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【相続税 】
相続税について説明しています。相続税は相続する人物、相続の対象、評価額などによって納税の有無や納税額が異なります。また相続税を抑えるための対策もあります。相続税についての知識を得て、しっかり相続税対策を行いましょう。

2019年4月15日 月曜日

相続税の追徴課税に注意!追徴課税による不利益とは

率直に申し上げると、時間がない、と思われている方はすぐに専門家へご相談されることをお勧めします。

時間がないと思うと焦りが増しますし、何よりもご家族を失った方は、ご自身の生活を見つめ直して心の平安を得てもらうことが私の願いです。

相続税には、相続することを知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告と納税をしなければならないという期限が決められています。

ですから、相続をすることを知った場合には、申告期限内に相続内容の確定と相続税の申告を行い、10ヶ月以内に相続税を納税する必要があります。

そして、もし相続税の申告期限内に相続税の申告ができていなかったり、納税期限内に相続税の納税が終わっていなかったりした場合には、それぞれ追徴課金が課せられます。

では、追徴課税とは、一体どのようなものなのでしょうか? 相続税の申告及び納税をする場合に注意が必要な追徴課税についてご紹介いたします。

目次

相続税の追徴課金とは

相続税の追徴課税とは、相続税の申告の申告期限、または相続税の納税の納税期限において、期間内にそれらを行わなかったことによって追加で課税される税金のことをいいます。

追徴課税には、「過少申告税」、「無申告税」、「延滞税」、「重加算税」の4種類があります。

それでは、順にひとつずつ詳しく見ていきましょう。

過少申告課税

過少申告税とは、相続税の申告をした際に本来納めるべき相続税よりも過少に申告した場合に課せられる税金のことをいいます。

過少申告税の税率は、相続税の申告の期限内に申告した税金、または50万円のどちらかに10%が課せられます。

ただし、どちらの金額の場合でも、それら金額を超えた場合の税には、15%が課せられることになっています。

また、税務調査が入る前に、自ら修正申告をした場合には、過少申告税がかからないとされています。

また、過少申告税については、国税通則法(過少申告加算税)第65条において定められています。

無申告課税

無申告加算税とは、その名前からもわかる通り、相続税の申告書を提出していないとき(無申告のとき)に課される税金のことをいいます。

無申告加算税の税率は15%ですが、50万円を超えた分からは税率が20%になります。

ただし、税務調査ではなく、自ら申告書を提出した場合には、無申告加算税の税率は5%となります。

また、相続税の申告の期限から、2週間以内であれば、申告期限を超えていても無申告加算税を課せられることはありません。

延滞税

延滞税とは、相続税などの税金の納税が期限より遅れた場合に加算される税金のことをいいます。

延滞税には納税期限はありませんが、その代わり、延滞した期間が長ければ長いほど、金額が大きくなっていきます。

これは延滞税の税率と深い関係があります。

延滞税の税率は、まず「相続税の納税期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで」と「相続税の納税期限の翌日から2ヶ月を経過した日以降」で、相続税の税率の割合は異なります。

では、延滞税の税率について詳しく見ていきましょう。

「相続税の納税期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで」の場合、下記の税率の割合が低い方が適用されることになっています。

≪1≫ 税率の割合が……7.3%

≪2≫ 税率の割合が……特例基準割合+1%

「相続税の納税期限の翌日から2ヶ月を経過した日以降」の場合、14.6%の税率が適用されます。

ただし、平成26年1月1日以降からは、下記の税率の割合が低い方が適用されることになっています。

≪1≫ 税率の割合が……14.6%

≪2≫ 税率の割合が……特例基準割合+1%

このように、延滞税は相続税の延滞をすればするほど、課税されることとなり、支払う金額が大きくなっていきます。

ですから、延滞税が発生した場合には、できるだけ速やかに相続税と延滞税の納税をすることが大切です。

また、延滞税には「特例」があります。

この特例は「故意に相続税の申告を延滞していない場合」にのみ適用される制度です。

特例が適用される場合には3つのケースが挙げられます。

まず、1つ目は「相続税の申告期限内に申告書が提出されたことが前提であり、法定申告期限から1年が経過しているときの『修正申告』や『更正の請求』をしなければならないケース」です。

次に2つ目は「相続税の申告期限内に申告書が提出されたことが前提であり、相続税の申告書の提出から1年が経過している場合の『修正申告』や『更正の請求』をしなければならないケース」です。

そして、3つ目が「相続税の申告書の提出したあとに、減額更正がされ、『修正申告』や『更正の請求』をしなければならないケース」です。

もちろん、相続税の申告を間違えることなく行うことは最も重要なことです。

ですが、故意でない限りは、延滞税の特例が適用されるため、その点において心配はいりません。

重加算税

重加算税とは、相続税の申告をする際に故意に仮装や隠ぺいしたときに課される加算税のことをいいます。

重加算税は、大きく分けると「重加算税のうち、過少申告加算税または不納付加算税の代わりに徴収されるもの」と「無申告加算税の代わりに課されるもの」の2種類に分けることができ、その税率は異なります。

また、その中でも無申告課税または重加算税が課されるか課されなかったかによって、税率がさらに異なります。

この税率は平成28年度の税制改正及び国税通則法の一部が改正された後、平成29年1月1日以後から適用されているものになります。

まず、「重加算税のうち、過少申告加算税または不納付加算税の代わりに徴収されるもの」であった場合、「期限申告などがあった日の5年以内に同じ税目に対して、無申告課税または重加算税が課されなかった場合の加算税の割合」は35%、「期限申告などがあった日の5年以内に同じ税目に対して、無申告課税または重加算税が課された場合の加算税の割合」は45%となります。

また、「重加算税のうち、無申告加算税の代わりに課されるもの」であった場合、「期限申告などがあった日の5年以内に同じ税目に対して、無申告課税または重加算税が課されなかった場合の加算税の割合」は40%、「期限申告などがあった日の5年以内に同じ税目に対して、無申告課税または重加算税が課された場合の加算税の割合」は50%となります。

