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【不動産の相続 】
不動産の相続について説明しています。マンション、土地、貸家建付地、山林など不動産の種類によって、評価額の計算方法が異なります。また相続税の求め方も異なりますので、不動産を相続する場合は注意しましょう。

2019年1月30日 水曜日

マンション相続するといくらかかる?相続税の計算方法

遺産を相続すると、相続したものの評価額によって決められた相続税を収める必要があります。

特に、マンションなどの不動産を相続する場合、納める相続税は高額になりやすいと言われています。

そこで、マンションを相続した場合、一体どれくらいの相続税が必要となるのか、その計算方法を一緒に確かめていきましょう。

目次

相続税とは

まずは、相続税とはどのような税金なのか、基礎となる部分から解説していきます。

相続税の概要

相続税とは、亡くなった人から相続あるいは遺贈などによって取得した財産の合計金額が、規定の金額を超える場合に納めなければいけない税金です。

この規定の金額を基礎控除額と呼び、基礎控除は相続人全員に定められた控除となっています。

つまり、相続人はどのような人でも基礎控除の範囲内の財産を相続するのであれば、相続税を納める必要はありません

基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の計算式で算出されます。

例えば、妻と子供が財産を相続する場合には、3,000万円+600万円×2=4,200万円となり、財産の合計金額が4,200万円以下であれば相続税は必要ないのです。

相続税の対象となる財産

相続税は財産を相続する場合に必要となる税金ですが、実は相続税の課税対象になる財産とならない財産があります。

そこで、それぞれのケースの財産について確かめていきましょう。

まずは、相続税の課税対象となる財産です。

  • 不動産:土地、建物
  • 金融財産:現金、預貯金、株式など
  • 上記以外:自動車、家具、貴金属、各権利など

続いて、非課税の対象とならない財産を並べていきます。

  • 墓石、墓地、仏具など
  • 宗教施設や学校経営などを行っている場合の寺社や校舎など、公益性が高いもの
  • 死亡保険金や退職金:「500万円×法定相続人の数」の金額まで非課税

それぞれのケースの代表的な財産を記載しましたが、覚えておきたいのが墓石や墓地などが非課税となるという点です。

つまり、これらのもの以外は相続税の課税対象となる可能性が高いため、相続税が課税されるものと考えておくことで、相続税への準備に大きく役立ちます。

また、海外にある遺産は非課税になる場合があり、借金などがある場合はマイナスの遺産となり遺産総額から減額されます。

そのため、遺産のある場所やマイナスの遺産についても注意深く調べておくことも大切です。

相続税を納めなければいけない場合

課税対象となる財産を相続すると相続税を納めなければなりませんが、一方で相続人とまとめられる中にも、相続税を納める義務がある人が細かく法律で定められています。

では、どのような人が相続税を納めなければいけない相続人となるのでしょうか?

  • 遺産を相続した(もらった)方
  • 相続が起きる前の3年以内に財産を贈与された方(生前贈与)
  • 相続時精算課税が適用された財産をもらった方(生前贈与)

基本的には、財産を相続した人は相続税を納めなければいけません。

ただし、生前贈与を行う際には別途贈与税が必要となりますが、注意が必要なのが「相続時精算課税制度」です。

相続時精算課税制度は、2,500万円までの贈与税控除を得る代わりに、相続時に一括して相続税を納める制度です

例えば、5,000万円の財産を相続する場合、相続時精算課税制度を活用して2,500万円を生前に受け取ると贈与税は必要ありません。

しかし、亡くなった後残りの2,500万円を相続する場合には、生前贈与分を合わせた5,000万円に対する相続税を納めなければいけません。

つまり、相続時に相続する財産は基礎控除額以下でも、相続税が発生する可能性があるのです。

そのため、生前贈与の場合には特殊な相続税が発生する可能性がありますので、十分注意が必要です。

申告と納税期限

基礎控除額以上の財産を相続する場合には、税務署へ相続税の申告と納税を行います。

これらの手続きは、相続が発生したことを知った日、つまり被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月までに終わらせなければいけません

時間があるように感じますが、遺産分割協議を終わらせたり、現金が用意できない場合には不動産を売却したりする必要がありますので、意外にこの期限はあっという間に過ぎていきます。

そのため、相続が発生する前から財産について調べ始めておき、期限内に申告と納税を終わらせられるように準備しておきましょう。

相続税の計算方法

続いて、実際に相続税を算出するための計算方法について説明していきます。

基本となる計算方法

相続税を計算する場合、相続する財産の金額が基礎控除を超えているかどうかを判断しなければいけません。

そのため、その計算式は以下のようになります。

「基礎控除額-遺産総額+生前贈与の金額−借金や葬式費用の控除など」

この計算式を用いてプラスになる場合、その金額が相続税の課税対象金額となります。

そして、課税対象金額に対して定められた以下の税率や控除額を用いて税額を算出します。

取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% 0円
1,000万円超~3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超~5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超~1億円以下 30% 700万円

取得金額とは、実際に相続をする人ごとの金額となっており、相続人一人ひとりの相続金額に応じて相続税が計算されます。

そのため、遺産総額に対する計算ではありませんので、対象となる金額には十分注意しましょう。

相続税の計算例

それでは、以下の例を元に実際に相続税を計算してみましょう。

なお、基礎控除以外の控除や非課税財産などについては、今回は計算を簡単にするため考慮せず計算します。

  • 相続人は妻と2人の子供
  • 遺産総額は5,000万円
  • 借金はなし

まずは、基礎控除を除いた遺産総額を求めます。

5,000万円-(3,000万円+600万円×3)=200万円(遺産総額)

法定相続分に照らし合わせると、妻が100万円、子供が50万円ずつが課税対象となる金額です。

そのため、それぞれの相続税額は以下のようになります。

妻:100万円×10%=10万円

子供:50万円×10%=5万円

このように相続税を算出するための計算自体はそこまで難しくありません。

しかし、遺産総額を計算するまでの財産総額の算定が複雑で難しいため、相続税の計算が複雑化してしまうのです。

そのため、財産相続の算定をいかにスムーズに行うかが相続税の計算の大きなポイントになっています。

不動産を相続する場合

さて、今回のテーマであるマンションを相続する場合も、特に相続税の計算方法に変化はありません。

ただし、遺産総額を算出する場合に、土地の価格については以下のような別途特別な計算が必要です。

  • 路線価×奥行距離による奥行価格補正率=1㎡あたりの路線価
  • 1㎡あたりの路線価×土地面積=土地の評価額

土地の価値は日によって変化してしまうため、1年間の土地の基準を定めた価格である路線価を用いて土地の価値を求めます。

しかし、路線価は面積を考慮したものではありませんので、上記のような2つの計算を経て土地の価値を算出します。

そのため、あらかじめ路線価を把握したり、土地の広さや形などをきちんと把握したりしなければ正確な土地の価値を算出することはできません。

マンションを相続する場合

マンションを相続する場合も変わらず、路線価から土地の評価額を算出します。

ただし、これはマンションを1棟相続する場合であり、1室だけを相続する場合や賃貸マンションを相続する場合などは、土地評価額の計算方法は大きく異なります。

  • 1室のみを相続する場合:土地の評価額×敷地権割合
  • 賃貸マンションの場合:自用地の場合の相続税評価額-自用地の場合の相続税評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合

