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【手続きの手順・方法 】
相続時に必要な手続きについて手順や方法を説明しています。必要な手続きをせずにいると、後々相続トラブルに発展する可能性もあります。相続の手続きについて手順や方法を知っておきましょう。

2019年1月31日 木曜日

遺産相続の手続きを正しく行なうために気をつけたいポイント7つ

遺産相続は、手続きのミスによって、正しく遺産を得られなかったり、ペナルティを課せられたりする可能性があります。

正しく遺産を相続するために、正しい手続きの方法を確認しておきましょう。

また、ありがちなミスや注意点についても確認しておき、不利益を被らないように準備することが大切です。

ここでは、遺産相続の手続きを正しく行うために気をつけたいポイントを7つご紹介します。

遺産相続とは

遺産相続とは、親などから遺産を相続することを指します。

死亡した人の資産は、次の世代へと引き継ぐことが可能です。

被相続人に子供と配偶者がいる場合は、配偶者と子供が法定相続人です。

法定相続人は民法で定められた相続人のことで、優先順位が決められています

相続放棄することで、次の優先順位の人物が法定相続人となります。配偶者と子供が亡くなっている場合は孫、続いて父母、祖母・祖父母、続いて兄弟姉妹となります。

法定相続人が複数いる場合は、遺言書の内容に従って遺産を分配しますが、遺言書がない場合は遺産分割協議を行います。

そして、各種手続きを行い、相続を確定させるのです。

遺産相続には期限がある

遺産分割協議は、被相続人が亡くなってから10ヶ月以内に行う必要があります。

相続した遺産額によっては相続税の申告と納税が必要ですが、これも10ヶ月が期限です。

相続税の申告・納税をゴールとして、被相続人が亡くなってから順次手続きをすることが大切です。

手続きごとの期限は次のとおりです。

  • 7日以内・・・死亡届
  • 3ヶ月以内・・・葬儀、金融機関への連絡、生命保険金の受け取り、健康保険と遺族年金の手続き、遺言書の調査および検認、相続人の調査、相続財産の調査、遺産分割協議を始める、必要に応じて限定承認や相続放棄を行う
  • 4ヶ月以内・・・所得税の準確定申告
  • 10ヶ月以内・・・遺産分割協議書の提出、相続税の申告および納税、名義変更など
  • 1年以内・・・必要に応じて遺留分減殺請求
  • 3年以内・・・必要に応じて配偶者相続税軽減の手続き

