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お金や不動産以外を相続する場合について説明しています。墓地や仏壇、ゴルフ会員権、自動車、保険金、株式、会社、宝石、貴金属などを相続する場合の注意点やポイントについてまとめています。

2019年2月13日 水曜日

公社債を相続した場合の相続税評価方法

両親が国債や地方債、社債の資産運用をしていた場合、相続人はどうやって評価すれば良いでしょうか?

公社債を評価する場合、券面・額面が評価はもちろんのこと、利息の取扱いや細かい部分も計算する必要があります。
公社債の計算方法は、国が決めた特定のルールにより決められているので専門的な知識が必要です。

今回は、公社債の種類ごとの相続税評価方法をご紹介しましょう。

公社債とは?

公社債(債券)とは、国や地方公共団体、企業など資金調達をするために、多数の投資家から資金を借入れる際に発行する借用証書です。

一般の投資家から資金調達するために発行する有価証券のことで、債券とも呼ばれます。

債券全般のことを公社債、債券と称することもあり、公共債と民間債などの種類があります。

公社債には様々な種類があり、発行者、発行方法により多様に分類できますが、一般的には、国債、地方債、事業債などに分類されます。

公社債(債券)の種類

⑴公共債…国や地方公共団体および公共機関が発行する債券
⑵民間債(社債)…民間の企業や特定の金融機関が発行する債券
⑶外国債(外債)…外国の政府、政府関係機関、事業会社が発行する債券

公共債と民間債はさらに以下に分けられます。

▼公共債
⑴国債
⑵地方債
⑶政府関係機関債

▼民間債
⑴事業債
⑵金融債

公社債の発行者は、投資家に元本の返済と利息の支払いを約束しています

一定期間経過後に元本を償還する義務があり、期中に一定の利子を支払う義務もあります。

公社債の投資家は、元本と利子を受け取る権利を取得しています

元本は償還期限が到来するまで返済されませんが、償還期限前に売却すれば元本を回収することができます。

公共債の場合は、証券会社の他、銀行、信用金庫、保険会社などの金融機関、社債、外債は証券会社のみで扱われています。

相続税評価方法

公社債の評価方法は、債券の種類により異なります。

金融商品取引所に上場されている公社債などの取引価格は、券面額100円当たりの価額で公表されます。

そのため、公社債の評価は券面額100円当たりの価格を基にして行われます。

公社債の評価は、公社債の区分に従い、銘柄ごとに券面額を100円で除した数を乗じて計算します。

公社債の相続税評価の価格

銘柄ごとの券面額100円あたりの価額×公社債の券面額÷100円

証券取引所に上場されている公社債であれば上記のように算出します。

公社債は、利付公社債、割引発行の公社債、元利均等償還が行われる公社債、転換社債型新株予約権付社債があります。

公社債の評価には、銘柄ごとに、区分に基づいて分類し、券面額100円当たりの価額を基準として評価します。

日本証券行協会において売買参考値公表銘柄として選定された公社債や、それ以外の公社債の場合は、評価額の算出方法が変わります。

 

割引発行の公社債の相続税評価

割引発行の公社債とは、券面額を下回る額で発行される債券のことです。

券面額と発行価額との差額(償還差益)が利子に相当する部分に当たります。

 

割引発行に区分された公社債の評価

上場されている割引発行の公社債価格=

(上場されている金融商品取引所が公表する課税時期の最終価格)×(券面額÷100)

日本証券業協会によって、売買参考統計値が公表される銘柄として選定された割引発行の公社債(上場されている公社債および、割引金融債を除く)価額=(その公社債の課税時期の平均値)×(額面額÷100)

その他の割引発行の公社債評価額=(その公社債の発行価額)+(券面額−発行価額)×(発行日から償還期限までの日数に対する発行日から課税時期までの日数の割合)