1室のみを相続する場合は、面積の割合から自室のみの土地の評価額を求めます。

一方で賃貸マンションの場合は、基本となる土地評価額に空室率や特別な割合をかけて求めるため、計算式が複雑になってしまいます

しかし、それぞれの数字はあらかじめ公開されていたり、簡単に調べることができたりするため、計算式が複雑だからといって諦めてしまわないように気をつけましょう。

マンションを相続した場合の計算例

それでは、実際にマンションを相続した場合の相続税の計算をしていきましょう。

今回はわかりやすさを考慮してマンションのみを相続した場合を例にし、その他の財産については考えないようにし、以下の例を使用して実際に相続税を計算していきます。

  • 路線価:20万円/㎡
  • 土地面積:400㎡
  • 奥行き補正率:0.9
  • 建物の固定資産税評価額:5,400万円
  • 相続するのは妻と2人の子供

まずは、1㎡あたりの路線価を求めます。

20万円×0.9=18万円

そして、土地全体の評価額を計算します。

18万円×400万円=7,200万円\
建物の相続税評価額は固定資産税評価額と同じなため、土地を含めたマンションの課税対象額は1億2,600万円となります。

ここから相続税を計算していきましょう。

今回の例では、遺産総額は1億2,600万円となりますので、以下の計算式となります。

1億2,600万円-(3,000万円+600万円×3)=7,800万円
それぞれの相続人に法定相続分に照らし合わせて以下の配分で課税対象の金額が割り当てられます。

妻:3,900万円

子供:1,950万円

そして、それぞれの相続税額を計算していきましょう。

妻:(3,900万円-200万円)×20%=740万円

子供:(1,950万円-50万円)×15%=285万円

つまり、この場合の合計相続税額は、740万円+285万円×2=1,310万円となるのです。

特例などによる控除

マンションを相続する場合には、相続税に対するいくつかの特例が使用できます。

そこで、遺産総額から控除ができる特例について考えていきましょう。

配偶者控除

相続税の控除制度の中で最も控除額が大きいのが配偶者控除です。

控除額は、配偶者の法定相続分または1億6,000万円のうち、どちらか高いほうの金額となります。

例えば、3億円の財産を相続する場合、配偶者の法定相続分は1億5,000万円です。

そのため、控除される金額は1億6,000万円となりますので、相続税はかからなくなります。

一方で、もし他の相続人の了解を経て2億円相続する場合には、1億6,000万円が控除されますが、残りの4,000万円に対して相続税が発生します。

例を見れば分かるように、非常に高額な財産を相続する場合以外では配偶者に対して相続税はかかりません。

つまり、今まで計算してきた相続税よりも実際の相続税額は少なくなります

小規模宅地特例

マンションを相続する場合、大きな控除となるのが小規模宅地特例です。

これは、一定の面積の評価額を80%または50%減額できる制度で、活用するかどうかで大きく相続税額が変化します。

小規模宅地特例が適用されるには、一緒に住んでいた配偶者や親族が相続する場合など、条件を満たす必要があります。

しかし、条件自体は難しいものではありませんので、申告期限までに土地を手放さなければ、ほとんどの世帯が小規模宅地特例の対象となるでしょう。

また、賃貸用マンションの場合は、土地面積200㎡までを評価額の50%へ減額できる制度となっています。

この場合は、申告期限までに賃貸事業を継続することなど、別の条件が必要となります。

そのため、相続するマンションに対してどのような条件が適用されるのかを確かめておき、活用できるように準備をしておきましょう。

分譲マンションの場合の相続税は?

賃貸マンションについて先述しましたが、分譲マンションの場合に課される相続税はどうなっているでしょうか。

マンションには低層のファミリー向けマンション、ハイスペックなタワーマンションなど、さまざまなタイプがあります。

低リスクということからマンション人気が高まる今、気になるところですね。相続税の計算方法についても見ていきましょう。

相続税の算出方法

賃貸であっても分譲であっても、マンションには共有部分と専有部分があります。

専有部分は、実際に生活を営む個々の部屋のこと、共有部分は玄関ホールや庭、共用の廊下、エレベーターなど、住人が共有して使用している部分のことを指します。

「分譲マンションを購入する」ということは、部屋と共有部分を購入するということです。

相続税評価から相続税を計算していくには、まずは分譲マンションの共有部分を含めて相続金額を算出して計算しなくてはなりません。

持分割合をもとに算出

専有部分と共有部分をどのように計算するのかというと、まずはマンション全体の相続税の評価額を計算してから持分割合にかけ算して計算します

持分割合とは、マンション全体のうち、購入者が所有している専有部分の割合です。

この持分割合にもとづいて、管理費や修繕費も決められています。また、マンション管理組合の総会の時の議決権の割合にも反映されています。

簡単に言ってしまえば、より広い部屋の住人の持ち分割合が高いということです。

マンションをお持ちの方なら、持分割合について総会で意識をするでしょうが、相続税を計算する時にも登場してくる割合です。

持分割合を確認するには、土地の登記簿やマンションの売買契約書に記載があるので、一度目を通して確認しておくといいでしょう。

具体的には、マンション売買契約書の敷地権の割合項目に記載があります。

「○○○○分の○○○」などという分数で記載されています。

法務局へ出向くなどして登記簿を取得して確認することもできます。

建物と土地の相続税評価

書類などでマンションの持分割合を確認できたら、相続税の評価額を計算します。

マンションの場合の相続税の評価は、一戸建て住宅を相続するのと同様に、土地と建物に分けて計算します。

建物の評価は、固定資産税評価額を使います。

土地の評価は、マンションが立地している場所が市街地の場合には路線価方式、郊外の場合には倍率方式で計算します。

土地と建物の評価額にそれぞれ持分割合をかけ算して相続税評価額が計算されます。

  • 土地の相続税の計算式:相続税路線価×土地の面積×持分割合

小規模宅地等の特例で相続税を節税

先にお伝えした通り、小規模宅地等の特例の適用を受ければマンションの相続税も節約できます。

【例】マンションの土地部分の評価額が2,000万円だった場合の計算方法
    →特例で8割引した400万円が相続税の対象です
 マンションの土地評価額2,000万円に課税される相続税は約250万円ですが、
 評価額400万円に課税される相続税は約40万円です

小規模宅地等の特例の適用で、支払う税金が約210万円も違うのです。
適用条件をしっかり確認し、適用を受けられるように準備しましょう。

マンションは相続税の節税につながる?

