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お金や不動産以外を相続する場合について説明しています。墓地や仏壇、ゴルフ会員権、自動車、保険金、株式、会社、宝石、貴金属などを相続する場合の注意点やポイントについてまとめています。

2019年4月14日 日曜日

仏像を作っておくと相続税の節税対策になるって本当?

相続税の節税対策には、被相続人が生前に行っておけることと、相続人が財産を相続することになってから(被相続人が亡くなってから)行えることの2種類があります。

相続財産が多い場合には、被相続人が税理士に相談し、相続税対策をすることも多い傾向にありますが、相続財産がそれほどない場合には相続が発生してから、相続人が相続税の節税対策をする傾向があります。

では、相続税の節税対策にはどのようなものがあるのでしょうか? また、仏像を作っておくことで相続税の節税対策になるのは本当なのでしょうか? 詳しくご紹介いたします。

仏像は相続税の対象になるのか?

仏像は相続税の課税対象になる場合と相続税の課税対象にならない場合の2つのケースがあります。

どのようなケースのときに相続税の課税対象になり、どのようなときに課税対象にならないのかを詳しく見ていきましょう。

仏像は非課税財産のひとつ

仏像は相続税の非課税財産のうちの一つです。

これは、国税庁のホームページの「タックスアンサー(よくある税の質問)」の「相続税」の項目にある「No.4108 相続税がかからない財産」に記載されている「墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物」にあたります。

しかしながら、仏像は非課税ではあるものの、骨董品的な価値があったり、商品として売るはずだったものだったりした場合には課税対象となるため、すべての仏像が相続税の非課税の対象になるわけではありません。

その他の非課税財産

骨董品的な価値がなく、なおかつ、商品ではない仏像以外にも非課税となる相続財産があります。

非課税財産には下記のものが挙げられます。

≪日常的に礼拝をしているもの≫

●墓地

●墓石

●仏具

●仏壇

●神をまつる道具(祭具)

※ただし、投資の対象となりうる骨董的な価値がないものであり、なおかつ、商品として所有していないものに限ります。

それ以外の場合には、相続税が課税されます。

≪公益を目的としている事業に使用される財産≫

●宗教や慈善、学術やその他公益を目的とする事業を行う一定の個人などが相続や遺贈によって取得した財産であり、なおかつ、公益を目的としている事業に使われることが確実な財産

≪権利≫

●地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人、またはその人を扶養する人が取得する心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利

≪生命保険金≫

●相続によって取得した生命保険金のうち、500万円に法定相続人の数を掛けた金額まで

※みなし相続財産とされますが、上記の金額までは非課税となります。

※ただし、生命保険の負担者が相続人の場合は、生命保険金に相続税ではなく、所得税がかかります。

≪退職手当金など≫

●退職手当金

●功労金

●その他のこれらに準ずる給与

※相続や遺贈によって取得したとみなされる退職手当金などのうち、500万円に法定相続人の数を掛けた金額までが非課税の相続財産となります。

ただし、被相続人が亡くなってから、3年以内に支給された退職手当金などは、相続税の課税対象となります。

≪寄附≫

●相続や遺贈によって取得した財産で、相続税の申告期限までに国、または地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定の法人に寄附したもの

≪その他≫

●相続や遺贈によって取得した金銭で、相続税の申告期限までに特定の公益信託の信託財産とするために支出したもの

●個人で経営している幼稚園の事業に使われていた財産で、一定の要件を満たすもの

※ただし、相続人の誰かが引き続き、その幼稚園を経営することが条件です。

※国税庁のホームページの「No.4108 相続税がかからない財産」から参考にしています。

要約すると、非課税になる相続財産には、3つの種類があることがわかります。

まず、1つ目は「財産そのもの自体が相続税の対象にならないもの」です。

次に2つ目は「一定の金額を超えなければ、相続税の対象にならないもの」です。

そして、3つ目は「ある一定の条件を満たした場合だけ相続税の対象にならないもの」です。

非課税になる相続財産には、さまざまなものがあり、所有している条件によっては同一のものであっても、非課税となります。

相続税の課税対象となるもの

被相続人から財産を相続した場合、基本的に課税対象になっていないもの以外、すべての相続財産が課税対象になります。

それでは、相続税の課税対象となる相続財産について、詳しく見ていきましょう・

課税対象財産

課税対象財産には、下記のものが挙げられます。

≪金銭≫

●現金

●預貯金

●有価証券

●死亡退職金

●死亡保険金(生命保険契約しているもので、被相続人が保険料を全部または一部を負担していたもの)