重加算税の税率は、他の追徴課税に比べ、掛かる税率が大きいものですので、必ず確認しましょう

日本における相続税の追徴課税の状況

2019年に国税庁が公開した「平成30事務年度における相続税の調査等の状況」には主に2016年に相続が行われたものの中から国税局や税務署の情報から相続税の申告額が少ないと想定されている場合や、相続税申告の義務があるにも関わらず申告していないと想定される場合に相続税の税務調査を行ったと記されています。

この調査では税務調査の実施状況をはじめ、申告漏れした場合の追徴課税額、贈与税についての調査も記されています。

調査によると、年度内で相続税の税務調査が行われたのは 12,463 件で、この中で申告漏れなどがあった件数は 10,684 件。

相続税の申告が誤っていたり、無申告だったりした件数は全体の 85.7%に上ります。

相続税の税務調査が入るということは、この年度でもやはり80%以上の確率で相続税申告に何かしら問題があり、追徴課税の可能性があるということがいえます

この調査では相続税の申告が漏れていた分の相続財産の課税価格は 3,538 億円で、税務調査1件当たりでは 2,838 万円でした。

追徴課税額はというと708 億円で、税務調査1件当たりでは 568 万円でした。

追徴課税のうち、重加算税が課された件数は 1,762 件で、申告漏れなどがあった件数の16.5%に上りました。

相続税の追徴課税が発覚するのはどんなとき?

相続税などの税金の申告や納付をおろそかにすると、恐ろしい追徴課税がやってくることをお伝えしました。

それではどのような時に発覚しやすいのかをお伝えしていきます。

相続税の追徴課税が発覚しやすい「税務調査」とは?

相続税の追徴課税は発覚しやすいといえます。

なぜならば、税務署は市町村役場や企業などと連携して資産状況などを調べることができる上に、市町村から死亡情報が入るため、相続税の申告・納税が発生する可能性があることを、相続人が相続手続きを始める前からキャッチすることができるからです。

市町村からは被相続人の固定資産税の情報が提供されますので、被相続人が所有していた不動産の情報を把握し、相続税を計算できてしまいます。

さらに、税務署は、相続人から許可をもらわなくても、金融機関や証券会社に被相続人の金融資産を照会できるため、正確な金融資産を把握することができます。

過去の金融取引についても照会できるため、相続税だけでなく贈与税についても併せて調査ができるということです。

生前贈与として被相続人が相続人に受け渡していた預金なども把握できてしまいます。

さらに、生命保険会社から生命保険の支払い報告書が提出されてきます。

そもそも、税務署は所得税の確定申告書や給与の源泉徴収票などの情報を持っていますので、被相続人の収入がどれくらいであったかも税務署は分かっています。

 

また、相続税の税務調査が行われる割合は全体の約10%、なんと10人に1人の割合で税務調査が行われています。

そして、税務調査を受けた方の約80%に申告漏れ等の不備が見つかっていますかなり高い確率で申告漏れが発生していることが分かりますね。

申告漏れ財産としてもっとも多いのは現預金、次いで有価証券などの金融資産に多く申告漏れが発生しています。また、追徴課税の金額は1件当たり平均約600万円とかなり高額です。

税務調査の対象となると追徴課税が発生する可能性が高い相続税ですが、どのような人が調査の対象となるのでしょうか。

税務調査の対象となりやすい人は、次の通りです。

①相続税申告書に不備がある人
②納税額が高い人
③金融資産を多く相続した人
④税理士を利用していない人
⑤遺産総額が大きい人

①相続税申告書に不備がある人
相続税申告書の記載に間違いがあると、申告金額にも計算間違いがあるのではないかと考え、調査対象とする場合があります。

②納税額が高い人
税務署は独自の富裕層リストを持っていると言われています。
想定される相続税額よりも実際の相続税額が低い場合や、無申告の場合は、税務調査の対象となることがあります。

③金融資産を多く相続した人
税務署から金融機関に照会をかけて、過去の金融資産の取引を確認することができます。
照会結果と申告書に相違がある場合は、税務調査の対象となる可能性があります。
追徴課税となる可能性が高い相続財産なので、注意しましょう。

④税理士を利用していない人
相続税の申告は誰でも行えますが、追徴課税のリスクを抑えるためには、専門知識のある税理士にお願いした方がよいでしょう。
税理士を利用せずに申告すると、申告内容に間違いがある可能性を疑われ、税務調査の対象となる場合があります。

⑤遺産総額が大きい人
相続財産が大きい場合は、税務署が相続税申告書に漏れがないかを確認します。申告漏れの可能性が高いと考えられた場合、税務調査の対象となる場合があります。
遺産総額が大きい場合は、申告漏れの可能性が無くても税務調査が入ることがあります。

このように、税務調査の対象となるケースはさまざまです。

申告漏れなどの不備を事前に防ぎ、相続税の追徴課税を避けたいですね。

税務調査を拒否することはできる?罰金は?

通常の税務調査は、任意の調査です。

映画「マルサの女」のように突然、税務調査官が訪れて調査を始める強制調査とは異なります。

しかし、税務調査官は「質問検査権」という権利を持ち、かたや納税者には受け入れなくてはならない「受忍」という義務があります。

この義務を果たさないと1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることになりますので、追徴課税が怖いからと相続税の税務調査を理由もなく拒否することはできません。

もし税務調査の予定がきまったら。事前に準備しておくべきもの

相続税の税務調査が入ることが決まったら、追徴課税におびえることなく、まずは落ち着いて相続税を申告した時を思い出してください

その時に使ったメモ書きを引っ張り出して、記載されている内容を見直してください。

相続税の対象になった相続財産について、いろいろと記してあるはずです。

それらの財産を保有していることが分かる預金通帳や権利証などを出して見直してみましょう。

「相続税の申告・納付期限の10ヶ月までに急がないと!」などと慌てて準備していた場合にはミスもあるかもしれません。

権利証の書類の中から、新たに別の財産の権利証を見つけてしまうというようなこともあるかもしれません。

万が一、申告していない財産を見つけてしまった場合には観念し、相続人がほかにもいる場合には、再び遺産分割協議を行い、修正申告を行いましょう。

先にお伝えした通り、期限までに申告後、税務調査が入る前に自ら修正申告をする場合には、申告する税額が少額である場合は追徴課税されません。

期限までに申告後、税務調査などで税務署に指摘されてから修正申告をすると、少額であれば10%の過少申告加算税が追徴課税されます。

申告していない相続財産を見つけたら「修正申告は面倒くさいから、税務調査で税務署員に伝えればいいや」などと行動をしなかったら追徴課税されるのです。

修正申告する追徴課税額が期限内に申告した税額と50万円のどちらかの金額を超えた場合は、超える部分に5%の過少申告加算税が追徴課税されます。

税務調査が入る時点で、税務署員はあなたの相続税申告に何かしら疑問を持っているはずですので、追徴課税を避けるために、調査の前にはある程度時間を掛けて見直しをしておくことが大切です。

