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お金や不動産以外を相続する場合について説明しています。墓地や仏壇、ゴルフ会員権、自動車、保険金、株式、会社、宝石、貴金属などを相続する場合の注意点やポイントについてまとめています。

2019年2月27日 水曜日

故人のリゾート会員権を相続したらどうする?

相続財産には、さまざまな種類があります。

被相続人の趣味によってはリゾート会員権やゴルフ会員権があるかもしれませんし、被相続人の職業によっては、特許権や商標権などの知的財産権が含まれている場合があります。

そのような相続財産があっても相続税評価で困らないように、本コンテンツでは相続の基本からリゾート会員権を中心として上記資産の相続における取り扱い、ならびに相続税評価方法についてご紹介します。

目次

故人のリゾート会員権を相続するために

遺産分割協議をする

被相続人が亡くなると、それと同時に被相続人の財産(遺産)について相続が発生します。

民法第898条には、相続発生時の遺産は「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する」とあります。

しかし、相続発生による相続人間の遺産の共有関係は、基本的に遺産分割によって最終的には消滅する一時的なものです。

相続人が1名であれば遺産は一括して当該相続人が包括承継するだけですが、相続人が複数人いる場合は全ての遺産が相続人全員が共同で相続することになります。

土地や建物など不動産だけではなく預貯金や有価証券までも当然に相続人全員の共有となりますので、このような状態では権利関係の面からどの相続人も遺産を有効に活用することが難しくなります。

したがって、共有状態にある遺産は例えば「自宅不動産は配偶者、預貯金は相続人全員で均等に分ける」などというように、相続人それぞれの相続割合を決めてその割合に応じて分割し、それぞれの相続人に帰属させるようにしなければなりません。

これが「遺産分割」であり、遺産分割によって遺産の共有関係は消滅します。

遺産分割は、民法第906条にあるとおり、遺産の種類や各相続人の状況などを考慮したうえで行われます。

しかし、遺産分割は民法第907条第1項にあるように、被相続人が遺言で指定した方法以外の遺産分割協議そのものを禁止している場合、あるいは遺言の執行者が遺言の内容と異なる遺産分割に反対した場合以外は、原則的に相続人間の協議が行われ相続人全員の合意によって決定されるのです。

これが「遺産分割協議」です。

相続人間の協議分割の場合、すなわち遺産分割協議の結果として民法の原則である法定相続割合と異なる分割割合あるいは被相続人の遺言とは異なる分割割合になったとしても、それが各相続人の自由な意思に基づくものである限り有効です。

なお、相続人間での協議が調わない場合は民法第907条第2項にあるとおり、家庭裁判所における調停または審判により定められることになります。

この間に家庭裁判所が、遺産分割割合の判断を下すに際して相続人間の関係などに何らかの特殊な事情を認めた場合は、同第3項に従い預貯金などの部分分割すら認められなくなることもあります。

相続人全員の合意のもと遺産分割協議が結了すると、「遺産分割協議書」を作成することが一般的です(家庭裁判所における調停または審判により遺産分割割合などが定められた場合は、裁判所により調停調書または審判書が作成されます)。

遺産分割協議書の作成は任意です。

しかし、法務局における不動産の相続登記(不動産の名義を被相続人から相続人に変更すること)や金融機関から受ける被相続人名義の預貯金の払い戻しなどの場面において、登記を請求している人や払い戻し請求者が遺産分割協議を経た正当な相続人であり、相続人全員の合意のもと権利を行使していることを証明する書類のひとつとして、通常は法務局や金融機関から遺産分割協議書の提示を求められます。

また、遺産分割協議書を作成しておくことで、仮に遺産分割協議成立後であるのにも拘らず相続人間遺産をめぐり争いが起きたとしても、遺産分割の内容について他の相続人全員と正式に合意済みである旨の証拠として機能しますし、むしろそのような紛争そのものを防止する機能が期待できます。

参考:民法第906条
「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」

民法第907条第1項
「共同相続人は、次条の規定(被相続人による遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる」にあるように、

民法第907条
第2項
「遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる」
第3項
「前項の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる」

相続税の総額を把握しておく

相続税の総額は、以下のステップで計算します。

正味の遺産額を算出する

相続税の計算は、外貨建てを含める現金・預貯金・株式や投資信託受益権などの有価証券・不動産など相続対象となる財産をすべて明らかにする必要があります

これらを合算し、「すべての相続財産–非課税財産−債務など+一定の贈与財産」で計算することにより、正味の遺産額を求めます。

相続財産合計額から差し引ける相続税の課税対象とならない非課税財産には、墓石や仏具など祭祀用品(骨董的な価値のあるものを除く)・死亡退職金や死亡保険金の一定部分・特定の公益法人への寄付分・死亡要因に対する損害賠償金などが該当し、債務には被相続人の借金・未払金・葬儀費用が該当します。

これに相続開始前3年以内の贈与財産および相続時精算課税制度の対象となった贈与財産があれば加算します。

基礎控除後の相続税課税対象財産額を算出する

相続税の課税対象となる財産額は、正味の遺産額から基礎控除額を差し引いて算出します。

ここでいう基礎控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。

この結果、相続税の課税対象となる財産額がゼロまたはマイナスであれば、相続税は発生しません。

法定相続割合に応じて相続税総額を算出する

相続税の課税対象となる財産額を、遺言書の内容や死因贈与契約、遺産分割協議に基づく実際の相続割合ではなく、相続人それぞれが法定相続割合により相続したと仮定して各相続人の相続税額を計算し、その額を合計して相続税総額を求めます。

2019年1月時点の相続税率は、以下のとおりです。

円換算後の外貨建て資産とそのほかの資産額(相続財産評価額)を合算し、後述する相続税の基礎控除額や配偶者控除額の範囲に収まらなかった相続税対象財産に対して以下の税率を乗じ、カッコ内の金額を控除して得られた額が相続税となります。

・1,000万円以下:10パーセント(控除額なし)
・3,000万円以下:15パーセント(50万円)
・5,000万円以下:20パーセント(200万円)
・1億円以下:30パーセント(700万円)
・2億円以下:40パーセント(1,700万円)
・3億円以下:45パーセント(2,700万円)
・6億円以下:50パーセント(4,200万円)
・6億円超:55パーセント(7,200万円)