7日~10ヶ月以内が期限の手続きは、いずれも被相続人が亡くなってからです。

遺産相続の手続き方法

遺産相続の手続きは、次のように行いましょう。

  • 死亡届の提出

被相続人が死亡したことを役所に届出ましょう。

死亡届と死亡診断書は一体型であり、左側にある死亡届に必要事項を記入します

葬儀を行うときに必要な火葬許可証を取得するために、火埋葬許可申請書も一緒に提出しましょう。

火葬許可証が発行されたら、任意の葬儀社に葬儀を申し込みます。

  • 金融機関への連絡

被相続人が死亡しても、預貯金からはお金を降ろせるようになったままです。

そのため、金融機関に連絡して預貯金口座を止めてもらう必要があります

  • 生命保険金の受け取りや健康保険と遺族年金の手続き

生命保険金を受け取るためには、生命保険会社が定める方法で申請する必要があります。

この際、身分証明書や戸籍謄本の提出を求められます。

健康保険と遺族年金に関しては、埋葬料を受け取れたり遺族年金が支給されたりする場合があるため、必ず申請しておきましょう。

管轄の役所、健康保険組合、年金事務所に申請します。

  • 遺言書の確認と検認

遺言書があれば、記載されている遺産分割の割合に従って遺産を分配するだけで済みます。

遺言書には、公正証書遺言の場合は手続きの必要はありませんが、自筆証書遺言と秘密証書遺言は家庭裁判所にて検認が必要です。

法定相続人全員の目の前に遺書を開封し、検認します

それまでは、遺書を一切開封してはいけません。

  • 相続人の調査

誰が法定相続人かを知るために、被相続人の戸籍謄本を確認します。

  • 相続財産の調査

相続財産を調査して、プラスとマイナスの財産を確認しましょう。

現金や預貯金、家、車だけではなく、不動産や有価証券といった財産も調査が必要です。

さらに、借金やクレジットカードの未払い金、分割払いにした医療費の未払い金などマイナスの財産も調査しなければなりません。

  • 遺産分割協議

法定相続人全員で集まって、遺産分割の方法を話し合います。

メールや手紙、電話などを用いて協議することも可能です

意見が合わず、話し合いを続けても解決しない場合は、調停を検討しましょう。

管轄の家庭裁判所の調停員が間に入り、スムーズな話し合いを促します。

それでもまとまらない場合は、資料に基づいて裁判官が審判します。

  • 限定承認と相続放棄

期限の3ヶ月以内に遺産を細かく把握できない場合は、限定承認を検討しましょう。

限定承認は、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いた分だけ相続できる方法です。

マイナスの財産が大きかったとしても、プラスの財産との差額分のみの相続となります。

相続放棄は、プラスの財産もマイナスの財産も全て相続を放棄します。財産の全容を把握できていなくても、明らかに債務がプラスの財産を上回る場合に検討しましょう。

  • 所得税の準確定申告

準確定申告は、被相続人に代わって相続人が行う確定申告を指します。

自営業者など確定申告が必要な方が亡くなった場合には、相続人が準確定申告をすることになります。

  • 不動産などの名義変更

相続した不動産などは名義変更が必要です。

名義変更しなければ売却もできないため、何かと不便です

売りたいときに売れるように、早めに名義変更しておきましょう。

また、ゴルフの会員権など様々な種類の財産があり、名義変更が必要なことは多いので、リストアップして1つずつ処理しましょう。

  • 相続税の申告

相続税は、相続した遺産に課せられる税金です。

基礎控除や分配後にそれぞれで控除できる金額を差し引き、税率をかけた金額を申告・納税します。

納税が遅れたり、相続税額をごまかしたりするとペナルティを受ける可能性があるため注意が必要です。

相続税の申告・納税の期限はどちらも被相続人が亡くなってから10ヶ月となっているため、相続財産の額がかなり高くなることが予想される場合は、相続税を支払えるよう準備しておくことが大切です

