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【不動産の相続 】
不動産の相続について説明しています。マンション、土地、貸家建付地、山林など不動産の種類によって、評価額の計算方法が異なります。また相続税の求め方も異なりますので、不動産を相続する場合は注意しましょう。

2019年1月30日 水曜日

不動産を相続するとき何が必要?相続登記の方法とは

不動産を相続するときには相続登記を行います。

相続登記は法務局で行う手続きですが、普段登記を行う機会はなかなかありませんので、手続きに戸惑ってしまう人が多くいます。

それでは、どのように相続登記を行えばよいのか、その方法や必要書類について一緒に確かめていきましょう。

目次

相続について

財産を持っていた人が亡くなると、相続が開始されます。

遺族は、亡くなった人(相続では被相続人という)の思い出に浸る時間もないまま、相続税申告期限の10カ月までに、相続問題の解決に奔走することになります。

本記事では、相続財産の中でも高額財産の一つ、不動産の相続登記についてご紹介していきます。

相談の基本知識

被相続人が持つ財産を誰かが受け継ぐことを相続といいます。

被相続人の財産と一口で言っても、預金や不動産などのほかに、借金などの負の債権も含まれます。

被相続人の財産の権利・義務等は、被相続人と関係のある法定相続人に移転されます。

法定相続人ではない人にも、遺言書などで指定すれば、財産を受け継がせることができます(遺贈と呼びます)。

遺産相続の分配割合は、民法によって定められた法定相続人と、その法定相続分が定められています。

法で定められた割合とは違った割合で遺産を分けたい場合には遺言書などが必要です。

法定相続人は、遺言書に法定相続人以外が指定されていても、遺留分という最低限得られる財産が保障されています。

相続税は、被相続人の遺産を法定相続人が相続した場合や、法定相続人以外の人でも、遺贈といい、遺言で遺産を受け継いだ場合に、相続財産額が大きいとかかる税金です。

すべての相続人が対象となる税金ではなく、相続人の人数に応じた基礎控除額が決められていますので、その金額を超えないようであれば相続税の申告は必要ありませんし、もちろん納税の必要もありません。

ですから、財産をどのくらい所有しているかを把握しておくことが大切になります。

計算してみたらちっぽけだった、という場合はいいですが、思わぬ大きさで困ってしまうこともあるかもしれません。

相続資産となるもの

相続税の課税対象となる財産は、不動産をはじめ、現金や銀行預金(貯金)、株式などの金融財産、自動車や貴金属、会員権など財産として分かりやすいものから、著作権や商標権、特許権などのほか、売掛金や損害賠償請求権などの債権者としての権利など、保有している権利も含みます。

相続が発生する時には、さまざまな場所にある財産の情報を収集して集約し、総額を算出する必要があります。

不動産の中には所有が明らかなものがありますが、共有持ち分など、無自覚で所有している不動産もあります。

被相続人が購入していた海外の不動産などもあるかもしれません。

相続資産についてしっかり調べてリストアップし、探していくといいでしょう。

不動産は相続税対策になる

上記にも紹介したように、不動産は相続税の対象となります。

しかし、不動産の相続登記という手続きをふんでいないと、誰が税金を支払うのか?など、相続人同士でトラブルに発展する可能性もあります。

不動産の相続登記とは、簡単にいうと不動産の名義変更のことです。

後にこの不動産の相続登記については詳しくご説明しますが、不動産はかなりの確率で高額な相続資産となる為、相続税が発生することが多く、この相続登記という手続きが必要なことを覚えておくと良いでしょう。