各相続人の相続税額を決定する

相続税総額を、遺産分割協議の結果などによる実際の相続割合に応じて各相続人に割り振ります。

なお、被相続人の配偶者については、被相続人の財産形成に対する寄与分や今後の生活などを考慮して、「配偶者の税額軽減」が適用されます。

具体的には、配偶者が相続する相続財産評価額には最大で1億6000万円が控除されるものであり、別の言い方をすると相続税評価額が1億6000万円に満たない場合は相続税は発生しないのです。

他にも、相続人の状況や他の相続の発生状況に応じて未成年者控除、障がい者控除、相次相続控除、外国税額控除などの適用が受けられる場合があります。

相続財産にリゾート会員権があるか確かめる方法

相続の流れや相続税の算出方法が分かったところで、いよいよリゾート会員権を相続することについてお伝えしていきますが、そもそも所有しているかどうかをご存じでしょうか。

リゾート会員権をどのように利用していたかは、被相続人がどのような人であったかによってさまざまです。

家族旅行で利用する場合もあるでしょうし、1人で非日常を味わいに出掛けるため利用することもあるでしょう。

家族には内緒で利用していたという場合もあるでしょう。

これから、相続財産にリゾート会員権があるのかどうか確かめるためのいくつかの方法をご紹介します

さまざまな方法を駆使して所有していることが分かったら、運営会社に連絡し、会員情報の照会を行いましょう。

運営会社にも確認が取れたら、相続税評価額を算出し、相続税の申告を行いましょう。

遺言書に記載がないか確認

遺言書が残されていた場合は、財産目録にリゾート会員権が記されているかどうかをチェックします。

遺言書に記載があれば、相続人は探す手間が省けますのでうれしいですね。

しかし、被相続人が記載を忘れている財産もある可能性があることには要注意です。

ずっと利用し続けているリゾート会員権であれば、すぐに思い出せますが、しばらく利用していないようなものあった場合には、所有していることも忘れてしまっていることもあり得ます。

また、以前は確かに所有していたけれど、遺言書を書いた後に譲渡してしまったものが含まれていることもあるでしょう。

売却した時に遺言書に反映させようと行動に移していればいいですが、病気になってしまったり、体が思うように動かせなくなっていたりして、遺言書の内容が古くなってしまうこともあるでしょう。

さらに、財産目録に記載はされていても、運営会社が経営破たんしていたり、失効や停止状態になっていたりしている可能性もあります。

遺言書を確認する以外の別の方法でも、確認の意味で一通り探してみるといいでしょう。

財産目録には複数のリゾート会員権が記されていることもあるでしょう。

その場合にも、一つ一つどのようなものであるかを確認し、もれなく相続税評価額の算出を行い、相続税申告を行いましょう。

生前にリゾート旅行・別荘の利用などをしていないか

被相続人と一緒に、リゾート会員権を使って旅行へ出掛けていたり、別荘を利用していたりしていた場合は、相続人は自分の目で所有を確認しているので、所有していることは明らかです。

しかし、被相続人が単独で外出することが多かった場合や、仲間と出かけることが多かった場合などは、どこへ出掛けていたのか、どんな話をしていたかを思い出してみましょう。

いつも同じ場所へ出掛けていた場合には、リゾート会員権を使っているという可能性も出てきます。

しかし、仲間のものを利用している場合もありますし、以前は所有していても、体調が悪くなって利用しなくなったからと手放している可能性もありますので、別の方法でも確認してみましょう。

リゾートクラブからの郵送物がないか

被相続人と共に暮らしている相続人は、運営会社などから宿泊キャンペーンなどの案内が郵送されていることを目にしているかもしれません。

旅行を趣味にしていた被相続人であれば、旅にまつわる資料をまとめた中にも、リゾートクラブや別荘からの案内が収められているかもしれません。

探している間に、運営会社などから郵送物が届くこともあるでしょう。

郵送物が届いていれば、今も所有している可能性は高いです。

現在も会員かどうか、問い合わせをするにも郵便物があれば、差出人情報が記載されているはずですので問い合わせ先が明らかで助かりますね。

銀行口座にリゾート会員権の購入時の資金移動の記録があるか

リゾート会員権は、年間利用券の場合もあれば、一度高額な利用料を支払えば永久会員となるものもあります。

高額な会員権だった場合には銀行口座通帳をさかのぼって見てみれば、振り込みを行った記録が目に付くかもしれません。

年会費を収めなくてはならないものであれば、定期的に銀行口座から引き落とされている可能性もありますので、通帳をよくチェックしてみましょう。

リゾート会員権の相続税評価

リゾート会員権とは、リゾートホテル・コンドミニアム・リゾートマンション・貸別荘などの滞在・宿泊利用権のことです。

種類によっては預託金や入会金、年会費がかかることがあります。

リゾート会員権には施設利用権のみのものと、施設利用権と共同所有あるいは区分所有型の不動産など、いくつかの種類があります。

なお、不動産の所有権がある形態のリゾート会員権は、取得時に不動産登記費用・所有期間にわたって固定資産税の支払いが生じます。

リゾート会員権の相続税評価方法は、取引相場の有無により異なります。

取引相場のあるリゾート会員権

取引相場があるリゾート会員権については取引相場(売価格と買価格の平均値)の70パーセントで評価し、取引価格に含まれない預託金などがある場合は、その評価額を加算します。

預託金については、それがすぐに返還を受けることができる預託金等である場合は当該金額そのもので評価します。

一方、相続が発生しても一定の期間を経過しなければ返還を受けることができない預託金等については、その預託金に返還されるまでの期間(1年未満は1年に切り上げ)に応じた基準年利率による複利現価率を乗じて得られた金額で評価します。

取引相場のないリゾート会員権

リゾート会員権の契約時に支払った金額を、預託金として評価します。

評価方法は取引相場のあるリゾート会員権と同じです。

また、不動産所有権がある場合は、それについて通常の不動産所有権評価を行います。

そもそもリゾート会員権を持つメリット・デメリットとは?

