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お金や不動産以外を相続する場合について説明しています。墓地や仏壇、ゴルフ会員権、自動車、保険金、株式、会社、宝石、貴金属などを相続する場合の注意点やポイントについてまとめています。

2019年2月13日 水曜日

ゴルフ会員権を相続した場合も相続税の対象です

相続といえば現金や株、不動産や車などを思い浮かべますが、ゴルフ会員権も相続の対象となります

ゴルフ会員権とは、会員制のゴルフ場を利用できる権利のこと。

亡くなった人がゴルフ会員権を持っていたら、相続人は引き継ぐことになります。

ゴルフ会員権売却により利益が出た場合は、相続税と所得税双方にかかる税負担が大きくなります。
相続税申告期限から3年未満に売却すると、税負担が軽減される特例措置が適用されるためお得です。

ゴルフ会員権を持っていた場合、どうやって相続税評価をすればよいか確認する必要があります。
今回は、その方法や取引相場の調べ方をご紹介します。

ゴルフをしない人がゴルフ会員権を相続したら、どう売却すれば良いのかも見ていきましょう。

ゴルフ会員権とは?

ゴルフ会員権とは、会員制ゴルフ場の会員の権利のことです。

会員になると、優先予約ができたり割安料金でプレーできたり、ゴルフ場の様々な特典を受けられます。

ゴルフ会員権の相場はピンからキリまでありますが、安いところは50万円から、相場は100万円程度です。

以前は、ゴルフ会員権を持っていることは一種のステイタスでしたが、最近はお手頃価格のゴルフ会員権が増えています。

会員制ゴルフ会場によって、コースの状況、状態、管理、設備などに差があり、ゴルフ会員権の価値も変わります。

さて、両親がゴルフ会員権を持っている場合、亡くなった際にゴルフ会員権を引き継ぐことがあります。

ここからは、ゴルフ会員権を相続した場合の手続きを見ていきましょう。

まず、ゴルフ会員権を相続できる人は1人ですので、複数人の相続人がいる場合は、誰が相続するかを決定する必要があります。

続いて、ゴルフ会員権を相続する前にゴルフ会員権証券を確認します。

ゴルフ会員権証券とは、亡くなった方が会員であったことを証明するものです。

亡くなった人が所有していたゴルフ会員権証券には、ゴルフ場名、額面金額の記載があります。

相続にあたっては、このゴルフ会員権証券と一緒に必要な書類を揃えてゴルフ場に提出します。

①戸籍謄本もしくは除籍謄本

亡くなった人(被相続人)と相続人の関係を証明するものです。

亡くなった人が婚姻や転籍などで戸籍から除かれている場合は除籍謄本が必要です。

②相続同意書

亡くなった人のゴルフ会員権を相続人へ相続することを証明する書類です。

ゴルフ会員権は1人にしか相続できません。

相続人が複数人いる場合は、全相続人の住所、氏名、実印押印等を記載した相続同意書を作成する必要があります。

相続同意書は、ゴルフ場によってはフォーマットを指定している場合があります。この点はゴルフ場に問い合わせてみてください。

③印鑑証明

相続同意書に押印した全相続人の印鑑証明書。

④改製原戸籍

相続人が実際に何人いるのかを確認するための書類。

これらが主な必要書類ですが、ゴルフ場により異なる場合があるので、詳しくは対象のゴルフ場に問い合わせてみてください。

ゴルフ会員権の相続税評価方法

ここからは、ゴルフ会員権の相続税評価の方法を見ていきましょう。

ゴルフ会員権は、取引相場の有無により相続税評価の方法が変わります。

▼ゴルフ会員権の相続税評価の方法

⑴取引相場のあるゴルフ会員権

⑵取引相場のないゴルフ会員権

亡くなった人がゴルフ会員権を持っていた場合は、会員権の内容をよく確認する必要があります。資産としての性質がないゴルフ会員権は、相続税評価はゼロとなります。

取引相場のあるゴルフ会員権

取引相場のあるゴルフ会員権は、基本的に次の算式のとおり評価します。

▼取引相場のあるゴルフ会員権の相続税評価

被相続人が亡くなった日時点の取引価格×70%

取引価格に含まれない預託金がある場合は、預託金の価値を含めた金額で評価します。

▼直ちに預託金が返還される場合

ゴルフ会員権の相続税評価=課税時期の取引価格×70%+返還される預託金等

