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【相続の基礎知識 】
相続について基礎知識を説明しています。相続とは、相続の手続き、生前にできる相続対策など、相続について知っておくべき情報をまとめています。

2019年3月31日 日曜日

代襲相続って??知っておきたい基礎知識まとめ

相続のパターンは、2つとして同じものはないといわれています。

例えば、父親が亡くなった時、相続するはずだった配偶者や子どもがすでに他界していて、直系の孫が相続する場合があり、このようなケースを代襲相続と呼びます。

代襲相続は、それが発生しないケースと比較すると少ないかもしれません。

仮に祖父母あるいは子のいない叔父叔母が高齢だとしても、自身の親が健在であれば自身が代襲相続人となることはあまり考えることがないでしょう。

しかし、数年先のことはわからないものです。

本コンテンツでは、誰もがなる可能性がある代襲相続人についての基礎知識を解説します。

もちろん、すでに代襲相続人になることがわかっている人は、ぜひこの記事を自身の相続に役立ててください。

代襲相続とは?

相続とは、被相続人(亡くなった人のこと)が死亡または失踪宣告・認定死亡を受けたことを発生理由に、被相続人が所有していた財産や権利義務を被相続人の配偶者や子どもなど特定の人が引き継ぐ制度のことです。

遺言によって財産を受け取る遺贈、贈与者が死亡したら受贈者に財産を残す契約を生前に贈与者・受贈者間で締結していたことにより財産を受け取る死因贈与についても、相続の定義に入ります。

簡単に言うと、法律で定められた人(配偶者、子供、兄弟姉妹)に遺産が譲渡されるのが通常の相続です。

そして代襲相続とは、本来の相続人が被相続人の相続発生までに死亡するなど一定の事情

により、本来の相続人の子などが代わって被相続人から相続することです。

たとえば、祖父の相続発生前に子が死亡したため、孫が代襲相続人として祖父の遺産を代襲相続する事例が当てはまります。

代襲相続をもっと分かりやすく言えば、父が亡くなった時に法律で定められた相続人(配偶者、子供、兄弟姉妹)がいない場合、遺産は世代を超えて直系の遺族(孫、ひ孫)に相続されることです。

 

代襲相続の要件

代襲相続人になることができる人の定義および本来の相続人(被代襲者)の要件について、民法第887条2項では「被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定(相続人の欠格事由)に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない」と規定しています。

また、民法第889条では被相続人直系尊属及び兄弟姉妹の相続権について以下のように規定しています。

「次に掲げる者は、第887条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。

一、被相続人の直系尊属。

ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。

二、被相続人の兄弟姉妹

第887条第2項の規定は、前項第二号の場合について準用する。」

つまり、代襲相続は法定相続人が死亡、相続欠格に該当、相続廃除された時に発生します。

遺産の相続は、血の繋がりがある直系の家族である「血族」に代襲相続されます。

なお、民法の規定では、義理の息子・娘や義理の兄弟姉妹は法定相続人に該当しないため、代襲相続の権利は原則として発生しません。

代襲相続人が死亡・相続欠格・相続廃除のいずれかに該当している場合は、代襲相続人の血族が再代襲相続人となります。

したがって、被相続人の子が死亡・相続欠格・相続廃除に該当すれば孫が代襲相続人、曾孫が再代襲相続人、兄弟姉妹が死亡・相続欠格・相続廃除に該当すれば甥姪が代襲相続人となります。

代襲相続における相続分

民法第900条に規定する法定相続割合についてみてみましょう。

「同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。

一、子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。

二、配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。

三、配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。

四、子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。

ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。」

分かりやすく言うと、代襲相続人は、代襲相続人の数と亡くなった被相続人との関係(順位)に応じた相続割合で相続できます。

例えば、被相続人の4人の子どもたちと2人の孫たちは、相続割合が違います。

また、同じ順位の代襲相続人が複数いる場合は、被代襲者が本来相続するはずだった相続割合について代襲相続人の人数で均等に分割することが原則です。

なお、この法定相続割合はあくまで原則です。

被相続人が遺言で法定相続割合と異なる分割割合を指定していた場合、あるいは遺産分割協議で代襲相続人を含む相続人間が法定相続割合とは異なる割合で分割することに合意した場合は、法定相続割合とは異なる任意の相続割合で分割することは可能です。

また、仮に代襲相続する遺産のうち負債が財産よりも多い場合は、何も相続しない「相続放棄」か代襲相続人同士の合意の上で「限定承認」をする選択も可能です。

代襲相続を行う際に気をつけるべき点

代襲相続の範囲

上記民法第889条に規定のとおり、被相続人の配偶者と実子には代襲相続が認められていません。

また、代襲相続が認められる範囲は、被相続人の直系の子ども(孫・ひ孫など)の場合は制限はありませんが、兄弟姉妹の子どもに関しては甥・姪までと順位が限定されています。

代襲相続における基礎控除の考え方

基礎控除とは、相続が発生すれば誰でも受けることができる相続税評価額の控除制度です。

具体的には、相続税評価額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」未満であれば、相続税は発生しないのです。

そして、この法定相続人には当然ながら代襲相続人もカウントされます。

たとえば本来の相続人が配偶者の息子と娘の2人であれば、基礎控除額は4,200万円となります。

しかし、被相続人の相続発生前に娘が死亡し、その子つまり被相続人の孫である孫息子・孫娘が乙を代襲相続した場合、法定相続人は娘を除外し孫息子と孫娘を加えて算出しますので、4,800万円となります。