マンションを購入して節税する、と耳にしたことはあるかもしれませんが、実際にメリットはあります。

現金を相続する場合は、控除割合が少ないため約30%を税金で納めることになります。

しかし、マンションの場合は建物の高さがあり総戸数が多い分、一戸当たりの土地面積は狭くなる=土地の持分割合が低いので、同じ敷地に建つ一戸建てよりも評価額は少ない状態で評価が計算されます。

また、評価額は現金と比較して格段に安くなります。現金と不動産の評価額については、後で詳しく説明します。

投資用マンションの購入も節税対策になります。
なぜなら、固定資産税や火災保険、修繕費などの経費が掛かるため、所得を少なく見せられるからです。

さらに、投資用マンションに空室が続いた場合、居住者がいるいないに関わらずそれらの経費は掛かりますので、損失として計上し、ほかの所得を減らせるため節税できるといえます。

タワーマンションは総戸数が多い分、一戸当たりの土地面積=土地の持分割合は低く抑えられそうです。

しかし、税制改正がなされ、高層階と低層階の評価額の算定が変更になり、タワーマンションの高層階での節税は厳しくなりました。

現金より不動産のほうが評価額が安くなる

現金で財産を相続する以外に、不動産を購入して相続するという遺産相続の方法があります。

現金で相続したほうが分かりやすく余計な手間が掛からないのですが、そこには理由があります。

実は、現金と同じ金額で不動産を購入してから相続を行うと、その不動産の評価額は購入時の80%まで下がるのです。

相続税はこの評価額を元に計算しているため、現金よりも相続税が安くなります。

マンションを相続した際の相続税の申告手順

マンションを相続する時、申告までにどのような手順を踏んでいかなくてはならないのでしょうか。

順を追って簡単に説明します。

遺言書の確認

相続は、まずは遺言書があるかないかを確認するところから始まります。

被相続人が相続人に遺言書の有無やありかをあらかじめ知らせていればいいですが、そうでなかった場合には遺言書を探すことから始めなくてはならず、この時点でかなりの時間を要することもあります。

相続人と相続財産の確認

遺言書があれば記載されているはずの相続人と相続財産ですが、遺言書がない場合には、まず、戸籍謄本などを取り寄せて法定相続人を割り出す必要があります。

法定相続人の数が分かったら、相続税の基礎控除額の計算式「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を上回るかどうか、計算して確認します。

上回る場合には相続税申告と納付の義務が生じます。

次に、相続財産を探して相続税評価額を計算していかないといけません。

相続財産がマンションだけで、マンションの相続税評価額だけを計算すればいい、というケースはほぼないでしょう。

現金や預金であれば、全て集めてきて、合計金額を計算すればいいだけなので簡単です。

しかし、不動産や株式などの場合、相続税評価額を計算するためには、それぞれの相続税評価額を求める計算式を理解していなければならず、さまざまな種類の相続財産がある場合にはその計算だけで大変苦労をします。

しかし、相続税申告・納付の期限は相続開始から10ヶ月と定められていますので、計算が大変で手を付けないでいる、と現実逃避している時間はありません。

遺産分割協議

相続人全員を集めて遺産分割協議を開き、相続税評価額などの計算を済ませ、相続財産をどのように分配するか決めていきます。

相続人が大勢だった場合や遠方に住んでいる場合には、集まるだけでも一苦労ですので、相続税評価額を計算したり、相続税の税率などを調べて計算したりする時間は、実はとても少ないことがお分かりいただけるでしょう。

相続財産がマンションの1室で、あとは預金が少し、といった場合の協議は難航することが予想されます。

例えば、同じ分割割合の2人の相続人がいた場合、1人がマンションを相続したい場合には、マンションの相続税評価額を計算し、価格の半分の現金を渡すことにすればスムーズに協議が進むでしょうが、そのような高額の現金を持っている人はどのくらいいるでしょうか。

多額の現金が相続財産に含まれていれば、その現金をマンション相殺分として計算し、支払うことができます。

相続税の申告・納付

相続税の申告・納付期限10ヶ月までに手続きを行います。

相続税の納付方法は現金一括で、分割はありません。

税務調査を受けるケースもある

無事に相続税申告・納付を終えたと一安心し、もうすっかり相続税のことを忘れ、亡き人を時折思い出しながらも日常生活に戻っていると、税務署から連絡が入ることがあります。

税務調査は拒否することができませんので、受け入れることになります。

法律上、相続税の時効は5年ですので、それまでに連絡がなければ税務調査は行われないということになります。

売却しやすい

現金よりもマンションなどの不動産のほうが相続税は安くなるといっても、再び現金化するためには売却ができないといけません。

ですので、相続税の節税のために購入する不動産は、どのようなものでも構わない、というものではありません。

売却を視野にいれて不動産を購入する場合には、駅から近い、利便性の高い室内環境など資産価値が高いことを計算に入れて、買い手側の観点から購入するといいでしょう。

現在はマンション人気も高まっていますし、相続税も安いので、マンションを購入して節税するのがいいかもしれません。

ただ、買い手が付きやすい物件を購入しても、買い手に気に入ってもらえるようなきれいな状態に保っておく、ということも忘れてはいけません。

リフォームとなれば余計なコストがかかってきます。

マンションの相続時における注意点

分譲・賃貸ともにマンションを相続する上での注意点がありますの、お伝えしていきます。

複数の相続人で共有は避ける

相続人同士仲がよく、マンションを全員で共有しようとまとまったとします。

全員が大家としてマンションを賃貸に出し、借り手がいる場合には大きな問題もなく時が過ぎていくでしょう。

しかし、マンションの居住者が退室して、新たな居住者を探す時点で、相続人の1人がこのマンションに住みたい、と申し出たらどうなるでしょうか。

駅近など、条件のいいマンションだった場合には、ほかの相続人の中にも住みたいという人が出てきて公平性を保てないかもしれません。

マンションが高騰しているという情報を得て、相続人の1人が売ろうと提案しても、ほかの相続人の了承を得られなければ売却できません。

売却の話でまとまったとしても、契約には相続人に関するさまざまな書類が必要になりますので、遠方に住んでいる場合などは、書類をそろえるだけも大変な時間と労力が掛かります。