リゾート会員権の相続税評価の方法が分かったところで、そもそも相続するかもしれないリゾート会員権はどんなものかはご存じでしょうか。

一口にリゾート会員権といっても、さまざまなタイプのものがあります。

理解した上で、相続するのか、それとも相続放棄するのかなどを判断してみましょう。

ここからは、所有することのメリット、デメリットをご紹介しながら、どのようなものなのかを伝えていきます。

リゾート会員権のメリット

まずは、リゾート会員権を所有することのさまざまなメリットをご紹介します。

様々な地域にあるリゾート施設を利用できる

別荘を持っていれば、快適で気ままな時間を過ごせそうですが、それは富裕層に限られたぜいたくかもしれません。

しかし、全国のホテルやレジャー施設を利用できるリゾート会員権を持っていれば、その夢のような生活を実現可能です

相続の後に相続税の支払いが発生したとしても、夢のような旅ができたら、故人に感謝したくなりますね。

ホテルや旅館など通常利用よりも安く利用できる

リゾート会員権を持っていれば、近隣のホテルや旅館よりも会員価格で安価に利用することができます

宿泊価格比較サイトで相場を調べれば、メリットを実感するでしょう。

相続税を支払った後の厳しい懐事情であっても宿代が安価なため、旅に出掛けやすそうですね。

別荘とは異なり施設の管理は一切不要

リゾート会員権を利用して宿泊するホテルや旅館は、別荘ではないので日頃の手入れはいりません

宿泊したい気分の時だけ、自分の気の向くままに利用することができます。

別荘を所有しているのであれば、建物のメンテナンスや防犯対策をする必要がありますので、管理人を雇う必要も出てくるでしょう。

別荘を相続してたくさんの相続税を払って、さらに相続税を支払った後に現金がないなか、管理費が必要となったらたまりませんね。

リゾート会員向けのイベントに参加できる

リゾート会員権を持つ人を対象に、芸能人のディナーショーなどのイベントが企画されることもあります。

また、共通の趣味を持つ会員を集めてサークル活動のようなものが開かれることもあります。

生前の購入が相続税対策となる

前述の通り、リゾート会員権は、取引相場のあるなしに関わらず、相続税評価額は、取引相場価格の70パーセントで計算します。

会員権を買う金額と同額の現金を持っている場合、現金は時価と同等の評価額になります。

一方で、会員権を持っている場合は、相続税の評価額は取引相場価格の70%ですので、被相続人が生前に会員権を買っておくことは、相続税対策になるといえます。

しかし、購入金額以外にも高額な年会費などがかかり続けるものもありますので、相続税対策となるかどうかは、しっかり調べてみることをおすすめします。

リゾート会員権を買っておくことが相続税対策になったとしても、相続税申告はお忘れなく。

リゾート会員権のデメリット

別荘にかかるような費用を負担することなく楽しめるリゾート会員権はいいことづくしのような印象ですが、あえてデメリットを挙げてみましょう。

購入費が高額

リゾート会員権は、数十万円から数百万円の価格で売買されています。

旅行代金と考えると高い金額のようですが、複数回利用するようであれば手頃な価格に思えるでしょう。

ただ、そうはいっても、複数回の宿泊費を一度に支払うような金額を出せないと購入できないので、金銭的に余裕のある人向けです。

高額なものを相続するのであれば、ほかの相続財産がそれほどの評価額ではないのに相続税が課せられてしまうこともあるでしょうし、その相続税も巨額になる可能性もあります。

年会費が掛かる

高額で購入した後も、毎年、年会費が掛かります。

最初は、各地によく旅行に出掛けていたけれど、少し飽きて利用しなくなった、というような人にも年会費は請求されます。

積極的に利用し続けられる人にメリットが多いといえます。

運営会社が経営破たんすれば利用できない

運営会社が経営破たんするといっても、破産なのか民事再生なのかで違いが出てきます。

運営会社が破産し、会員がリゾート施設の共有持分を持っている場合には、会員が持つ施設の持分はそのままですが、これまでと同様に運営をされているわけではないので、利用はできなくなります。

出資するタイプの利用権の場合には、預託金返還請求権を持っていますが、届け出をしても、わずかの配当しか受け取れなくなります。

民事再生の場合には、運営に裁判所が関与し、監督されることになりますが、事業は継続されるので、民事再生手続中も施設を利用することができます。

相続税対策で購入しても、相続後売れにくい可能性がある

リゾート会員権の相続税評価額は取引相場価格の70%ですので、会員権を持っておくことは、相続税対策につながるとお伝えしました。

相続税対策用にリゾート会員権を持っていた被相続人が亡くなった後、相続人が利用してリゾートクラブや別荘を利用する場合もあるでしょうが、利用しなかった場合には売却を検討することでしょう。

会員権を買った時から比較すると、取引相場価格が下がってしまった場合は、相続税評価も低くなっていいのですが、いざ売るとなると、購入金額を考えると売却の気持ちにブレーキがかかります。

例えば、バブル期に購入した会員権であれば、今売りに出すと当時の何分の1かの価格になってしまっている場合もあるでしょう。

そもそも、年月を経ることにより、建物や施設の経年劣化により価値が下がってしまうことも多いにあり得ます。

また、リゾート地の中には、昔は人気があったものの、今は閑古鳥が鳴いている、というような場所もあります。

そうした場所のリゾート会員権は、売りたくても売れないという可能性があるでしょう。

しかし、観光地の努力により、再び人気が上がってくる場所もありますので、売れないと諦めずに市場をチェックし続けることも大切でしょう。

リゾート会員権を相続する?相続しない?

これまで、リゾート会員権のメリットとデメリットをお伝えしてきましたが、どうしていくか心は固まったでしょうか。

相続する・しない、さらにほかの選択をした場合について考えてみましょう。

自身がリゾート会員権を相続する

リゾート会員権を相続する場合には、まず、施設を運営する運営企業に連絡を取ります。

どのようなタイプのものかによりますが、登録免許税や名義書換料が掛かることもあります。

同時期に相続税の申告・納付をしている可能性があり、相続税以外にも待ったなしで現金を支払わなくてはならないことがあることをしっかり頭に入れておきましょう。

他の相続人がリゾート会員権を相続する

他の相続人がリゾート会員権を相続する場合も、自分が相続する場合でも、手続きは同じです。

運営会社に連絡を取ることから始めます。

相続税に加えて登録免許税や名義書換料が必要になります。

相続放棄をする

相続税を納めるだけの現金が足りないため、リゾート会員権のみ相続放棄をする、ということはできません。

相続放棄をする場合は、プラスの資産、マイナスの資産ともに行わなければなりません。

相続放棄をした場合には、もちろん相続税を納める必要はありませんが、手元には何も残りません。

相続したリゾート会員権はどうする?

