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2019年2月27日 水曜日

自動車の相続・名義変更手続き方法まとめ

亡くなった方が乗っていた自動車を、どうすれば良いのか迷ってしまいますよね。

大切な方が乗っていた自動車ですから、運転できそうなら自分が形見分けにもらいたい人もいるでしょうし、乗る人がいない場合は売ったり廃車にしたりすることも考えるでしょう。

どちらにしても、何かしらの手続きが必要です。

売るにしても廃車にするにしても、まずは名義変更をしなければ、亡くなった方の名義(所有権を持つ人)のままでは何もできません。

乗り続けるにも、自動車税や車検のために、そのままというわけにはいきません。

車の自賠責保険は車自体についてくる保険ですが、任意保険の方は乗る人に着いてくる保険ですので、どのような保険に加入するかによっても変ります。

また、亡くなった方が使用していた車が、亡くなった方の名義かどうかの確認も必要です。

「どうして?」と思う方もいるかもしれませんね。

そこで、この記事では、自動車の相続関係の手続きに関して解説します。

自動車を相続するためには

遺産分割協議をする

『自動車は、形見分け』といった感じで、相続財産だという認識が薄い人が多いのではないかと思います。

しかし、自動車もれっきとした相続財産であり、遺言書がない限り、法定相続人全員の共有財産になるのです。

ですから、相続が確定するまで勝手に乗り回したり、名義変更をして売ったり廃車にしたりしてはいけません。

遺言書がある場合は、遺言書の指示に従って、車を譲り受ける人が決まります。

一方、遺言書が無い場合は、法定相続人全員で話し合って、車をどうするかを決めなければなりません。

とはいえ、相続財産なら、不動産と同じようにその金額(評価額)がわからないと、分割協議をすることはできないですよね。

一般的には、中古車センター等の買い取り査定がそのまま評価額になることが多いです。

国税庁の決まりでは、もの凄く古い車で5万円に満たない場合、相続税の対象にならないことになっています。

ちなみに、13年目のフィットを行きつけのディーラーで査定してもらったら、下取り価格は高く見積もって3万円だといわれたことがあります。

中古車センターでは、もっと安いとのことでした。

また、いまや車の買い取りは、インターネットさえあれば中古車の買い取り価格を一括査定できる時代です。

100万円以下の場合は、正式な査定表があれば相続手続きが簡略化されるので、100万円以下かどうかを知るために、まずは査定してもらいましょう。

一般的に中古車センターで査定するよりもディーラーで査定した方が安いといわれていますが、車種によっては異なりますので比較してみることをお勧めします。

また、売るにしても譲り受けるにしても、査定価格による評価額で遺産分割協議を行い、誰が引き取って名義変更をするかを協議する必要があります

ただし、名義変更にかかる費用は、相続した人が負担することとなります。

車を相続する場合は、車の評価額は安い方が、他の財産を多く譲り受けられます。

ただ、売るつもりであれば、車の評価額は高い方が良いかもしれません。

しかし注意点として、名義変更の手続きは意外と手間がかかってしまいます。

そこで、費用はかかりますが手続き一切を引き受けてくれるディーラーや中古車買い取り会社もあるので、買取価格だけでなく、そのような手間も考慮して、ディーラー査定や中古車買い取りセンターの一括査定を行い比較検討しましょう。