さらに、相続人の1人が亡くなると、新たな相続人が出てくることになり、うまく関係性を築けるかどうかは不確実になります。

相続を繰り返してしまうと、顔も見たことのない人同士がこのマンションの相続人になり、もはや誰も手が付けられなくなります。

賃貸マンションは相続後に経営が必要

賃貸マンションを相続した場合は、居住者の募集費用や不動産業者の管理料などをあらかじめ計算しておく必要があります。

相続した時にそれらの費用が掛かるタイミングだった場合には、現金を持っていないと支払いができず、手持ちのお金を計算しても足りない場合は、借り入れも検討しなくてはならなくなります。

また、日本の人口は減少していますので、ステキなマンションだったとしても価格とのバランスで空室になってしまうかもしれません。

空室のままであってもさまざまな費用や固定資産税などは掛かってきますので、どのような計算で黒字化していくのか、マンション経営を学んでいく必要があるでしょう。

相続が終わるまでの間、賃貸マンションの賃料回収を忘れないように注意する

ここでは、相続が終わるまでの間に賃貸マンションの賃料回収についてやさしく説明します。

複数の相続人がいるときは、相続開始から遺産分割確定までのマンションの家賃収入は法定相続分により持分を計算し全ての相続人に清算される事になります。

銀行振り込みや引き落としで回収していた口座は凍結されるため相続人の口座に入金してもらう連絡をとりますが、遺産分割協議の確定までは分配されますので現金管理に注意が必要です。

遺産分割協議が確定し不動産を取得した相続人には、今後の家賃収入を取得出来る反面、賃借人の退去の際には敷金や預かり金などの返金の義務も相続する事になりますのであらかじめ支出の計算もしておくと良いでしょう。

貸し出し中の賃貸マンションを相続した後、売却を希望する場合

相続した貸し出し中のマンションの売却を希望する場合の理由はいくつかあると思いますが、ここでは売却のメリットとデメリット、売却の際のポイントを紹介していきます。

相続したマンションには相続税がかかり相続人となった方は支払う義務が発生しますが、売却を希望する場合にはマンションがどのくらいの価値があるのかをあらかじめ計算しておく事が必要です。

売却した時のメリットには、マンションの売却金額の現金が手元に得られる事で現金納付が原則である相続税の支払が出来る事から相続人の負担が軽減されます。

相続後のマンションの維持費などの支出や経営していく計算などの手間もなくなるため売却を希望される方も多く見られます。

デメリットには、不労所得で得ていた家賃収入が売却により不動産の資産が相続人には残らないという事が挙げられますが、空室状態により赤字経営となる可能性もあるので不動産の資産がなくなる事は必ずしもデメリットになるとは言い切れません。

賃貸マンションを相続した場合には、今後の家賃収入で経営していくリスクを現実的に計算していく事が重要となり、売却を希望の際には時が経つにつれ不動産の価値が下がっていく傾向もありますので、資産価値の高い段階で早めに売却する決断が必要です

分譲マンションは共用部分も登記もある

分譲マンションは、区分所有建物で、居室などの住民が主に居住する専有部分と、廊下やエレベーターなど居住者全員で使用する共用部分があります。

専有部分だけでなく、共用部分についても登記する必要があります。

分譲マンションは自治会など同士の繋がりもある

賃貸マンションであれば、隣人の姿を見たことがないというようなこともあるでしょう。

しかし、分譲マンションには自治会があり、自治会の会員でマンションの修繕計画やマンション内の問題について話し合う場があります。

自治会ですので、役員の制度もあり、役員が回ってくる可能性もあります。

分譲マンションは管理費や修繕積立費などの負担もある

分譲マンションを相続した後、相続税の他にかかる費用としてマンションの管理費や修繕積立費など毎月の維持費、さらに固定資産税の負担がかかりますので計算すると住居費用にかなりの支出がかさみます。

資産を譲り受けたものの支出負担を少しでも軽減計算方法として、相続税を相続人が配偶者であった場合には「配偶者控除」を受ける事ができ相続税の軽減措置により課税対象外となる事もあります。

他には、故人と生計を同一にしていた親族に受けられる「小規模宅地等の特例」という控除が適用される事で相続税の負担を少なく出来る可能性があります。

いずれも対象となる条件や計算方法がありますので、控除を受ける事が出来るのか、相続税の課税対象となっているのか相続税の計算に詳しい税理士などへ相談をおすすめします。

相続人の居住しているのがマンションなどの際には、相続税の他に両方の維持費用や税金が発生しますのでこれまでの2倍になる事もしっかり計算し考慮しなくてはなりません。

相続した分譲マンションは相続税を軽減のために色々な手続きや計算も必要ですし、維持していくための管理費用は毎月のしかかっていく事になります。

被相続人がマンションの室内で亡くなっていた場合、事故物件扱いとなる

事故物件について、不動産業者は事故があった後に初めて入居を希望する人には隠さず伝える告知義務があります。

賃貸・分譲ともに事故物件だった場合は、賃料・価格は安くなるでしょう。

事故物件だから値引き交渉をして安く入れると計算して入居する人は珍しいでしょう。

2人目の入居者には事故物件であることを伝える義務はないのですが、インターネット上に事故物件の検索サイトがありますので、現代では事故はなかなか風化していきません。

相続人の居住地から遠方にあるマンションを相続すると管理がしづらい

相続人の居住地から遠方にあるマンションを相続すると管理がしづらいのは明らかですが、何かトラブルなどがあった時には出向かなくてはならない場合もあります。

マンションを老朽化させないためにも定期的な空気の入れ替えなどが必要ですが、遠方であれば時間と交通費がかかり、さらには宿泊の費用も相続人の負担になりますのでなかなか頻繁に通う事は難しいのが現状です。

遠方のマンションを相続した場合には、マンション管理がしづらい事を念頭に置いておく事と、居住者がいない部屋であれば資産価値も低下していく事も計算しつつ、売却という案も視野に入れる事も必要です。

人口減が進む地方のマンションを相続した場合、売却したくても売れない可能性がある

マンションを売却したくてもなかなか売れない可能性がある要因の一つに、人口減が進んでいる地方のマンションを相続した場合があります。

保有した事により相続税や維持負担などが大きくなっていく可能性も考えられるので思い切った決断が大切です。

地方の不動産会社へ足を運び売却を依頼したりインターネットで査定をしてもらい仲介を依頼する事も出来ますが売却までの時間がかかる事もあります。

売却したい意思が強い場合は、査定額を下回る覚悟で直接不動産会社へ買取をしてもらう方法もあります。

地方のマンションを相続する場合は、相続税の負担の他にそういうリスクとなる計算も頭に入れておく必要があります。

また中立の立場である不動産専門の税理士に売却の仕方や収支計算などを相談してみてはいかがでしょうか。

 