●生前贈与された財産(被相続人から死亡する3年以内までに贈与によって取得した財産)

……など

≪不動産≫

●農地

●山林

●家屋

●駐車場

……など

≪動産≫

●宝石

●貴金属

●骨董品

●美術品

●自動車

……など

≪権利≫

●著作権

●商標権

●特許権

●ゴルフ会員権

……など

≪事業用財産≫

●機械

●備品

●貸付金

●売掛金

●商品

……など

このように、相続した財産のほとんどのものは相続税の課税対象になります。

その中でも特に注意が必要なものは、被相続人が亡くなる3年以内に、被相続人が生前贈与で受け取った財産です。

被相続人が贈与者となり、相続人が受贈者として生前贈与を受けていた場合には、3年以内に受け取ったものは相続とみなされて課税されます。

ほかの相続財産とは異なり、途中で贈与から相続に扱いが変わるといった特徴があるため、生前贈与を受けている場合にはしっかりと確認をする必要があります。

相続税の計算方法

相続税の計算方法には、「相続税の総額」と「各相続人等の税額」の2種類があります。

それらを求めるためには、まず「各人の課税価格」を求める必要があります。

「各人の課税価格」については、下記の計算式によって求めることができます。

相続または遺贈(※1)により取得した財産の価額+みなし相続などにより取得した財産の価額-非課税財産の価額+相続時精算課税に係る贈与財産の価額-債務及び葬式費用の額=純資産価額(ただし、赤字の場合は0とする)

純資産額+相続開始前3年以内の贈与財産の価額=各人の課税価格(1,000円未満切り捨て)

 

(引用:国税庁のホームページより、「No.4152 相続税の計算」の「1 各人の課税価格の計算」)

※1 遺贈とは遺言書で財産を渡すことをいいます。

次に「相続税の総額」については、下記の計算式によって求めることかできます。

各相続人の課税価格の合計 = 課税価格の合計額

※各人の課税価格を求める計算式より導き出された「各人の課税価格」を合計することで、課税価格の合計額を計算します。

次に下記の計算式を用いて、課税遺産総額を算出します。

課税価格の合計額 - 基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)

= 課税遺産総額

 

そして、下記の計算式を用いて、相続人の取得金額を算出した後、各法定相続人の算出税額を求め、最後にそれらをすべて足して相続税額の総額を算出します。

課税遺産総額 × 各法定相続人の法定相続分 = 法定相続分に応ずる各法定相続人の取得金額(千円未満切り捨て)

法定相続分に応ずる各法定相続人の取得金額 × 税率 = 各法定相続人の算出税額

各法定相続人の算出税額の合計=相続税の総額

(引用:国税庁のホームページより、「No.4152 相続税の計算」の「2 相続税の総額の計算」)

相続税の総額を算出したら、次に各人ごとの相続税額の計算をします。

各人ごとの相続税の相続税額は、下記の計算式を用いて算出することができます。

相続税の総額 × 各人の課税価格 ÷ 課税価格の合計額 = 各相続人等の税額

(引用:国税庁のホームページより、「No.4152 相続税の計算」の「3 各人ごとの相続税額の計算」)

このように、相続税を計算するには、相続財産に関する正しい情報がいくつも必要になります。

また、相続税の計算は非常に複雑で可変的であるため、専門家である税理士に相談し、正確な相続税額を求めてもらうのがよいでしょう。

相続税額は、相続税の申告をするときにとても重要なものです。

相続税の申告を間違ってしまうと、修正申告などが必要となり、場合によってはペナルティを受けることもあります。

仏像を作ると相続税節税対策になる?