税務調査で質問されやすい項目

相続税の税務調査が入った時に質問されやすい項目があります。

それは、以下のように被相続人についての情報です。

  • 生まれてから亡くなるまでの暮らし
  • 事業や投資など、財産を築くまでのあらまし
  • 金銭の管理の仕方

以上のような話をしながら、申告が漏れているような財産がないかチェックをし、さらに相続人が相続財産について何か隠しごとをしていないかを見ています。

相続人の生い立ちや仕事、相続財産の管理状況なども質問されやすいです。

税務署員は、追徴課税をする対象を見極めに来ているので、最初からあなたに疑いを持って接しているということです

何しろ、税務調査に入った場合、80%以上の確率で相続税申告に何かしらの問題を見つけ、追徴課税をしているのですから。

こうしたことをあらかじめ分かっておくと慌てなくて済みますね。

相続税の追徴課税が起こりやすいケース

誰しも追徴課税の対象とはなりたくないのですが、相続税の場合は他人の財産を相続するという特性上、追徴課税の対象となるような事態になってしまうこともあります。

隠し財産があった

相続税の申告期限を経過してから高額な財産が見つかることもあり得ます。

土地や家屋などの高額で大きく、誰もが財産として認識しているようなものは大丈夫だと思いがちですが、相続人も知らない間に購入していた不動産は知るよしもありません。

固定資産税納税の帳票が届いてから存在が明らかになるような不動産もあるでしょう。

また、そもそも把握しづらい現金や預貯金などの金融資産なども、通帳やカードを発見しない限りはなかなか見つからず、相続税の対象として計上することを忘れてしまいがちになるでしょう。

相続税の申告金額が少なかった場合、過少申告課税が追加徴税されますが、意図的に相続税の対象となる財産を隠していた場合には、重加算税が追徴課税されます。

「親が子どもや孫のために実はこっそり・・・」といった預金は特に注意

よくある例ですが、親や祖父母が子や孫のために彼ら名義で口座にこっそり積み立てている預金がありますが、それを「借名預金」または「名義預金」といいます。

多くの方は認識していないと思いますが実は、法令的には禁じられている行為なのです。

しかし銀行では口座開設が可能なのは「子供さんの口座だから」という事で見逃しているわけで、場合によっては税務調査により発覚し相続税や追徴課税、贈与税などが課せられる事もあります。

生前贈与と認められるには、子供や孫名義の通帳やキャッシュカードなどは、親の管理の元に置かずに子に渡して自由に使わせる事により生前贈与と見なされ相続税の対象にならなかったり追徴課税も課せられないという事例もあります。

しかし、生前贈与と認められず借名預金を相続財産の中に申告していなかった場合には、加算税が課せられてしまう上、相続税の納付期限が過ぎた場合には追徴課税も支払うことになりますので充分注意することが大切です。

生前贈与として認められない贈与があった

生前贈与は、贈与する側と受け取る側の意思表示が必要です。

しかし、現金の手渡しや、子どもや孫の名前を使って被相続人が持っている預金、へそくりとして貯めているお金などは税務署が生前贈与として認めません。

生前贈与ではないということで、相続税の課税対象になりますので、相続税の申告・納付期限を過ぎていた場合には追徴課税の対象になります。

相続税評価額の計算方法を誤った

一般の人であれば、相続税の計算を一生のうちに何度も行うことは少ないかもしれません。

そのような状況下ですので、さまざまな相続財産の評価額の計算を誤ることもあり得ます。

誤ってしまったことが分かったら、追徴課税を恐れて黙っているのではなく、速やかに税務署に相談しましょう。

海外に資産があった

海外に金融資産や不動産を所有している場合などでも、相続財産となりますので、きちんと評価をして、相続税の対象に含めなければなりません。

海外の資産を相続税申告し忘れた場合には、相続税の追徴課税がされますので、注意しましょう。

しかし、海外に資産を持っている場合には、遺言書に書いてあったり、現地の管理・運営会社などからの連絡を見聞きするようなことがあったりしない限りは、なかなか見つけられません。

例えば、被相続人が海外で愛人を作っていたとか、家庭を持ち、被相続人の所有する家で暮らしていたなどという場合には、被相続人は隠し通してきていますので、相続人は知りようがありません。

OECD(経済協力開発機構)は、経済取引のグローバル化に応じて外国の金融口座を利用した国際的な脱税や租税回避をさせないため、CRS(Common Reporting Standard:共通報告基準)を策定しました。

相続税調査の際には税務署員はさまざまな情報に加え、CRS情報も把握していますので「海外資産なんて持っているはずはないでしょう」と高をくくっていたり「海外資産は見つかりにくいからいいか」と放っておいたりすると、海外資産に対して追徴課税がされてしまいます。

相続人の過度な自信は禁物

財産を相続するのが初めてでない方や、親が相続税を申告する姿を見ていたというような方は、相続についての知識と経験があるので、目の前に迫った相続も簡単だと見誤ってしまいがちです。

相続税についての法律などはどんどん変わっていますので、過度な自信は禁物なのです。

相続税を納める先は、税金のプロの税務署です。

税理士など、普段から税金を取り扱っている場合でもない限り、慎重に納税まで進めていかなくてはなりません。

うっかり相続財産に入れ忘れたものがあった、相続税の申告書を書き間違えたというような事態を引き起こしてしまい、追徴課税が課されることにもなりかねません。

相続税に関する法律の改正ではありませんが、相続税の納付は現金一括が原則だったものがクレジットカード決済も可能となるなど、相続税を納める環境も変わってきています。

過去の知識や経験にとらわれず、相続税に関する情報をアップデートしておくことが追徴課税を避けるために大切なことです。

また、相続財産が多岐に渡っている場合や、相続財産の評価が難解で困った場合は、専門家に頼るのも手です。

申告には10ヶ月という期限が設けられているので、何か1つ問題に引っかかってしまうと、それにばかり時間を割いてしまい、申告までたどり着けなくなることもあり得るのです。

相続税の追徴課金が払えない場合は?