相続税を支払い、名義書換料も支払って、晴れてリゾート会員権の所有者になったとしたら、どのように活用していけばいいでしょうか。

リゾート会員として利用する

もちろん、リゾート会員権をフル活用して、旅をするのもいいでしょう。

遺産分割協議や相続税の申告・納付など、相続に関することが一段落して、のんびり温泉でくつろぐ、というのもいいかもしれません。

他人に譲渡する

相続税を支払い終えたら現金が足りないという場合には、他の人に譲渡し、現金を得るという方法も選択することができます。

ホームページ上にはさまざまな譲渡のためのサービスがありますので、自分にぴったり合う方法を探してみましょう。

退会する

リゾート会員権を利用しない場合は、退会を検討してもいいかもしれません。

運営会社に退会を申し出ると、条件はありますが、保証金が返金される場合があります。

相続税を支払ってお財布事情が厳しい人にはうれしい収入ですね。

その他権利の相続税評価

ゴルフ会員権

ゴルフ会員権とはゴルフクラブのメンバーとなる権利のことであり、その実態ははゴルフクラブの株式とゴルフクラブの施設利用権を合わせたものといえます。

また、ゴルフ会員権は金融商品としての側面もあり、多くのゴルフ会員権が株式やETFのように市場で売買されており、時価で取引されています。

ゴルフ会員権の相続税評価方法は、そのゴルフ会員権の取引相場の有無により異なります。

また、預託金がある場合はそれについても評価します。

さきほどのリゾート会員権と同様に、取引相場があるゴルフ会員権については取引相場(売価格と買価格の平均値)の70パーセントで評価し、取引価格に含まれない預託金がある場合は、その評価額を加算します。

取引相場がないゴルフ会員権については、未上場株式の評価に準じ類似業種比準方式、純資産価額方式、配当還元方式を用いて算出し、預託金がある場合はそれを加算します。

預託金については、それがすぐに返還を受けることができる預託金等である場合は当該金額そのもので評価します。

また、相続が発生しても一定の期間を経過しなければ返還を受けることができない預託金等については、その預託金に返還されるまでの期間(1年未満は1年に切り上げ)に応じた基準年利率による複利現価率を乗じて得られた金額で評価します。

なお、ゴルフクラブが破綻しプレーもできず預託金が戻ってくる見込みが無い場合、相続税評価額はゼロとなります。

また、プレーはできても預託金が戻ってくるか否か不明な場合は、いったん預託金をゼロと仮定して相続税評価額を算出し、相続税の申告・納付後に預託金が戻ってきた場合は修正申告を行うことになります。

特許権

特許権とは、知的財産権のひとつです。

新たに有用な技術を開発した発明者が特許庁に出願申請をし、特許査定を経て設定の登録がされたものについて、特許法所定の特許権が発生します。

特許権は、特許出願から20年経過した場合や、一定の期間内に相続人が現れない場合には消滅すると定められており、さらに特許料(毎年納付)を納付しない場合は消滅してしまいます。したがって、速やかに被相続人の特許権について特許料の納付状況等の調査を実施し、特許庁長官に相続の届出を行う必要があります

特許権者は、その発明を独占する実施権、他人に対して専用実施権、通常実施権を許諾する権利等を有します。

これらの権利は、財産権の一種であり、相続の対象となります。

しかし、遅滞なく特許庁長官に届出る必要があり、届出によって初めて効力が生じます。

特許権の相続税評価方法は、その特許権を自ら行使しているか、あるいは他人に行使させているかで異なります。

特許権を自ら行使している場合の計算式は、以下のとおりです。

特許権の相続税評価額=超過利益額(平均利益額×0.5-標準企業者報酬額-総資産額×0.05)×基準年利率による複利年金現価率

これは営業権の相続税評価額の計算方法と同じです。

なお、営業権持続年数は原則10年とされています。

特許権を他人に行使させている場合は、「補償金値額×基準年利率による複利原価」でその年の分の評価を行い、これを目標とする年の数の分だけ計算し、それらを合計して計算します。

商標権

商標権とは、知的財産権のひとつです。商標には商品やサービスのブランド名やロゴマークなど、様々なものがあります。

自分が作ったこれらの商標を他人に勝手に使われることなく自分で独占的に用いるために、特許庁に出願し登録することで商標法所定の商標権が発生します。

商標権の存続期間は10年とされていますが、更新することで延長も認められています。

商標権は、将来受け取ることができるであろう補償金(収益)額の基準年利率による複利現価の合計額で評価します。

具体的には、「補償金値額×基準年利率による複利原価」でその年の分の評価を行い、これを目標とする年の数の分だけ計算し、それらを合計したものが商標権の相続税評価額となるのです。

リゾート会員権相続時の計算例

リゾート会員権の取引相場には売価格と買価格があります。

相続税評価額を求めるときは、売価格と買価格の平均値に70パーセントを乗じて算出します。

ところで、なぜリゾート会員権の相続税評価額を取引相場の70%で評価するのかといえば、ゴルフ会員権などと同じように上場株式のように公開された市場があるわけではなく、仲介業者を利用したり個人間で直接取り引きしたりする場合など、形態も価格もばらつきがあるためです。

たとえば売価格が300万円・買価格が200万円のゴルフ会員権は、売価格と買価格の平均値である250万円に70パーセントを乗じた175万円が相続税評価額となります。

これに預託金等がある場合はその金額を、不動産所有権がある場合は通常の評価方法で算出された金額を加算します。

リゾート会員権の相続税を申告するには?

