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【生前贈与 】
生前贈与について説明しています。生前贈与とは、亡くなる前に子どもや孫などへ財産を贈与することです。相続税対策として生前贈与を選ぶ場合の注意点やポイントについてまとめています。

2019年3月29日 金曜日

相続財産を正しく受け継ぐ受け取り方を紹介!

誰でも相続人になる可能性があります。

しかし、相続人になるときは突然訪れるため、なんの知識もなく、そのときを迎えてしまうことが考えられます。

財産の受け取り方には、さまざまな方法があるため、事前にきちんと知っておくことで、相続するときになって手間取ったり、ミスをしてしまったりすることを減らせる可能性が高くなります。

それでは、相続財産の受け取り方について詳しくご紹介いたします。

相続とは

相続とは、被相続人が亡くなったときに、相続人が被相続人の財産を相続することをいいます

相続が開始されるのは、被相続人が亡くなり、被相続人の財産を相続人が相続することを知った日です。

そのため、複数の相続人がいる場合、被相続人の死を知った日が異なれば、相続が開始される日は相続人によって異なることになります。

相続が開始されてから3ヶ月以内に相続方法を選択しなければならないことが決められています。

また、相続方法については、どのような財産があるかについて調査することが許可されており、これは民法(相続の承認又は放棄をすべき期間)第915条によって定められています。財産には、預貯金や不動産などの相続することで相続人に経済的なプラスになるプラス財産と、借金や未払い金などの相続することで相続人に経済的なマイナスをもたらすマイナス財産があります。

そして、相続方法には、「単純承認」、「限定承認」、「相続放棄」の3種類があります。まず、「単純承認」とは、すべての財産を相続する相続方法のことをいいます。

すべての財産ということは、プラス財産もマイナス財産も相続することとなるため、場合によっては、相続人に経済的負担がもたらされてしまうことがある相続方法ですが、一般的に相続といった場合にはこの単純承認を指すことが多い傾向にあります。

次に「限定承認」ですが、限定承認とは、相続財産の中で相続したいものがあり、なおかつ、借金などの負債もあり、弁済しなければならない状態のときに、相続した財産を上限として負債も相続する相続方法のことをいいます。

限定承認の場合は、相続人が元々持っている財産を減らしてしまうという危険性がないため、経済的な負担がかからない相続方法であるといえるでしょう。

ただし、相続方法の中でも複雑で難しい方法であるため、限定承認を選択する場合には、司法書士や弁護士などの専門家に相談し、的確に対応することがよいとされています。

最後に「相続放棄」ですが、相続放棄とは、すべての財産の相続の放棄をする相続方法のことをいいます。

相続放棄を選択する場合は、相続する財産に相続したいものがなく、なおかつ、マイナス財産が多いときや財産が不動産しかなく1人の相続人に相続させたい財産があるときに、ほかの相続人が相続放棄を行うなど、理由はさまざまです。

また、相続放棄を選択する場合には、相続放棄の申述の手続きを家庭裁判所で行わなければなりません

そのほか、相続放棄をしたとしても、民法(相続の放棄をした者による管理)第940条において、相続放棄をした財産であっても、相続人が相続財産の管理を始められるまで、自分の財産と同じように管理しなければならないことが定められています。

また、民法(法定単純承認)第921条において「相続財産の全部または一部を処分したとき」や「期限内に限定承認または相続放棄をしなかったとき」、また「限定承認や相続放棄をした後でも、相続財産の全部または一部を隠匿して消費したり、悪意を持って相続財産の目録に記載しなかったりしたとき」は単純承認をしたものと見なされることが定められています。

このように、相続と一口に言っても、単純承認、限定承認、相続放棄と相続方法には3つの異なる方法があります。

財産の状況などを見て、どの相続方法が適しているかを判断することが重要です

遺産分割協議による相続分割[H2]

被相続人の財産を相続する場合には、法定相続といって民法で決められた割合で法定相続人が財産を相続する方法と、遺言相続という遺言書の内容に従って財産を相続する方法の2種類があります。

