2019年2月15日 金曜日
生命保険を活用した相続で相続税対策をする
生命保険は相続対策になると聞いて、気になっている人はいませんか?
生命保険を賢く選べば、実際に相続税の対策をすることが出来て、財産はしっかり子供や孫に受け継がれるようになります。
しかし、生命保険に新規加入して相続税対策をするためには注意も必要なので確認しておきましょう。
今回は、相続対策のために生命保険を使う場合のポイントや注意点について見ていきましょう。
目次
みなし相続財産とは?
相続財産とは、被相続人が所有していた財産の内、金銭に見積もることができる経済的な価値を持つもの全てに当たります。
全財産の権利や義務は、相続や遺贈によって相続人へ承継されます。
▼相続財産の一例
- 土地
- 現金
- 自動車
- 家屋
- 貴金属
- 電話加入権
- 借地権
- 宝石
- 立木
- 株式
- 書画
- 金銭債権
- 預貯金
- 骨董品 など
一方で、みなし相続財産とは、相続財産ではないが、相続財産とみなされてしまう財産のことです。
被相続人から、相続もしくは遺贈によって承継されたものではない、相続や遺贈と同じ価値のある財産のことを呼びます。
相続税法において、みなし相続財産は相続財産の課税の公平性を保つために存在します。
みなし相続財産には、被相続人が生前に所有していた財産よりも、死後に支給される財産が多いです。
みなし相続財産には相続税が課せられることを知らずに思わぬ出費が発生する前に、みなし相続財産の特徴を知っておきましょう。
▼みなし相続財産に該当する一例
- 生命保険金
- 退職手当金
- 生命保険契約に関する権利
- 定期金に関する権利
- 保証期間不定期金に関する権利
- 契約に基づかない定期金に関する権利
- その他遺贈により取得したものとみなされるもの
- 相続または遺贈により財産を所得しなかった相続時精算課税適用者の受贈財産
- 農地などの贈与者が死亡した場合の農地など
なみし相続財産は、生命保険から受け取った死亡保険金が多いです。
死亡保険金はみなし相続財産になり、相続財産と同等の扱いとなり、相続税も課税されます。
ただし、みなし相続財産には非課税枠も設けられており、全てが相続財産として課税されるわけではありません。
課税評価額の計算方法
被相続人が保険料を払っていた生命保険は、掛け捨て以外の保険が対象です。
生命保険をかけていた夫が亡くなり、妻が保険金を受け取った場合、「みなし相続財産」対象の死亡保険金として相続税の対象になります。
死亡保険金の相続税の非課税分は「500万円×法定相続人の数」から計算できます。
受け取った保険金額から非課税額を差し引いた金額が生命保険の評価額です。
500万円x法定相続人数=生命保険金の非課税枠
(例)相続人が4人の場合
500万×4人=2,000万円となり、生命保険金2,000万円までは非課税となります。
妻に生命保険をかけていた夫が亡くなり、妻が生命保険会社からお金を受け取った場合、解約返戻金相当額が相続税の課税対象となります。
相続税対策ができる理由
ご存知の方も多いかも知れませんが、2015年から相続税の基礎控除額が引き下げられました。
このことにより、今まで相続税がかからないはずだった人も相続税対策を考える必要が出てきました。
相続税対策として役立つのが、生命保険を利用する方法です。
ここからは、生命保険が相続税対策になる理由を見ていきましょう。
相続財産は基礎控除額を上回るほど、相続税がかかるものです。
相続税とは亡くなった人の財産を引き継いだものに対する税金ですが、すべてに相続税がかかるわけではありません。
相続税には基礎控除があり、相続財産の総額が基礎控除の金額を超えない場合、相続税はかかりません。
▼相続税の基礎控除額
3000万円+600万円×法定相続人の数
2014年までは、5000万円+1000万円×法定相続人の数でしたが、基礎控除の範囲は縮小されました。
そのため、今までは相続税がかからなかった人の中でも該当する人が増えたのです。
相続財産とは、被相続人が死亡した時点で被相続人が所有していた財産です。
生命保険金の場合は、被相続人自身が受取人になっていれば被相続人の財産となり相続財産に含まれます。
死亡保険金は保険会社から受取人に支払われた金銭となり、亡くなった人から相続したものではないので受取人固有の財産となります。
例えば、相続財産の大部分が不動産など現金の少ないときでも生命保険が相続税対策になります。
不動産の場合は、相続税が高額になり相続人は納税資金を準備しなければなりません。
相続税には申告・納付期限があり、相続開始を知った日から10ヶ月以内と決められています。
相続人は早く納税の準備をしなければならず忙しくなりますが、そんなときも生命保険が役立ちます。
死亡保険金の受取人を相続人にしておけば、保険金を納税資金にあてることができるのです。
相続人は書類手続きをすればすぐに保険金を受け取ることができるので急いで納税する必要がなくなります。
生命保険には、定期保険、終身保険、養老保険などの種類がありますが、相続税対策に有効な生命保険はどんな種類の保険でしょうか?