また、地方のマンションの購入前に、将来の物件の価値を計算した上で相続税対策として購入できればいいですが、そのようなことはできるでしょうか。

不動産経済研究所が2020年2月20日に発表した「全国マンション市場動向2019年(年間のまとめ)」によると、東京都心部の価格は高止まりしていて、東京都下や埼玉県、千葉県の価格も上昇しています。

地方のマンションも需要があるから価格が高騰しているのだと思うのが普通でしょう。

現在は価値が高いかもしれませんが、このままの価値を維持していくことはできるでしょうか。

日本は今後、人口が減少すると計算されています。

当然、マンションに住む人も少なくなる計算になりますから、数年後、数十年後の価格はどうなっていくのでしょう。

日本の人口減少問題について記された書籍「人口減少×デザインー地域と日本の大問題を、データとデザイン思考で考える」(筧裕介著、2015年英治出版発行)の特設サイトでは、各都道府県・市町村の将来の人口を計算しシミュレーションすることができます。

サイトでは日本の人口は2030年に1億1,662万人であるものが、2050年で1億人を切り9,707万人に、2,100年には4,996万人になるという計算値が示されています。

相続税対策のマンションを実際に相続する時期を具体的に想像された方もいらっしゃるかもしれません。

このサイトでは、自治体ごとの人口予測も計算され表示されます。

例えば、マンション価格が上昇した千葉県の中でも、東京に隣接し人気のベッドタウンになっている市川市の人口減少の計算値を見てみると…2010年には人口約418,000人、10年後の2020年には約409,000人、20年後の2030年には約387,000人、30年後の2040年には約355,000人、50年後の2050年には約319,000人、60年後の2060年には約278,000人です。

人気の街でさえ、2010年から60年後の人口を計算すると66%に減少してしまうのです。

それでも、駅近物件であればマンション価格は維持できるかもしれませんので、相続税対策として有効かもしれません。

相続税対策としてマンションの購入を検討するときには、こうしたサイトなどを利用して、将来の価値について考えてみると良いでしょう。

内縁の妻など相続権のない同居人が住んでいるマンションの場合

内縁の妻など相続権のない同居人が住んでいるマンションの場合は、所有者である「夫」が亡くなった際にはどうなるのでしょう。

婚姻届が未提出のため法律上では配偶者とは認められず税金や保険、年金などの優遇制度を受ける事が出来ませんし内縁の妻に相続権も認められないので相続税も生じません。

しかし、いくつか保護されているものがありますので説明していきます。

一つは「遺言書に相続の記載してもらう」事で、相続財産を受け取り人として記載があれば適切に相続出来ます。

次に「特別縁故者」になるために家庭裁判所に申し立てを行う方法ですが、法廷相続人にあたる全ての人が相続を放棄した時のみに申し立てが出来ます。

家庭裁判所で認められれば相続財産を受け取る事が可能になり相続税も発生します。

遺言書の作成方法や計算手続きなどは生前の間に話し合う事が必要で、専門家に立ち会ってもらい正式に遺言書を作成した方が良いのかも知れません。

他人に貸しているマンションで、相続後立ち退きを迫る場合

相続するマンションが賃貸に出されていた場合、今後も賃貸経営を継続するかどうか検討する必要があることを先に述べました。

検討の結果、賃貸経営を諦め売却をする場合や相続人自らが居住する場合などは、マンションに住む人に立ち退きを迫らなくてはなりません。

期間を定めた通常の賃貸借契約では大家から借り主に解約を申し入れるのは、6ヶ月前までとされています。

賃貸の期間を定めていない時は、解約申し入れから6ヶ月を過ぎたときに解約の効力が生じるとされています。

借地借家法28条には、解約の申し入れには正当な理由が必要であり、 正当事由なくして解約はできないと明記されています。

大家が借り主に立ち退きを求める理由は、社会通念上で正当と思われるようなものということです。

しかし、この理由はあっても、借り主が立ち退きをしない場合があります。

こうした場合には、転居費用などから立ち退き料を計算し、支払えば立ち退きをしてもらえる可能性があります。

立ち退きをしてもらえない場合には、賃貸借契約を継続したままで、所有者を変更する、一般的にはオーナーチェンジと呼ばれる方法もあります。

立ち退きをしてもらえない場合には、専門家に相談し策を練ることをおすすめします。

日本以外の国にあるマンションを相続する場合

日本以外の国にあるマンションを相続する場合「国際相続」と言い、日本人が相続人となっている海外のマンションには日本の相続税の計算方式が適用され課税の対象となります

しかし、海外には路線価がないため、市場価格などを調べたり専門家に評価の査定を委ね相続税の課税計算を依頼する事となっています。

不動産の評価は日本円で計算されますので、円高になった際に相続すると相続税を抑える事が出来ますが、相続のタイミングを計算出来ない事から生前贈与によって相続税の負担軽減という方法もあります。

日本の不動産の相続税には節税の計算も可能になりますが、海外の不動産には市場価格と相続税評価額に「かいり」がほぼ生じないため相続税の節税計算するには不向きと言えるでしょう。

相続税対策にマンション購入を検討されている方向けの注意点

相続税対策にマンションを購入するといい理由や評価額の計算方法などをお伝えしてきましたが、購入に乗り気になってきたところに水を差すようですが、注意点も述べていきます。

購入に前のめりになっている方も、残される側、相続人が将来的にどう活用していくかも考え、さまざまなことを計算した上で購入しましょう。

相続人にとってプラスかマイナスかを考えましょう

「相続税対策に現金を不動産に変えておこう」と考えて、購入を検討し始めている方は、相続人にとってプラスかマイナスかも計算し、検討してみましょう。

相続人がマンションを相続したら、そこに住むか、賃貸経営に出してくれればいい、と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

もしも、相続人となる方が転勤族だった場合はどうでしょう。

マンションを管理するために不動産会社と契約して管理してもらう必要があります。

不動産会社の管理費用を計算すると、家賃収入からの利益は想像より少ないかもしれません。

また、転勤で海外に行ってしまった場合はどうでしょう。

きちんと管理ができているのかどうか、なかなかチェックすることもできず、心に不安を残したまま生活しなければいけません。

明るい未来を想像すると、被相続人の亡き後、相続税対策は計算通りしっかりできた上で、さらに不動産価格が高騰し、相続人は売却することで多額の利益を得ることもできるかもしれません。