利付公社債とは券面に利札のついている債権のことで、利払いは年間の一定期日にその利札を切り取って行われます。

利付公社債の評価

①金融商品取引所に上場されている利付公社債

発行価格+既経過利息-源泉税相当額

公社債が上場されている金融商品取引所の課税時期の最終価格に源泉所得税控除後の既経過利息の額を加算した金額により評価します。

②日本証券業協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定された利付公社債

課税時期の最終価格+既経過利息-源泉税相当額

公社債につき日本証券業協会から公表された課税時期の平均値に源泉所得税控除後の既経過利息の額を加算した金額により評価します。

③上記以外の公社債

割引発行の公社債の評価方法

上記以外の利付公社債の評価は、その発行価額に源泉所得税控除後の既経過利息の額を加算した金額により評価します。

公社債相続の注意点

相続する遺産に公社債や株式があったとき、遺産相続する遺産の対象になります。

しかし、公社債や株式は現金や預貯金のようにはっきりと価値が分からないため、公社債を相続するときは注意が必要です。

公社債や株式は日々価値が変わる資産でもあり、どれだけの価値があり、それを評価する方法が決まっています。

株式の場合は、上場株か非上場株かによって評価方法が変わります。

上場株の場合は個人でも比較的簡単に計算できるため、4つの評価額から一番低い金額を株式の評価額として決めます。

非上場株式の場合は原則的評価方式または配当還元方式という方法の評価方法が取られます。

同業他社の上場企業の株価、1株当たりの配当額、会社の純資産額などを参考にして計算する評価方法です。

相続した株式により評価額が変わるため、株式の種類に応じて評価方法も変える必要があります。

公社債も、株同様に日々変化する資産価値です。

公社債で得られる利息からは源泉徴収額が引かれるため、利息は源泉徴収額が引かれた後の金額で計算します。

額面金額から途中で換金したときの調整額を引いたときの金額が評価額です。

しかし、実際に公社債や株(特に非上場株)を計算するのは非常に難しいです。

公社債を相続する場合、かなり細かい評価方式が決まっており、計算方法が複雑なので計算を間違えるリスクもあります。

公社債の価値が購入時より上がっていれば、売却すると所得税が発生します。相続税の申告ミスがあれば税務調査が入り、修正申告が必要です。
修正申告をする場合、本来の相続税に上乗せして追徴税がかかり、さらに修正申告に漏れがあり遅れると延滞税も上乗せされます。

相続税の申告は相続開始から10か月と期限もあり、個人でやろうとすると評価額計算に手間がかかるのがデメリットです。

公社債の評価額を計算するには、公社債の種類を見極めて、正しい価格と税率で計算しなければなりません。

株式や公社債を相続する場合は非常に専門的な知識が必要なので、相続問題に詳しい税理士や専門家に相談すると良いです。

株式や公社債の評価額は正確に出さなければ、相続税が発生する税額も変わります。

正確に株式や公社債の評価額を出して正しく納税するためにも専門家に評価を依頼することをおすすめします。

公社債と株式の違い

企業が資金調達をする際、株式以外に社債発行があります。

公社債と株式はどちらも投資家から直接資金を調達する直接金融です。

両者の違いは、株式は返済の義務のない自己資本の出資証券となりますが、社債は一定期間後に利子を付けて返済しなければなりません。

会社が倒産した場合、株式の場合は株主は出資金を完全に損してしまいますが、社債の場合は破綻等をしても原則的には投資家に返済されるので安心です。

株式は企業は返済義務を持たないため、株式を購入した人は企業の状況を見極めながら購入、売却する必要があります。

社債は株式発行に比べて短期間で発行できて、株式価値に関わらず資金調達できるのがメリットです。

また、社債は途中で手放さない限りは購入した額面が変化することはありません

社債は定められた期間が過ぎれば元本が手元に戻ってきますし、社債を保有している間には利息を受け取ることができます。

社債発行会社は、金利、償還金額、償還日等の社債の条件を決定して投資家を探します。

株式を公開している会社は公募と呼ばれますが、未公開会社が発行するものは私募債と呼ばれます。

一方で株式は値動きが非常に激しく、株式を保有した時点から値動きの変動をチェックしなけばなりません。
さらに、民間の株式会社に投資となるため倒産するリスクがあります。

株式が購入した時よりも値上がりすれば売却後に大きな利益になりますが、値下がりすると損益を出してしまいます。

株式を保有している間も配当を受け取ることができますが、変動が大きく、社債のように常に一定の利息が得られることはありません。

ただし、債券の投資は固定金利型なので、株のように大きなリターンは期待できません。

ちなみに、株式を保有すると企業に対して経営等に関わる意思を示す権利がありますが、社債を保有していても経営に関わる権利はありません。

短期的な場合は債券、長期的な場合は株に投資した方が利益を出しやすい特徴があります。

社債と株式とは特徴やメリット・デメリットがあるので、自分の投資スタイルに合わせて選ぶと良いでしょう。

困ったら専門家に相談しましょう

相続手続き時には、被相続人が所有している財産・資産のすべてを計算します。

社債と株式を相続することになっても、決められた計算方法で評価をして納税する必要があります。

実際にすべてを自分で計算するのはとても難しく専門的な知識も必要です。

被相続人が所有しているもの中でも、住宅や土地、現金やその他の物品よりも株式や公社債は非常にわかりにくいものです。

株式や公社債は、それぞれの時期によって価値が変わるため正しく評価して相続する必要があります。

株式や公社債はいらないと思っても相続放棄するにも手続きが必要になります。

まずは相続する株式や公社債にどれだけの価値があるのか計算しなけらばなりません。

財産や資産の中でも、株式や公社債は大きな額になり税金にも関わるため、分からないことは専門家に相談することをおすすめします

相続する遺産には株式や公社債などのプラスになるものだけでなく、借金やローンなどの負債も相続の対象になるため注意が必要です。

株式や公社債の場合、自分にとってマイナスの遺産になるかもしれませんし、時間と手間をかけて相続する価値があるのかわからないという方もいるでしょう。

そのような相談も専門の弁護士や税理士に相談すると解決してくれます。

遺産相続においてはトラブルに発展すると、家族間の関係も悪化してしまうことがあるのです。

株式や公社債においては遺産相続のトラブルにはなりにくいですが、大きな額になれば配分など問題も出てくることがあります。

自分ですべてを行うと、相続税の申告ミスがあると修正申告が必要になり上乗せの追徴税もかかります。

分からずにモタモタしていると修正申告に漏れがあり遅れると延滞税も上乗せされるので、余計にコストがかかってしまいます。

そのため、初めから株式や公社債の相続に詳しい専門家の税理士や弁護士に依頼した方が安心です。

どう進めればよいのか、評価のやり方までもまとめて専門家に依頼することができます。

書類を正確にミスなく漏れなく準備するためには、専門家の力を借りれば、トラブルを防ぐことにもなります。

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監修者太田諭哉
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公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
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