このように、代襲相続が発生して相続人の数が増えた場合は基礎控除が増えることがあります。

遺産分割協議は慎重かつ確実に

遺産分割協議とは、被相続人の財産を誰が・何を・どの割合で相続するか相続人間で話し合って決めることです。

もし相続人の一部を除外して遺産分割協議を成立させたとしても、無効となります。

遺産分割協議で相続割合についての合意が得られると、それを証するものとして遺産分割協議書を作成することが一般的です。

各相続人はそれぞれ利害関係におかれているといっても過言ではなく、遺産分割協議は相続手続きでもっともトラブルに発展しやすい手続きといえます。

特に代襲相続人にも相続に関する正当な権利があるのですが、被相続人と近しい関係であることが少なく、表明しづらいことがあるでしょう。

もし代襲相続人として遺産分割の交渉がしづらい状況であるならば、弁護士などの専門家と相談のうえ感情的にならないように交渉を進めるようにしてください。

代襲相続と相続放棄の関係

法定相続人が存在して相続放棄した場合、孫やひ孫であっても代襲相続は認められていません。

なぜなら、上述した民法第887条2項の規定で被代襲者になり得る相続人は死亡・相続欠格・相続廃除のいずれかに該当し相続する権利を失った人であり、相続放棄は民法第939条「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」との規定により初めから相続人ではないとみなされます。

代襲相続の相続例

孫が代襲相続するケース

被相続人の子(被代襲者)と配偶者が相続人であり、被相続人の孫が子を代襲相続するケースを想定してみましょう。

偶者の相続分および子の法定相続分は、それぞれ2分の1ずつです。

子が数人いる場合には、子それぞれの相続分は均等になり、これは嫡出子と非嫡出子が混在している場合でも同様です。

また、子の全員が非嫡出子の場合は全員嫡出子の場合と同様に均等で相続します。

先妻(夫)の子と後妻(夫)の子の間には相続人としての地位に差はありません。

そして非相続人の子のひとりが被代襲者となり、複数の孫が代襲相続人となる場合は当該被代襲者の相続分を孫の人数で均等に分割することになります。

ひ孫が代襲相続するケース

被相続人のひ孫が代襲相続するケースは少ないのですが、事例がまったくないわけではありません。

この場合、上記の孫が代襲相続するケースと基本的な考え方は同一です。

ただし、ひ孫の場合は被相続人の他の相続人と面識がないケースが多く、これが遺産分割協議などにおけるトラブルの遠因になっているケースとなります。

ひ孫が代襲相続する場合は、遺族との関係性から考えて弁護士などの専門家に代理交渉を依頼するのが一般的です。

甥姪が代襲相続するケース

被相続人の兄弟姉妹(被代襲者)と配偶者が相続人であり、兄弟姉妹の子つまり被相続人の甥・姪っ子が兄弟姉妹の相続分を代襲相続するケースを想定してみましょう。

法定相続分は兄弟姉妹が4分の1、配偶者が4分の3となります。

ただし、父母の一方のみを同じくする異父母の兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹(全血兄弟姉妹)の相続分の半分です。

この父母には実父母のほか養父母も含まれますので、夫婦双方の養子とその夫婦の実子とは全血兄弟姉妹として相続分は均等となります。

また、夫婦の一方だけの養子とその夫婦の実子とは、前者は半血・後者は全血の兄弟姉妹となりますので、前者の相続分は後者の半分の割合となります

兄弟姉妹が複数名いる場合はこの4分の1を均等することになります。

そして、兄弟姉妹のいずれかが代襲者となり当該代襲者の子(被相続人の甥姪)が代襲相続人となる場合は、当該被代襲者の相続分を甥・姪の人数で均等に分割することになります。

もっと簡単に言えば、自分が死んだ時に兄弟姉妹も亡くなっていた場合は、甥・姪の順位同士で均等に分配されます。

養子の子が代襲相続するケース

被相続人の養子の子どもが代襲相続するケースは議論が多く、ケースによって結論が異なりますので、専門家へのご相談を心からをお勧めします。

先述のとおり、代襲相続人になる権利がある人は死亡・相続欠格・相続廃除に該当するため相続権を喪失した人の直系の血族であると同時に、子の代襲相続であれば被相続人の直系卑属、兄弟姉妹の代襲相続であれば被相続人の傍系の血族である必要があります。

ところが、被相続人との養子縁組前に生まれている養子の子どもは養親の直系の血族ではなく、同時に養親(被相続人)の他の子との間にも親族関係にはないわけですから、原則として被相続人の養子の子どもが代襲者として養親(被相続人)の遺産を相続する権利はありません。

これは判例でも明らかになっています。

ただし、被相続人との養子縁組後に生まれた養子の子は、養親(被相続人)およびその血族との間に血族関係が生じるというのが判例・通説ですから、その養子の子には代襲相続の一般原則が適用されます。

なお、養子は養親との養子縁組という法律行為により養親の親族との間に親族関係が生じますが、当該養子の本来の血族との親族関係は継続します。

前者を養方の親族、後者を実方の親族ともいいます。

まとめ

以上、代襲相続の基本についてご紹介しました。

近いうちに代襲相続が発生すると見込まれる方、および既に被相続人の相続が発生している方は、本コンテンツに記載した内容と照らし合わせあなた自身の代襲相続人としての順位と相続割合をシミュレーションしておくとよいでしょう。

できれば、代襲相続はユニークで複雑なケースが多いので、税理士や弁護士にご相談されることを心からお勧めします。

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監修者太田諭哉
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公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
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