相続対策に向いているのは貯蓄性のある終身保険が挙げられます。
終身保険に加入すれば、亡くなったときに必ず保険金が支払われるため相続対策に役立ちます。
相続税対策として活用されている保険は、一時払い終身保険が加入しやすいのでおすすめです。
一時払い終身保険を利用すれば、まとまった財産を一気に生命保険に移せるため相続税対策ができます。
生命保険は健康状態により、加入できないこともありますが、一時払い終身保険は健康状態の審査は厳しくないのもメリット。
一時払い終身保険は80歳まで加入できる保険もあるため、思いついたときに相続税対策できます。
ちなみに、定期保険と養老保険は、死亡保険金が支払われる期間が限定されるので相続対策には不向きです。
定期付終身保険の場合、定期保険特約の期間中は保障額が大きく保障額が小さくなるため、納税資金を用意できなくなる可能性があります。
生命保険を利用して相続税の納税資金を準備するならば、一定の保障が受けられる保険がおすすめです。
基礎控除や非課税枠を利用する
保険料の負担者と被保険者が同一である場合は、受取人に相続税が課せられます。
生命保険を活用すると、契約者が亡くなった場合に受取人が保険金を受け取れます。
受取人には死亡保険金が支給され、残された家族の生活保障に役立ちます。
死亡保険金は家族の生活を保障するお金なので、生命保険非課税枠が設けられています。
被相続人が死亡した場合、預金残高も相続されますが、通常、預貯金の口座は凍結されます。
預金残高を相続するまでに時間がかかりますが、保険金であれば書類を提出すれば約1週間程度で受け取ることが可能です。
保険料を生前贈与する方法
生命保険は、将来の病気や死亡に備える目的ですが、節税にも役立ちます。
本来は、自分(夫)が死んだときの保険金の受取人を妻にして、妻が保険金を受け取ると税法上は相続財産となります。
受け取った保険金を含めて相続税は計算されますが、妻が受け取る保険金のうち、法定相続人の数×500万円は非課税となるのです。
生命保険の死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税課税の対象になります。
例えば、自分(父)と妻、子供3人の場合、妻と子供3人が法定相続人となり、500万円×4=2,000万円までの保険金は相続財産が非課税となります。
妻と子供2人の場合であれば、500万円×3人=1500万円までの死亡保険金は非課税です。
つまり、1,500万円から2,000万円の生命保険に加入すれば節税をすることが出来ます。
現金や預貯金をしても大幅な控除はされないので、生命保険に加入しておくと相続税を減らすことができます。
契約者は被相続人、被保険者は被相続人、死亡保険金の受取人は相続人、月々の保険料は被相続人本人が払います。
遺産分割争い防止策になる
生命保険を使うことで、相続人同士がもめなくなるのもメリットです。
保険金は保険金の受取人に支払われるため、相続の際に遺産分割の対象にはならないのです。
保険金は、民法で定められている一定の相続人が最低限相続できる財産である遺留分の計算にも入りません。
保険金は受け取った人が自由に使うことができるため、親族間の遺産分割争い防止策にもなります。
保険料を支払っていない方が、満期返戻金、解約返戻金を受け取った場合には、贈与税の課税対象です。
満期返戻金を受取る際に、多額の贈与税を納めることのないように保険契約は見直しが必要です。
相続税対策目的の生命保険加入の注意点
ここからは、相続税対策目的の生命保険加入の注意点を見ていきましょう。
生命保険に新規加入する場合は、いくつかの確認しておきたい注意点があります。
生命保険の死亡保険金は、保険金受取人の固有財産となります。
しかし、受取人に指定されていない他の相続人が保険金の事実を知った場合、親族間でもめる原因となります。
保険金に加入していることを、誰にどこまで話しておくかも考えておきましょう。
次に、死亡保険金の非課税金額を超えた部分は相続財産に上乗せされます。
そのため、生命保険に複数入り過ぎた場合は逆に相続税が増えてしまうことになり節税にはなりません。
保険金は高額契約にならないように注意する必要があります。
他の生命保険を解約して保険を切り替える場合は、損失が発生する場合が多いので注意が必要です。
生命保険は中途解約すると損失が発生する場合が多いで、払込保険料総額と解約返戻金を確かめましょう。
新しい生命保険を切り替える場合は、新規契約が成立してから現契約を解約する手順を踏みます。
健康状態によっては、新しい生命保険に加入できる保証はないので、現契約を解約するのは最後にしましょう。
まとめ
生命保険を利用することで、相続人は納税の準備金を貯めることができて節税対策になります。
生命保険は、相続時の争いを軽減でき、贈与時の対策として利用できるのがメリット。
実際にどの生命加入する場合は、税理士、生命保険会社の専門家に相談して、相続対策を効率的に行いましょう。