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2019年6月18日 火曜日

相続の対象にポイントカードのポイントやマイレージは入るのか?

大切な人と死別してしまった場合、ポイントカードのポイントやマイレージのマイルはどうなってしまうのでしょうか。

被相続人の遺品整理をしていたら、ポイントやマイルが大量に貯まっているということも少なくないでしょう。

大切な人との別れの時、いちいち各カード会社に問い合わせをして有効かどうかを確認するよりも大事なことがたくさんあることでしょう。

今回の記事では、故人のポイントやマイルを相続できるのか、大量のポイントが貯まっていた際の対策、知っておくと便利なお役立ち情報について解説していきます。

 

そもそも利用規約によって死亡時にポイント失効となっていることが多い

各ポイントカードの利用規約において、死亡した会員資格の取扱いについて定められています。

死亡時にポイント失効となる場合が多く、原則として、ポイントの譲渡は認められません。

これは、民法「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。

ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。」(民法第896条)という規定に基づくためです。

ポイントは、「当該個人がそのポイントプログラムの会員である」という資格によって受けられるサービスのため、「被相続人の一身に専属したもの」に該当します。

従って、法律的には相続の対象にはなり得ません。

しかし、あくまでも「法律上」であるため、実際には各社が独自の規約で家族間でのポイントの統合や引き継ぎを認めている場合もあります。

思い当たる方は、念のため利用規約の家族とのポイント共有について確認することをおすすめします。

 

大量のポイントが貯まっている場合は

ここでは、大量のポイントが貯まっている場合の対処法や、家族間で共有できるお得なポイントカードをご紹介します。

 

生前に使いきる

大量のポイントを無駄にしないためには、生前に使い切ることが推奨されています。

「そんなこと言われても、死ぬ時期なんかわからない」という方がほとんどでしょう。

しかし、大量のポイントを貯め続けても、利子がつくわけではなく、実際の買い物で使わなければ、消費者はメリットを享受できません。

また、大量のポイントを保持し続けることは、3つのリスクを負うことになります。

1つ目は、買い物の機会を逃して、「ポイントの有効期限が切れる」ことです。

2つ目は、「カードの紛失」です。

(会社に問い合わせれば、新しいカードにポイントを移行することも可能ですが、時間と手間がかかります)

3つ目は、「お店の閉店・倒産」です。

ポイント自体が無効になってしまいます。

ポイントを貯めることは、得をしているように感じますが、貯めたポイントの数が大きいほど、それに比例してリスクも大きなものとなります。

従って、カードのポイントは「残高を常に最小限に抑えておく」必要があります。

 

生前にポイントで物を購入し、相続財産とする

相続財産の定義は、「相続税がかかる財産」と「相続税がかからない財産」の2種類に分けられます。

前者は、現金・有価証券・宝石・土地・著作権等の権利がこれに該当します。

後者は、墓地・仏具・生命保険や退職手当等で一定の条件を満たすもの・損害賠償金等が該当します。

ポイントが大量に貯まっていれば、大きな物を購入して残したいという気持ちもあるかもしれませんが、購入するとすれば、「相続税がかからない財産」にしましょう。

日用品や消耗品、食べ物等の、残された人が喜ぶ物をおすすめします。

ポイントによっては、高額な物を購入できる場合もありますが、相続税がかからないか、予め調べておきましょう。

 

ポイントカードによっては家族間共有ができる

一般に、ポイントカードは登録者本人しか使えませんが、中には、家族間で共有できるものもあります。

例として、家電量販店や大手鉄道会社、大手通信販売会社等があげられます。

家族間で共有できるカードは、一般に「家族カード」と呼ばれています。

クレジットカード機能を持つポイントカードは、原則として名義人以外は使えません。

従って、カード所有者と一緒に買い物に行く必要がありますが、いつでも一緒に行けるとは限りません。

ここでは、家電量販店・大手鉄道会社・大手通信販売会社の「家族カード」のよくあるパターンについて詳しく解説していきます。

 

