> 相続対策 > 相続対策一覧 > 相続税 > 相続税節税に効果的!未成年者控除を活用する方法とは
【相続税 】
相続税について説明しています。相続税は相続する人物、相続の対象、評価額などによって納税の有無や納税額が異なります。また相続税を抑えるための対策もあります。相続税についての知識を得て、しっかり相続税対策を行いましょう。

2019年3月13日 水曜日

相続税節税に効果的!未成年者控除を活用する方法とは

遺産相続が発生した際には、相続税を100%支払わなければならないとお考えの方がいるかもしれません。

実際は、相続人や遺産の状況に応じて、相続税の控除制度相続税評価額を減額する制度が多種多様に設けられています。

そして、これらの制度をうまく組み合わせることで、最終的な相続税の支払い額を減らすことを、一般的に相続税の節税対策などと呼んでいます

本コンテンツでは、相続税の基本から始め、各種の相続税控除制度のうち、主に未成年者控除に焦点を当て、さらにその他の節税対策についてもご説明していきます。

相続税とはどんなもの?

まず、相続税とは、被相続人から相続または遺贈(遺言の指定により遺産を取得すること)によって遺産を取得した個人に対し、その取得した遺産の額に応じて課される税金のことです。

相続税の納税義務者は、被相続人が死亡し相続が発生した日、もしくは相続が発生したことを知った日の翌日から数えて、10ヶ月以内に税務署へ相続税を申告・納付する義務を負います

相続税の課税要件

被相続人が死亡時に所有していた財産価値・換価可能性がある財産については、基本的に相続税の課税対象になると押さえておきましょう

  • 土地、借地権、地上権、家屋などの不動産
  • 預貯金、有価証券などの金融資産
  • 絵画、高級家具、立木などの家庭用財産
  • 事業用、農業用の財産
  • 生命保険金や死亡退職金などのみなし相続財産
  • 相続時精算課税制度の適用により被相続人から贈与を受けた財産
  • 被相続人から相続開始前3年以内に贈与を受けた財産
  • その他、ゴルフ会員権や債権など

相続税の非課税要件

ただし、相続税は財産を相続したら、誰でも必ず払わなければならないというものではありません

相続財産額が、「3,000万円+法定相続人の人数×600万円」の基礎控除額、これに加えて被相続人の配偶者であれば1億6,000万円の配偶者控除額、その他の相続税控除の範囲に収まる場合は、相続税は課税されないのです

また、祭祀財産や葬儀に要した費用、あるいは相続せず寄付する財産についても、相続税は課税されません。

  • 墓地、墓石、仏具、仏像、仏壇などの祭祀財産(ただし、骨董品や投資対象の品は相続税の課税対象)
  • 心身障害者救済制度に基づく給付金の受給権
  • 相続税の申告期限までに、特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭
  • 相続税の申告期限までに、国や地方公共団体、特定の公益法人などへ寄付した財産
  • 公共事業を行う人が相続し、引き続き公益事業のために使用することが確実と認められる財産

相続税率はどのくらい??

平成31年1月時点の相続税率は、以下のとおりです。

相続財産評価額の合計を算出し、後述する相続税の基礎控除額や、配偶者控除額の範囲に収まらなかった相続税対象財産に対して以下の税率を乗じ、カッコ内の金額を控除して得られた額が相続税となります。

  • 1,000万円以下:10パーセント(控除額なし)
  • 3,000万円以下:15パーセント(50万円)
  • 5,000万円以下:20パーセント(200万円)
  • 1億円以下:30パーセント(700万円)
  • 2億円以下:40パーセント(1,700万円)
  • 3億円以下:45パーセント(2,700万円)
  • 6億円以下:50パーセント(4,200万円)
  • 6億円超:55パーセント(7,200万円)

相続税は未成年者控除を使って節税できる!