遺言書のない場合の遺産協議とは、相続財産全てを法定相続人で平等に分割するために、誰が何をどのようにして相続するかを話し合うものです。

車や不動産、着物・アクセサリー等、分割できないものは、売却してお金にしてから分けるか、誰か1人の所有にするかも話し合いによって決めます。

ただし、亡くなった方の乗っていた車の名義が、亡くなった方ではない場合もあります。

そのような事態にそなえて、まずは亡くなった方が乗っていた車の名義を確認しましょう。

車のローンが終わっていない場合は、名義人が金融機関や信販会社、ディーラーとなり所有権が留保されていることがあります。

この場合は所有権のない車は相続の対象となりませんが、自動車ローンは相続の対象です。

<注意点>

使用者が亡くなった方になっていることもあります。

その場合は、車を相続した人が、債務も相続することになります。

カーローンの場合は、亡くなった方との分割払い契約ですから、債務財産を相続した場合は、一般的に一括返済で相続することになります。

残債が多く場合は一括返済が難しい場合は、信販会社・金融期間等と相談して、再契約等で分割返済を続ける事もできます。

また、相続財産が少なく、車を相続すると実質的には債務財産だけが手元に残るような場合は、相続放棄をすることもできます。

相続放棄は、相続財産があることを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出ル必要があります。

期限をすぎると、自動的に相続が発生し、債務があなたに変ってしまうことになりますので気をつけましょう。

一方、残債がなく、所有権解除の手続きだけがまだの場合は、車を相続することが決まった人は、信販会社・金融機関の指示に従いましょう。

一般的に、信販会社・金融期間等の所有権解除手続きに債務者(車の購入者=亡くなった方)の死亡による代理人の手続きのために、戸籍謄本や相続人代表者の印鑑証明などの提出を求められます。

信販会社・金融機関等の指定した必要書類を郵送後、金融期間等の転譲渡証明書・委任状、印鑑証明書等が届きます。

これらの書類が、債務や担保がなくなった証拠となり、相続のための名義変更が可能となります。

遺産分割協議書を作成する

相続人全員で協議した内容は、法的に有効な遺産分割協議書を作成して、しっかりと記録に残すことが必要です。

全員が後から確認することができるため、無用なトラブルの防止につながります。

実際、遺産分割協議の後、「やっぱり気が変わった」ですとか「あの時は言えなかったけど本当は納得していない」などと後から言ってくることも多いのです。

そういったトラブルを防ぐ手段として、遺産分割協議書は非常に有効です。

一般的に、法的に有効な遺産分割協議書を一旦作成すると、後から内容を変更することはできません。

また、遺産分割協議書を遺産相続の様々な手続きの際に添付することで、手続きをスムーズに進めることができます。

ただし、遺産分割協議書に不備があると、単なる紙くずになってしまいます。

法的に有効なものとなるよう、内容には気をつけましょう。

続いて、遺産分割協議書のサンプルをご紹介します。

今回の例は、山田太郎さん(父親)が亡くなって、妻と子供達2人が相続人という設定です。

長男の一郎さんは母親(=非相続人の妻)と一緒に父親の家に住むことになり、取り敢えず家は母親の名義にすることにしました。

長男がその妻や子供と一緒に、母親の一切の面倒を見ることに決まったとします。

母親が相続した家は、建物の評価額は0に近かったのですが、土地が4,000万円の評価でした。

この評価額をもとにそれぞれの相続割合を当てはめると、半分の2,000万円は妻、更にその半分の1,000万円ずつを長男と長女で分けることとなります。

しかし、長女の華さんはすでに嫁いでおり、住所も姓も異なります。土地自体は分割できないため、このままでは長女が受け継ぐことのできる財産が少なくなってしまいます。

このため、母親は自らの預貯金から1,000万円を払い、長女に渡すことで同意しています。

また、父親の車は長女が形見分けで相続することになっています。

このときの遺産分割協議書の内容は、以下のようになります。

遺産分割協議書(サンプル)

本   籍  ○県○○市○○町○丁目○番○号
最後の住所  △県△△市△△町△丁目△番△号
被相続人    山田 太郎 (平成30年1月1日死亡)
上記の者の相続人全員は、被相続人の遺産について協議を行った結果、次の通り分割することに同意した。

1.相続人山田花子は次の遺産を取得する。
【土地】
所   在  △県△△市△△町△丁目
地   番  何番何
地目:宅地 地積  400.00㎡

【建物】
所   在  △県△△市△△町△丁目
家屋番号   △番△
種   類  木造
構   造  瓦葺2階建
床 面 積  1階  45.35㎡
2階  40.00㎡
【現金】   金3,000,000円
【預貯金】  ○○銀行○支店 普通預金 口座番号12345678

2.相続人山田太郎は次の遺産を取得する。
【現金】   金3,000,000円
【預貯金】  ○○銀行○支店 普通預金 口座番号09101112
○○銀行○支店 定期預金 口座番号13141516
【株式】   ○○株式会社 普通株式  100株

3.山田花子は、第1項記載の遺産を取得する代償として、白石華に平成30年2月31日 までに、金10,000,000円を支払う。
【車】山田太郎名義の日産リーフG 白 「○○ む358 1234」

4.本協議書に記載のない遺産及び後日判明した遺産については、相続人山田花子がこれを取得する。

以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したので、本協議書を何通作成し、署名押印のうえ、各自1通ずつ所持する。