・家電量販店

家電量販系のカードによって家族間でポイントを共有する場合、メーカーによって利用規約が異なります。

A社では、家族でポイントを貯める方法が2つあります。

1つめは、「配偶者カード」を発行する方法です。

配偶者カードは、クレジット機能付きのカードで、配偶者は年会費無料で発行できます。

発行手続きは、本会員がカードを持参して行います。

配偶者カードで買い物をすると、本会員と同じポイント口座にポイントが貯まります。

貯めたポイントは、本会員カードと配偶者カードのどちらでも使用できる仕組みになっています。

ポイントだけでなく、本会員カードの長期保証も適用されます。

2つめは、本会員のカードに「家族会員」として登録する方法です。

このカードであれば、配偶者以外が買い物をした際のポイントも一緒に貯められます。

家族会員の登録には、本会員と同一世帯や同一住所に居住している家族という条件がありますが、他にも、単身赴任や一人暮らしの学生等も家族会員として認められます。

家族会員の登録の際は、本会員と家族の両方の同意が必要です。

各店舗に本会員と家族が一緒に来店して手続きを行います。

B社では、配偶者カードはありません。

しかし、家族間でポイントを移行するサービスを利用できます。

クレジット機能がないカードは、中学生以上から入会対象となるため、対象年齢を満たしていれば、家族全員がそれぞれカードを持つことができます。

原則として、獲得したポイントはカード名義人のみ利用できますが、同一住所、同一姓の家族に限り、互いの同意が得られればポイントを家族が持つカードに移行できます。

ポイント移行の際は、ポイントを貯めたいカードの所有者が一緒に来店して、来店者の本人確認を行う必要があるため、店頭で手続きをします。

C社では、本会員クレジット機能あり・なしの2枚のカードを持つことによって、ポイントを家族で貯めることができます。

2枚のカードの家族共有化手続きをすることによって、ポイント口座を1つにできます。

C社のカードには、特に利用制限がないため、本会員とは別に本会員名義のカード(クレジット機能がないもの)を使えば、ポイントを一緒に貯められることに加えて、本会員以外の家族もポイントを使えます。

D社では、ポイントカード代わりであるスマートフォン用のアプリを使えば、家族でポイントを貯められます。

本会員が予めクレジットカード機能付きのカードとアプリを連動させておき、本会員以外の家族は店舗利用時にアプリに登録されている電話番号を伝えることによって、本会員のポイント口座に家族が買い物をした分のポイントが貯まります。

ポイントを使用する際は、本会員のカードかアプリを登録している本会員のスマートフォンを提示しなければならないため、家族がポイントを使うことは難しいというデメリットがあります。

しかし、スマートフォンアプリでは、「家族でポイントを貯めることのみ」は可能です。

 

家電量販系カードのポイントを貯める方法は、以下の3つに大きく分けられます。

自分が使いやすい方法に合わせてポイントカードを発行するメーカーを選びましょう。

①家族カード、または本人名義のカードを家族が利用する

②本会員がクレジット機能ありとなしの同一名義のカードを2枚持ち、クレジット機能なしのポイントカードを家族が利用する

③電話番号で家族であることを示して、ポイントを付与してもらう

 

・大手鉄道会社

大手鉄道会社は、本会員と家族会員のカードのポイントが合算されることに加えて、ポイントの残高や有効期限が共有されます。

ポイントは、家族で貯めることができ、どのカードからも使うことができます。

4人家族の例をあげると、父がクレジット機能を持つ本会員、母がクレジット機能を持つ家族会員、姉と弟がクレジット機能なしのポイント専用カードを所有するという形になります。

父は通勤定期券、母はスーパーで買い物、姉は百貨店でショッピング、弟は書籍の購入、等の自由な使い方で、家族全員で効率的にポイントを貯められます。

 

・大手通信販売会社

大手通信販売会社は、本会員が家族カードの申し込みを行い、家族会員となる人たちは、家族カード到着後にパソコンかスマートフォンからインターネット上で登録をします。

「年会費は本会員・家族会員ともに無料」「家族全員でポイントを貯められる」「請求は本会員の口座からまとめて引き落とし」「家計簿サービスの提供」「ポイントの移行が楽々行える」等の5つのメリットがあります。

家族会員の登録の際に、入会特典として、ポイントを付与してもらうことができます。

 

貯めたまま亡くなってしまった場合はあきらめる

とはいえ、人の寿命は誰にもわかりません。

家族カードを発行する前に、ある日突然亡くなってしまう場合もあります。

その際は、他の手続きとの兼ね合いも考え、あきらめることも必要です。

クレジットカード機能なしのポイントカードであれば、多くても数千円程度ですが、クレジット機能ありのポイントカードの場合、貯まったポイントは数十万円にのぼる可能性もあります。