未成年者控除とは、相続人が未成年者の場合に満20歳となり成人するまで、相続税額から一定額の控除を受けることができる制度です。

未成年者控除の適用を受けるためには、相続人が未成年者であることの他に以下の要件を満たす必要があります。

  • 被相続人の法定相続人であること
  • 遺産の相続時に、日本国籍があり日本国内に居住していること、または過去10年以内に日本に居住していたことがあること(例外もあり)
  • 相続または遺贈(被相続人の遺言により遺産を受け取ること)であること

なお、もし相続人が前回以前の相続で未成年者控除を受けていた場合は、新たに受けることができる未成年者控除の金額などが制限される場合があります。

未成年者控除の申請方法

未成年者控除は、相続税の申告時に適用を申請します。

具体的には、相続税申告書第6表を用いて申請します。

未成年者控除で節税するメリット

未成年者控除で受けることができる相続税の控除額は、満20歳になるまでの年数に10万円を乗じた金額です

1年に満たない期間については、切り捨てたうえで計算します。

たとえば、相続発生時において13歳5ヶ月だった子どもに対して適用される未成年者控除は、年齢を満13歳とみなし満20歳になるまでの7年間に10万円を乗じ70万円と算出されます。

このようなメリットに加えて、未成年者控除では、未成年者の相続税額次第で当該未成年者の扶養者に対しても相続税額が減額される場合があります。

上記の例でいうと、子どもの相続税額が50万円だった場合、未成年者控除の適用が受けられる70万円との差額である20万円については、被相続人の配偶者など今後その子を扶養する三親等以内の相続人の相続税額から控除することができるのです。

このように、未成年者控除には当該未成年者だけに留まらないメリットがあるのです。

その他の節税方法

基礎控除の活用

基礎控除は、相続が発生すれば誰でも受けることができる控除制度です。

そして、相続税評価額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」未満であれば、相続税は発生しないのです。

ここでいう法定相続人とは、相続人になれる人の目安のひとつとして、民法第887条、第889条および第890条に規定された相続人のことであり、被相続人の配偶者(内縁関係や愛人関係を除く)・子(養子を含む)または孫・親・兄弟姉妹を指します。

相続人には、民法の欠格事由や廃除要件に該当しない限り、基本的に誰でもなることが可能ですが、それでは相続人の地位や相続割合をめぐり収拾がつかない事態も想定されます。

そこで、法定相続人という相続人の一定基準を定めているのです。

また、民法の規定において法定相続人と認められるのは、血の繋がりがある直系の家族である「血族」です

このため、義理の親や義理の兄弟姉妹などに当てはまる人たちは法定相続人に該当しません。

家や土地を購入する

現預金を不動産に換えておくことは、相続対策として非常に有用です。

不動産で節税対策を図るためには、収益物件の購入が特におすすめです

収益物件とは、賃料収入を得ることを目的に所有する、一棟あるいは区分所有のマンションやアパート、商業ビルのことです。

手元にある現預金で収益物件を購入することで、将来的に安定した賃料収入を得られることと、建物の減価償却が損金に算入できることから、相続発生時の相続税納税資金の蓄積になります。

さらに、一般的に不動産の相続税評価額は時価(実際の取引価額)に比べて低く算出されることから、相続発生時に評価額減が採用されない現金を保有していた場合よりも相続税評価額が低くなるため、相続税額も安くなるのです

 

収益物件の相続税評価額は、以下のように計算されます。

  • 土地=路線価×補正率×(1-借地権割合×借家割合)
  • 建物=固定資産税評価額×(1-借家割合)

この結果、土地の形状や所在地、建物の構造や築年数など不動産の個別性にもよりますが、三大都市圏の土地は概ね時価の30パーセントから40パーセント程度、建物は概ね時価の60パーセント程度低くなるものと考えられます。

 

ただし、収益物件を保有することには、思うように賃料収入を得られないリスク、経済環境や周辺環境の変化によって、収益物件の価値そのものが減価してしまうリスクが伴うことを忘れないようにしてください

生きているうちに相続する

生前に、財産を次の世代に無償で譲っておくこと(贈与)も有効な相続税対策のひとつであり、これを生前贈与と呼びます。

相続税は亡くなった時点における財産の額に比例して高くなることから、亡くなる前に自身の財産を相続人に贈与して死亡時点での財産額から切り離すことにより、相続税を安くすることができるのです。

ただし、贈与を受けると、その人には贈与税が課税されます

ここまで聞くと、被相続人の生前に支払う贈与税、相続発生後に支払う相続税との違いは、支払うタイミングだけで、どちらにせよ税金は支払わなければならないとお考えになると思います。

 

