2019年7月11日 木曜日
【相続税の計算】土地を相続した場合|節税も解説
皆さんは相続を経験したことがありますか?
人生で遺産や土地を相続する機会は、そう多くないですよね。
相続税はどうなるの?土地は?など様々な疑問が浮かぶことと思います。
知識を持たずに進めてしまうと、相続税を払い過ぎてしまうことになります。
また、相続が原因で兄弟や親族の中が悪くなったり、相続がきちんとできなかったり色々問題が出てくることもあるでしょう。
親が亡くなってから、配偶者や子が土地を引き継ぐことを「相続」、親が生きているうちに配偶者や子孫が土地を引き継ぐことを「生前贈与」といいます。
「こうしていればよかったのかな」と後で後悔することのないように、相続税の計算や事前の準備などについても詳しくみていきましょう。
目次
土地の相続
遺産に土地が含まれている場合、相続を進め相続税を算出する上で重要になってくるポイントがいくつかあります。
まず、所有者を被相続人から相続人の名義に変更する手続きが発生します。
これは厳密にいうと義務ではなく期限もないのですが、被相続人名義のままにしてしまうと、売却、建て替え、借り入れ時の担保にするなどの取り扱いが一切出来ないので非常に困ることになります。
また、土地はそのままでは公平に分けることが難しい財産であるため、複数の相続人がいる場合、どのような方法で分割するか協議する必要が出てきます。
具体的には、土地そのものを分ける、売却するなどして現金化した上で分ける、土地を受け継いだ相続人が他の相続人に相応の現金で代償金を支払う、といった方法から検討することになります。
これは相続税額にも影響しますので、慎重に協議する必要があります。
そして、土地はそのままの時価が相続税対象になるわけではありません。
現金に換算するとどれほどの価値があるかという「不動産評価額」を基準にして相続税が計算されます。
この記事では、土地の評価方法と相続税の算出・節税について詳しく解説していきます。
土地の相続税計算の前に
なぜ土地の相続税計算をするのかというと、亡くなった方の財産をお金の価値に変えて、相続税を算出するためです。
相続税って何?と思っている方もいますよね。
相続税とは親や親族から遺産や土地を受け継いだ場合に、遺産総額の金額が大きい場合にかかる税金のことです。
詳しくいうと、土地の評価額が「基礎控除額3,000万+(600万円×法定相続人数)」を超える場合にかかります。
遺産総額が基礎控除額の一定金額より少なければ、相続税は課税されません。
つまり、相続税評価額が3,600万円に満たないなら、相続税を払う必要はありません。
次に、相続税を計算するにあたり、土地の名義変更の手続きをせねばなりません。
被相続人(亡くなった方)の名義になっている土地を、相続人の名義に変更する手続きを相続登記といいます。
相続登記を行っていない場合、3つのデメリットがあります。
1.土地を売却したり、土地を担保にしたりして借金をすることができない。
2.遺産分割協議が終わるまで、自分以外の相続人に勝手に土地を売却されてしまう可能性がある。
3.相続人のうちの誰かが亡くなってしまうと、相続人のさらにその相続人の同意などが必要になり、相続登記をすることがどんどん難しくなる。
相続登記の変更に期限はありませんが、相続税の納付期限は親が亡くなっている場合、亡くなってから10ヶ月後までと決まっています。
そのため、早めに変更することをおすすめします。
最初に遺産総額の算出が必要
被相続人が生前所有していた土地やお金をすべて計算するのですが、被相続人の債務も忘れずに計算に入れなければ、相続税の計算はできません。
相続財産は現金・預金、有価証券、骨董品・貴金属、ゴルフ会員権、他人名義の通帳はもちろん、生命保険や死亡退職金といったみなし相続財産など、すべてを洗い出す必要があります。
債務には金融機関からの借入、クレジットカード・医療費の未払い分、税金の未納分などがあります。
債務は遺産の総額から差し引くこともでき、通夜・本葬やその前に通常発生する費用であれば、遺産の総額から差し引くことができます。
自分で調べるのは限界があるので注意
土地の相続登記や手続きなどは、ほとんどの場合専門家である司法書士に依頼をします。
でも費用がかかるので、なんとかして自分でできないかなと思う方もいますよね。
もちろんできないことはありませんが、相続税に必要な書類が間違っていると再提出したり、わからないことが出てきたりと時間と手間がかかります。
相続税については、遺産から控除できるもの、控除できないものと細かく分かれているので専門の税理士にお願いすることも可能です。
あまり無理をせず、専門家に依頼するという手段があることを忘れないでくださいね。
土地の相続税計算
土地は相続の大半を占めるため、相続税額は大きく変化します。
