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【相続税 】
相続税について説明しています。相続税は相続する人物、相続の対象、評価額などによって納税の有無や納税額が異なります。また相続税を抑えるための対策もあります。相続税についての知識を得て、しっかり相続税対策を行いましょう。

2019年5月31日 金曜日

弔慰金は相続税の対象になるのか?

弔慰金(ちょういきん)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

弔慰金は亡くなった方が働いていた会社や公的機関から、遺族がもらうお金です。

このお金を相続した場合に、相続税の対象になるのでしょうか。

今回は弔慰金が相続の対象になるのか、そして、弔慰金と間違えやすい香典や死亡退職金についてもその概要や弔慰金との違いも含めて解説しています。相続の問題は複雑で素人には難解です。

有料・無料で相談できる相手や機関も併せてお伝えしておきます。

 

そもそも弔慰金とは?

弔慰金(ちょういきん)とは、遺族を慰めるために、家族が亡くなった方に法人や公的機関が送るものです。弔慰金には、故人が働いていた企業から贈られる場合や、戦没者や自然災害で亡くなった方の遺族に対し、弔慰金を国が給付するということもあります。

弔慰金はさまざまな形で送られるものですが、そこには個人への弔いの気持ち、遺族への慰めの気持ちが含まれていることは共通しています。

弔慰金と間違えやすいものとして、香典があります。こちらも併せてご紹介しておきましょう。

 

・香典とは

香典は葬儀の際に死者の霊前などに供えるための金品のことを指します。通常は香典袋の中に入れられ、遺族に対して手渡され、喪主が受け取ります。

香典は宗教的な意味を持つため、葬儀の宗教や、故人の宗教によってその形は異なります。弔慰金が法人や公的機関が送るものであり、宗教的な意味を含まないのに対し、香典は個人からも送り、宗教的な意味を持つ点が異なります。

ちなみに、香典は一般的には社会通念上相当と思われる金額であれば、非課税の扱いとなります。

 

弔慰金は相続税の対象となる?

弔慰金について、そして香典について分かったところで、弔慰金にかかる相続税について解説していきます。

 

弔慰金は通常の範囲であれば相続税の対象にならない

通常、弔慰金は相続税の対象になりません。しかし、ある限度額を超えて受け取った場合は、その部分が退職手当金等として、相続税の対象になります

弔慰金の相続税がかからないのは以下の範囲です。

・被相続人の死亡が業務上の死亡である場合
被相続人の死亡した時の普通給与の3年分に相当する額までは相続税の対象外となります。

・相続人の死亡が業務上の死亡でない場合
相続人が死亡した時の普通給与の半年分に相当する額までは相続税の対象外となります。

また、名目上は弔慰金であっても、実質的には退職手当金であると判断される部分は相続税の対象になることがあります。

 

そもそも相続税は何にかかるのか

弔慰金の相続税については解説した通りですが、相続税は他に、どのようなものにかかるのでしょうか。

相続税は、基本的に死亡した方の財産を相続、遺贈することによって取得した財産にかかる税金です。内容としては現金や預貯蓄はもちろんのこと、土地や宝石、商圏、特許権、著作権など、金銭として見積もれる全てが対象となります。

また、次の場合も相続税の対象となります。

・相続や遺贈によってもらったとみなされる財産
この後解説する死亡退職金、被相続人が支払っていた保険料の死亡保険金などがこちらに該当します。

・被相続人から死亡する3年以内にもらった財産
死亡前3年以内に相続、遺贈で財産をもらった場合、それらも相続財産と同じように相続税の対象となります。

・相続時精算課税が適用される財産
被相続人が生きている間に相続時精算課税の対象となる財産をもらっている場合、これも相続財産とみなされ、相続税課税の対象となります。

 

弔慰金と死亡退職金の違いとは

ここからは、手続き時に混同しがちな死亡退職金と弔慰金の違いについて解説していきます。

 