預託金等の返還までに一定の期間がある場合は、返還される預託金等の額を現在価値に割り引いて計算します。

▼一定期間経過後に預託金が返還される場合

被相続人が亡くなった日時点の取引価格×70%+預託金の金額×返還までの期間に応じた基準年利率による複利現価率

預託金の金額は、返還されるまでの期間の金利にあたる部分を割り引いて評価します。

基準年利率と複利現価率は国税庁ホームページに掲載されています。

取引相場のあるゴルフ会員権の相場もゴルフ会員権を取り扱うサイト(ゴルフホットライン、ゴルフダイジェスト、日経ゴルフなど)から調べることができます。

取引相場のないゴルフ会員権

取引相場のないゴルフ会員権は、会員権の形態により以下の通りに評価します。

株主のみが会員になれる会員権は、財産評価基本通達に従い、課税時期の株式評価を行います。

▼株主でなければ会員になれないゴルフ会員権

上場株式の株価や会社の純資産価額などを参考にして計算します。

▼株主が預託金を預託しなければ会員になれないゴルフ会員権

返還される預託金の金額で評価しますが、預託金が一定期間経過後に返還される場合は以下の通りです。

返還される預託金の金額×返還までの期間に応じた基準年利率による複利現価率

株主が預託金を預託しなければ会員になれないゴルフ会員権の場合、株式と預託金等を分けて評価します。

預託金の評価額は、すぐに返還を受けられる場合はその金額、返還までに一定期間が必要な場合は現在価値に割り引いた額となります。

すなわち、預託金がすぐに返還されるか、返還まで一定の期間が必要かによって評価額が異なります。

取引相場の調べ方

ゴルフ会員権の取引相場には、売価格買価格があります。

相続税評価をするときは売価格と買価格の平均値を使うため、調べておく必要があります。

基本的には、ゴルフ会員権の取引業者に問い合わせると分かります。

Webサイトからでも取引価格を調べることができる場合が多いので確認してみましょう。その取引価格を参考にします。

また、業者が新聞に掲載している広告やゴルフホットライン、ゴルフダイジェスト、日経ゴルフからも分かります。

ゴルフ会員権により、証券の額面を返還してくれる場合もあるので、使わない方は市場での売却と比較しましょう。

そして、相続人に名義を替えてからでないと、第三者への売却を認めないゴルフ会員権もあります。

ゴルフ場により名義書換への対応が異なりますので、売却の際はゴルフ場へ問い合わせましょう。

ゴルフ会員権を売却する場合

両親からゴルフ会員権を相続したものの自分はゴルフをしない場合は、売却を検討する方も多いでしょう。

相続したゴルフ会員権を市場で売却する場合、ゴルフ場によって方法が異なります。

相続人への名義書換をすることなく亡くなった人(被相続人)の名義のまま市場で売却できる場合と、相続人への名義書換が必要な場合があります。

通常の場合、ゴルフ会員権を所有するだけではその権利が保障されず名義書換手続きが必要です。

ゴルフ場によって異なりますが、通常は新たに所有する方はゴルフ場に対して名義書換料を支払います

名義書換料は、市場で取引されているゴルフ会員権相場とは別にかかる費用です。

相続時の名義書換料は、市場での第三者間による取引よりも安く設定されていることもあります。

まずは、相続した会員権を市場で売却する前にゴルフ場にご確認しましょう。

ゴルフ会員権を所有すると、メンバー年会費をゴルフ場に支払います。

一方、相続したゴルフ会員権を市場で売却するまでは年会費の優遇措置を行っているゴルフ場もあります。

売却前の名義書換が必要か、年会費の優遇措置があるかどうかをゴルフ場へ問い合わせてみましょう。

相続したゴルフ会員権を市場で売却するまでは時間と手間がかかります。

▼相続税と所得税

ゴルフ会員権を相続した際にかかる相続税と売却した際にかかる所得税があります。

相続したゴルフ会員権を市場で売却し利益が出た場合は、相続税と所得税のどちらも負担になります。

ゴルフ会員権の売却により利益になったか損失がでたかにより計算も変わります。

▼ゴルフ会員権売却時の利益計算方法

売却益(もしくは売却損)=売却収入-取得費用-売却費用

