> 相続対策 > 相続対策一覧 > 相続に関する相談窓口 > 相続が開始されたらまずは相談窓口へ
【相続に関する相談窓口 】
相続に関する相談窓口について説明しています。相続には専門知識が必要です。分からない点、不安な点がある場合は相続の専門家に相談しましょう。どのような相続に関する相談窓口があり、それぞれどのようなケースで相談相手として選ぶべきかをまとめています。

2019年2月25日 月曜日

相続が開始されたらまずは相談窓口へ

多くの人にとって、相続を経験することは長い人生においても数えるほどでしょう。

そのため、相続について十分な経験や知識を持っていないのではないかと思います。

にもかかわらず、相続が開始してからすべての相続手続きを自分ひとりで行おうとすると、場合によっては無駄な徒労となるだけではなく、本来得ることができた権利を知らずに失ってしまうなど、取り返しの付かないことになる可能性もありあます。

そのような事態を防ぐために、本コンテンツでは相続における相談窓口の重要性をご説明します。

相続の開始

相続開始の時期

民法第896条「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」に規定されているとおり、相続は被相続人が亡くなると同時に開始します

つまり、相続は被相続人の存命中に発生しません。

生前に被相続人の財産を親族などに移し変えることは「生前贈与」です。

対象の相続人

相続人には、大別して2つの種類があります。

1つめは被相続人の配偶者、すなわち「配偶者相続人」です。

ここでいう配偶者とは、役所に婚姻届を提出して民法上の正式な婚姻関係にある異性と定義されています。

法的な婚姻関係は無いが同居して生計を一にしている、いわゆる事実婚の状態にある人や、あるいは単純な恋愛関係にある愛人は、相続人としての配偶者とは認められません。

2つめが被相続人の血縁者、すなわち「血族相続人」です。

被相続人の子ども、父母・祖父母などの直系尊属、あるいは兄弟姉妹が血縁者として相続人に該当します。

また、被相続人の子どもや兄弟姉妹が被相続人の相続発生前に死亡していた場合は、孫や甥・姪が代襲者として相続できます。

この他、未出生の胎児や、父親が認知した非嫡出子も相続人になることができます。

なお、配偶者相続人と血族相続人を総称して「法定相続人」ともいいます

上記に該当せず被相続人と血縁関係の無い特定の第三者である場合でも、被相続人が遺言で特定の人に財産を譲る旨の意思表示をしていた場合、その人は「受遺者」として相続人になります。

また、「被相続人が死亡したら、その遺産を特定の人に無償で譲る」旨の死因贈与契約を契約していた場合、その人は「受遺者」として相続人になります。

このように、相続人の範囲は広いのです。

なお、法定相続人に該当する人でも以下の場合は相続人になることができません。

1つめは、相続を放棄した人です

民法第民法第939条「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」にあるとおり、相続を放棄した人はその時点で既に相続人ではないとみなされます。

なお、遺産分割協議の場で相続放棄を意思表明するだけでは不十分であり、民法第938条の規定により定められた相続放棄の申し出・手続きを家庭裁判所あてに行い、それが受理されてることで相続放棄となります。

2つ目が、相続欠格者です。

民法第891条では、相続欠格に該当する事由として以下を定めています。

一 故意に被相続人又は相続について先順位もしくは同順位にある者を死亡するに至らせ、または至らせようとしたために、刑に処せらた者

二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、または告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、または殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。

三 詐欺または強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、または変更することを妨げた者

四 詐欺または強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、または変更させた者

五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、または隠匿した者」

上記に制限列挙された事由に該当する相続人は、相続欠格者として当然に相続権を失います。

3つめが、廃除された相続人です。

相続人の廃除について、民法第892条では「遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる」と規定しています。

つまり、遺留分を有する推定相続人が被相続人に対する非行を働いた場合、被相続人の廃除の意思を家庭裁判所が認めることで推定相続人から廃除され、相続権は失われるのです。