平成30年1月7日
【相続人山田花子の署名押印】
住所 △県△△市△△町△丁目△番△号
氏名 山田 花子      実印

【相続人山田一郎の署名押印】
住所 △県△△市△△町△丁目△番△号
氏名 山田 一郎      実印

【相続人白石華の署名押印】
住所 東京都町田市××町1234番地
氏名 白石 華       実印

 

ちなみに、遺産分割協議書には決まった書式はありません。

PCで作成しても構いませんが、後から誰が書いたかがはっきりするように、手書きにするのがお勧めです。

また、相続に関する財産は明確に、何を相続するかがはっきとする書き方をするのが望ましいです。

不動産に関しては、登記簿の通りに記載するようにしましょう。

また、もしも後から遺産協議書に記載の無い財産が出てきた場合に協議書を作成し直さなくてよいように、項目4のような内容を付け足しておくのがお勧めです。

最後に署名押印するのは、全員が内容を確認して、全員が間違いなく同意したことを証明するために署名するものです。

そして、法定相続人が1通ずつ持てるよう全員分作成して、それぞれに署名捺印をするのが一般的です。

ちなみに、相続財産が少ない場合は、土地なら土地、車なら車だけの遺産分割協議書もあります。

名義変更手続きに必要なもの

評価額が100万円を超える車の場合と100万円以下の場合、普通車と軽自動車の場合も異なります。

普通自動車の場合は陸運局での手続きとなりますが、軽自動車の場合は軽自動車検査協会となります。

必要な書類は、念のために事前に陸運局や軽自動車検査協会に連絡して確認しておきましょう。

一般的に必要な書類を以下にまとめました。

<100万円以上の場合>
・ 亡くなった方の除籍謄本または戸籍謄本
・ 相続人全員の戸籍謄本
・ 新所有者となる者(白石華)の印鑑証明(提出日から過去3ヶ月以内のもの)
・ 遺産相続協議書
・ 新所有者(白石華)の実印
・ 名義変更の申請書(陸運局でもらって書く)
・ 自動車検証
・ 車庫証明書(1ヶ月以内に取得したもの):同居の場合は既に車庫があるのでいらないが別居の場合のみ必要
・ 新所有者の認印
・ 代理人が手続きをする場合は委任状
・ 手続きをする人の身分証明書(免許証や舞ナンバーカード)

<100万円以下の場合>
・ 亡くなった方の除籍謄本または戸籍謄本
・ 新所有者の戸籍謄本
・ 新所有者となる者の印鑑証明(3ヶ月以内に交付のもの)
遺産分割協議成立申請書(PDF)(陸運局HPからダウンロード可)
・ 名義変更申請書(陸運局に行ったときに書く)
・ 自動車検証
・ 委任状
・ 手続きをする人の身分証明書(免許証・マイナンバーカード)

<軽自動車の場合>
・亡くなった方の戸籍謄本または除籍謄本
・新所有者となる人の住民票
・自動車検証
・車庫証明書証明後1ヶ月以内のもの
・委任状
・手続きをする人の身分証明書(免許証・舞ナンバーカード)

また、名義変更の申請には手数料がかかり、普通自動車は500円、軽自動車は200円です。

名義変更をする人の住所が異なる場合は、ナンバープレートの変更も必要となるので、その費用も別途かかります。

自動車1台に車の前と後ろの2枚が必要で、大判の場合は1960~2,310円、小判の場合は1440~1,880円かかります。

軽自動車は小判のみ使用できます。

さらに希望ナンバーの場合は、普通車は2000~3,000円、軽自動車は1500~3,000円かかります。

この金額はあくまで目安で、地域によって多少料金が異なることもあるので、事前に確認しましょう。

名義変更手続きのやり方

手続きの場所は、普通自動車は、管轄の陸運局運輸支局や自動車検査場で手続きしてもらえます。

場所は、国土交通省のHPで手続きしたい管轄の窓口に出向きましょう。

国土交通省 http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr1_000034.html

 

