付けます。

つまり、これが信託契約を交わすのと同じ効果を生みます。

遺言書作成から相続実行までの期間は、短い人もいれば何十年もの長い期間のひともいます。

個人に依頼することもできますが、病気や死亡、その他親族の重大な危機、個人的な状況の変化等によって、遺言の執行が難しいケースもあります。

しかし、銀行等の金融商品である「遺言信託」の場合は、銀行等企業との契約なので、例え倒産した後も契約維持を国が保証してくれます

銀行等による遺言信託の手続き流れ

被相続人が生前に遺言信託の相談を行う

将来的にいつかは被相続人となるべくお客様が、資産を大切な家族等に残したいと思い、銀行等を訪れ、「遺言信託」の金融商品について説明を受けます。

訪問した人は、自分の資産をどのようにしたいかを、訪れた銀行等の専門スタッフに相談します。

自分の資産のうち、自分の人生のために使いたい分、大切な家族等に相続したい分、いろいろあるでしょう。

そして、大切な人達に相続させたい資産は、どのように相続させたいか等を率直に相談する事をお勧めします。

相続をさせたいけど、相続税が心配だというお客様もいるでしょう。

そのようなお客様には、専門スタッフが、お客様の資産の相続税対策についても相談に乗ってくれます。

必要に応じて、税理士や弁護士をも紹介してくれます。

信託銀行のスタッフに、お客様に必要な資産の使い方や相続について、適切なアドバイスをもらうことで、被相続人が最も望む方法を一緒に探ってくれるでしょう。

遺言書を作成する

お客様の資産の使い方、処分の仕方、相続のさせ方が決まったら、「遺言書」案を銀行等の専門スタッフが作成してくれます。

また、その遺言書案をお客様に見せて、お客様と一緒に必要な訂正を行ってくれます。

遺言内容がまとまったら、それを公証役場に行って公正証書にします。

銀行等の金融商品としての「遺言信託」の遺言書は、遺言書として最も争いの可能性が低い安全な「公正証書」でなければなりません。

公正証書は、遺言者本人(お客様)が相続に必要な書類と遺言内容の原案を持って公証役場に行くと、公証人が遺言内容を確認して、遺言者本人に代わって公正証書原案を作ってくれます。

公正証書原案作成には数日かかりますが、できあがったら遺言者本人に公証役場から連絡があって、遺言者本人がアポを取ってその内容を確認しに公証役場に向かいます。

その公証役場の公正証書原案確認には、証人2人の同伴が必要です。

公証人が作った公正証書遺言の原案を遺言者本人が確認したら、遺言者本人と証人2人が公正証書原案に署名押印して、最後に公証人が署名押印します。

こうして最後に日付の入った公証役場の印が公正証書に押印されて公正証書原本完成です。

その写しを証書にして、日付入公証役場の印が押されたものが、遺言者本人に、「公正証書正本」として渡されます。

公正証書原本は、公証役場に保管されます。

ちなみに、遺言内容を周囲に秘密にしたい、その他さまざまな理由で、証人の当ての無い方は、銀行等に相談してみましょう。

銀行等によってさまざまですが、銀行等スタッフが証人になってくれるケースも多いです。

被相続人が生前に遺言信託の申込を行う

銀行等の専任スタッフのアドバイスを受け、遺言書の原案ができ、その内容に納得した場合は、お客様は金融商品としての「遺言信託」に申し込みを行います。

この申し込みが成立したら、法的な遺言信託の受託者に銀行等を指名したことになり、信託契約を行ったのと同じことになります。

相談に乗り、アドバイスを行った専任スタッフが中心となって、その銀行等が受託者となり、遺言執行人となります。

そして、金融商品としての「遺言信託」を申し込んでから遺言が実行されるまでの間、定期的に遺言内容、お客様の資産、相続人の変更等について照会し、資産等の管理をしてくれます。

また、資産の変更・異動等が生じて、公正証書の変更やその他必要な手続きが発生した場合は、その都度対応し、相談に応じてくれます。

また、相続内容を変更したいときにも、親身になって対応してくれ、必要な手続きのアドバイスを積極的に行ってくれます。

遺言内容に変更が生じた場合は、公正証書遺言の訂正や変更等、書き直しが必要な場合もあります。

その際には、公証役場の費用が別途かかります。

相続が発生したら遺言信託の依頼先に連絡

そして、ついにお客様が亡くなって、お客様が被相続人になられたときは、ご家族や法定相続人、その他相続人の方が、被相続人が遺言信託を申し込んでいる銀行等に連絡します。