相続税の追徴課税が支払えない場合には、最終的に「財産の差し押さえ」が行われることになります。

財産の差し押さえは強制執行のため、「給料」をはじめ、「預貯金」や「不動産(土地や建物など)」、「自動車」や「家電」などが差し押さえの対象となります。

しかし、もちろん、最初から財産の差し押さえが行われるわけではありません。

まず、督促状が届き、滞納処分や財産調査が行われたあと、差し押さえ予告書により、差し押さえが強制執行されることが事前に知らされます。

督促状が届いてから、財産の差し押さえが強制執行されるまでには期間がありますが、この期間については、国税徴収法(差押の要件)第47条において、督促を受けた滞納者は、督促状が発せられた日かに10日を過ぎた日までに完納していないときは、財産を差し押さえなければならないことが定められています。

また、国税徴収法(相続があつた場合の差押)第51条において、滞納処分の執行に支障がなければ、まず相続財産を差し押さえるように努めなければならないことも定められています。

そのため、督促状が届いた段階で速やかに相続税の追徴課税を支払うことが重要です。

相続税の追徴課税で差し押さえを防ぐには:物を売ってお金を用意する

差し押さえになるのだけは、どうしても避けたいですね。

すぐにお金を作る方法を考えてみましょう。

一番安全なのは、今、手元にある物を売ってお金を用意することです。

金品があれば売ってしまえばいいですし、株式などを保有している場合も、利益が出ていればいいですが、少し損をしても仕方がありませんから、売ってしまいましょう。

不動産などを売れば大きなお金が入ってきますが、不動産を売るためには買い手を見つけるところから始めなくてはなりませんので、時間がかかるでしょう。

相続税の追徴課税で差し押さえを防ぐには:お金を借りる

できれば避けたいところではありますが、自宅が差し押さえになるよりはマシと考え、お金を借りるのも手でしょう。

親戚や友人から借りられればありがたいですが、なかなか相談しづらいですね。

金融機関から借りることが多くはなりそうですが、住宅ローンや事業用の融資などとは異なり、フリーローンは金利が高い傾向にありますので、追徴課税を支払ったら安心せず、速やかに返済する努力をしましょう。

また、急いでいるからといって、借りられればどこでもいい、という考えでお金を借りると、思わぬ高金利に悩まされることになりますので、気をつけましょう。

相続税の追徴課税で差し押さえを防ぐには:納税猶予が認められるケースもある

どうしても納税ができないときには、納税の猶予を受けることもできます。

「納税の猶予」と「換価の猶予」の2つの猶予の制度が設けられています。

納税の猶予は、自然災害や盗難、病気や負傷、事業の廃業や著しい損失があり、修正申告で税額が確定した日が本来の法定納期限から1年以上遅れているときに認められます。

1年間の分納ができるほか、どうしても支払えない正当な理由がある場合には、最大2年間まで延長してもらうことができます。

この場合は、修正申告書と納税の猶予申告書を同時に提出する必要があります。

換価の猶予は、追徴課税を納税すると、事業の継続や生活の維持が難しくなる場合に1年間の分納が可能になります。

差し押さえになった財産の売却と、新たな財産の差し押さえを待ってもらえるほか、猶予期間中は、延滞税の全額もしくは一部が免除されます。

この場合は、猶予を受ける追徴課税の納付期限から6ヶ月以内に換価の猶予申請書を提出する必要があります。

相続税の申告手順・期限

相続税の申告手順・期限は、明確に決められています。

それでは、相続税の申告手順・期限について詳しく見ていきましょう。

相続税の申告手順

相続税の申告をする場合には、行わなければならないことが数多くあります。

まず、被相続人の死亡を知ったら、相続人を確定します。

相続人の確定をする際には、被相続人の戸籍謄本などを取り寄せて確認する必要があります。

次に相続の方法について決定します。

相続の種類には、すべてを相続する「単純承認」、限度を決めて相続をする「限定承認」、すべての相続を放棄する「相続放棄」の3つがあります。

これらは相続が開始されてから3ヶ月以内に行わなければなりません。

また、被相続人に所得があった場合には、被相続人の準確定申告を行います。

被相続人の準確定申告は4ヶ月以内に行わなければならないので、相続の方法を決めたら、被相続人の準確定申告を済ませます。

これらがすべて終わったら、被相続人のすべての財産の調査を行わなければなりません。

遺言書がある場合には、相続財産は明らかになっていますが、遺言書がない場合には、どんな財産があるかが明確になっていないため、調査は難しいといわざるを得ません。

相続財産の調査は専門家に依頼することもできるので、時間の都合などに合わせて依頼するのがよいでしょう。

すべての相続財産が明らかになったら、次にそれぞれの相続税評価額を算出します。

このとき、相続税評価額は計算してわかるものもあれば、専門家に依頼して評価してもらうことでしかわからないものなど、相続財産によって異なるといった特徴があります。

相続財産の評価が終わったら、相続財産を誰がどのような割合で相続するかといったことについても明確にする必要があります。

法定相続分にしたがって相続したり、遺言書の内容通りに相続したりする場合には、そのまま相続税の申告書の作成に移ります。

ですが、遺産分割協議を行う場合には、遺産分割協議をする時間も必要となります。

遺産分割協議で話し合いがまとまればよいですが、まとまらない場合には、遺産分割調停に進みます。

誰に相続財産をいくら分割するかが決まったら、遺産分割協議書を作成します。

そして、遺産分割協議書に基づいて、ようやく相続税の申告書の作成に移ります。

これらのことが終わったら、名義変更が必要なものは名義変更を行います。

最後に相続することを知った翌日から10ヶ月以内に相続税の申告書を提出し、納税して、相続税の申告は完了します。

相続税の期限

相続税の申告・納税期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内と決まっています。

これは、相続税の申告も納税も同じ日が期限です。

ただし、相続税の申告及び納税が期限内に間に合わない場合には、おおよその相続税を算出し、相続税の申告書を提出します。

このとき、多めに申告してしまっても、還付申告をすれば、多く納税した分は戻ってくるので心配はいりません。

また、おおよその相続税で申告をするのは、追加徴税のペナルティを受けないようにするためでもあります。

ただし、おおよその相続税で相続税申告をしてしまうと、相続税の節税対策の1つでもある「配偶者の税額軽減」や相続税を相続財産で納税する「物納」など、さまざまな制度の利用をすることができないので注意が必要です。

逆に相続税を払いすぎることはあるのか?