土地はどれくらいの相続税がかかるのか、どんな計算をすれば相続税がわかるのかなど様々な疑問が浮かびますよね。
土地の価格を調べただけでは相続税はわからないので、評価額を調べる必要があります。
評価方法には、次に分ける2つの方法があります。
土地の評価方法
土地の評価は地目(土地の分類)、地積(土地の面積)、路線価(路線価が設定されていない土地は倍率方式)の3つの要素で決定されます。
評価方法を調べる前に、準備しておくと良いものがあります。
4月末から5月にかけて送られてくる固定資産税の納付書を確認してみましょう。
そこに載っている土地の面積を見れば、固定資産税を把握することができます。
この面積を用いて、以下の評価方式で評価額を求めることができます。
路線価方式
路線価方式による評価額の計算は「正面路線価×面積」で求められます。
「路線価地域」と呼ばれる市街地や住宅地に土地があれば、路線価方式を適用します。
国税庁が定める路線価の数値(道路に面する標準的な土地の1平米あたりの価値を千円単位で表記)を用いて評価します。
国税庁のホームページから見ることができ、路線価の価格は1年に1度更新されます。
しかし、路線価を調べてみると金額がかかれていないケースがあります。
その場合は次で説明する倍率方式を使います。
倍率方式
倍率方式による評価額の計算は「固定資産税評価額×倍率」で求められます。
この一定の倍率は国税庁のホームページに載っている評価倍率表を見るとわかるので、評価額の計算は簡単です。
補正が必要な場合もある
土地を評価する際は、形の良い四角形で広さが適度にあり、周辺の状況も整っている完璧な土地を100%としたとき、比べた土地にどれだけのマイナス要素があるかを評価に反映させます。
例えば道路に接していない土地には建築基準法で建物を建てることができないので、土地の一部を道路として提供しなければなりません。
土地を100%活用することができないため、補正率の対象となります。
実際のところ100%完璧な土地はあまりないので、補正がかけられるケースが多くなると思います。
具体的には以下のような補正が行われます。
・奥行価格補正
・不整形地補正
・間口狭小補正
・奥行長大補正
・がけ地補正
これらはいずれも、標準的な土地に比べて「奥行が長い・短い」「四角形でない、いびつな形」「道路に面している幅が狭い」「斜面が含まれている」など、利用しづらい形状や立地であるために相続税の評価減額対象となる補正です。
これとは逆に、利用価値が高いために相続税評価額が増額される補正があります。
・側方路線影響加算
・二方路線影響加算
交差点の角地や道路の曲がり角に面している、正面と裏面の2つの道路に挟まれているなど、2面以上が道路に面していて利便性が高い土地が該当します。
このように、多くの土地は先述した路線価などを基準に補正を行う必要があり、それによってはじめて適正な相続税評価額が導き出されるのです。
適用する補正によっては先述した路線価が変わってくることもあるなど、計算方法によって相続税額の計算結果が異なってきます。
それが、専門家でも土地の評価は難しいとされる理由です。
知っておくべき評価額の減額について
相続税を抑えるためにはどうすれば良いでしょう。
まずは土地の評価額を抑えることが必要になってきます。
土地の評価額を抑えると税金も低くなるので、相続税を抑えることができます。
どのような場合に評価額を減額することができるのかみていきましょう。
小規模宅地等の特例
この特定を利用すると、評価額が最大80%減額されます。
80%は大きな額ですよね。
これが適用できれば節税につながります。
しかし評価額が下がると、売る時の立場が悪くなるのでは?と思う方もいますよね。
心配はいりません。
特例が適用されても土地の価値は変わりません。
小規模宅地等の特例が適応される理由は、相続における家族の生活基盤を維持するためなのです。
相続税の対象になってしまい相続税を支払うことになると、生活が出来なくなってしまう可能性があるので、この制度が設けられています。
小規模宅地等の特例を3つご紹介します。
特定居住用宅地等
被相続人の自宅に使われていた住宅の土地に対して、一定の条件を満たせば評価額を最大80%減額することができます。
ここで気を付けてほしいのが、あくまでも土地についての特例であることです。
これまでは、240㎡まで適用されましたが、平成27年度から330㎡まで適用されることになりました。
また二世帯住宅であれば、世帯間の行き来が簡単にできるような作りに限り、同居の親族として扱われるようになりました。
最近は老人ホームに入居している方もたくさんおられますよね。
老人ホームなどに入居していた場合も自宅に戻ってくる可能性があるので、居住が継続しているものとみなすことになりました。
特定事業者用宅地等
