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【相続税 】
相続税について説明しています。相続税は相続する人物、相続の対象、評価額などによって納税の有無や納税額が異なります。また相続税を抑えるための対策もあります。相続税についての知識を得て、しっかり相続税対策を行いましょう。

2019年2月28日 木曜日

ふるさと納税を活用して相続税を節税できる!

今や誰もが知るふるさと納税ですが、このふるさと納税を利用して節税できることをご存知でしょうか?

ふるさと納税は自治体に寄附をすることで返礼品を受け取れるだけでなく、的確な手続きを行えば、所得税や住民税の控除を受けることができます

また、条件さえ満たせば、相続税の節税を行うことも可能です。

それでは、ふるさと納税とは一体どのようなものなのか、どのように活用すると相続税の節税につながるのか、詳しくご紹介いたします。

ふるさと納税とは

ふるさと納税とは、自分が任意で選んだ自治体に寄附をすることです。

自治体が寄附金をどのように使用するかを明確にしているため、使用される用途から寄附する自治体を選ぶことも可能です。

それでは、詳細について見ていきましょう。

概要

ふるさと納税とは、応援したい任意の自治体(都道府県及び市町村)に寄附ができる制度のことをいいます。

自分が生まれ育ったふるさとに恩返しの気持ちで寄附をすることもできますし、自分とはゆかりのない自治体でも応援したいと思った自治体に寄附をすることもできます。

また、最近では、そういった当初の目的とは離れ、ふるさと納税をすることでもらえる返礼品を目的としたふるさと納税の制度の利用が多く見られます。

返礼品は基本的に自治体の特産品や施設の利用券(リフト券など)、宿泊券など自治体にゆかりのあるものが選ばれています。

しかしながら、一部の自治体の返礼品が高級すぎたり、自治体とは無関係のものであったりすることが問題視されています。

そのため、ふるさと納税に関して、制度の見直しが「平成31年年度税制改正の大綱の概要」として挙げられています。

また、自治体はふるさと納税の返礼品は必ずしも送らなければならないものではないため、ふるさと納税をしても絶対に返礼品がもらえるというわけではありません。

ふるさと納税のメリット

ふるさと納税の制度を利用し、自治体に寄附をすると、自己負担額の2,000円を除く全額が確定申告の際に控除の対象となるといったメリットがあります。

たとえば、12,000円のふるさと納税をした場合、2,000円を差し引いた10,000円分のみが課税対象となり、その年の所得税及び翌年6月の住民税から10,000円分がそれぞれ控除されます。

そのため、結果として、所得税と住民税が軽減されることとなり、節税対策として有効であるといえるのです。

所得税の場合、ふるさと納税を行った人が指定した銀行口座などに直接、控除された金額が振り込まれますが、住民税の場合は、翌年6月の住民税から直接差し引かれます。

現在では、給与所得者など確定申告を必要としない人の場合はふるさと納税ワンストップ特例制度を利用すれば、確定申告なしでふるさと納税の寄付金控除を受けることができます。

しかし、職業などによっては確定申告を行わなければ、控除されないので注意が必要です。

寄付と相続財産の関係

寄附金と相続財産には密接な関係があります。

それは、一定の金額の相続財産を寄附することで税金の控除が受けられることにあります。

相続財産の寄付による税金控除制度

相続財産を寄附した場合、寄附金控除として所得税が、特例として相続税が控除されるため、節税することが可能です。

まず、寄附金控除についてですが、相続財産を相続開始10ヶ月以内に国や地方公共団体、また公益社団法人や公益財団法人、特定後期増進法人や認定特定非営利法人(認定NPO法人)などに対して、特定寄附金として寄附した場合に所得控除が受けられる制度のことをいいます。

また、ある一定の条件を満たせば、法人や個人(自然人)に対しても寄附金控除の制度は適用される場合があります。

寄附金控除を求める計算式は下記の通りです。

「その年に支出した特定寄附金の額の合計額」または「その年の総所得金額等の40%相当額」のうち、いずれか低い金額-2千円=寄附金控除額×10%(※)