相続税の申告方法は相続財産の評価の仕方も複雑となっているので、追徴課税につながらないようにと慎重に算出してしまうケースにより払い過ぎになる事もあり得ます。

税務調査が入ってしまい再度申告の手続きをするのは、費用と手間もかかり一苦労を要します。

ここでは、追徴課税や払い過ぎを発生させず最初から正しく申告できるように注意するポイントを説明していきます。

税理士を利用しないケースや相続税に詳しくない税理士を利用した場合に起こりえる

専門家に依頼せず自分で調べて申告した場合は、税務調査により追徴課税が生じると言っても過言ではないくらい複雑で難しい申告なのです。

税金の払い過ぎが起こりうる原因の一つには、土地の相続をした場合があります。

経験の少ない税理士や相続税に詳しくない税理士に依頼した際に、土地評価の見積もりが甘かったりすると正しい土地の評価が出来てない可能性があります。

そのため払い過ぎが生じる場合や逆に追徴課税が発生してしまったという事もあり得るのです。

土地の評価方法は土地の形状や周囲の状況などに影響されるため査定する人によって評価額が異なってしまいます。

又、不動産関連法規の専門知識を熟知していない税理士によって評価額を高くして申告する場合もあるのです。

払い過ぎや逆に追徴課税を防ぐには、相続税に特化している税理士を利用することで正しい申告ができると言えるのです。

相続税還付は相続税申告期限から5年以内

払い過ぎた相続税の還付は、相続税申告期限から5年以内に「更正の請求」という手続きをし、更正が認められた場合に還付できるのです。

更正の請求には、申告書の原本と申告内容を証明する資料の提出が必要となりますので、できる限りしっかりとした根拠の提示ができる書類を添付することが大事です。

申請したあとは、税務署での審査が行われ審査期間は税務署によって異なりますが約3ヶ月から6ヶ月程度となります。

還付が認められた場合には約1ヶ月後に確定した金額が指定口座へ振り込まれます。

注意する点は、虚偽の記載をした場合に1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられることになりますので慎重かつ丁寧な手続きが必要で、逆に追徴課税が課せられる場合もあります。

更正の請求手続きは自分で行うことは出来ないため必ず相続に詳しい税理士か不動産に詳しい税理士へ相談しましょう。

相続税還付依頼の手数料は高い傾向にあり、最初から正しい相続税申告・支払いをしておくことが大切

上記で説明したように還付の可能性がある場合には税理士へ依頼することで払い過ぎた相続税の還付ができることが分かりました。

では、税理士に依頼にする場合手数料の相場はどのくらいなのでしょうか。

相続税に強い税理士に依頼した場合でも複雑な申告であることから、不動産については専門の鑑定士と協働しながら調査や手続きを行う場合もあります。

税理士への報酬の相場は、事務所やケースなどによって様々ではありますが、完全成功報酬型という形で還付された金額の約20〜40%程度にあたります

これは、相談や手続き段階での費用はかからずに還付金が戻ってからの成功報酬として税理士へ支払うという形ですが、追徴課税につながりそうな場合や還付金が生じない場合は報酬を受け取らないという事務所もあります。

いずれにしても高い税金を支払い還付金が多く戻ってきたという喜びもつかの間で、税理士への支払う手数料も多くなる可能性があります。

のちに再度申告する手間や追徴課税などの費用がかかるのを防ぐためには、最初から相続に強い税理士へ依頼することにより正しい申告と支払いをしておくことが大切なのです。

相続税還付の可能性があるか調べるには

税金を納めた後に還付の可能性があるか調べる方法は申告した書類の見直しを行う事です。

提出した後に税務署からは追徴課税の通知は来ても、払い過ぎていますという連絡はきませんので自分で確認していくことが必要なのです。

申告内容に土地が含まれていたり、不慣れな税理士へ依頼していた場合は再度見直しをすることをおすすめします。

一般的に不動産や土地などは評価の方法が一筋縄ではいかないと言われており、税理士によって評価額が大きく違ってくるからです。

どのように行ったかがポイントになりますが一度申告した相続税の金額が適正価格であったかを確認するには不動産や相続税に強い税理士へ相談することです。

なお相続税の見直しは還付ではなく税務調査を引き起こし、追徴課税発生につながる可能性もある

還付金が戻るのではと見直しを行った結果、税務調査を引き起こし追徴課税が生じてしまう可能性も否定できません。

税務調査では、追徴課税の要素がないか細かい調査を行いますが、土地などの不動産に限らずに相続財産の中のお金の動きを徹底的に調べるのです。

税務調査の結果、増額要素を指摘され追徴課税が生じてしまう事もあるので注意が必要です。

しかし一度税務調査が入り追徴課税を支払った場合、のちに更正の請求を行う事で還付金が戻る可能性もあります。

なぜなら税務調査では、土地などの減額になりそうな要素は指摘はせず現地調査なども積極的に行わないので、一度税務調査が入り追徴課税を支払った後は、むしろ更正の請求を行い還付金が戻ってくるチャンスかもしれません。

いずれにしろ正しく申告ができていなかったことによって生じた追徴課税による不利益にならないためにも相続税に強い税理士へ相談することはいうまでもありません。

相続税の追徴課税だけじゃない!相続後に起こりがちなトラブルとは?