被相続人の独断と偏見で相続税対策用にマンションを購入するのではなく、できれば相続人となる方に一言相談をしてみるといいかもしれません

一緒にマンション管理にかかる費用などを計算し、検討してくれるかもしれません。

自然災害の多い日本では資産価値が下がる可能性も

「自然災害」と聞いて、地震や津波、台風による河川の増水、大雪害など、さまざまな災害を思い浮かべる方がいらっしゃるのではないでしょうか。

日本には四季がありますので、もともと気候の変化は大きい土地柄ではありますが、最近は温暖化現象と見られる台風も巨大化しつつあります。

2019年に起きた台風19号が引き起こした災害もご記憶にある方がいらっしゃるかもしれません。

都心部のマンションのそばを流れる河川が決壊したことにより浸水し、トイレやエレベーターが使えませんでした。

自然災害の多い日本では、場所によっては不動産の資産価値が下がってしまう可能性もあります。

100年に1度、1,000年に1度などという自然災害に遭うこともありますので、計算外のことも起こり得ます。

相続税対策にマンションを購入するのであれば、自然災害の程度もよくよく計算した上で、資産価値を保てる場所のマンションを購入したいですね

相続人が先に亡くなる可能性もゼロではない

相続税対策として相続人にマンションを購入し残そうと思っていたのに、相続人が先に亡くなってしまうこともあり得ない話ではありません。

せっかく、相続税を計算して、資産価値を保てる場所のマンションを購入しても、水の泡になってしまうことがあります。

その場合でも、運命を受け入れて、マンションをこれからどうしていくのか検討してみましょう。

首都圏のマンションは、2019年10月に不動産経済研究所が発表した2019年度上半期(4~9月)の首都圏にあるマンション市場動向によると、平均価格が1991年度上半期(6137万円)以来、28年ぶりに6000万円を突破しました。

マンションを購入した価格よりも、資産価値がアップしている場合もあります

収益を計算するなどして、相続人が亡くなってしまった悲しみを少しでも忘れる時間が作れるといいですね。

相続税対策の物件増加により、賃貸の競争は激しい

相続税対策としてマンションを購入した場合、マンションを所有しているだけでは何も生み出しませんので、相続人が住むか、賃貸に出すかを考えると思います。

しかし、日本の空き家は増加を続けています。

2019年に公表された「住宅・土地統計調査の概数」調査によると、全国の空き家数はおよそ846万戸(前回調査は約820万戸)で、全住宅に占める空き家の割合(空き家率)は13.55%(前回調査の計算値は約13.52%)でした

それぞれ2013年に行った前回調査の計算値を超え、過去最高を記録しました。

相続税対策になると計算しマンションを購入しても、こうした空き家の状況から、家賃は思うように取れないかもしれません。

駅から近い場所や、規模の大きな会社の近くなど、住む人や家賃のことを計算に入れた上で慎重にマンションを選んでいきましょう。

相続対策のための新築マンション建設中に相続が発生する可能性もある

相続税対策のために新築マンションを購入したけれど、マンションの建設中に被相続人が亡くなり、相続が発生した場合を考えてみましょう。

「将来的に子どもたちに資産を残せるし、相続税対策にもなる」などと考えてマンションの購入を検討しているでしょうから、建設途中に自分が亡くなるなんて計算外でしょうし、縁起でもないかもしれませんが、あり得ないことではありません。

マンションの建築途中で相続が発生する場合、建物の評価は、投下した建築費用の70%で評価します。

この投下した建築費用ですが、建築会社に支払った金額ではなく、建設会社に別途、相続開始までにかかった工事の代金の見積もりをもらうことになります。

建築途中のマンションの相続税評価額の計算式は以下の通りです。

 建築途中のマンションの評価額=投下した建築費用×70%(0.7)

マンションの建築途中で被相続人が亡くなった場合でも効果は薄くはなりますが、相続税対の効果はあります。

では、体調が思わしくない人は、いつ亡くなってしまうか計算できないため、相続税対策のためにマンションを購入しないほうがいいのかというと、そうではありません。

新築ではなく、既に建築が終わっている物件を購入すればいいのです。

自分が存命のうちに、登記を行い、賃貸経営を行えばいいのです。

中古のマンションであれば、相続税の計算や、賃貸経営の数字を計算するのも新築と比べて明らかなはずです。

若いうちに購入すると相続が発生するころには老朽化している

マンション建設中に相続が発生するようなことは避けたいと計算し、まだ若いうちに購入すると、相続が発生するころには老朽化してしまう場合があります。

どのような建物も老朽化すれば修繕が当然必要になりますが、マンションは一戸建てなどと比較すると規模が大きいため、当然、修繕には膨大な修繕費が必要です。

マンションでは今後の修繕費用を見積もって居住世帯ごとの負担額を計算し、修繕積立金を徴収し蓄えている場合がほとんどです。

しかし、中には計算通りに修繕積立金が徴収できなかった場合や、建材の高騰などにより修繕費用が見積もりよりも高額になった場合など、修繕積立金が不足してしまう事態も起こり得るのです。

不足する場合には、修繕積立金と修繕時の見積もりの差額を計算し、一時金を徴収する場合もあります。

相続税対策としてマンションを購入したものの、若いうちに購入してしまうと、建物が老朽化して、相続税以外にも想定外のお金が必要になることもあるのです。

最近話題の投資用マンションの不正融資問題の当事者になる恐れもある

最近、投資用マンションの不正融資問題が話題になっています。

サブリース投資用マンションの販売会社が、購入を希望する投資家の融資資料を改ざんし、金融機関から購入資金を融資させ、価格をつり上げた物件を販売するという手口です。

サブリースですので、投資家がマンションを購入すれば販売会社が借り上げ、借り主に貸し出してくれます。

相続税対策として購入しておいても、確実に家賃収入が得られるので安心ですね。

投資家がなぜ価格をつり上げたマンションを購入したのかというと、サブリースの賃料が高く設定されていたため、投資家は販売価格が高くても高い利回りになると計算するからです。

しかし、購入後しばらくして、販売会社からサブリースの賃料を減額する通知が届き、投資家は資産運用の計算が狂って困るという事態になりました。

相続税対策にマンションを購入しておこうと考える方は、しっかり自分で調べて計算することも大切です。

また、マンションは大きな買い物ですから、販売会社とは関係のない、不動産と相続税に詳しい専門家に相談をしてみるのもいいでしょう。

早めに把握して備えておくことが重要

相続税の申告は10ヶ月という期限が設けられています。

相続税の計算は、現金と違って計算方法も複雑です。

財産に現金が多い場合は、早めに情報収集をしてベストな選択をしておきましょう。

生前贈与を使って節税することもできますので、大きな資産をお持ちの方はよく検討をしてください。

もしマンションの相続税計算を間違ったら?