確かにそのとおりですが、生前贈与には先述した相続税の基礎控除や配偶者控除とは異なる各種の控除制度が設けられています。

なお、贈与税は、相続税と比較すると低い財産額から課税されます。

したがって、生前贈与を検討する際は、相続が発生して単純に相続した場合に納付すべき相続税の税率と、贈与税の税率を慎重に比較してください

そして、生前贈与による受贈者の贈与税負担が、相続発生時における相続税負担よりも少なくなるような配慮が必要です

 

ここからは、生前贈与の具体例をご紹介しましょう。

暦年贈与

その年の1月1日から年末に受けた贈与の合計額が110万円に満たない場合は、贈与税は課税されず、贈与の申告も不要です。

ただし、この特例を用いて、コンスタントに毎年同じ時期に110万円ずつ贈与を続け、仮にそれが10年間続いたとしたら、税務署は「連年贈与」として最初から合計1,100万円贈与する意図があったとみなし、1,100万円に対して贈与税が課税されてしまうことがありますので、注意してください。

住宅取得等資金の贈与税の非課税特例

親や祖父母などの直系尊属が、子や孫に対して、居住用家屋の建築または購入の資金を贈与すると、契約日や住宅の種類などの条件に応じ、一定の贈与額に対して贈与税の非課税が認められています

この制度は、年間110万円以下の基礎控除が併用可能です。

配偶者贈与の特例

婚姻期間が20年以上など、一定の条件を満たす配偶者から居住用不動産または居住用不動産を購入するために資金の贈与を受けとると、贈与税の課税価格から最大2,000万円までの控除が適用される制度です

この特例についても、年間110万円の基礎控除と併用することが可能です。

なお、居住用不動産取得にかかる登録免許税や不動産取得税には課税されますので、この点についてはご注意ください。

各種制度の利用

上記の他にも、相続税の節税方法は様々なものがあります。

生前に自分の墓などを用意する

先述のとおり、墓地・墓石・仏具・仏像・仏壇などの祭祀財産は相続税の非課税対象資産です。

生前に祭祀財産を用意しておけば相続税の課税対象にはなりませんが、相続発生後に購入した場合は、相続財産から差し引くことができません

したがって、生前に祭祀財産を用意しておくことは、相続対策の一環になります。

「生きているうちに、死ぬことを考えるなんて」とお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、相続税対策と併せて、相続発生後に相続人が祭祀財産を用意する手間と費用を考慮すれば、大切な相続人を想っての行動と考えられます。  

生命保険を活用する

被保険者(被相続人)を契約者かつ被保険者、相続人を受取人とする生命保険の死亡保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。

ただし、相続人が受け取る死亡保険金には非課税枠として「法定相続人の数×500万円」の適用が認められています。

このため、現預金よりも生命保険の死亡保険金のほうが、相続税は安くなります。

さらに、死亡保険金の総額が上記非課税枠の範囲内であれば、相続人が受け取る死亡保険金に対して相続税は課税されないのです

また、生命保険の死亡保険金は受取人固有の財産とされており、遺産分割協議の対象外です。

このため、先述の代償分割などのために特定の相続人に対して現金を多く残したい場合は、その人を死亡保険金の受取人とした生命保険を契約しておくことで他の相続人が遺産分割協議の場で不服を唱えようと、生前のご意向通りその人に実質的に現金を相続させることができるのです。

まとめ

以上、未成年者控除を中心に相続税の節税対策について、ごく一部をご紹介しました。

この他にも、相続税の節税対策はさまざまなものがあります。

その組み合わせの数は、相続の件数分だけあるといっても過言ではありません。

税理士のような専門家と相談しながら、ぜひ最適な相続税対策を見つけていただければと思います。

 

2019年3月13日
ふるさと納税を活用して相続税を節税できる!
2019年3月13日
相続税がかかる場合は障害者控除を活用しましょう
監修者太田諭哉
詳細≫
公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
詳細≫
税理士を探す

都道府県(事務所所在地)

北海道・東北
関東
北陸・甲信越
東海
関西
中国
四国
九州・沖縄

その他の条件

税理士事務所名
税理士名
対応エリア
相談内容
対応体制
税理士の紹介を依頼する
0120-962-680
受付時間 / 10:00〜19:00