※ただし、都道府県及び市区町村のどちらからも指定された寄附金の場合のみ10%であり、都道府県が指定した寄附金の場合は4%、市区町村が指定した寄附金の場合は6%となります。

次に特例についてですが、確定申告をする際に第14表に寄附した内容を記載することで相続税が非課税となります。

また、特例として相続税の減額分を求める計算式は下記の通りです。

本来の相続税率-(寄附した金額×相続税率×1.021)=寄附した場合の相続税率

このように、相続財産を寄附した場合には一定の控除が受けられる仕組みになっています。

税金控除額の割合

ふるさと納税の税金控除額の割合は、総務省のホームページの「ふるさと納税のしくみ」の「税金の控除について」に記載されています。

詳細については、下記の表をご参照ください。

≪全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安の一覧表≫※単位は円

ふるさと納税を行う方本人の給与収入

ふるさと納税を行う方の家族構成

独身又は共働き※1

夫婦※2

共働き+子1人(高校生※3

共働き+子1人(大学生※3

夫婦+子1人(高校生)

共働き+子2人(大学生と高校生)

夫婦+子2人(大学生と高校生)

300万円

28,000

19,000

19,000

15,000

11,000

7,000

325万円

31,000

23,000

23,000

18,000

14,000

10,000

3,000

350万円

34,000

26,000

26,000

22,000

18,000

13,000

5,000

375万円

38,000

29,000

29,000

25,000

21,000

17,000

8,000

400万円

42,000

33,000

33,000

29,000

25,000

21,000

12,000

425万円

45,000

37,000

37,000

33,000

29,000

24,000

16,000

450万円

52,000

41,000

41,000

37,000

33,000

28,000

20,000

475万円

56,000

45,000

45,000

40,000

36,000

32,000

24,000

500万円

61,000

49,000

49,000

44,000

40,000

36,000

28,000

525万円

65,000

56,000

56,000

49,000

44,000

40,000

31,000

550万円

69,000

60,000

60,000

57,000

48,000

44,000

35,000

575万円

73,000

64,000

64,000

61,000

56,000

48,000

39,000

600万円

77,000

69,000

69,000

66,000

60,000

57,000

43,000

625万円

81,000

73,000

73,000

70,000

64,000

61,000

48,000

650万円

97,000

77,000

77,000

74,000

68,000

65,000

53,000

675万円

102,000

81,000

81,000

78,000

73,000

70,000

62,000

700万円

108,000

86,000

86,000

83,000

78,000

75,000

66,000

725万円

113,000

104,000

104,000

88,000

82,000

79,000

71,000

750万円

118,000

109,000

109,000

106,000

87,000

84,000

76,000

775万円

124,000

114,000

114,000

111,000

105,000

89,000

80,000

800万円

129,000

120,000

120,000

116,000

110,000

107,000

85,000

825万円

135,000

125,000

125,000

122,000

116,000

112,000

90,000

850万円

140,000

131,000

131,000

127,000

121,000

118,000

108,000

875万円

145,000

136,000

136,000

132,000

126,000

123,000

113,000

900万円

151,000

141,000

141,000

138,000

132,000

128,000

119,000

925万円

157,000

148,000

148,000

144,000

138,000

135,000

125,000

950万円

163,000

154,000

154,000

150,000

144,000

141,000

131,000

975万円

170,000

160,000

160,000

157,000

151,000

147,000

138,000

1000万円

176,000

166,000

166,000

163,000

157,000

153,000

144,000

1100万円

213,000

194,000

194,000

191,000

185,000

181,000

172,000

1200万円