退職金とは

弔慰金と死亡退職金の違いを説明する前に、そもそも退職金とはどのようなものかをお伝えします。

退職金とは、会社を退職する際に、働いていた企業からもらえるお金のことを指します。

この退職金というのは、法律で定められたものではないため、会社によっては退職金制度を有していない会社も当然あります。

 

退職金の種類

退職金は大きく分けて2つ存在します。生きている間にもらえる退職金と、亡くなった際にもらえる退職金です。

 

生前退職金

いわゆる通常の退職金で、従業員が生きている間にもらえる退職金です。会社によってその金額は異なります。

 

死亡退職金

働いていた従業員が死亡した際に、支払うはずだった退職金を遺族が受け取れるようにした制度です。こちらも通常の退職金と同様に、退職金制度があり、なおかつ死亡退職金の制度を導入している企業のみで適用されます。

 

死亡退職金への課税

結論から言えば、被相続人の死後3年以内にもらった死亡退職金に関しては、相続税の対象となります

一方、全額に対して課税されるわけではなく、非課税枠が確保されています。死亡退職金の非課税限度額は、

500万円×法定相続人の数

です。したがって、法定相続人が4人いて、死亡退職金が2000万円の場合は課税されないということになります。

 

課税対象の死亡退職金を計算する方法

非課税限度額を越えた場合に、課税対象の額を算出するためには以下の式を用います。

相続人が受け取る退職金-非課税限度額×(相続人が受け取る退職金÷相続人が受け取る退職金の合計金額)

(例)相続人5人が受け取る退職金の合計が5000万円で、相続人Aが受け取る退職金が1000万円である場合、

1000万円-500万円×5人×(1000万円÷5000万円)=500万円

という計算で、相続人Aが受け取る1000万円のうち、500万円が課税対象となります。

 

弔慰金と死亡退職金はその意味合いも非課税対象も異なる

お伝えしたように、弔慰金と死亡退職金はその意味合いが異なります。

弔慰金は亡くなった方を弔い、遺族に対して慰める気持ちで送られるものです。一方、死亡退職金は、退職時に被相続人がもらうはずだった金額を遺族が代わりに受け取るものです。

そのため、非課税対象の額が異なります。

 

遺族が実際に死亡退職金と弔慰金の両方を得た場合、注意すべきこと

実施に死亡退職金と弔慰金の両方をもらった場合はまず弔慰金を死亡退職金と合わせて考えないようにすることが大切です。なぜなら、そうでない場合よりも相続税の対象となる金額が増えてしまう可能性があるからです。

まずは弔慰金を分け、非課税分を確定させたうえで、死亡退職金の非課税分も確定させ、両方の相続税対象となる分を算出しましょう。

 

相続税の対象か分からない場合は専門家へ

今回の弔慰金に限らず、何が相続税の対象となり、何がならないのかを判断するのは、素人には難しい場合が多々あります。自分の独断で判断した結果、税金を収め漏れるといったことがあってはなりません。そこで、ここからは相続税の悩みを相談できる専門家をご紹介します。

 

無料で相談できる専門家

まずは無料で相談できる場所をご紹介します。

 

税務署

相続税のみならず、税金のことで不明点や不安な点がある場合には、税務署に相談することができます。税務署は国の機関なので、心から安心して相談することができるでしょう。

税務署の窓口は全国各地にあるため、お近くの税務署に相談できます。電話で予約をすることもでき、時間をとって個別に悩みを相談することができます。もしもお近くに税務署がないという方でも、電話だけで匿名の相談もできるため、積極的に活用しましょう。

・税務署を利用するメリット

また、国が運営しているという点で信頼できる相談相手です。さらに、匿名での相談にも応じてくれるので、プライベートな内容も気軽に相談できる点も魅力です。

・税務署を利用するデメリット

税務署はあくまでも国の機関であるため、税金を節税する方法や裏技のような豆知識を教えてくれるわけではありません。また、担当があまり税に詳しくない場合、複雑な案件に関しては答えてもらえず、「他の機関や法人に聞いてくれ」とかわされてしまう場合があります。また、実際の申告や計算の作業は行ってくれないため、自分で資料やデータをもとに計算や申告を進めなくてはなりません。