仏像を作っておくことで相続税の節税対策にはなります。

ただし、注意しなければならないのは、仏像を作るタイミングは「生前でなければならない」という点です。

生前であれば、作られた仏像は相続税の非課税対象となります。

また、生前に仏像を作る場合でも注意が必要です。

仏像を相続人がのちに売却し金銭に換えるために仏像を作るのであればそれは課税対象になります。

例えば、「織田信長が使っていた仏像」「金でできた仏像」「有名人のサイン入りの仏像」などは課税対象となります。

さらに仏像を作った金額よりも仏像を売却したときの金額が低くなってしまうと、低くなった分だけ損をしているということになります。

ですから、相続税の節税対策として仏像を作ろうと思っているならば、それが課税対象なのかどうか、また、売却後の価格についても十分に確認する必要があるといえるでしょう。

知っておきたい相続税の節税方法

相続税の節税対策方法には、大きく分けて4つの方法があります。

まず、1つ目には「生前贈与」が挙げられます。

生前贈与の場合、年間110万円以内であれば、贈与税がかからないため、相続財産として相続し、相続税がかかるようにするよりも生前贈与にすることで節税することができます。

ただし、生前贈与を受けてから3年以内に贈与者である被相続人が死亡した場合には、3年以内に受け取った生前贈与には相続税が課税されます。

これは生前贈与でありながらも、相続財産とみなされるためです。

2つ目には「相次相続控除」が挙げられます。

相次相続とは、相次いで被相続人にあたる人が死亡した場合に、相続人が続けて相続をすることです。

相次相続をすることになると、相続人は相続税だけでかなりの負担を強いられることになります。

ですから、相続人にとって相続税の負担が過度に重なってしまわないように1年の間に10%の割合で逓減することができます。

ただし、この制度を利用するためには、「被相続人の相続人であること」、「今回の相続の開始前10年以内に開始された相続によって、被相続人が財産を取得していること」、「今回の相続の開始前10年以内に開始された相続によって取得した財産において、被相続人に対して、相続税が課税されていること」の3つの条件をすべて満たす必要があります。

3つ目には「配偶者の税額軽減」が挙げられます。

配偶者の税額軽減とは、配偶者のどちらかが亡くなった場合に、「1億6千万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のどちらか多い金額まで、残された配偶者は相続税が課税されないという制度です。

この制度を利用するためには、「財産が相続税の申告期限までに分割されていること」及び「財産が仮装または隠ぺいされていないものでなければならない」という2つの条件を満たす必要があります。

4つ目には「生命保険に加入すること」が挙げられます。

生命保険には、被相続人が死亡した際の生命保険金の受取人が相続人である場合、民法上、相続財産には含まれないので、相続税がかかりません。

しかしながら、生命保険に加入した際の契約者と被保険者が同じ場合には、生命保険金がみなし相続財産と考えられ、税法上は相続財産とみなされます。

ただし、みなし相続財産とされても生命保険金には非課税枠として、「500万円×法定相続人の数」を控除することができるので、控除分が相続税の節税になります。

まとめ

相続税を節税するためには、さまざまな方法があります。

相続税を節税することは、実際に納税する相続人にとっては重要なことです。

まずは、被相続人が生前に相続人に相続税の負担がかからないように、遺言書の作成時などに税理士に相談をし、節税対策を行うことが最も望ましいでしょう。

その上で、相続後に売却しても価値が変わらないのであれば、非課税の条件を満たす仏像を生前に作っておくことは、相続税の節税対策となるので、生前に被相続人ができる相続税の節税対策の選択肢の1つとして考えることはできます。

また、被相続人が財産の相続のときにできることは、相続財産を明確にしておくことと法的効力のある遺言書の作成、相続税の節税対策です。

財産を相続することが相続人の負担にならないように相続税の節税対策について考えることは大切なことです。

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監修者太田諭哉
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公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
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