リゾート会員権を相続するときの相続税の計算例を先に挙げましたが、相続した財産がリゾート会員権だけだった、というような場合は少ないでしょう。

ここからは、リゾート会員権を含む相続財産にかかる相続税の申告方法について、具体的にお伝えします。

リゾート会員権を含む相続財産総額を計算する

相続人が被相続人から相続する相続財産はリゾート会員権以外にも、金融資産や不動産など、さまざまなものがあるでしょうが、まずは相続財産の総額を計算します。

相続税は全ての相続財産に課せられるものですから、申告するにあたっては、リゾート会員権だけでなく相続財産の総額を計算する必要があるのです

さらに、相続財産の総額を計算したら、相続人と遺産分割協議を行い、財産を分配します。

分配した相続財産の評価額から、あなたが納税する必要がある相続税を割り出します。

被相続人の住所地の税務署に申告書と必要書類を提出する

リゾート会員権などのすべての相続財産を計算したら、被相続人の住所地にある税務署に申告書と必要書類を提出します。

被相続人の住所地が遠方だった場合、相続税申告のために何度も税務署に足を運ぶことになっては大変ですから、申告に必要な書類はあらかじめしっかり準備をしておきましょう。

相続税を現金で一括納付する

相続税申告を行った後には税金を納付する必要があります。

相続税の納付は、財産を相続した相続人ごとに納付書を用意する必要があります。

これまで、税金は現金で一括納付するのが大原則でした。

納付書に税金額などを記入し、銀行などの金融機関の窓口に提出して税金を納めるのです。

税金の額が30万円以下であれば、コンビニエンスストアでも支払いができます

2008年1月21日から可能になった支払い方法で、バーコード付きの納付書を所轄の税務署で発行してもらうことが必要です。

ところが、2017年1月4日、さらに大きな変化がありました。

クレジットカードを利用して納付ができるようになったのです。

社会のキャッシュレス化の流れが加速していますが、国もそれに合わせ、現金でなくとも支払いができるようになったのです。

相続税の支払い方法は、パソコンやスマートフォンを使って「国税クレジットカードお支払サイト」にアクセスし、住所や氏名、納付する国税の種類などの必要な情報を入力します。

その後、クレジットカード情報を入力し、確認画面で入力内容と納税額などを最終確認し決済するだけです。

税金を納めにわざわざ出掛ける必要はなく、その場で決済できるので、忙しい方にぴったりです。

クレジットカードを利用した国税の納付を委託されたのはクレジットカード事業も営んでいるトヨタファイナンス株式会社ですから、安心感もあります。

クレジットカードですから、分割払いなども利用することができ、カードの利用額に応じたポイントももらうことができます。

ただし、注意したいことは、納税額が1,000万円未満までという決まりがあることと、納税額に応じた手数料がかかることです。

クレジットカードのポイント付与率と手数料をよく見比べて利用を判断するといいでしょう

ポイント付与率の高いクレジットカードや、マイルなどポイント以外のものがたまるクレジットカードなどを相続税の支払いに利用すると、思わぬ特典もあるかもしれません。

クレジットカードについてもよく調べてみましょう。

リゾート会員権の相続税申告・納税において注意すべきこと

リゾート会員権のあるなしに関わらず、全ての相続財産の総額から相続税が計算できるとお伝えしてきました。

現金や預金などの金融財産を相続する場合には、額面そのままが財産の価値ですが、リゾート会員権などの場合には、その会員権自体に金額が書いてあるわけではなく、人気などにより、取引相場が変わるので、まずはその価値を調べる必要があります。

ここからは、リゾート会員権を相続して相続税申告・納付をするときに注意すべきことをお伝えします。

原則、相続開始から10ヶ月以内に申告・納税

被相続人が亡くなったことを知った日から相続が開始され、相続税の申告・納税は、原則、10ヶ月以内に行わなければなりません。

リゾート会員権であっても、そのほかのあらゆる相続財産であっても、原則、相続の開始から10ヶ月以内に相続税の申告・納税をしなくてはなりません

リゾート会員権の売却方法を先にご紹介しましたが、リゾート会員権を売りに出そうと思ってリゾート会員権専門の取引業者に依頼しても、すぐには売れないかもしれません。

売れない理由は、人気のないリゾート会員権だからかもしれませんし、高級リゾートクラブのリゾート会員権で、一般人にはなかなか手を出せないものだからかもしれません。

最近は、外国人観光客の増加であちこちの観光地がオーバーツーリズム気味ですが、日本人が所有していることが多いリゾート会員権の会員制施設では落ち着いて過ごせると、会員制リゾート施設の人気が高まってきています。

リゾート会員権の評価額は、取引される市場価格の約70%の価格ですから、高級リゾートのリゾート会員権の場合、数千万円するものもありますので、70%といえども大変な評価額になるかもしれませんので注意が必要です。

相続開始から10ヶ月以内には、申告・納税をしなくてはなりませんので、その税金分の現金を持っていなくてはならないということです。

未分割申告

被相続人が遺書を残していなかった場合、相続人全員でリゾート会員権なども含む全ての相続財産の分配を話し合う遺産分割協議を行います。

しかし、なかなか協議が進まなかった場合でも、相続税の申告・納付期限は相続開始から10ヶ月と定められていますので、決着の付かないまま、いったんは法定相続分を相続したことにして申告と納付を行います。

この申告方法を未分割申告といいます。

とりあえず申告・納付した状態ですので、遺産分割協議に決着が付いたら、本当の相続税の納付額が決まります。

税務署に修正申告を行い、確定した納付額と、未分割申告して納付した税金額とを比較し、足りなければ追加で支払い、多く支払っていたなら還付をしてもらいます。

未分割申告ができるなら、相続税の申告・納付は10ヶ月の期限を守らなくても大丈夫ではないかと考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、未分割申告を行うと、配偶者の相続税額軽減の特例などが適用できないことや農地の納税猶予の特例が利用できないことなど、デメリットもたくさんあります。

また、未分割申告を行った後に、遺産分割協議がダラダラと続く可能性があることや、結局は修正申告をする必要があり、2度の申告が必要になるなど、相続人の時間や手間が多くかかるので、やはり期限内に申告・納税するのがおすすめといえます。

相続税の延納と物納

高級リゾートのリゾート会員権を相続して売却できず、相続税評価額の額面が大きすぎて税金も大変高額になったという場合には、毎年、税金を分割して支払うことができる延納の制度を利用するといいでしょう。