 

商工会議所

一見、ビジネスに関する情報を得られる場所だと思いがちですが、全国の商工会議所では、相続に関しての相談会が開かれている場合が多々あります。こうした機会であれば、無料で専門家に相談することができます。

・商工会議所を利用するメリット

専門家に無料で相談できることが最大のメリットです。業界の前線で活躍している方が相談に応じてくれるため、安心して情報の共有ができます。ここで築いた関係性から、後日相談をしに行ったり、質問をしたりすることも可能です。

・商工会議所を利用するデメリット

商工会議所は税について相談する専門機関ではありません。そのため、通常時に相続に関して相談できるスタッフがいるとは限りません。あくまでタイミングが合えば利用ができるということです。また、一人が相談できる時間が区切られている可能性があるため、自分の中で情報が整理されていない場合、制限時間内に相談が終わらない可能性もあります。多少の知識を付けてから相談できる方に向いています。

 

日本司法支援センター(法テラス)

法テラスは、誰に相談すれば良いか分からない法律の問題、例えば今回の相続問題や、離婚問題、借金の問題について、相談の道案内をしてくれる機関です。経済的な理由で法律の専門家に相談できない、知り合いに専門家がいないという方でも、法的な情報やサービスの提供がで

きるように設置された公的な法人であるため、無料で相談を行うことができます。

場合によっては、弁護士や司法書士費用の立替えなどにも応じてくれるため、頼りになる存在です。法テラスは各地に事務所があり、無料で一つの相談につき3回まで対面での相談ができるほか、利用料無料のサポートダイヤルに電話することで、どこにいても音声で相談を受けることも可能です。

・法テラスを利用するメリット

同じ相談に関して、3回まで対面の相談ができるので、必ずしも一度の相談で完結する必要がありません。また、他では相談しづらい、弁護士や司法書士費用の立替えについても相談できます。

・法テラスを利用するデメリット

専門家の紹介をしてもらうなど道案内はしてもらえるものの、それだけで問題が解決するわけではありません。あくまで道案内をしてもらえる機関なのです。

 

税理士会の無料相談

税理士連合会で、一般の方に向けた相談を受けるサービスを実施している場合があります。全国各地で無料相談会も実施しています。

・税理士会を利用するメリット

営利目的ではなく、担当の税理士が相談の対応をしてくれるので、信頼して相談できます。

・税理士会を利用するデメリット

個別具体的な相談内容に関しては、有料で税理士に相談することになります。

 

有料で相談できる専門家

続いて、有料にて相談できる専門家についてです。

 

税理士

税理士は税関連の相談ができるだけでなく、税務手続きや書類作成の代行をしてくれます。相続では、様々な書類が必要となるため、それらの作成をまるまるお願いすることができます。まあ、手続き上の複雑な計算や申請、申告を請け負ってくれます。

・税理士を利用するメリット

税理士は税務の専門家なので、さまざまなケースをすでに経験済みです。初めての相続問題についても詳しく、分かりやすく説明してくれるはずです。また、初回の相談は無料としている税理士事務所もあります。

・税理士を利用するデメリット

2回目以降の相談からは料金がかかる場合がほとんどです。また、簡単な手続きであれば自分で実施した方が安い場合があります。

 

まとめ

今回は弔慰金の相続税について解説しました。結論から言えば、弔慰金には非課税限度額が決められており、その範囲内であれば課税の対象にはなりません。しかしながら、それを超えた分に関しては、相続税としての対象となります。弔慰金と間違えやすいのが、香典と死亡退職金です。それぞれ意味合いが異なるので、一緒くたにして相続税を多めに払ってしまわないように気をつけましょう。

また、相続税の相談については、無料で相談できる機関がたくさんあります。まずは電話や窓口、予約しての個別相談を行い、優良な税理士を紹介してもらうことで、詳細な手続きを進めていくことをおすすめします。

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監修者太田諭哉
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公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
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