この特定には2つあり、「特定事業用宅地」と「特定同族会社事業用宅地」があります。
両方とも400㎡までの土地において、評価額の80%減額が可能ですが、一定の条件で変わるので注意が必要です。
まずは、特定事業用宅地です。
特定事業用宅地とは、自営業などで店舗や工場として使っていた土地のことです。
この中でも、条件が2つに分かれます。
〇被相続人の事業用宅地等の場合
特例が適用される3つの条件は以下となります。
・被相続人が事業に使っていた土地であること。
・申告期限までに、相続人が事業を営み、事業を引き継いでいること。
・相続税の申告期限まで被相続人が事業に使っていた土地を所有していること。
〇親族の事業用宅地等の場合(生計を共にする)
こちらも特例が適用される条件が3つあります。
・親族が事業のために使用していた土地であり、被相続人と生計をともにしていること。
・相続開始直前から相続税の申告期限まで事業を営んでいること。
・相続税の申告期限まで、被相続人と生計をともにし、親族が事業に使用していた土地を所有していること。
次に特定同族会社事業用宅地です。
被相続人または相続人同一家計の親族が一定割合の株式を持っている事業が、使用していた土地を指します。
以下の3つの条件に特例が適用されます。
・事業に使用していた土地のうち、50%を超える株式を被相続人または相続人と同一生計である人が持っていること。
・相続税の申告期限まで、同族会社の役人が相続人であること。
・申告期限までその土地を所有し、引き続き事業をしていること。
このケースは工場や店舗などが多いのではないでしょうか。
貸付事業用宅地等
貸付事業用宅地とは、被相続人などの不動産事業用の宅地等で2つのいずれかを満たし、被相続人が取得した部分です。
・親族が申告期限までに引き続きその宅地を用意していて、被相続人の貸付事業を引き継ぎ、貸付事業を営んでいること
・親族は被相続人と同一生計をし、申告期限まで引き続き宅地を用意していて、相続開始前から申告期限まで引き続き宅地等などを自己貸付事業用にしていること
さらに平成30年4月1日から、相続開始前3年以内に新たに貸付事業用として用意された宅地等でないこと(事業的規模で行っている場合は除く)が付け加えられました。
貸宅地、駐輪場などの宅地が該当します。
地積規模の大きな宅地の評価
あまりに広い土地は、かえって利用しづらいものです。
面積が大きければ価格が高くなり、購入できる人も限定されてきます。
当然、相続税などの課税額も高額になることが想定され、売却することも難しくなってきます。
そのため、面積の広い土地の相続税評価額を減額することができるのが「地積規模の大きな宅地の評価」です。
この制度に相当する土地は「三大都市圏で500㎡以上、それ以外の地域では1,000㎡以上」で、下記に該当しないことが条件となります。
・市街化調整区域内にある
・工業専用地域に指定されている地域内にある
・指定容積率が400%(東京都の特別区においては300%)以上の地域内にある
・財産評価基本通達22-2に定める大規模工業用地である
この制度によって相続税評価額は20%以上も減額されることになり、また面積が大きくなるほど下がります。
土地は元々の資産価値も高い場合が多いため、この制度が適用されるかどうかによって相続税額に大幅な差が出てきます。
相続税対策としてぜひ活用したい制度ですが、面積が条件を満たしているかどうか、また適用除外地域を一部含んでいる場合など、判断が難しいケースもあります。その場合は専門家に適宜、相談してみましょう。
相続した土地の使い道
土地は「価値のある財産」ですが、ただ持っているだけでは何の利益も生み出しません。
むしろ、税金や維持費などの出費だけがかさんで負債を生み出してしまうものです。
土地にかかる主な税金としては相続税、固定資産税、譲渡所得税などが該当します。
相続した土地を荒地にしてしまうと、不法投棄などによって周辺住民の迷惑になったり、治安の悪化につながったりするなど、問題を起こす元凶になります。
災害時に土砂が流出・堆積したりすることで周辺地域に危険が及ぶ可能性もあります。
そのため、ただの更地であったとしても除草などの管理や防災上の対策は必要になってきます。
こういった維持管理を自分で行うにしても、業者などに委託するにしても、何かしらの費用が発生することは避けられません。
利益を生み出す財産として機能させることで維持費をまかなったり、そもそも課税される相続税などの節税対策を行ったりする方向で進めていきたいものですね。
土地を相続することの意味や目的をはっきりさせた上で、立地条件や形状などの特徴を考慮した活用方法を検討していきましょう。
そのまま保有する
代々受け継がれた土地で、自分の次の世代に受け継がせたいなど、そのまま保有したい場合は「土地を貸す」または、「賃貸物件を建てる、駐車場にする」などの方法があります。