延納の条件は、相続税額が10万円を超え、生活費を除く現金での納付が厳しい税額であること、申告期限である10ヶ月以内に延納申告書を提出していることです。

さらに、延納する税額が50万円以上で、延納期間が3年を超える場合には、不動産や株式などの担保を提供する必要があります。

延納すると、利子税がかかってしまいますので、その税額もチェックが必要です。

延納しても現金で納付することが難しい場合には、物納という手段もあります。

物納できる財産は、国内にある不動産など、さまざまな要件があります。

リゾート会員権の相続で生じやすいトラブル例

相続税を払ってリゾート会員権を相続したい時に、どのようなトラブルが生まれやすいのでしょうか。

この項では起こりやすいトラブルと対応策について解説します。

複数の相続人がリゾート会員権の相続を希望する

最初に、複数の相続人がリゾート会員権の相続を希望した場合です。

相続税を納めて、リゾート会員権を相続できるのは、基本的には1人です。

相続税を納めたから利用する権利が移譲されるのではなく、相続税の申請・納付の手続きとは別に、リゾート施設を運営する企業に連絡をし、名義変更をした後に権利を得ます。

順調に進められればそのような手続きになるのですが、複数の相続人が相続を希望する場合、誰が所有するかはしっかりと遺産分割協議などで話し合い、遺産分割協議書に書き残しておくことが重要です。

ゴルフ会員権のように趣味に特化したものよりも利用しやすいため、希望する人は多いことが予想されますが、相続税を払って受け継いだ後にも年会費の支払いが必要なケースもあり、そのことを伝えた上で協議を行いましょう。

リゾート会員権の中には、代表会員のほかに複数の準会員を登録でき、名義変更手続きなどの手続き費用を抑えられるものもあります。

購入時から相続のことを考えられる会員権も存在するのです。

現金化して納税したいが、売却できない

現金化して相続税の足しにしたいと考えて売却しようとするときには、まずは会員規約を読み、譲渡や転売が可能なものかを確かめる必要があります。

他者への譲渡や会員権の売買取引業者などへ転売は不可と記載されていた場合は売却できないため、会員規約に沿って退会手続きをするか、利用しようと気持ちを切り替えるかしかありません。

会員権売買取引業者(会員権購入元)へ売却したい旨を伝えても、「購入希望の人が見つかりません」といわれて時間ばかりたってしまうケースが多いようです。

購入額が高額だった場合、低価格では売却したくないと考える人がほとんどでしょう。

会員権売買取引業者には、希望額は伝えておき「多少の相談は可能」と追記しておきましょう。

希望の売却額ではまったく購入希望者がいない場合、ある程度の長期戦となる覚悟も必要となります。

しかし、相続税を納めてまったく利用しないリゾート会員権を引き継いでも、会員権維持費用がかかってしまうため、ある程度見切りをつけることも必要です。

会員権売買取引業者に売却希望の旨を伝えるとともに、ある程度、人脈があれば声をかけておきましょう。

知り合いなどが買ってくれる場合、まったく知らない購入希望者よりもいい値で購入してくれるかもしれません。

会員権売買取引業者に売買の仲介を頼むのではなく、直接買い取りを依頼する場合は、相当安い価格で売却してもいいという覚悟が被通用です。

被相続人がこっそり購入したリゾート会員権だったため、発覚後にトラブルの種に

リゾート会員権を購入する場合、個人によってさまざまな目的があります。

家族でちょっとリッチな非日常を楽しみたいという目的だった場合は問題ありませんが、一人の時間を過ごしたいという目的で、家族には秘密でリゾート会員権を購入することもあり得ます。

被相続人が相続の準備を行える場合には問題は少ないですが、被相続人の亡き後では「誰と行っていたのか」「どういうシチュエーションで利用していたのか」など、相続人は晴らせないもやもやを抱えたままでいなくてはならなくなります。

相続の場合でなくても、内密のリゾート会員権を家族、とりわけ配偶者が発見してしまったら「なぜ自分の知らない会員権があるのだろう…」と不快に思いますね。

どのようなシチュエーションで利用していたのかを調べようと思えば、被相続人の友人に尋ねたり、スマートフォンやデジカメで撮った写真を確認したりすれば、明らかになることもあります。

特定の誰かと利用していた場合には関係を疑いますし、周囲の人がその状況を知っていたのなら「なぜ教えてくれなかったのか」と責め立ててしまうでしょう。

被相続人がこっそりリゾート会員権を購入することは、トラブルの種です。

該当する方は、秘密を守り続けられるように、最期の時までしっかり管理していただくことをおすすめします。

相続当初リゾート会員権の存在を相続人が知らず、後日発見される

さまざまな相続の手続きや相続税の納付が終わってひと段落した直後、またはずっと後にでも、相続税の計算に入れていない相続財産が見つかったというケースは少なくありません。

相続人が一人であれば、相続手続きと相続税の修正申告で終えることができますが、相続人が複数いた場合は、再び遺産分割協議を行います。

遺産分割協議を行い、相続税の申告・納付を行い、力が抜けたところに発見してしまったら、かなり自分を奮い立たせないとなりませんね。

相続税の申告・納付からだいぶ時間がたった後であれば、相続人が亡くなっている場合もあり得ます。

以前の相続人の財産を相続する相続人と協議をしなくてはならず、大変な労力がかかることでしょう。

相続税の申告・納付を終えてから後日、リゾート会員権を発見してしまうと、相続する相続人は相続税の修正申告を行い、さらに会員権の名義書換料や年会費などを支払わねばならず、思わぬ手間がかかり、そして意外に大きな出費が待ち受けています。

被相続人は、相続人と相続税や相続財産について事前に話し合っておくことも、後のトラブルを回避し、手間を省くために行っておきたいところです。

リゾート会員権購入を検討中の方は、相続時のデメリットやトラブルを踏まえてよく検討を

リゾート会員権を所有すればステータスを感じられますので、持っているだけで満足することもあるでしょうし、実際に利用すれば非日常を楽しむこともできますね。

しかし、購入を検討するときには、実質的にかかる費用とそれに対する価値だけでなく、遺産相続時のトラブルや相続税までのことを考えておくことが大切です。

リゾート会員権を相続する予定の自分の子どもが利用するのか、その時にかかる相続税やその後の名義変更などの手続きはどうなのか、複数の相続人がいる場合には、相続は上手くいくのかどうか考えておくといいでしょう。