遺言書の内容に従って相続する場合でも、遺留分といって、法定相続人には受け取れることが決まっている財産の割合があります。

遺産分割をする際にはこの遺留分を考慮することが前提です。

また、遺産分割協議による相続分割は、遺言書がないことなどから相続人同士のトラブルに発展しやすいものでもあります。

ですから、トラブルになってしまう前に弁護士などの専門家に遺産分割協議に関する相談をしておくとよいでしょう。

遺産分割協議が円滑に進まず、期限内に遺産分割が行われなかった場合には、さらに相続税の申告という面では、「相続税の申告書の提出期限から3年以内に分割する旨の届出手続」を行わなければなりません。

これは分割が終わっていない財産に対し、申告書の提出期限から3年以内に分割をするための手続きです。

相続税の申告書の提出期限から3年以内に分割する旨の届出手続を行っていれば、「相続税の配偶者控除」や「特定事業用資産についての相続税の課税価格の計算の特例」などの適用を受けることが可能になります。

また、それと同時に遺産分割調停へと進むことになります。万が一、遺産分割調停でも話し合いがまとまらない場合には、審判手続きが開始されることになります。

相続財産の受け取り前に準備するもの

相続財産の受け取り前に準備が必要なものは、どんな場合でも一部共通している書類があります。それが下記のものです。

  • 被相続人の戸籍謄本または全部事項証明書

※死亡の確認をするために必要です。

  • 相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
  • 相続人全員の印鑑証明書

相続財産の受け取り方

相続財産の受け取り方は、財産によって異なります

それでは、相続財産の受け取り方について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

まず、「被相続人の預金を相続する場合」ですが、被相続人の遺族または遺言執行者などが預金の相続の手続きを行います。

預金を相続する場合、遺言書の有無、また遺産分割協議書の有無によって必要となる書類が異なります。下記は3つのケースにおいて、必要な書類です。

≪遺言書がある場合≫

  • 遺言書
  • 検認調書または検認済み証明書

※公正証書遺言の場合は必要ありません。

  • 被相続人の戸籍謄本または全部事項証明書

※死亡の確認をするために必要です。

  • 預金を相続する人の印鑑証明書または遺言執行者がいる場合には遺言執行者の印鑑証明書
  • 遺言執行者の選任審判所謄本

※遺言書がある場合には、家庭裁判所で遺言書執行者を選任するため、遺言執行者が裁判所で選任されている場合に必要になります。このとき、遺言を執行する人が指定されている場合にはこの限りではありません。

≪遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合≫

  • 遺産分割協議書

※法定相続人の全員の署名及び捺印が必要です。

  • 被相続人の戸籍謄本または全部事項証明書

※死亡の確認をするために必要です。

  • 相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
  • 相続人全員の印鑑証明書

≪遺言書も遺産分割協議書もない場合≫

  • 被相続人の戸籍謄本または全部事項証明書

※死亡の確認をするために必要です。

  • 相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
  • 相続人全員の印鑑証明書

この他にも、家庭裁判所による調停調書や審判書がある場合には、「家庭裁判所の調停調書謄本または審判書謄本」と預金を相続する人の印鑑証明書が必要となります。

上記のケースに従って、必要な書類をすべてそろえたら、書類を被相続人の預金がある金融機関に提出します。

このとき、相続手続き書類に必要事項を記入し、相続人の署名と捺印をします。

これらの手続きが終わった後、払い戻しが行われ、預金の相続をすることが可能となります

 