242,000

239,000

232,000

229,000

229,000

219,000

206,000

1300万円

271,000

271,000

261,000

258,000

261,000

248,000

248,000

1400万円

355,000

355,000

343,000

339,000

343,000

277,000

277,000

1500万円

389,000

389,000

377,000

373,000

377,000

361,000

361,000

1600万円

424,000

424,000

412,000

408,000

412,000

396,000

396,000

1700万円

458,000

458,000

446,000

442,000

446,000

430,000

430,000

1800万円

493,000

493,000

481,000

477,000

481,000

465,000

465,000

1900万円

528,000

528,000

516,000

512,000

516,000

500,000

500,000

2000万円

564,000

564,000

552,000

548,000

552,000

536,000

536,000

2100万円

599,000

599,000

587,000

583,000

587,000

571,000

571,000

2200万円

635,000

635,000

623,000

619,000

623,000

607,000

607,000

2300万円

767,000

767,000

754,000

749,000

754,000

642,000

642,000

2400万円

808,000

808,000

795,000

790,000

795,000

776,000

776,000

2500万円

849,000

849,000

835,000

830,000

835,000

817,000

817,000

※総務省のホームページの「ふるさと納税のしくみ」の「税金の控除について」の「全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安」からデータを引用し、「全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安」の表を再現しています。
※自己負担額の2,000円を除いた全額が所得税(復興特別所得税を含む)及び個人住民税から控除される、ふるさと納税額の目安一覧(平成27年以降)です。
※1 この場合の共働きは、配偶者の給与収入が201万円以上であり、ふるさと納税を行う本人が配偶者(特別)控除の適用を受けていないケースを指します。
※2 この場合の夫婦とは、ふるさと納税を行う本人の配偶者に収入がないケースを指します。
※3 高校生は「16歳から18歳の扶養親族のことを指しています。
※4 大学生は「19歳から22歳の特定扶養親族」のことを指しています。
※中学生以下の子どもの場合、控除額に影響がないという理由により、計算に入れる必要がないため、中学生以下の子どもを除いた家族構成を参照してください。

上記からふるさと納税の控除額のおおよその金額がわかります。

ただし、ふるさと納税の控除額の割合の詳細を知りたいときは、総務省のホームページの「ふるさと納税のしくみ」の「税金の控除について」の「全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安」に「寄附金控除額の計算シミュレーション」のEXCELがあるので、控除額の計算がわからない場合は、EXCELデータをダウンロードし、利用するとよいでしょう。

税金控除額の計算方法

ふるさと納税の控除額の計算方法には、大きく分けて「ふるさと納税をしたときの所得税の控除額」、「ふるさと納税をしたときの住民税の控除額」、「ふるさと納税をしたときの住民税の特例の控除額(住民税所得割額の2割を超えない場合)」、「ふるさと納税をしたときの住民税の特例の控除額(住民税所得割額の2割を超える場合)」の4つの計算方法があります。

では、どのような計算式を用いるのか、順に詳しく見ていきましょう。

ふるさと納税をしたときの所得税の控除額を求める場合は、下記の計算式を使います。
(ふるさと納税額-2,000)×所得税率=ふるさと納税の所得税の控除額

ふるさと納税をしたときの住民税の控除額を求める場合は、下記の計算式を使います。
(ふるさと納税額-2,000)×所得税率×住民税率(10%)=ふるさと納税の住民税の控除額

ふるさと納税をしたときの住民税の特例の控除額を求める場合は、下記の2つの計算式を使い分けます。

【ふるさと納税をしたときの住民税の控除額の特例分が住民税所得割額の2割を超えない場合】
(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率)=ふるさと納税の住民税の控除額(特例分)

【ふるさと納税をしたときの住民税の控除額の特例分が住民税所得割額の2割を超える場合】
(住民税所得割額)×20%=ふるさと納税の住民税の控除額(特例分)

このように、ふるさと納税の制度を利用することにより税金の控除が行われます。

税金の控除額は、所得税と住民税とで異なるだけでなく、住民税の控除額の特例分が住民税所得割額の2割を超えるか超えないかでも異なります。

ただし、具体的な計算は住んでいる市町村に確認するようにしましょう。

ふるさと納税は相続税が非課税になる!