売却収入とは市場でゴルフ会員権を売却した際の費用のことで、取得費用は亡くなった人が支払ったゴルフ会員権購入価格、名義書換料、取引手数料などです。

売却費用は相続人が市場で売却した際の取引手数料などです。

ゴルフ会員権の保有期間に応じて課税対象額が異なります。

▼保有期間の算出方法

保有期間は亡くなった人がゴルフ会員権を取得した日から代表相続人が市場で相続会員権を売却した日までを指します。

5年以上の長期保有の場合は5年未満の短期保有の場合よりも税負担は軽減されます。

ゴルフ会員権を売却して利益が出た場合、相続税申告期限後3年未満の売却であれば、納めた相続税と所得税の負担が軽減される特例措置が適用されます。

ゴルフ会員権を相続してもゴルフ場でプレーをしない場合は、税負担軽減のために相続した後3年未満の売却がおすすめです。

相続したゴルフ会員権を売却して損失した場合は、他の所得からゴルフ会員権の損失分を差し引くことができます。

▼損が出た場合は損益通算

被相続人が購入した金額-(売却額+売却費用)=損失

 

ゴルフ会員権の損益通算が適用されて、所得税の還付と住民税が軽減されます。

相続人は翌年の確定申告で損益通算が可能なので、損失額が大きい場合は、収入の多い方が代表相続人になった方が、還付効果が期待できます。

リゾートグラブやその他会員権の場合は?

ゴルフ会員権の他にもリゾートクラブやその他会員権の場合も相続財産に該当します。

リゾート会員権がある場合の相続税評価をみていきましょう。

財産評価基本通達において、リゾート会員権は明確に規定されていませんが、ゴルフ会員権の評価に準じて以下の通り評価します。

▼リゾート会員権の相続税評価

課税時期における通常の取引価格の70%

 

リゾート会員権は評価額の70%にできるのはいくつか理由があります。

リゾート会員権はゴルフ会員権の取引と同様に、上場株式のように公開された市場で行われるわけではないからです。

会員権取引業者が仲介して行われる場合、所有者と取得者は直接取引する場合もあります。

リゾート会員権やゴルフ会員権の取引形態は様々あるため一定ではないのです。

取引業者が仲介する場合は、価格も業者ごとにより異なることもあります。

リゾート会員権の取引価格は『e会員権フェアマーケット』『リゾート・ステーション』『アスレ』などのサイトでチェックしてみましょう。

自分が相続するリゾート会員権の相場が分からなかった場合は、窓口に直接電話で問い合わせてみましょう。

「リゾート会員権を売却したいので、相場を教えて下さい」と聞くと、教えてくれます。

リゾート会員権の相続税評価をする場合の注意点としては、相続開始日にあたる課税時期を確認することです

公式サイトやリゾート会員権のサイトでは現在の市場価格は確認することはできます。

相続税評価の原則である相続開始日の価格を尋ねることが大切なので間違えないようにしましょう。

まとめ

今回は、ゴルフ会員権やリゾート会員権の相続税評価の方法や取引相場の調べ方をご紹介しました。

ゴルフ会員権やリゾート会員権を持っていた場合、相続税評価するには、まず名義書換が必要になります。

ゴルフ会員権を相続した場合、名義書換手続きが必要となり、ゴルフ場に対して名義書換料を支払います。

ゴルフ会員権売却により利益が出た場合は、相続税と所得税双方にかかる税負担が大きくなります。

しかし、相続税申告期限から3年未満の売却は所得税の優遇が受けられるので早めの売却がお得です。

相続したゴルフ会員権を市場で売却するまでは、意外と時間と手間がかかります。

売却前の名義書換が必要か、年会費の優遇措置があるかどうかなど、ゴルフ場へ問い合わせてみましょう。

ゴルフ会員権やリゾート会員権の相続税申告書を税務署に提出する際は、税理士に相談するのもおすすめです。

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監修者太田諭哉
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公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
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