相続人が利用せず売却することも想定し、売却がスムーズにできるのかも大事なポイントです。

リゾート会員権だけじゃない!相続税対策の方法

リゾート会員権は、相続財産の評価額を下げることによって相続税の減額を見込めます。

ここからは、リゾート会員権の購入以外で節税する方法についてもご案内します。

リゾート会員権を購入する場合と比較し、それぞれのメリット・デメリットについてもお伝えします。

リゾート会員権の購入とは別の節税方法も知った上で、最も合った方法を選ぶことができるといいですね。

生前贈与を利用する

相続税は、相続が発生した時点の財産を対象に算出していきます。

そこでリゾート会員権のように、財産になるものを「相続が発生する前」、つまり生前のうちに誰かに贈与しておくことによって「相続税の対象になる財産を減らす」方法です。

贈与をした場合には「贈与税」が課されますが、「暦年課税の基礎控除」の制度を利用すると、年間110万円以下の贈与が非課税になります。

このように生前のうちに計画的に贈与を行うことによって、トータル的に見て税金が減額できる点、また相続と異なり、法定相続人以外の任意の人へ財産を分け与えることができる点がメリットです。

ただし、生前贈与として税務署から認められるためにはいくつかの条件を満たす必要がありますので注意しましょう。

被相続人がリゾート会員権を保有しサービスを利用するなどして活用しているのであれば、相続したときの評価額減による節税効果も期待できるので、メリットは大きいといえるでしょう。

被相続人が飽きてしまった、体調が思わしくないなどの理由で、リゾート会員権を利用することができない状態であれば、保有するメリットが少ない状態です。

相続人であれば活用できるのなら、相続税対策として生前贈与も検討してみるといいでしょう。

養子縁組で相続人を増やす

先述の「相続税の総額を把握しておく」の項目でご説明したように、法定相続人の数によって、基礎控除額が決まります。

この仕組みを利用し、「基礎控除額を増やす」ことで相続税対策をする方法が、養子縁組です。

相続人が多ければ多いほど基礎控除額が増えるため、相続税の対象となる相続財産の金額を少なくすることができるのです。

法定相続人1人あたり600万円の基礎控除で節税効果は高い一方、ほかの法定相続人にも理解を得た上で計画的に相続を進めないと、遺産の配分などをめぐってトラブルになることもありますので注意が必要です。

また、民法上の規定では養子の数に制限はありませんが、相続税法では減税目的でむやみに養子を増やすことを防ぐため、相続税法上の養子の数は「実子がいる場合は1人」「実子がいない場合は2人」が上限と定められています。

生命保険を活用する

被相続人が生命保険に加入しており、相続人が保険金の受取人となっているとしましょう。

このケースでは、被相続人が生前のうちに保険料を支払うことによって財産が減りますが、被相続人が亡くなると相続人が保険金の形で財産を受け取ることができます。

このように、被相続人が亡くなることを条件として発生する財産は、リゾート会員権のように死亡時点で保有していた財産ではないものの、相続人が受け取る財産であることには変わりありません。

そのため「みなし相続財産」として相続税の対象となります。

しかしながら生命保険は、被相続人である契約者が亡くなった後、受取人である相続人が生活に困らないように加入する目的がありますので、相続税が発生するとなるとかえって負担になってしまいます。

そういったことにならないよう、相続人が受け取る生命保険金については「500万円×法定相続人の人数」の非課税枠が設定されているのです。

保険料を支払うことによって相続財産を減らしながら、相続人に相応の財産を残すことができ、かつ非課税枠によって相続税の対象となる財産を減らす方法が、生命保険を活用した相続税対策なのです。

不動産を購入する

不動産を相続税対策として購入することは、リゾート会員権と同様に相続財産の評価額を下げることや、各種控除による相続税の減額を目的としています。

不動産の所有権を持つタイプのリゾート会員権も存在しますので、相続財産としては性格の近いものであるといえます。

リゾート会員権の場合の相続税評価額は取引相場の70%で評価しますが、不動産の場合は土地や建物の形態や立地条件、地価などによって、評価方法や評価額の計算が非常に複雑になってきます。

複雑である一方、評価方法によってはリゾート会員権より大幅な評価額減額や各種控除が使える可能性もありますので、うまく利用すれば節税効果の高い方法です。

また、購入時よりも価値が上がっていれば相続財産が増えるというメリットがある一方、相続税も高額になる可能性があります。

地価が下がっていた、建物が老朽化して維持管理や修復のコストが高くなってしまった、といった可能性も考えられます。

リゾート会員権と同様に、相続税対策として不動産を購入するのであれば、相続財産としての分配方法や相続後の活用方法など、見込んだ通りの節税効果が上がるように十分に検討する必要があるでしょう。

各種控除を活用する

リゾート会員権のように評価額を下げるのではなく、控除によって課税対象となる相続財産を減らすことも有効です。

先にご説明した「基礎控除」の他にも、以下のような内容の控除制度があります。

  • 配偶者控除:配偶者が相続した財産のうち、課税対象となる額のうち1億6千万円まで
  • 贈与税額控除:相続開始前3年以内、つまり被相続人が亡くなる3年前までにすでに支払った贈与税
  • 相似相続控除:10年以内に被相続人が支払った相続税の一部

ほかにも、相続人が未成年であった場合や障害者である場合など、さまざまな控除制度がありますので、把握しておきましょう。

なお、海外のリゾート会員権を保有している場合もあり得ます。

海外にある財産を相続した際には、その国の相続税法にあたる法律によって、納税義務が発生することがあります。

その場合、外国と日本で重複して税金を支払う負担を軽減するため「外国税額控除」制度が設けられていますので、海外のリゾート会員権を相続する場合は納税方法と併せて確認しておくといいでしょう。

リゾート会員権の相続税を相談は誰にする?