次に「不動産を相続する場合」ですが、不動産を相続する際には、3つの相続方法があります。

まず、1つ目は「現物分割」です。

現物分割とは、相続財産を不動産、預金、貴金属など現物に分け、それぞれの相続人が現物をそのまま相続する相続方法のことをいいます。

不動産を相続する場合には、現物分割でそのまま不動産を相続することになります。

2つ目は「代償分割」です。

代償分割とは、1人または複数人で不動産を相続し、不動産を相続しなかった他の相続人に代償金を支払う相続方法のことをいいます。

そのため、相続人の中には不動産をそのまま現物として相続する人と、現金を相続する人の2つに分かれます。

3つ目は「換価分割」です。

換価分割とは、不動産を現金に換え、割合に応じて、相続人が現金を相続する相続方法のことをいいます。

この方法は不動産を相続する上で、位置番平等な方法であるといえるでしょう。

 

上記のように不動産には、3つの受け取り方があります

どの受け取り方を選ぶかは、遺言書があれば遺言書の通りに、遺産分割協議が行われれば遺産分割協議の内容通りとなります。

相続財産を[H5] 受け取る際に注意するべきポイント

相続財産を受け取る際に注意するべきポイントは、大きく分けて3つあります。

まず、1つ目は「相続財産をすべて把握すること」が挙げられます。

遺言書がある場合には、遺言書にすべての財産が記載されているため、あまり心配はいりません。

ですが、財産の中には変動するものもあるため、最終的な確認をすることは必要です。

また、財産を相続するときに遺言書がない場合には、遺産分割協議をすることになりますが、このとき、被相続人のすべての財産を正確に把握していないと、遺産分割を的確に行うことができません。

そのため、被相続人のすべての財産を調査し把握することが必要なのですが、相続人がすべての財産の調査を正確に行うことは困難を極めます

ですから、財産の調査を行う場合には、司法書士などの専門家に相談または依頼し、調査を実施してもらうとよいでしょう。

このとき、正確な財産を把握できていないと、相続税の申告をしたあとに、更生の請求などを行わなければならず、二度手間になります

 

2つ目は「法定相続人をすべて把握すること」が挙げられます。

被相続人の戸籍謄本を取り寄せることで、親族関係の調査をすることが可能です。

法定相続人は自分たち家族だけであると思っている場合でも、実は被相続人に離婚歴があり、実子が別にいることも考えられます。

法定相続人の人数によって、遺産分割の内容も変わってきますし、基礎控除の金額も異なります。

ですから、法定相続人の人数の把握は必ず行うようにしましょう。

 

3つ目は「遺言書がない場合の対処方法を決めること」が挙げられます。

遺言書があれば、遺言書に従って、相続すれば問題はないでしょう(ただし、遺言書は法的効力があり、遺留分がきちんと考慮されているものの場合に限ります)。

ですが、遺言書がない場合には、法定相続分通りに相続財産を相続するか、遺産分割協議で相続財産を決定する必要があります

法定相続分通りに相続する場合には、特に手間がかかることはありませんが、遺産分割協議をする場合には、法定相続人すべてに遺産分割協議を行うことを通知し、遺産分割協議を行わなければなりません。

これは遺産分割協議の性質上、遺産分割協議はすべての法定相続人の合意が必要になるという決まりがあるからです。

遠方者などがおり、全員が集まることができない場合には、遺産分割協議を書面や電話、メールといった方法で行うことも可能です。

遺産分割協議が終わったら、遺産分割協議書の作成をしなければなりません。

この書類は、遺産相続をする際にさまざまな場面で必要になります。

このように、相続財産を受け取る際にはその状況によって、異なった注意点があります。

相続財産を受け取る際には、必ず準備をしっかりするようにしましょう

まとめ

相続財産を受け取ることになった場合は、その受け取り方である相続方法には3つの種類があることを知っておくことが重要です。

相続には期限が設けられているため、どの相続方法を選択するか、その期限内に決めて手続きをしなければなりません。

また、遺言書の有無や遺産分割協議を行うかなど、相続することになると、さまざまな問題に直面します

ですから、相続財産の受け取り方をはじめ、相続にまつわる手続きについて迷ったり、問題が生じたりした場合には、弁護士や司法書士など相談するようにしましょう。

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監修者太田諭哉
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公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
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