ふるさと納税は条件を満たすことにより、相続税が非課税になります

ふるさと納税の場合、国や地方公共団体の寄附に該当するため、相続税の非課税が適用されます。これは地方公共団体に寄附した場合は、住民税の基本控除及び特例控除が適用されるためです。

また、ふるさと納税の場合、所得税及び住民税の寄附金控除の制度を利用することができます。

ふるさと納税の相続税非課税要件

ふるさと納税で相続税を非課税にするためには、3つの条件に該当しなければなりません。

まず、1つ目の条件は「遺言書による寄附ではないこと」です。

2つ目の条件は「相続税の申告期限である、被相続人の死亡を知ってから相続人が財産を相続することになった翌日から10ヶ月以内にふるさと納税を行った上で、寄付証明書と申告書を提出すること」です。

3つ目の条件は「ふるさと納税を行う前までに遺産分割を終わらせていること」です。

ふるさと納税の納税方法

ふるさと納税の制度を利用する場合は、まず、ふるさと納税をする自治体を選択します。

その後、選択した自治体にふるさと納税を行います。

ふるさと納税の納税方法は、各自治体によって異なりますが、基本的にはふるさと納税の専用の振込用紙や自治体が発行している納入通知書でふるさと納税をすることができます。

このとき、自治体に寄附したことを証明する書類である受領書が発行されるので、確定申告を行うまで大切にとっておきましょう。

ただし、受領書ではなく、払込票控(振込用紙の半券)を自治体に寄附をしたことを証明する書類として使用する場合があるので注意が必要です。

ふるさと納税以外の相続税節税方法とは

ふるさと納税以外にも相続税の節税する方法はいくつかあります。

まず、1つ目は「相次相続控除」という制度の利用です。

相次相続とは、被相続人が相次いで亡くなってしまい、相続人が続けて相続をすることをいいます。

そして、相次相続控除とは、相次相続によって相続人が納める相続税の負担が過重にならないように、一定の相続税額を控除する制度のことです。

この相次相続控除の制度を利用することで、相続税を節税することが可能になります。

2つ目は「配偶者の税額軽減」という制度の利用です。

配偶者の税額軽減とは、配偶者のどちらかが亡くなった場合に利用できる制度です。

このとき、「1億6千万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のどちらか多い金額まで、残された配偶者は相続税を課されません。

この制度を利用する場合は、財産が相続税の申告期限までに分割されていることと、財産が仮装または隠ぺいされていないものでなければならないという決まりがあります。

3つ目は「生前贈与」という制度の利用です。

生前贈与は年間110万円以内であれば、贈与税がかかりません。

そのため、課税されずに被相続人が生きている間に相続人に財産を贈与することが可能になります。

ですから、長い目で見たときに節税につながります。

ですが、生前贈与を受けてから3年以内に被相続人が亡くなってしまった場合、その間に受けた生前贈与は相続財産と見なされ、相続税が課されるため、確実な節税方法とはいいきれません。

4つ目は「生命保険に加入すること」です。被相続人が死亡した際の生命保険金の受取人が相続人である場合、民法上、相続財産には含まれないので、相続税がかかりません。

ですが、生命保険に加入した際の契約者と被保険者が同じである場合、生命保険金がみなし相続財産と考えられ、税法上、相続財産であるとされます。

このとき、みなし相続財産とされても生命保険金には「500万円×法定相続人の数」を控除することができる非課税枠があるので、結果的に相続税の節税になるといえるでしょう。

まとめ

返礼品を受け取ることができるだけだと思われがちなふるさと納税ですが、実は所得税と住民税が控除されるだけでなく、3つの条件を満たすことで相続税の節税対策としても有効な寄附の方法です。

ふるさと納税以外にも相続税の節税ができる方法はありますが、条件によっては節税対策にはなりません。

ですから、確実に節税対策をしたい場合には、どんな人でも節税効果が見込めるふるさと納税を活用するとよいでしょう。

ただし、年収や家族構成によって、見込める節税金額は異なるのでその点にだけは注意が必要です。

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監修者太田諭哉
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公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
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