マンションの相続税計算を万が一間違って申告した場合は、追徴課税と申告を再度やり直す手続きが必要となってきます。

申告した内容によって再提出する種類が異なりますので、詳しく説明していきます。

不足した場合は「修正申告」

計算違いにより税金が不足していた場合は、税務署に「修正申告」を提出して相続税を追加で納めます

追加納税後、マンションの相続税が正しく納められなかったことにより「延滞税」も課せられるのです。

延滞税は、本来の支払い期限翌日から課税されますのでマンションの相続税計算を間違って申告したことに気がついたら、1日でも早く手続きをすることをおすすめします。

さらに注意する点は申告した後、税務調査の事前通知を受けて修正申告をした場合、「過少申告加算税」と「延滞税」の両方を課税されます

ただし、「過少申告加算税」は税務調査を受ける前に修正申告した場合は免除になります。

加算税を支払わないためにも修正申告する際は、マンションや建物の相続税計算に詳しい専門家に相談すると良いでしょう。

多く払った場合は「更正の請求」

次に税金を多く支払った場合は修正申告ではなく「更正の請求」の手続きをします。

「更正の請求」とは、申告した後に支払うべき相続税法が変わった場合や、払い過ぎたことに気がついた場合に還付を受けるための手続きです。

払い過ぎたマンションの相続税は、「更正の請求」の手続きをしない限り還付されません。

申告した後にも計算間違いがないか再確認する必要があります。

「更正の請求」は被相続人の死亡から5年10か月以内に手続きをします。

ただし、相続税法第32条第1項(更正の請求の特則)で定められた特別な事情に該当している方はこの限りではありません。

また、「更正の請求」を申請すれば必ず認められるわけではありません。

申告した「更正の請求」の内容を立証する資料などをもとに協議が行われ、更正が必要と判断されて始めて認められるのです。

マンションや土地建物などの相続税は評価金額が大きく、計算方法も難しく複雑です。

「修正申告」や「更正の請求」を検討されている方は、マンションの相続税計算に詳しい税理士へ相談や依頼をした方が正しい申告ができるのでおすすめします。

“故意に”マンションの相続税計算を間違えたらどうなる?

“故意に”マンションの相続税計算を間違えた場合、この相続税逃れは脱税行為となりますから、重い罰金が科されます。

“故意に”相続税の申告をしなかった場合や、財産を少なく見積もって相続税を計算する、もしくは無いように見せかけた場合には重加算税がかかってきます。

重加算税は、相続税の申告書を提出はしたけれど、“故意に”財産を隠ぺいしたり、“故意に”証拠書類を偽装したり、“故意に”誤った相続税計算をしたりすると相続税納付税額の35%、相続税の申告すらしなかった場合は相続税納付税額の40%を支払います。

先述の相続税の修正申告でお伝えしましたが、この額に無申告税や延滞税、過少申告税が加わります。

相続税対策にマンションを買う前に!他の対策も検討しよう

財産相続について考えるとき、「支払う相続税を少しでも減らすことはできないだろうか・・」「本当に全ての財産に税金がかかるのだろうか・・」「マンションを買うと良いって聞いたことがあるけど・・」とお悩みではないでしょうか。

相続税について相談すると、「相続税対策にはマンションを買うといい」という話が出てくると思います。

相続税対策には本当にマンションの購入がベストなのか、マンションを買う他に方法がないのかという疑問をここでお答えします。

各種控除が利用できないか調査する

相続税対策になる7つの控除制度を紹介します。

控除制度とは、本来かかる金額から計算された一定額を差し引くことで、支払金額が安くなる制度のことです。
マンション購入を考える前に、利用できる制度がないか確認してみてください。

基礎控除
相続税を計算する時に遺産額から差し引かれる金額です。
相続人が何人かによって計算が変わるので、控除金額は異なってきます。

②配偶者控除
相続人のなかに配偶者がいる場合に利用できる制度です。
この控除を受けるには4つの条件を満たし、確定申告も必要など複数の制約があります。

【条件】
・戸籍上の配偶者である
・相続税の申告から3年以内である
・相続税の申告期限までに遺産分割が完了している
・相続税の申告書を税務署に提出する


③贈与税額控除
相続開始の3年以内に贈与した財産は課税対象となりますが、すでに収めている贈与税は控除される制度です。

未成年者控除
相続対象者が未成年の場合、成人になるまでの年数×10万円の計算で控除できる制度です

障害者控除
相続対象者に障害があるとき、障害のレベルによって控除を受けることができる制度です。
一般障害者は10万円×85歳になるまでの年数で計算、特別障害者は20万円×85歳になるまでの年数の計算で控除することができます。

相次相続控除
数次相続とは、遺産相続を開始した後に遺産分割協議が行われないまま相続対象者が死亡し、次の遺産相続が開始されたときに発生します。
10年以内の数次相続で、2回目以降の課税となる場合控除制度を利用できます。

外国税額控除
二重納税防止の制度となっており、日本の相続税に該当する税金を収めている海外の資産が計算の対象です。
下記に計算式を記載しますが、非常に複雑な計算式となっているので、個人で計算して利用せずに専属の部門に相談することをおすすめします。

【計算式】
対象年度の所得税額×(対象年度の海外所得金額÷対象年度の所得総額)

生前贈与を計画的に行う

マンション相続について考えるとき、生前贈与を検討する方が多いのではないでしょうか。

通常死後に渡される相続財産を、相続対象者に生前に渡すことで「相続税」を減少させることができます。

ただ、相続税は減少しますが、その代わりに贈与税がかかってくることが特徴です。

課税対象だがマンションよりも評価額の低いものを購入する

相続税対策には、マンションより評価額が低く計算されるものを購入する方法があります。

不動産関係だと、一戸建てや土地はマンションよりも評価額が低く計算される場合があるので、マンション購入よりも相続税対策におすすめです。

固定資産税の課税対象となる土地の計算方法について説明します。

マンションを建てている土地の場合は、マンションの敷地面積をそのマンションの戸数で除法した数値で計算されます。

一方で、一戸建てを建てている土地の場合は、マンションの計算式とは違い、敷地面積をそのまま算出するだけになります。

ですから、一戸建てを購入した場合の評価額はマンションよりも低くなるため、マンションを購入するよりも相続税対策にはおすすめです。

それでもマンションを購入して相続税対策をしたいという場合は、できるだけ戸数が多く階数が高いマンションを選ぶことで、土地の評価額を低く計算することができます。

非課税の財産を購入する

基本的に相続によって受け取る財産は、マンションを含め、相続税の計算の対象となります。

しかし例外的に相続税の計算の対象とならない非課税財産があることをご存知でしょうか。

非課税財産には5つの種類があります。

【非課税財産】
①非課税枠の生命保険金
②非課税枠の死亡退職金
③寄付した相続財産(寄付先は国や地方公共団体など)
④日常礼拝しているもの(墓地・暮石・仏壇など)
⑤その他非課税財産(公益目的、心身障害者共済制度給付金、個人経営幼稚園事業の一部)