遺産相続の際に起こりやすいトラブルにはどのようなものがあるのでしょうか。

心配なのは相続税や追徴課税のみではありません。

この項では起こりやすいトラブルについて詳しく解説していきます。

新たな相続財産が発覚した

遺産相続を終えてひと段落、相続税や追徴課税も心配ない!と思っていたら新たに相続財産が発覚することは少なくありません。

後に相続財産が発覚した時、相続人が一人であればその財産を相続する手続きをとり、相続税を申告して支払う義務があります。

複数の相続人がいる場合、遺産分割について話し合う必要が出てきます。デリケートな話し合いですので、必ずしもスムーズに話し合いが進むとは限りません。

さまざまな財産について協議し、合意のうえ分割し、手続きを進めて相続税を支払う義務があります。

相続の手続きが終わった後に新たな財産が出てきた場合、改めて遺産分割の協議を行うことが望ましいでしょう。最初の協議の結果を揺るがせるような大きな金額の財産でなければ、新たに発覚した財産に対してのみ協議することが可能です。

当該財産が各相続人にとってメリットがあるものであれば、再び協議に参加するでしょう。

また、各相続人が同意するのであれば、もう一度始めからすべての遺産分割の協議をすることも可能です。しかし、すでに遺産を使ってしまったというケースも考えられるため、新たな財産についてのみ協議する方が現実的といえます。

相続税だけでなく、延滞税が課税される場合もあるため、なるべく早く申告しましょう。

後々の手間や面倒を避けるため、遺産相続の協議の時に、後に新たな財産が出てきた場合は誰が相続するかもあらかじめ話し合って決めておくとよいでしょう。

新たな相続人が発覚した

遺産の分割協議は、すべての相続人が集まらなければ成立しません。

しかし、分割協議を行い、合意して相続したにも関わらず、その後新たに相続人が見つかる場合があります。

相続人の調査に漏れがあったり、遺産の分割後に離婚・離縁が無効となったり、死後に認知されたり、母子関係の存在を確認する裁判や、父親を定める裁判が遺産分割の後に確定する場合などにこのようなことが起きます。

それぞれの原因によってその後の動きが変わります。

まず相続人の調査が充分でなく漏れがあり、遺産分割の協議を行った後に相続人が現れて遺産相続権利を主張された場合、一から遺産相続の協議をやり直します。

被相続人に死後に認知された場合は、認知された子は「第1の順位の相続人」となります。

この場合、すでに行われた遺産分割の協議は無効にはなりませんが、相続人の権利があるため、遺産を得た相続人が「金銭賠償」として相続分相当のお金を支払わなければいけません。

遺産相続後に離婚や離縁が無効となった場合、離婚であれば配偶者が相続人に、離縁であれば親や子供が相続人になります。

こういった場合、新たに発生した相続人を加え、再度、遺産相続の協議を行う必要がありますが、話がまとまらない場合は家庭裁判所で審判や調停を行う場合もあります。

母子関係の存在を確認するケースとは、自分で産んだ子供が他の夫婦の子供として届け出がされている場合のことで、裁判によって母親の子供として認められれば相続人となり、相続協議をやり直す必要があります。

父親を定める裁判とは、離婚して早い期間で再婚・出産した場合にどちらが父親かを定めるもので、裁判の結果によって子供が相続人となるケースでは協議をやり直す必要があります。

存在しないと思っていた遺言書があった

すでに遺産分割の協議が行われ、相続税を支払って手続きを終えた後に遺言書が見つかるケースがあります。

遺言書には時効がないため、相続後何年経っても効力があります。

相続人が全員、遺産協議をやり直さなくていいという意向の場合は、はじめの協議内容のままで良いとされます。

反対に、もし相続人のうち1人でもやり直したい人がいる場合は、再び遺言書に基づいて協議する必要があります。

ある相続人が相続した不動産などが、相続直後に急騰もしくは急落した株価や不動産などは、短期間の間に大きく価値が変動する場合があります。

不動産などは特に分割が難しいため、市場価値・評価を見極めながら協議を行い、相続人全員が納得いくように分割します。

しかしある程度平等に遺産を分けた後に財産の価値が急騰・または急落してしまうと、不平等さが浮き彫りになります。

不動産や株などの分けにくい財産を一人が相続する場合、代わりに残りの相続人に金銭を支払うことを「代償分割」といいます。

もともと価値の変動があるものを相続する際は、ある程度価値の急騰や急落に対して身構える必要があります。

いざ相続の際に急騰や急落があった場合、言い争いになることは充分考えられますが、「遺産分割協議書」という書類に受取分を明記してあると、それが決め手となることがあります。

すべての相続人が価値の急騰と急落の可能性を踏まえた上で分割協議に臨み、時価はいくらで、いつの時点での価値を基準として財産分割するのかという前提条件を明確にすることが大切です。

相続税申告の漏れを防ぐために

相続税申告の漏れを防ぐためには、3つの方法があります。

まず、1つ目には「自分で徹底的に調べて正確な相続税申告を行うこと」が挙げられます。

この場合、相続税申告などの知識に長けていなければ、難しいといった側面があります。

なぜなら、相続税申告には複雑な手続きが多く、すべてを正確に行うことが難しいためです。

次に2つ目には「税務署に相談して、相続税申告を行うこと」が挙げられます。

税務署では無料相談なども行っているため、わからないことがある場合には相談するとよいでしょう。

3つ目には「税理士に相談し、相続税申告の調査、手続きを依頼する方法」が挙げられます。

相続税の申告をする際の複雑な手続きを専門家である税理士に依頼することで、相続税申告の漏れを防ぐことが可能になります。

この場合、書面添付制度を利用する必要があります。

書面添付制度とは、税理士が、相続税申告書に相続税の計算の元となった情報や計算方法を添付する制度です。

専門知識のある税理士が、相続税の根拠を確認して書類を添付しますので、申告漏れの防止に繋がるのです。

 

ただし、税理士の中にも専門分野があるため、相続税申告を依頼する場合には、相続税に詳しい税理士に依頼することが重要です。

このように、相続税申告の漏れを防ぐには、3つの方法が挙げられますが、一番早く安心できる方法は、税理士に相続税申告を依頼することであるといえるでしょう。

相続税対策はしたいけれど、追徴課税は防ぎたい!

追徴課税はきちんと手続きができていれば本来は納めなくていい税金です。

追徴課税を防ぐには、具体的にどのような対策をしていけばいのでしょうか?