その時点で、遺言執行人である銀行等の担当スタッフが、ご家族やその他相続人の方々に遺言執行人である事をお伝えします。

遺言信託の依頼先が遺言執行業務を開始

遺言内容を実行するために、必要な手続きを始めます。

預貯金や証券等の金融商品の解約や名義変更、各相続人への指定の金額の振り込み等、金融機関として行えることは遺言執行人が手続きを行いますが、不動産の名義変更や売買、相続税申告納付に関する代理行為等、遺言執行人本人ができないことは、司法書士や税理士等を紹介し、手続きが滞りなく遂行されるよう計画されます。

遺言執行の依頼先が遺産の調査や財産目録を作成する

お客様の資産が多い場合は、公正証書を作成するに当り、財産目録を作成するための調査も行い、公正証書に添付するための財産目録を作成してくれます。

相続人が相続税の申告及び納付を行う

遺言執行人は、銀行等のスタッフなので、税理士の資格を持たないため、相続人に代わって相続税の納付をする事はできません。

そのため、相続税に関しては、相続人がご自身で納付しなければなりません。

しかし、相続税のための相談については、ある程度相談に乗ってくれますが、必要とあらば税理士を紹介してくれます。

遺言信託の依頼先が遺産分割し遺言執行が完了

銀行等の遺言執行人が、遺言内容に従って、被相続人の希望通りに財産を分割して相続の実行を完了したら、「遺言執行顛末報告書」を作成します。

「遺言執行顛末報告書」は、相続を実行した内容と、遺言執行人の報酬等の収支を明確にした被相続人の財産全てをどう分割し、執行人の報酬をどこから算出したかを明確にした報告書です。

この報告書は、相続人全員に配布されます。

銀行等の「遺言信託」の報酬について

「遺言信託」の場合の遺言執行人の報酬について解説します。

銀行等の金融商品である「遺言信託」の場合、金融商品であるので、当然その報酬がかかります。

お客様が、契約の時に支払う金額と、相続財産から支払う金額があります。

では、「遺言信託」の手数料を紹介します。

① 基本料金

② 遺言書保管料金(年額)

③ 遺言書の書き換え料金

④ 遺言執行報酬(相続を執行した資産総額の評価額に一定の掛け率を乗じた額)

① ~③の料金は、お客様が生きている間に支払います。

もしかしたら、②保管料の最後の年の分だけ、支払い期日が亡くなった日の後の場合は、未払いかもしれません。

そして、相続を実行した合計額の○%といったふうに報酬を規定しているケースがほとんどです。

各銀行等金融機関によって異なりますので、遺言執行人としての報酬については、「遺言信託」の申し込みの際にご確認ください。

この報酬の掛け率は、「遺言信託」の申し込みの時にお客様ご納得の上で、申し込みをする流れになっています。

そのため、公正証書の遺言内容でも、「遺言信託の②未払い分と④の報酬」(以下「遺言信託報酬支払い等」という)をお客様の資産の中から支払う方法についても取り決められています。

そのため、「遺言信託報酬支払い等」を支払う資産について、銀行等の報酬の支払いについて、「遺言執行顛末報告書」には、相続の実行内容に付随した収支として、明確に記載されます。

遺言執行人としては、「遺言信託」でお預かりしたお客様の資産全額について不明な点が1円でもあってはいけません。

そのため、執行した相続内容と、「遺言信託報酬支払い等」も相続実行に付随する収支として、被相続人の相続財産全てを明確に記載した「遺言執行顛末報告書」を作成し、相続人全員に報告するまでが、遺言執行人の仕事なのです。

まとめ

いかがでしたか?

銀行等の金融商品「遺言信託」は、相続の面倒な手続きを一括して行ってくれます。

遺言執行人が代理できず、相続人本人しかできないことについては、専門家を紹介してくれます。

このように、つつがなく相続が実行されるようお手伝いをしてくれる非常に頼もしい味方です。

でも、その分費用もかかります。

また、不動産の相続財産が非常に多かったり、相続税の支払いが大変で、税理士に相談するしかないような場合は、銀行等に支払う手数料に加えて、司法書士や税理士に報酬を支払う必要があります。

そのような場合は、初めから司法書士や税理士に遺言執行人をお願いした方が安上がりだったということもあります。

また、相続実行の時にトラブルが生じて、弁護士費用が発生したのでは、初めから弁護士に相談しておいた方が割安で、トラブルが安易に早期解決したかもしれない可能性もあります。

ご家族の生活をよく考えて、これなら間違いないと思った時は「遺言信託」で確実に実行される手段が有効かもしれません。

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監修者太田諭哉
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公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
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