建物などの管理費や修繕費、不動産所得などによる所得税の納税などの維持費が発生することにはなりますが、土地を手放すことなく継続的な収入が見込める点がメリットといえます。
しかしながら経営難に陥ってしまっては元も子もありませんので、しっかりと市場を調査し、事業計画を立てた上で検討する必要があります。
地方の土地などで、そういった需要が少ない場合、向き不向きはありますが太陽光発電を検討してもいいでしょう。
売却する
相続人同士で分割したい、相続税の支払いが難しい、維持管理が難しい、次世代に引き継ぐ必要性がないといった場合は、売却することを検討します。
土地を売った値段から、仲介手数料その他の諸経費、土地を購入した時の経費を差し引いた分が利益となります。
この利益は「譲渡所得」として課税対象になりますが、相続によって得た土地だった場合、土地にかかった相続税も差し引くことができる「取得費加算の特例」が適用されますので、確定申告を行うことで課税される所得税と住民税を軽減することができます。
また、売却することによって、先述した相続税と所得税・住民税が課税されますが、その後は固定資産税や維持費などの継続的な負担はなくなる点がメリットといえるでしょう。
いらない土地を相続しそうな場合は相続放棄もある
利活用が難しい土地や建物の場合には、相続を放棄することができます。
相続を放棄するのですから、相続予定だった土地や建物の活用について考える必要はありませんし、もちろん、遺産に掛かる相続税を支払う必要もありません。
相続税が掛からないなんて素晴らしい制度だと思われるかもしれませんが、いくつか確認しておくことがあります。
まずは、相続放棄は、土地や建物だけでなく、そのほかの金融資産や各種権利など、相続対象の全てのものを放棄しなくてはなりません。
不要な土地や建物だけ放棄する、ということはできないのです。
相続税が掛からないことを目指し、相続を放棄するには、家庭裁判所に相続放棄を申し立てる必要がありますが、それには相続が開始されてから3カ月以内という期限が設けられています。
相続が始まってから間もなく相続財産の全てを把握でき、さらにその財産に借金や不要な土地・建物が含まれていて総じてマイナスの遺産であることが確認できた場合に相続放棄を決断できるという、ややハードルの高い手続きになります。
相続放棄が期限内にできなければ、次には相続税申告期限の10カ月を目指して行動することになります。
相続放棄ができたからといって、相続税がまったく掛からなくなるかといえば、実はそうではありません。
例えば、生命保険金を相続人が受け取った場合には相続税が掛かります。
相続財産の相続放棄をした場合でも、生命保険金などは相続放棄の範囲に含まれておらず、相続財産としてみなされてしまい、相続税の課税対象になります。
土地の評価は難しい
ほとんどの土地は整った四角形ではないことが多く、いびつな形であったり間口が狭かったり、奥行きが長かったりと様々です。
評価の際はまず、宅地、田、畑、山林、原野、牧場、池沼、鉱泉地、雑種地の9種類に分かれます。
例えば、店舗と店舗付属の駐車場の評価だと店舗は「宅地」、駐車場は「雑種地」となります。
分けて評価をしてしまうと、きちんとした評価ができないためです。
その土地の形により評価額は変わり、住環境も土地の評価額に影響があるので、自分で評価をすることは困難といえます。
評価を間違えると大きなリスクが
相続税の申告を自分で行うと税理士費用を節約することができますよね。
しかし、大きなリスクもあります。
方法や知識が不足していると評価を間違え、相続税を払いすぎてしまうことがあります。
また、今まで色々書いてきましたが、評価には様々な特例やルールが細かく設定されています。
最近では税務署も見直しを行っており、今まで適用されていた評価も変わることがあるので注意が必要です。
困ったらプロに相談
相続税や遺産相続に詳しい弁護士や税理士などのプロに相続税について相談することも大切です。
自分で計算してみたけれど、やっぱり相続税を払いすぎていると思い、何年か経ってからプロに相談することで、払いすぎた税金が戻ってきた例もあります。
後でプロにお願いするなら、最初から相談しておけば時間の無駄にもなりませんよね。
土地を相続するなら相続税以外についても知っておく必要がある
土地や建物などの不動産を相続するのであれば、相続税以外にも不動産の所有権の移転手続きなどにお金が必要になってきますので、お伝えしておきます。
土地の相続で生じる相続税以外の税金「登録免許税」
相続税以外にも、相続した土地や建物などの不動産を登記する時に掛かる税金があり、これを登録免許税といいます。
相続税を納税しないとペナルティーが設けられていますが、登録免許税を支払わなかった場合には、不動産の登記申請は却下されてしまいます。