軽自動車の場合は、軽自動車検査協会のHPで確認しましょう。

軽自動車検査協会 https://www.keikenkyo.or.jp/about/about_000074.html

出向いたら、窓口で必要な書類をもらって記入し押印しましょう。

手数料は、収入印紙を購入して納めます。

窓口の方が丁寧に説明してくれますので、指示に従いましょう。

ここで配布されたナンバープレートは自分で取り付ける必要があります。

これらの手順をすべて完了すると、名義変更は完了となります。

自動車を売却して相続する手もある

自動車を売却することもできますが、そのためには、まずは相続して名義変更をしなければなりません。

まずは、中古車買い取りセンターで査定、もしくはネットで一括査定をしてみましょう。

査定時は、スペアキーや整備手帳や車購入時にもらった取扱説明書等があると査定金額が高くなる可能性もあるので、ある場合は忘れずに準備しておきましょう。

買ってもらう中古車センターが決まったら、正式に査定してもらって、以下の必要書類を用意しましょう。

・自動車車検証
・自賠責保険証明書
・自動車納付税証明書(軽自動車:軽自動車納税証明書)
・実印(軽自動車の場合は認印)
・振込口座情報(車の代金を振り込んでもらう口座)
・リサイクル券(預託済みの場合)
・印鑑証明書(1ヶ月以内に交付されたもの2通。軽自動車の場合は不要)

中古買い取りセンターによっては、相続手続き一切を代行してくれたり、書類取得代行や手続き代行のサービスをお願いできることもあります。

もし初めから売却するつもりでいる場合は、査定の時に一緒にお願いすることもできますので、そのようなサービスを有効に活用しましょう。

また、査定金額があまりにも低かったり、査定できないような場合は、廃車にしてもらうこともできます。

ディーラーや自動車修理工場でも廃車にしてもらえます。

廃車にするときも、自賠責保険原本、印鑑証明と印鑑証明と同一の実印は必要になります。

廃車には、早ければ1週間、遅くても1ヶ月程度の期間を要します。

廃車が完了したら、「抹消登録証明書」が郵送されてきて、手続きの完了を知らせてくれます。

廃車にする場合も、業者が書類代行や手続き代行をしてくれますので、任せてしまうことも可能です。

ここで、売却する場合の注意点があります。

自動車税は、4月1日に所有していた車の名義人が、その年度の税金を支払う必要があります

通常4月末~5月に納付書が送られてくるため、もしもあなたが相続で車の名義を変更する場合、3月末日よりも前に相続しても、あなたは、税金を払う必要はありません。

しかし、もしも亡くなった方が亡くなった年度の車の税金を支払っていない場合、相続したあなたが亡くなった方の未払いの税金も相続することになります。

例えば、4月から病に倒れ、6月に亡くなった方の車を相続した場合、亡くなった方は入院中だったので、自宅に届いた車の税金の納付書の封を開けないままだったとします。

このとき、車と一緒にその自動車税の分も相続したことになります。

乗り続けるなら構わないのですが、例え数日で売却したり廃車にする場合でも、名義変更と同時に、車の未払いの税金も相続する事になることを忘れないようにしましょう。

ちなみに売却する場合は、税金の納付証明書を中古車センターの人から確認されますので、支払い忘れが起きることはありません。

また、あなたが亡くなった方の車を乗り続ける場合は、任意保険の形式によっては、手続きが必要ですから、保険会社に連絡して手続きについて指示に従いましょう。

まとめ

いかがでしたか?車の相続は、乗り続けるにも売るにも廃車にするにも名義変更が必要です。

名義変更だけかと思っていた方も、思いの外付随する手続きが多くて驚いたのではないでしょうか。

自分でするのが面倒な人は、行政書士等の専門家にお任せするのもお勧めです。

他にも不動産の登記等さまざまな相続手続きがあるなら、司法書士さんに一括してお願いすると安上がりですよ。

自分で手続きを進める場合は、書類を集めるために役所に行き、陸運局や軽自動車検査協会の窓口に出向いて、自分でナンバープレートを付け替えたり、けっこう面倒なものです。

さらに、忘れてはならないのは車の税金です。

普通車の場合は、県税ですから県税事務所に、軽の場合は地方税ですから市区町村に、電話で問い合わせるのがお勧めです。

でも、車の相続は、相続協議をして相続協議書を作成しておけば、名義変更も売ることも廃車にすることも後は業者がやってくれます。

楽ですが、その分費用がかかることをお忘れなく!

ディーラーや中古車会社に代行をお願いしたら、行政書士さんの代行の手数料も一緒に取られることもあり、自分でやれば良かったと後悔する事もあるかもしれませんので、事前に費用を確認しましょう。

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監修者太田諭哉
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公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
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