金額が大きければ、なかなかあきらめがつかないと思いますが、念のため問い合わせをし、それでもポイントの使用が認められなければ、非常に残念ですが、次の相続手続きに集中するためにあきらめなくてはなりません。

 

マイレージサービスのマイルは条件次第で相続できる

大手航空会社のポイントサービスである「マイレージサービス」では、飛行機に乗るたびに「マイル」というポイントが貯まります。

貯まったポイントは、特典航空券やホテル、電子マネーとして使用することができます。

「マイル」は距離の単位を指し、1マイルにつき1,852メートルで換算されます。

ここでは、「マイレージサービス」の「マイル」が相続できる場合の条件について解説していきます。

航空会社によっては、マイルの相続が認められない場合もあるため、注意が必要です。

 

マイルを相続するには

会員が死亡した際、法定相続人は、手続き完了時点で有効な範囲で会員が取得したマイルを承継することが可能です。

法定相続人は、会員の死後6ヵ月以内に航空会社に、故人である会員のマイルの相続権を有することを証明する書類を提示しなければなりません。

期限内に相続の申し出を行わなかった場合は、当該会員の精算マイルは全て取り消しとなります。

会員本人の死亡証明書や裁判所命令等も用意しなければならないため、準備は早めに行いましょう。

 

マイルの家族間共有

家族間でマイルを合算できるサービスを展開している航空会社もあります。

家族1人ひとりで貯めていれば、特典航空券と引き換えができない中途半端なマイル数でも、家族でまとめれば、十分なマイル数になります。

この家族間のカードを使用できるのは、日本在住のクレジット機能付きカードの本会員、その家族で指定の航空会社の個人会員、同一世帯や同一住所に居住している家族と一親等以内の方に限られています。

他にも、通常カードではマイルの相続ができなくても、家族会員間でマイルをまとめられるサービスに加入していれば、会員の死亡時にマイル相続ができる航空会社もあります。

こちらでは、特典の引き換えの際のみ家族間で精算マイルを合算することが可能です。

それ以外は、精算されたマイルの家族間の共有や合算、譲渡は認められていません。

また、年会費は無料ですが、入会後に更新料として一定のマイルが引き落とされることになっています。

会員の死亡時の相続や特典の引き換えの際は活用できますが、そこまで飛行機を利用しない方には、あまり向いていません。

 

生前に譲渡できるマイル

航空会社の中には、生前に譲渡できるマイルも何社かあります。

マイルを沢山貯めたものの、「病気で飛行機に乗るのが困難になった」「家族や親戚、友人に譲りたい」という方も少なくありません。

生前に譲渡できるマイルは、このような事情に柔軟に対応します。

親族だけでなく、友人にも、自身が貯めたマイルを譲渡することが可能です。

譲渡方法も簡単で、公式サイトにアクセスして、マイルを受け取る会員の会員番号と名前を入力するのみで手続きが完了します。

航空会社によって、譲渡可能な人数の制限や、手数料の発生もありますが、マイルの譲渡を視野に入れている方には、おすすめのプランです。

 

ポイントカード・クレジットカードが被相続人の財産の存在の手がかりになる場合も

ポイントカード・クレジットカードは、会員の死亡後に即座に解約してしまうのではなく、購入履歴等の明細や利用規約をしっかり確認しましょう。

万が一、ポイントを譲渡できるポイントカードであった場合、破棄してしまったらもったいないです。

また、財産の中には、「負の財産」である借金も含まれます。

クレジットカードの明細から、借金の有無や、故人が支払いそびれているものが無いかも確認する必要があります。

これらのカードは、被相続人の財産の存在の手がかりになる場合もあるため、慎重に取り扱いましょう。

 

まとめ

この記事では、ポイントカードのポイントやマイレージのマイルが相続の対象に入るかについて解説しました。

ポイントカードのポイントは、多くの場合、相続することはできませんが、マイレージのマイルであれば、期限以内に手続きを行えば相続することが可能性があります。

できれば、生前に使い切るか、家族カードや家族で利用できるプランを活用して、いざというときのために備えておきましょう。

税理士と一緒に相続対策すれば、このような細かい部分も抜け漏れなくアドバイスしてくれるため、少しでもご家族に財産を残したい人は専門家へのご相談をお勧めします。

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監修者太田諭哉
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公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
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