生前のうちに相続税に強い税理士に相談を

自分が事故や病気になってから相続税対策を行うのは困難ですので、できるだけ早く行うことが重要になってきます。

これまで、相続税や追徴課税などについて詳しくお伝えしてきましたが、いざ自分が被相続人や相続人になった場合にどうしていいか分からない、迷いが出てくるという方もいらっしゃるでしょう。

そこで、1番に思いつくことは税の専門家「税理士」に相談することではないでしょうか。

しかし、注意したいのは、税理士ならどなたでもいいというわけにはいかないということです。

なぜなのかをお伝えしていきます。

まず、税理士になるためには、「所得税法」「法人税法」「相続税法」「消費税法または酒税法」「国税徴収法」「住民税または事業税」「固定資産税の」うち、所得税法と法人税を含む3つの科目に合格することが必要になってきます。

皆さまお気づきでしょうか。

追徴課税を防ぐためには、相続税について深い知識をもっていることは必須であるはずです。

しかし、相続税法について合格しなくても税理士になれるのです。

法人税法などが専門の税理士に相談して、果たして相続税の追徴課税を防ぐための準備が万全にできるでしょうか。

税理士にも得意分野・専門分野がありますので、追徴課税の対応経験があり相続税に強い税理士に相談することが大切です。

しかし、全国には税理士が7万人もいるという中で、ぴったりの税理士をどうやって探せばいいでしょうか。

税理士を探すポイントは、前述の「相続税の追徴課税が起こった・防ぎたいときの税理士探しのポイント」でお伝えしていますのでご参考にしてください。

相続税対策をするときにも、追徴課税の対応経験があり相続税に強い税理士に相談することが欠かせないポイントになります。

自身でも追徴課税になりやすい相続税対策についてはきちんと調べる

4つの追徴課税「延滞税」「過少申告加算税」「無申告加算税」「 重加算税」を防ぐためにまずできることは相続税の申告・納付期限を守ることですが、どのようなスケジュールで行えばいいか、あらかじめどのような準備をしておけばいいかなどを検討しておきましょう。

税理士に相談しておけば相続税対策は完璧で、追徴課税を防げるというわけではありません。

先ほどもお伝えした通り、税理士にも得意分野・専門分野がありますので、縁故で税理士に依頼することになった場合などは、特に、ご自分での準備も重要になるかもしれません。

相続人予定の人としっかり話し合いをしておく

相続税対策も大切ですが、事前に相続人予定の人と相続について話し合いをしておくことも重要です。

「うちは遺産といっても自宅だけだから、わざわざ話し合わなくても大丈夫」と考えている方もいるかと思いますが、自宅だけでもトラブルになることは珍しくありません。

相続は主に親から子どもに行われるものです。

親が高齢になってくると、元気なうちに相続について話をした方がいいのはわかってはいるけれど、相続の話となるとお金と生死に関わることなのでどのように聞けばいいのか」「聞くタイミングがわからない」などと悩んでいる方は多いのではないのでしょうか。

思い切って聞いてみても「心配しなくていいよ」の一言で終わってしまい、何も話し合いができず話が終わってしまうこともあるかもしれません。

1度、相続について尋ねてしまったために、余計話がしづらくなってしまったケースもあるでしょう。

では、どのように相続について話し合えばいいでしょうか?

親から子どもに話をする場合と、子どもから親に話をする場合に分けてそのポイントを挙げてみます。

まずは、親から子どもに相続の話をする場合のポイントです。

  • 相続人予定となる子ども(きょうだい)が全員揃っているときに話す
  • 相続する財産を全て隠さず話す
  • 法律で定められている取り分の説明をする
  • 自分がどうしたいのか隠さず話す

上記に書いた通り、何もかも包み隠さずに全て話すのがポイントです。

話に聞いていないことがでてくると、トラブルになりやすいので話し忘れることがないように気をつけましょう。

次に、子どもから親に相続の話をする場合のポイントです。

  • 親と子ども(相続人予定の人)だけがいるタイミング
  • 両親のどちらかが亡くなったときに今後の生活と合わせて話す
  • 親戚が亡くなったときに話を切り出す
  • 知人が相続でもめている話を聞いたとき話題にしてみる
  • 親が介護や病気・怪我などをしたときにそれとなく話をしてみる

相続人となる予定の人の妻や夫、その子どもなどがいると話しづらいという意見もあるようです。

親に対して相続の話を切り出すには「もしも〜だったらどうしたい?」など今後の話や「親戚が今、相続でもめてるみたいだよ」などと話を振って相続についての話に持っていくのが1番自然なやり方かもしれません。

相続についての話はとてもナイーブなので、聞き方や聞くタイミングが重要になってきます。

親は子どもから、子どもは親から「相続の話を切り出してくれないかな」とお互い機会をうかがっているかもしれません。

相続の話をするためにも普段から会話をし、コミュニケーションをとる機会を増やすのも大切ですね。

追徴課税にならないように生前の相続税対策は詳細を記録に残しておく

追徴課税とならないようにするためには、被相続人が生前にどのような相続税対策を行ったのか、詳細を記録に残しておくことも大切です。

例えば、被相続人が相続税対策として不動産を購入しておいた、というような記録を残しておけば、相続人が相続財産を探す際の手がかりになり、未申告を防ぎ、追徴課税とならずに済みます。