また、相続税の発生しない額の相続財産であっても、不動産を登記する場合には登録免許税が掛かります。
登録免許税を計算する方法は、以下の通りです。
- 不動産の価格(課税価格)× 税率0.4%(100円未満切り捨て)
課税価格とは、固定資産評価証明書に記載されている土地や建物の評価額で、1,000円未満を切り捨てた価格です。
同一の申請書でいくつもの土地や建物の登記を行う場合には、全ての不動産の評価額を合計して1,000円未満を切り捨てた価格になります。
固定資産評価額は、先の土地の相続税計算の記事でお伝えした固定資産税の納付書を手元に保管していれば、すぐに確認することができます。
書類がない場合には、相続する土地や建物の所在する自治体の固定資産課税台帳で閲覧するができるほか、固定資産評価証明書を取得することもできます。
ただし、固定資産税の情報は財産に関する情報ですので、誰でも自由に台帳を閲覧したり、証明書を取得できたりするわけではなく、固定資産税の納税義務者や相続人のほか、借地・借家人など、正当な理由のある人に限定されています。
相続時に発生する登録免許税は、平成30年の税制改正で、平成30年4月1日から令和3年3月31日まで以下の条件を満たした場合には、免除されることになりました。
- 土地を相続する※建物は除く(遺贈も含む)
- 相続人が土地を相続登記する前に亡くなっていて、その人からさらに土地を相続する
- 申請書の登録免許税の欄に「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載する
3.については、法務局のホームページに記載例が掲載されています。
さらに、市町村が行政の目的のために相続登記の促進を特に図る必要があり、法務大臣が指定する土地の相続による所有権の移転登記についても、平成30年11月15日から令和3年3月31日の間、登録免許税が免除されます。
その免除の条件は、以下の通りです。
- 市街化区域以外の土地
- 不動産の価額が10万円以下の土地
免税対象となる土地の所在地を管轄する法務局のホームページに詳細が掲載されています。
土地の相続登記の方法
登録免許税が掛かるのは不動産を登記する場合だとお伝えしました。
不動産の登記方法については、別の記事「不動産の相続」で、細かくご説明をしていますので、ここでは大まかな流れと手続き方法についてご紹介します。
相続登記は、土地や建物の所有者を被相続人から相続人に変更する手続きで、法務局で行います。
相続登記は、相続税の申告のように期限やペナルティーは設けられていませんので、相続登記をしないままにしておくこともできます。
しかし、相続した土地や建物を持て余していた中、急に購入の申し出があった場合などは、相続人名義にしておかないと売却できませんので、相続登記から始めなければならず、タイミングを逸してしまうかもしれません。
また、複数の相続人がいた場合に、その相続人が亡くなってしまうと、さらにその相続人がいることになるので手続きが複雑化します。
さらに、不動産を全ての相続人が相続分に応じて共有している状態になりますので、債務を抱えた相続人の持ち分が差し押さえられたり、共有の登記が行われたりして共有持ち分を売却されてしまう可能性もあります。
相続登記は相続人が確認できるうちに、相続税の申告手続き後などに、早めに行ったほうが賢明といえます。
相続登記の手続きは、遺言書の有無によって、財産の相続人や相続分が異なり、遺産分割協議の必要の有無も変わりますので、そろえる書類にも違いが出ます。
相続税の申告に必要な書類と重複するものもありますので、事前に確認し、収集するといいでしょう。
まとめ
人生でめったにない「相続」の機会。
相続人がひとりの場合には大きな問題が起こることは少ないと思いますが、相続人が複数いる場合、それぞれの感情などが入ってくるのでうまくいかないこともあります。
まずは亡くなる前に家族の間で資産価値を把握し、相続するのか生前贈与をするのかを決めておくことが大切になってきます。
生前贈与することで家族のコミュニケーションが増え、相続人の間でのトラブルが少なくなるかもしれません。
しかし、相続税などの基本的な知識がなかったため、生前贈与を受けて多額の税金を支払うことになったケースもあるので気を付けねばなりません。
相続は亡くなっていく人だけが事前に考えるものではなく、受け取る家族も考えるべきことです。
とはいえ、親の資産など聞きづらい部分もあるとは思いますが、相続税を無駄に支払わないためにも、家族全員で話し合うことを忘れないでください。
土地を相続することになったら数多くの手続きがあるので、無理をせずプロに頼ることも検討してみましょう。
相続税で損をしないよう、家族全員が納得のいく方向に進めるよう備えておくと安心ですね。