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お金や不動産以外を相続する場合について説明しています。墓地や仏壇、ゴルフ会員権、自動車、保険金、株式、会社、宝石、貴金属などを相続する場合の注意点やポイントについてまとめています。

2019年2月27日 水曜日

相続時に仏壇はどのように扱うべき?

仏壇を相続した場合、その仏壇の起き場所に悩むことはありませんか?

そもそも相続した仏壇を置く場所がない場合はどうしたら良いのだろう?

罰当たりかもしれませんが、そんなことを疑問に思ったことはないでしょうか。

この記事では、そんな疑問を解決するために、仏壇の相続について解説します。

仏壇は祭祀財産のひとつ

仏壇は、祭祀財産(さいしざいさん)の一つであり、相続財産に含まれていません

祭祀財産は次の系譜・祭具・墳墓の3種類あって、仏壇は、祭具に含まれます。

それぞれ詳しく解説しましょう。

系譜

系譜は、歴史の教科書に出てくる「徳川家の家系図」のような家系図のことを指します。

いわゆる、先祖代々の家長を中心とした、妻・子・孫等々を記したものです。

地主や老舗、旧家など、今もなお先祖代々受け継ぐ何かがある家には、掛軸等になって数代前までの家系図が倉や倉庫の奥に残っていることもあります。

祭具

位牌や仏壇、仏具(盆提灯等)神棚、霊位等の先祖をお祀りするための用具です。

墳墓

お墓や墓地のことをいいます。

宗教や地域によって形や大きさはそれぞれですが、お寺や霊園にあるお墓のことをいいます。

仏壇は相続の対象ではない

相続財産との違い

相続財産は、法定相続人の人数によって共同に分割する事ができます。

しかし、仏壇を分割して分けることはできませんし、お金に換えて分割しては元も子もありません。

仏壇は、仏様をお祀りする仏様の家のようなものです。

宗教によって仏壇は異なりますが、仏壇の中には仏様やお位牌があって、仏壇の中は、宗教によって思い描かれているミニチュアの「あの世」だともいわれています。

亡くなった方の位牌やお墓に入っている全てのお骨のご先祖様の名前が過去帳があって、毎日ろうそくをつけて線香の煙や香りで仏様を拝むことで、心の中に仏様がいらっしゃって守ってくださるのだと、お坊さんから聞いたことがあります。

その仏様の家なのですから、宗教の信仰の象徴として昔から守られているので、相続税がかかるような相続財産という扱いではないのです。

仏壇の所有者は、仏様の家(仏壇)を管理しているだけなので、相続税がかかりません。

ちなみに、仏壇を飾る仏具は、仏様の家の付属品とされます。

また、神棚は神様の家です。

さきほど祭祀財産として挙げたうちの一つ、『墳墓』とはお墓一般のことです。

墓地・墓石、納骨堂等で、お骨を納める場所で、仏様が眠っている場所だといわれています。

昔の古墳には、仏様が寂しくならないようにと、さまざまな生活土器や土偶が納められていました。

土偶は人型や馬がいて、仏様が普段通りに生活できるようにと願いを込めて一緒に納められています。

だから、大きな権力のある人ほど、大きな古墳に、豪華な装飾や土偶や土器や鉄剣が納められ、その大きさや豪華さが権力の象徴だったといわれています。

その古墳の小型版(庶民版)がお墓です。

お墓は生きている人の財産ではなく、亡くなった方やご先祖様の所有物という意識があるため、相続財産には含まれていないのです。

これらのことから、祭祀財産は、相続財産のように皆で分けるのではなく、誰か一人が主催者として一切を取り仕切る代表責任者(正式には「祭祀主宰者」という)として、その務めを継承する地位に必要な道具といった感覚の財産なのです。

祭祀財産は非課税財産

先述したように、祭祀財産は神様や仏様のものとして、生きている人が守り継承していくものであるため、生きている人の所有物とはならず、相続税も非課税です。

同じ理屈で、お寺に納めるお布施や教会への寄付、神社へのお賽銭等のお金も非課税となっています。

これらのお金は、神様や仏様をお祀りするため、供養するため、または神様の催事をするためのさまざまな奉仕に当たるためです。

仏様や神様のお金に税金をかけるなんて罰当たりですよね。

また、同じくご先祖様や神様の家や道具である祭祀財産も非課税となります。

仏壇を引き継ぐ方法3つ

故人が指定する

遺言によって祭祀財産の継承者を亡くなった方が指定した場合、その指定された人が仏壇の継承者となります。

慣習

一般的に、同居していた人や長男、仏壇があった家に住む人や、その家を相続する人が受け継ぎます。

しかし、家を売却してお金で分ける場合は、地域によってさまざまな慣習があります。

家庭裁判所による決定

遺言書もなく、慣習もない場合、実際には親族の話し合いによって決める事がほとんどですが、誰が祭祀の主催者になるかで揉めてしまった場合は、家庭裁判所の審判で決める事になります。

家庭裁判所の審判によって、祭祀を継承するに相応しい意欲や能力、人柄、他の親族の希望等、さまざまな事情を勘案して、審判が下ります。

仏壇を引き継ぎたくない場合は?

仏壇は大きいし、現代の家屋には見た目が合わない、毎日お供えする時間がない、置く場所がない……などののような理由で、仏壇の引き取り手がない場合もあります。

仏壇は、何もそのままの形で引き受ける必要はありません。

家に置く場所がなかったり、家の雰囲気に合わない場合は、仏壇は仏様の家にすぎないのですから、仏様本体ともいえる位牌や過去帳を大切にお祀りしていれば良いのです。

最近は、マンション用の小さなインテリア風の仏壇やモダンな仏壇、簡易仏壇といった、さまざまな現代風の仏壇があります。

家に置く仏壇はそのようなものに置き換えることも選択肢に入れるのも良いかと思います。

まとめ

いかがでしたか。

仏壇の継承は、時代の移り変わりとともに、さまざまなスタイルに変っています。

祭祀財産として仏壇を受け継ぐ場合は、ご先祖様や仏様を拝む心が大切です。

仏様の家である仏壇は、豪華であるに越したことはありませんが、現代の家屋に合わせて、形を変えていくこともあるでしょう。

それでも、日々お供えをして、仏様を思って拝む心があれば、きっと仏様は家に拘りを持たないでしょう。毎日拝むその気持ちこそが大切なのです。

そんなふうに考えると、仏壇を継承するのも悪くないですよね。

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監修者太田諭哉
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公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
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