このように、リゾート会員権の相続税は高額になる傾向があります。

申告間違いによる追徴課税や相続税の過払いを避けるためにも、きちんと計算を行い、正しい申告をしたいですね。

それでは、リゾート会員権を相続することになった場合、相続税の相談は誰にすればよいのでしょうか。

まず、リゾート会員権の有無に関わらず、相続税の申告手段は「自分で直接税務署に行き申告する」または「税理士などの専門家に依頼する」のいずれかです。

そのため、相談先としては「税務署の職員」か「税理士などの専門家」が選択肢となります。

それぞれのメリット・デメリットと、相談先を選ぶにあたってのポイントを確認してみましょう。

税務署

税務署の職員に相談することのメリットは、「無料で相談できる」ことです。

デメリットは、自分で申告しなければならないため様々な準備が必要なことです。あらかじめ覚悟しておきましょう。

まず、相続と申告に関する基礎知識を習得しておく必要があります。もちろん、税務署に問い合わせれば基礎的な部分は教えてもらえますが、あらかじめ下調べしておいた方がよいでしょう。

その上で、リゾート会員権を含む相続の状況を整理し、申告に必要な書類を取り寄せたり、

場合によってはリゾート会員権の名義変更手続きや譲渡手続きなどを行います。これだけでもかなりの時間と手間を要します

手続きを進めるなかで分からない事があれば、その都度税務署へ相談しましょう。

電話での相談は相続税の申告に関する一般的な質問に限られます。

そのため、リゾート会員権が遺産に含まれている場合など、特殊なケースに関しては個別に相談する必要があります。

事前に個別相談の予約をした上で、税務署まで出向きましょう。

リゾート会員権を含む相続の場合は不動産が関連してくる可能性があります。

あらかじめ管轄の税務署を国税庁のホームページなどで調べてから、個別相談の予約をしましょう。

個別に相談できるといっても、正しい申告と納税に関する窓口ですので、申告に必要なことしか教えてもらえません。

残念ながら、節税対策については教えてもらえません

また、土日など休日は窓口が開いていませんので注意しましょう。

平日であっても、年明けから3月頃までは確定申告の相談件数が多く、希望の時間に相談予約が取れない場合もあります。

税理士

税理士に依頼すると、前述のような課題はほとんどクリアすることができます。

個別的な相談に応じることはもちろん、相続人に代わって相続税申告まで一通りの手続きを全て行ってくれます

全てお任せできるので、基礎知識が無い方でも問題ありません。

必要書類は自分自身で集める必要がありますが、サポートしてもらえますのでスムーズに手続きを進めることができます。

また、税理士は税金に関する専門家ですから、有効な節税対策を踏まえた申告をしてもらえる事も大きなメリットですリゾート会員権を含む相続は相続税が高額になる可能性がありますから、この点はとても重要です。

また、申告後に税務調査が入ることになった場合も、現場に立ち会って税務署の対応をしてもらえるので安心です。

デメリットとしては、費用がかかる点と、最適な税理士を探すために時間がかかることがある点が挙げられます。

ただ、正しく節税対策を講じた相続税申告ができること、最近ではインターネットを活用すればあまり手間をかけずに税理士を探せることを踏まえると、それほど大きなデメリットではないと言えます。

リゾート会員権の相続税を相談できる税理士を探すなら

それでは、リゾート会員権を含む相続税について相談できる税理士を探すためには、どのようなポイントを押さえておけばよいのでしょうか。

まず知っておいていただきたいのは、税理士が最もよく請け負う仕事は「法人税の計算・申告」であり、「相続税申告」は比較的少ないということです。

そのため、リゾート会員権が関わる相続はおろか、相続税の申告そのものも担当したことがないという税理士もいるでしょう。

税理士によって経験や知識に差があるため、相続税に関する知識のある税理士に依頼することが重要です。

先述のとおり、リゾート会員権には施設利用権のみのものと、施設利用権と共同所有、あるいは区分所有型の不動産に該当するものなど、種類が多数ある特殊な財産です。不動産を含む相続では相続登記が発生する可能性もあり、相続手続きは一般的な財産と比べて複雑になってきます。

そのため、費用が安いからといって安易にこの分野について経験の浅い税理士を選んでしまうと、最適な節税ができず本来納税しなくてよい相続税を支払うことになったり、手続きに不備があったりといったトラブルにつながりかねません。

有効な節税対策を踏まえた正しい申告をするためには、相続税申告の経験が豊富で、できればリゾート会員権を含む相続税申告の経験がある税理士を選びましょう

近所の税理士を探す

もし近所に税理士事務所があったり、同じリゾート会員権を持っている人から紹介してもらえる場合は、まずは相談して見積もりをとってみましょう。

きちんと確認せずに、「近所だし」「知人の紹介だし」という理由だけで契約をしてしまうと、後になって相続税申告の経験が無いことが判明するなど、トラブルの元になります。

相談の際にリゾート会員権を相続することを伝え、きちんと対応してもらえるか確認することが大切です。

まずは無料相談やメール相談を利用する

以前は「税理士報酬規程」によって税理士への相談料は一律で決まっていましたが、平成14年に廃止となって以来、相談までは無料で応じてくれる事務所が多くなっています。

これを活用し、まずは無料で相談してみるとよいでしょう。

リゾート会員権の相続税についての知識と経験があるかどうか、確認してから依頼すれば安心です。

相談予約はホームページから簡単に申し込めますので、手間や時間もかかりません。

当サイト「すてきな相続」なら全国から税理士を探せます

税理士を探す際はぜひ当サイト「すてきな相続」をご活用ください

全国の相続対策に強い税理士事務所と提携していますので、「リゾート会員権の相続で困っている」など、個別の悩みにマッチした税理士をご紹介することができます

紹介はもちろん無料です。

税理士選びで迷ったら、まずは「すてきな相続」コンシェルジュへご相談ください。

まとめ

以上、リゾート会員権など特殊な財産の相続税評価方法についてご説明しました。

リゾート会員権やゴルフ会員権の相続税評価は、客観的な取引相場があれば別ですが、そうで無い場合は評価方法が難しくなります。

また、知的財産権は補償金の額や年数を見積もることが難しく、場合によっては著作権や特許権の専門家の意見を取り入れなければならないこともあります。

つまり、恣意的に見積もることはできないということです。

したがって、もし本コンテンツに記載されている類の財産を相続することになった場合は、その評価方法や相談先のコーディネーターとして税理士に相談することをお勧めします。

2019年2月27日
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2019年2月27日
相続財産にゴルフ会員権がある場合の相続税評価
監修者太田諭哉
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公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
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