ただ、それぞれ条件があるため、非課税財産かどうかの確認は怠らないようにしましょう。

いざというとき、実は該当していなかったということにならないように注意して下さいね。

相続人を増やす

先ほどの7つの控除制度のなかで、「基礎控除額」の計算式は、相続人が何人かによって控除金額が異なることを紹介しました。

相続する人数が多いほど相続税の基礎控除額が増えるので、支払う金額を抑えることができます

「なぜ支払う金額を抑えられるのか?」を簡単に説明すると、相続人の数が多いほど、一人当たりに割り振られる財産が少なくなるので、納める税額が減る仕組みになっています。

しかし、「相続人を増やすって簡単に言うけど、具体的にどうやるの?」「身内の数は限られているし……」と疑問に思う方もいると思います。

この制度をうまく利用して相続人を増やす方法は、「養子縁組」をすることです。

ただ、当たり前ですが、上限なく何人でも養子縁組できるわけではありません。

実は、養子縁組の手続きは簡単にできる仕組みになっており、その条件は、「戸籍の届け出がされていること」だけで成立してしまいます。

ですから、上限なくこの相続税対策を認めてしまうと、この制度自体が意味をなさないものになるので上限を設けるようにしています。

具体的な上限数は、相続人に実の子がいるケースは1人まで、被相続人に実の子がいないケースは2人までと定められています。

ただ、相続人の数に養子の数を含め、不当に相続税を減少させていると判断された場合は、該当の養子を計算式の中に含めることができないと定められているので注意しましょう。

また、相続人の死亡後では手続きが間に合いませんので、事前に計算して対策を行う必要があるでしょう。

マンション相続でお困りの際は

マンションを相続する場合、相続税額が高額になる可能性があります。

さらに、賃貸マンションの場合には評価額の計算も複雑となり、数字が1つ狂うだけでも正確な相続税額が求められない場合があります。

そこで、マンションを相続する可能性がある場合や、困りごとがある場合は、税理士へ依頼してより専門的に悩みを解決させることも有効です。

特に、税理士へ依頼する場合には、相続税以外にも相続全体の負担を全て依頼することもできますので、相続の手間を大きく省略することができます。

さまざまな方法を上手に活用し、マンション相続を効率よく完了させましょう。

マンションの相続税計算を相談する税理士の選び方

ここでは、マンションの相続税計算に詳しい税理士の選び方について説明していきます。

数ある税理士の中でどこに相談するか迷うところでもあります。

税理士には、それぞれの得意分野があってマンションの相続税計算を相談したい場合は、マンションの相続税に強い税理士を選ぶことが重要です。

大きく分けて税理士を選ぶ際のポイントを以下の4点に絞ってみました。

近所の税理士に相談する

税理士会の相談会に参加する

インターネットで無料の相談を活用する

「すてきな相続」で税理士を検索する

それぞれ詳しく解説していきます。

近所の税理士に相談

今やネット社会で知りたい情報を得ることも可能となっています。

近くの税理士を検索するとたくさんの税理士事務所を探せることが可能です。

何かあったときにすぐに行けるようにと近くの税理士を希望する注意点は、上記で挙げたようにマンションの相続税計算を得意としているかを確認しましょう。

自分にあった相談内容に対して親身になって聴いてくれるかどうかも判断基準の一つです。

もしかすると長い付き合いになる可能性もありますので、近所の税理士を選ぶ際には慎重に選びましょう。

税理士会の相談会に参加

ほとんどの税理士の相談会は、無料で行なっている場合があります。

無料ということもあり、相談する時間の制限や申告書の記載方法などでとどまることが多いのが現状です。

また、会計処理や法人税、消費税などに特化した会社法に強い税理士もいれば、マンションの相続税計算や確定申告などが得意な税理士もいます。

希望する時間帯に予約出来なかったり納得する回答を得られないまま時間終了になることも多々あるのです。

相談会に参加する際に気をつける点は、あらかじめマンションの相続税計算について確認したいことをメモにして行くのが良いでしょう。

インターネットの無料相談を活用

インターネットでの無料相談を活用する際に注意する点は、HPでマンションなどの申告件数の年間実績を明記しているかも一つの目安です。

HPに記載がなければ電話やメールなどで問い合わせてみましょう。

インターネットで相談する際に気をつける点は、マンションの相続税計算を依頼した場合に税務調査が入った時の対応も行なってくれるのかも選ぶポイントになります。

また、税理士が常に居ない事務所もあったり、相談後税理士報酬を提示される場合もあります。

信頼できる税理士事務所なのか実績などを確認して慎重に見極めることも大切です。

「すてきな相続」で税理士検索

「すてきな相続」では、遺産相続に関する困っていることや知りたいことを解決したり相続税計算などにも特化したサイトです。

相続のスペシャリスト税理士が全国規模で数千人登録されていますので、自分の住んでいる県や相談したい内容にあった税理士を検索することが可能です。

複数の税理士に相談することもできますし相談は無料となっていますので、まずは気軽に検索してみてはいかがでしょうか。

マンションの相続税計算は、前述の通り慣れていないと大変複雑な計算方法ですので相続税に強い税理士にお任せすることをおすすめします。

正しいマンションの相続税計算をすみやかにかつ相続の手続きを早く済ませることができます。

税理士を選ぶポイントは実績と知識と距離が大切

税理士を選ぶポイントは、実績と知識や距離が大切となってきます。

 

実績が豊富な税理士は、様々な相談内容に対応できるからです。

不動産の相続税計算でも分譲マンションや賃貸マンションなどにより計算方法も変わるため実績を積んでいる税理士なら、相談者からの依頼を納得した上で引き受けることができます。

 

次に知識をどれくらい持っているかも選ぶポイントの一つとなります。

税理士の中でも専門とする得意な分野や不得意の税金の分野があります。

古い知識のままの税制方法でマンションの相続税計算をし、修正申告や税務調査の事前通知があとで来ることもあります。

税制改正が行われることもあるので、専門としている税金の分野であっても税理士は常に最新情報を熟知しなければいけないのです。

 

税理士を選ぶポイントの3点目は、相談者と税理士の距離が大事です。

ここでいう距離とは、家から近い場所に税理士事務所を構えていることだけではありません。

親身に対応してくれて信頼できる税理士か、相性が合うかなどの意味も含んでいます。

自己計算で申告した後に「修正申告」や「更正の請求」などが生じた場合、再度申告し直すのに一苦労します。

 

マンションの相続税計算をする場合は、実績、知識、距離を持ち合わせた専門の税理士へ相談することで正しい税金を納めることが出来、気持ちもスッキリするのではないでしょうか。

2019年1月30日
マンションを相続したときの相続税評価方法は?
2019年1月30日
マンションの相続税評価額はいくら?評価方法と節税のコツ解説
監修者太田諭哉
詳細≫
公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
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