  • 遺留分減殺請求

法定相続人に対して最低限認められる相続分のことを遺留分といいます。遺言によって一切相続されなかった場合には、遺留分減殺請求を行うことで遺留分を取り戻せます。

正しく手続きをするためのポイント7つ

正しく手続きするために、ミスが起こりやすい項目を把握しておきましょう。正しく手続きするためのポイントを7つご紹介します。

法定相続人を正しく確認する

法定相続人を正しく確認できないと、遺産分割協議が無駄になってしまいます。

被相続人の戸籍謄本を誕生したときから現在に至るまでしっかり確認しましょう。

認知した子供や前の妻との間にできた子供など、思わぬところに法定相続人がいるかもしれません。

1人でも欠けた状態で遺産分割協議を行って遺産の分配を決めても、協議は無効となります

協議し直すことで時間をとられ、期限までに話をまとめられなくなる可能性もあるでしょう。

相続財産を正確に把握する

相続財産を正確に把握できないと、正しく分配できません。

プラスの財産には、現金・預貯金・車・家・山林・畑・温泉地・賃貸権などがあります。

マイナスの資産は、借金、小切手、未払いの税金、未払いの家賃・医療費などです。

相続では、プラスの財産を引き継ぐときはマイナスの財産も引き継ぐ必要があります。

財産を正確に把握できなければ、限定承認するのか、相続放棄するのか決めることが難しくなります

被相続人の自宅や郵便物、金庫、ネットのメールなどを確認しましょう。

財産の手がかりになるものが見つかる可能性があります。

また、遺書に財産について詳しく書かれている場合もあるので、すみずみまで確認しましょう。

事前に印鑑登録をしておく

相続の手続きの際には、様々なタイミングで実印による捺印が必要です。

実印の証明として、印鑑証明書を添付することが基本です。

印鑑証明書を発行してもらうためには、あらかじめ印鑑登録しておく必要があります。

相続手続きの際に慌てて印鑑登録するようなことがないように、事前に登録しておきましょう。

また、いつでも使えるようにと印鑑証明書を常備している方もいますが、発行から3ヶ月しか効力がないため、相続が決定してから発行することが大切です

相続放棄・限定承認を検討する

相続では、プラスとマイナスの財産を両方引き継ぐことになりますが、限定承認や相続放棄をした方がいい場合があります。

限定承認は、相続財産の範囲内で借金を負うことで、実質の借金の相続を0円にできます

自分の財産を保護することにも繋がります。

実行するためには、相続人全員の同意が必要です。

相続放棄は、相続の効力が自分に及ばなくなるため、自分の財産を保護できます。

また、相続手続きを一切行う必要がなくなります。

限定承認とは違い、法定相続人単位で行えるため、他の相続人の承認などは必要ありません。

このように、相続にも種類があるため、自分にとって最も良い方法を選ぶことが大切です。

遺言書は必要に応じて検認を受ける

遺言書の検認は、遺言書の所在を明らかにして偽造されることを防ぐための手続きです。

遺言状の効果を証明するのではなく、形式が整っているかを確認します。

そのため、検認後に遺言状の内容について争う場合があります。

検認手続きでは、家庭裁判所が立会人の目の前で遺言書を開封し、日付、筆跡、訂正箇所の署名・捺印、内容などを確認し、検認調書を作成します。

立ち会えなかった法定相続人などには、検認を終了したことが通知されます。

検認前に遺言書を開封したり、検認せずに手続きを進めたりすると、5万円以下の過料を取られるため注意しましょう。

遺産分割協議の期限を守るために早めに始める

遺産分割協議書を作成して提出することは、相続手続きの中で最も難易度が高いと言えるでしょう。

期限までに遺産分割協議書を作成するためには、できるだけ早いタイミングで協議を始めなければなりません。

誰か1人でも不満があれば遺産分割協議書を作成できないという性質上、当事者だけでの話し合いから調停へと早めに移行することが大切です。

相続税額を正確に計算する

相続税は、相続した財産に対して課税される税金です。

法定相続人の数に応じて基礎控除額が定められており、一定額以下の相続の場合は相続税が発生しません。

多くの方は相続税が発生しませんが、正しく計算するためにいくつかのステップを踏む必要があります。

まずは、相続財産を正確に把握する必要があります。

そして、各種控除を適用して相続税を算出します。

計算が多くなると、それだけ計算ミスのリスクが上がりますので、細かい計算が不安な場合は、税理士に依頼した方がいいでしょう

正確な相続税を算出してもらえるため、手続きをやり直したりペナルティを受けたりする心配がありません。

また、相続に関する様々な手続きを代行してくれる専門家も多く、期限に合わせて綿密なスケジュールを立ててもらえます。

遺産分割協議と並行して手続きを行う場合、様々なことを考えなければならないため、疲労が溜まってしまうこともあるでしょう。

専門家をうまく利用して、少ない負担で正しく手続きをすることをおすすめします。

まとめ

遺産相続の際には、死亡届の提出から始まり、財産や債務の把握、法定相続人の調査、遺言書の確認・検認、遺産分割協議、相続税の申告・納税と様々な手続きを行うことになります。

手続きに問題があると、ペナルティを受けたり相続税の申告・納税期限を過ぎて余分に納税することになったりします。

そのため、正しい手続きの手順や期限を把握しておくことが大切です。

正しく手続きをするために、専門家に代行を依頼するのもいいでしょう。

専門知識を持ち、確実に手続きをしてもらえる専門家のサポートを受けることで、相続に関する労力を削減できます

また、遺産分割協議で常識外れな要求をする法定相続人がいる場合、法律の観点から適切に対処してもらえます。

調停や審判を行うことになった場合も、家庭裁判所へ出張してもらえるため心強いでしょう。

遺産相続は、手続きや話し合いをスムーズに進められないケースもあるため、無理をせず専門家を頼ることをおすすめします。

2019年1月31日
死亡後すぐに相続手続きをしましょう。
2019年1月31日
相続手続きの流れと必要書類などを解説
監修者太田諭哉
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公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
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