みなさんのご自宅にも、絵画や陶器などの美術品がいくつかあるのではないでしょうか。
美術品は、お金に換えることができることから相続財産に含まれます。
相続財産に含まれるということは、相続税の対象になります。
そのため、亡くられた方が美術品のコレクションを趣味にしており、多くの作品がある場合は、その作品一点一点につき価値を正確に把握する必要があるため、時間がかかり手続きも煩雑になる可能性があります。
人が一人いなくなるというタイミングでは、多くのやるべきことが現れてくる中で全ての美術品の鑑定を行うのは大変に思うことでしょう。
今回は、一般的な相続税の計算方法について軽く触れた後、美術品を相続するときの注意点について、その価値評価を誰に依頼にすればいいのか、ということも含めて解説します。
相続税の計算方法

正味の財産の把握と課税価格の算出
相続税の計算をする上で、最初に実施するべきことは、財産の状況を明確にし、課税価格を算出することです。
相続財産とみなし財産は、一定の贈与財産の合計から非課税財産と債務・葬式費用を除くことで算出されます。
みなし財産とは、被相続人の死亡により受け取れるもので、生命保険金、死亡退職金などが対象となります。
なお、生命保険金、死亡退職金については「500万円×法定相続人の数」を控除することができます。
また、一定の贈与財産とは、相続開始前から3年以内の贈与財産、相続時精算課税制度による贈与財産を指し、生前の贈与に対し通常の贈与税を課すのではなく、相続時に清算します。
また、課税価格を算出する際、相続税が発生するかどうかを判断する必要があります。
相続税総額の算出
相続税の総額は、課税価格から基礎控除(3000万円+相続人の数×600万円)を差し引いた課税遺産総額をもとに算出します。
基礎控除額以下であれば、相続税の発生はなく申告も必要ありません。
相続税総額の算出方法は、まず課税遺産総額を法定相続分で分割したと仮定して、速算表に当てはめて計算します。
そして、各相続人の金額を再び合算して、相続税額の総額を出します。
なお、養子や非嫡出子も法定相続人となり、法定相続分も実子と同じ割合で与えられます。
各人の相続税額の算定
先程算出した相続税額の総額を実際に取得した遺産の割合で各相続人が負担します。
ここでは各相続人によって控除や加算がなされる場合があることに注意が必要です。
代表的なものとして、配偶者控除・障害者控除、父母、子、配偶者以外(兄弟など)が遺産を相続する場合の2割加算等があります。
なお、遺産分割は10か月以内に行わなければいけませんが、まとまらない場合はひとまず法定相続分で分けた形で相続税を納めます。
美術品の相続税評価額の決め方

遺産の中に美術品が含まれていた場合、別途相続税が発生します。
ここでは、美術品の相続税の評価額の計算方法について、解説します。
相続対象になるか確認する
まず、そもそも基礎控除(3000万円+相続人の数×600万円)以下の財産には相続税が発生しません。
また、数万円~数十万円程度のものであればテレビや家具などと共に家財として扱われます。
従って、相続財産に美術品が含まれるケースは、相続税納付者全体の5パーセントにも達していないと言われています。
また、遺された美術品に価値がある場合には相続財産として扱います。
従って、不動産と同様、その価値によって税額が決まります。
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