また、追徴課税対策になるだけでなく、被相続人が行ってきた対策が有効であったのかを相続人が振り返る資料になります。

被相続人は、やっておきたいと考えている相続税対策を資料にまとめ、生前に税理士などの専門家に相談しておけば、より有用な対策も行えるはずです。

万が一、相続税の追徴課税が発生してしまったら

できることなら追徴課税は支払いたくないですよね。

しかし、もし相続税の追徴課税が発生してしまったら、どのように対処すればよいのでしょうか。

故意でない限りはあわてる必要はない

相続税の納税は10ヶ月以内に行う必要があります。

それを過ぎると追徴課税の支払い義務が発生します。

申告漏れとなりやすいのは有価証券や現金、預金で、相続後に気づかなかった預金や隠し財産が見つかるケースも少なくありません。

気づかなかったとはいえ10ヶ月を過ぎているから追徴課税が発生するのでは、と心配になりますよね。

故意に財産を隠している場合は別ですが、本当に気づかずに申告が漏れていた場合は慌てずに、然るべき手続きをとりましょう。

10ヶ月以内に納税しなかった場合、申告漏れの相続税+延滞税+追徴課税を支払う義務があります。

少なく申告していた場合、過少申告課税を支払う義務があります。

単に忘れていた場合でもペナルティとして追徴課税を支払う義務があるので、早め早めに相続の手続きを行い、然るべき相続税を支払っておきましょう。

税務署に指示を仰ぐ

申告漏れがあったと気づいた場合、その時点ですぐに税務署に指示を仰ぐとよいでしょう。

相続・相続税・追徴課税に関わることは生涯でもそれほどよくあることではないので、多くの人が相続に関して素人です。

申告漏れがあったら税務署に連絡をし、どのようにしたらいいかを確認しましょう。

税理士を探す

遺産を相続したら相続税を正しく支払うのは義務ですが、できる限り余分な税金は支払いたくないと、多くの人が思うのではないでしょうか。

追徴課税も絶対に避けたい支払いですね。

素人判断で手続きを進めた場合や、たとえ税理士に頼んだ場合でも、相続や相続税・追徴課税について詳しくない税理士に頼んでしまった場合、支払わなくて済んだ相続税や追徴課税を支払うはめになることがあります。

株や預金のように、金銭の価値がはっきりするものは良いですが、所有物や土地・家屋・などは税理士によって解釈が異なることがあります。

せっかく税理士に任せようと思っても、財産を過大評価されて相続税や追徴課税が増えるのでは意味がありません。

申告漏れの際も同様で、追徴課税がかからない為にどのように対処すればよいかを、相続に詳しい税理士に相談することをおすすめします。

遺産を相続することになった際は、まず専門の税理士を探しましょう。税理士はウェブサイト等で簡単に検索することができます。

相続税の追徴課税が起こった・防ぎたいときの税理士探しのポイント

税務調査を受けると追徴課税が発生する可能性が高い相続税。

万が一、相続税の追徴課税が発生してしまったときや、事前に追徴課税を防ぎたいときは、相続税の専門知識がある税理士に相談するのがおすすめです。

しかし、普段から仕事などで関わりが無ければ、どのような税理士に依頼すればよいか分からないと思います。

ここでは、相続税の追徴課税について相談できる税理士を探す際のポイントをご紹介します。

自分に合った税理士を探すために、以下のポイントを参考にしてください。

相続税に詳しい税理士であることは必須

相続税の追徴課税について相談する場合は、相続税に詳しい税理士を探しましょう。

税理士によってそれぞれ得意分野と不得意分野があるため、全ての税理士が相続税に精通しているわけではありません。

法人の税務を得意としている税理士、個人の税務を得意としている税理士など、得意分野はそれぞれ違います。

では、相続税に詳しい税理士かどうかをどのように判断すればよいのでしょうか。

税理士を探す手法としては、最近はインターネット検索が主流となっています。

税理士事務所のホームページには、得意分野が記載されている場合が多いので、インターネットで検索すれば相続税に詳しい税理士かどうかを事前に確認することができます。

可能な限り近所や同じ地域内の税理士である方が望ましい

相続税の相談ができる税理士は全国にいますが、できるだけ近隣の税理士を選びましょう。

一般的に、税理士へ相続税の追徴課税について相談する場合、複数回足を運ばなければなりません。

自宅から近い方が、事務所までの往復の交通費や時間を節約することができます。

また、自分から出向くことが難しい場合は、税理士に出張してもらうことになりますが、その際も距離が近い方が出張費を安く抑えられます。

何度もやり取りすることを考えると、可能な限り近所の税理士を探した方が良いでしょう。

相続税の追徴課税の相談が終わった後に税務署から問い合わせがあった場合も、すぐに相談できる距離だと安心です。

追徴課税への対応経験がある方が望ましい

相続税を得意としている税理士の中でも、できれば追徴課税の対応経験がある税理士の方が望ましいです。

ホームページを見ただけでは、追徴課税に詳しい税理士かどうかまでなかなか分かりません。

多くの税理士や税理士法人は問い合わせ窓口を設けていますので、事前に追徴課税について問い合わせてみましょう。

ホームページのメールフォームや電話で問い合わせることができます。

メールや電話での確認が難しい場合は、無料相談を利用して、相続税の追徴課税について詳しいかどうかを確認する方法もあります。

「すてきな相続」なら全国の相続に詳しい税理士が検索できる

相続税の追徴課税に詳しい税理士を自分で探すのは、時間と労力がかかりますよね。

相続開始後は心労が重なっていることも多く、税理士を探す気力や体力的な余裕が無いことも多いでしょう。

「すてきな相続」では、全国の相続税に詳しい税理士を簡単に検索することができます。

相続税に強い税理士をピックアップしてあるため、簡単に自分の地域にいる相続に詳しい税理士を探すことが可能なのです。

お近くの税理士が見つかれば、詳細ページから対応可能エリアや、過去の相談事例、また対応可能な業務の例も確認できます。

また、「すてきな相続」では無料の税理士紹介サービスも行っており、「追徴課税に詳しい税理士を教えてほしい」など個々の要望に合った税理士探しのサポートもいたします。

要望にぴったりの税理士が見つかれば、相続税の申告もスムーズに進みます。ぜひ利用してみてください。

まとめ

相続税の申告及び納税は、さまざまな計算や書類をそろえるなど、やらなければならないことが数多くあるため、期限内にすべてを終わらせるのはとても大変なことであるといえます。

相続税の申告及び納税は、期限内に終わらなかったり、間違って過少に申告してしまったりした場合には、追徴課税が課されます。

しかし、経験が無い人が、相続の全てのトラブルに対処しつつ、一つのミスも犯さずに全ての相続手続きを終えることは現実的ではありません。

自分の仕事や生活を犠牲にして大変な苦労を味わいながら、追徴課税の金額が税理士への報酬を上回るケースもあります。

相続税の申告及び納税は正確に行う必要がありますが、何よりもまずはご遺族の生活が最も重要です。

期限内に行えない場合には、早い段階で税理士に相談するようにするとよいでしょう。

報酬の支払いや相続財産のご状況なども、一つ一つ細かく確認するでしょう。

2019年4月15日
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監修者太田諭哉
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公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
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