廃除またはその取消は、被相続人の申立てあるいは遺言による廃除またはその取消意思の表示があるときは遺言執行者による申立てにより、家庭裁判所が審判することになります

相続開始後には遺産分割協議がある

民法第898条によりますと、相続発生時の遺産は「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する」とあります。

しかし、相続発生による相続人間の遺産の共有関係は、基本的に遺産分割によって最終的には消滅する一時的なものです。

相続人が1名であれば遺産は一括して当該相続人が包括承継するだけですが、相続人が複数人いる場合は全ての遺産が相続人全員が共同で相続することになります。

土地や建物など不動産だけではなく預貯金や有価証券までも当然に相続人全員の共有となりますので、このような状態では権利関係の面からどの相続人も遺産を有効に活用することが難しくなります。

したがって、共有状態にある遺産は例えば自宅不動産は配偶者・預貯金は相続人全員で均等に分けるなどというように、相続人それぞれの相続割合を決めてその割合に応じて分割し、それぞれの相続人に帰属させるようにしなければなりません。

これが「遺産分割」であり、遺産分割によって遺産の共有関係は消滅します

遺産分割は民法第906条「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」とあるとおり、遺産の種類や各相続人の状況などを考慮したうえで行われます。

しかし、遺産分割は民法第907条第1項「共同相続人は、次条の規定(被相続人による遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる」にあるように、被相続人が遺言で指定した方法以外の遺産分割協議そのものを禁止している場合あるいは遺言の執行者が遺言の内容と異なる遺産分割に反対した場合以外は、原則的に相続人間の協議が行われ相続人全員の合意によって決定されるのです。

これが「遺産分割協議」です。

相続人間の協議分割の場合、すなわち遺産分割協議の結果として民法の原則である法定相続割合と異なる分割割合あるいは被相続人の遺言とは異なる分割割合になったとしても、それが遺言執行者(被相続人に代わって遺言の内容を実現することを託された人)の同意を得ており、かつ各相続人の自由な意思に基づくものである限り有効です。

よくある相続トラブル事例

相続においては、以下のようなトラブルが多く聞かれます。

遺産分割協議がまとまらない

遺産分割の割合などについて相続人間で話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所で調停分割や審判分割をすることになり、ややもすると裁判に移行することも考えられます。

もし相続税の申告・納付期限(相続が発生してから10ヶ月以内)まで遺産分割協議が調わない場合は、いったん法定相続割合で分割したものと仮定し、各相続人は相続税を申告・納付します。

遺産分割協議がやり直しになった

遺産分割協議後に新たな遺産が見つかった場合は、遺産分割協議のやり直しや、新たに見つかった遺産について新たに遺産分割協議をすることになります。

もし相続税を納付後に新たな遺産が見つかった場合は、すでに納付した相続税について修正申告を行う必要があります。

相続する不動産の名義が先々代のままだった

たとえば自宅不動産について、亡くなった父親が祖父から相続したときに相続登記手続きをしていなかったために、登記簿等本上の不動産の名義が祖父のままであったということがあります。

法的にはそのままでも問題ありませんが、今後の売却などを見据えた場合は祖父の代から遡って相続登記をやり直し、遺産分割協議の結果どおりの登記名義にしなければなりません。

父親と祖父の相続人を探すことは、非常に手間と時間が掛かります。

また、相続人の中で亡くなっている人がいる場合は、さらにその相続人を探して同意などを得る必要があります。

なかには、非協力的な人や金銭的な見返りを要求してくる人が出てくる可能性もあります。

相続で困ったらまずは相談窓口へ

相談窓口の種類

税理士

税理士に依頼できるのは、税金に関する諸々の相談や、相続人の代理人として相続税を申告するための書類作成および税務署への申告です。

これらの業務は、税理士法の規定により税理士にしかできません

弁護士

弁護士は税理士と異なり、相続人の代理人として相続税を申告することはできませんが、相続に関するさまざまなアドバイスや、代理人としてトラブルへの対処を依頼することができます。

たとえば、相続する財産の取り分をめぐり他の相続人と揉めることになってしまった場合、さらに調停や裁判などの裁判所の介入を余儀なくされた場合相続人の代理人は弁護士しかなることができません

行政書士

行政書士は「町の法律家」として、わたしたちの身近な存在です。

相続において、行政書士には戸籍謄本の収集、遺産分割協議書の作成が依頼できます。

ただし、弁護士や税理士と異なり代理行為はできません

司法書士

司法書士には、被相続人および相続人を確定させるための戸籍謄本の収集を依頼することができます。

また、相続する不動産の権利部(所有者の住所・氏名や抵当権などの内容)に関する登記を依頼することができます。

相談窓口で相談するメリット

相続手続きは非常に複雑かつ専門的な知識を要し、相続を経験された多くの方々から「相続手続きは自分ひとりで行うべきものではない」という声を聞きます。

多少の費用が生じたとしても税理士や弁護士などの専門家に任せたほうがご自身の時間を有効に使えますし、間違いも起きにくくなるでしょう。

税理士がおすすめ

相続業務を専門にしている税理士であれば、相続税をはじめとする相続全般のことを相談することができます

相続税の計算や申告を税理士に依頼する人は多くいます。

ただし、相続税の計算や申告の代理を税理士に依頼することは法律で義務付けられているわけではなく、これは個人でも行うことができます。

このため、本屋に行けば税金の専門書が手に入りインターネットでは税金に関する情報が溢れているわけですから、各種の税金対策についてわざわざ税理士に相談する必要は無いと言う人もいます。

しかし、本当にそうなのでしょうか。

確かに相続税の計算や申告を税理士に依頼すると、費用面でデメリットがありますが、その費用を上回るメリットも期待できます。

相続税について何も知らない人が単独で相続税の申告・納付を行なった場合、誤った知識に基づいた計算処理などにより必要以上に多額の税金を支払ってしまうことが考えられます

あるいは過少申告となり、悪質と判断された場合は税務署から追徴課税などが課されてしまうリスクもあります。

この点で、税理士の主要業務のひとつである「税法等に沿った正しい会計・税金の計算処理ができているか監督・指導すること」に基づき、税理士は十分な知識と経験により相続人が支払うべき相続税について、法に照らして適正な金額から過不足が出ないように計算します。

つまり、税金を支払いすぎたり過少申告となるリスクを排除することが可能となるのです。

また、税理士からは相続税対策に関する適切なアドバイスも受けることができます。

あくまで相続税対策は法律が想定している範囲内で行うべきものであり、善意・悪意を問わず素人判断でこれを逸脱すると、脱税行為とみなされ処罰を受けることも考えられます。

このような事態を防ぐためにも、相続税対策を検討する際はプロである税理士と相談しながら進める方がよいでしょう。

相続税は非常に複雑であり、専門的な知識と経験が必要です。

それは相続税について何も知らない人が、本やインターネットなどから一朝一夕で身に付けることが可能なものではありません。

相続税について知識ゼロの人が税理士並みになるまでは、膨大な労力と時間を要します。

それならば、相続税のことは税理士に任せておく方が合理的と言えるのではないでしょうか。

このように、多少のコストが生じたとしても税理士から時間と知識を「買う」ことは大きなメリットになるのです。

まずは相談窓口へ

大切なことは、一人で悩まないことです。

一人で悩んでいるうちに時間だけが経過し、取り返しのつかないことになる場合もあるのです。

相続が発生したらすべてを一人で終わらせようとせず、早めに相談窓口に行ってみましょう。

2019年2月25日
相続税で悩んだら専門家に相談しましょう
2019年2月25日
相続に関するトラブルは司法書士に相談するべき?
監修者太田諭哉
詳細≫
公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
詳細≫
税理士を探す

都道府県(事務所所在地)

北海道・東北
関東
北陸・甲信越
東海
関西
中国
四国
九州・沖縄

その他の条件

税理士事務所名
税理士名
対応エリア
相談内容
対応体制
税理士の紹介を依頼する
0120-962-680
受付時間 / 10:00〜19:00