また、不動産は購入した時の金額ではなく、その時の状況によって評価額が決まります。

不動産は、大きくは土地自宅やマンションなど家屋の2つに分かれます。

それぞれ資産の評価方法が違うなど、対象の不動産資産をいくら分相続したのか分かりにくいものです。

相続が発生して、10ヶ月以内に相続税を支払わなければならないので、早いうちから手続きの確認や専門家への依頼を検討するとよいでしょう。

また、不動産は、マイナスの資産についても把握しておかなければなりません。

住宅ローンや未払いの税金・光熱費などです。

こちらについても事前に確認をしておきましょう。

不動産を相続する際の4つの方法

不動産は現金とは異なり、相続人全員で均等に分割することが難しい財産です。

そのため、スムーズな遺産分割を行うために、不動産を相続する際の4つの方法をあらかじめおさえておきましょう。

・現物分割

不動産そのものを複数に分割し、相続人それぞれに振り分ける方法です。

ある程度面積がある土地で、分割後も何らかの形で活用できそうな場合は検討してもよいでしょう。

分割できない一軒家や、分割することで土地が極端に小さくなってしまい活用方法がなくなるような場合は不向きです。

・代償分割

不動産が分割しづらい場合に、不動産を相続した相続人が、他の相続人に相応の現金で代償を支払う方法です。

不動産を受け取る人に代償の支払い能力があることが前提となります。

不動産をそのまま相続したい相続人がいる一方で、現金で相続したい相続人がいる場合などは選択肢となりえるでしょう。

・換価分割

相続した不動産を売却するなどして現金化したうえで分割する方法です。

不動産の状態のままでは分割しづらい、不動産の形で受け取りたい相続人がいない、不動産を維持管理することが難しい場合などは有効な手段といえるでしょう。

あらかじめ、売却した場合にどれほどの価格になるのか、買い手はいるかなどを確認しておく必要があります。

・共有

不動産はそのままの状態で、複数の相続人による共有名義として相続する方法です。

相続人の共有財産となるため、相続人それぞれが不動産全体を使用することが可能です。

ただ、後々になって売却や改修などを行いたいとなった場合には、相続人全員の同意を得る必要があります。

また、相続人の一人が亡くなるとさらにその相続人へと権利が移っていくことで名義人が増えてしまい、あらゆる手続きや話し合いが困難になっていくことが懸念されます。

 

【相続する不動産のタイプ別】相続のポイント

不動産は大きく分けて、土地と家屋に分けられると記しましたが、家屋は更に、戸建とマンションに分けられます。

土地はその土地の評価額で相続税のかかる資産が決まりますが、家屋となる戸建やマンションは、建物と土地を分けて計算し、相続税が決まります。

それぞれ価格の評価方法が違うため、この章ではその方法について紹介します。

 

土地のみを相続する場合

土地の評価額は、路線価、又は倍率方式、どちらかで計算されます。

一般的に市街地に存在している土地には路線価、市街地以外(田畑や山林、牧場など)に存在している土地には倍率方式が用いられることが多いです。

路線価とは、道路の価格のことです。

一般に人が行き来することができる公道のことで、個人の敷地内にある私道は含みません。

路線価は年に1回更新され、実際の売買事例や不動産鑑定士の鑑定評価額などをもとに決められています。

自分の相続する土地がどの道路に面しているかで評価額が決まります。

倍率方式とは固定資産税評価額に一定の割合を掛けて計算する方法です。

固定資産税評価額とは、各市町村の自治体の担当者が1つ1つ決めているものです。

公示地価の70%となり、3年に1度更新されます。

公示地価とは「不動産をこれくらいの価格で売買するのが適正である」と国が示す公的事例のようなものです。

この固定資産税の評価額に、田・畑・山林・牧場とそれぞれ掛ける割合が定められているので、当てはまるものを掛け合わせて計算します。

土地のみの不動産を相続する際の注意点としては、「相続した時は、高額に設定されていて、相続税がかなりかかってしまったが、何年か経って土地の価値が下がってしまった。」逆に、「相続時は低い価格だったものが何年かして高騰した。」などということがあり得るということです。

そのことを相続人同士が把握しておくことで、あとの揉めごとを防ぐことができます。

また、相続した翌年から、「固定資産税」がかかってくることも念頭に入れておかなければなりません。

土地活用方法なども考慮し、その税金分の収入が毎年確保できるようにしておきましょう。


戸建を相続する場合

自宅など一戸建ての不動産を相続する場合も「固定資産税評価額」が使用されます。

毎年、固定資産税の納税通知書というものが市町村から送られてきますので、その書類で確認ができます。

この固定資産税評価額がそのまま戸建の評価額となります。

これに、上記で記したような計算方法で戸建が立っている土地の計算を行い、土地、戸建、それぞれ計算した額が相続した戸建不動産の総額になります。

しかし、相続税を払わなければいけないばかりに、相続した自宅にそのまま住もうと思っていたのに、売らなければならなくなったということが起こり得ます。

そんな時は、小規模宅地等の特例という制度を利用すると良いです。

小規模宅地等の特例とは、自宅がある土地について、330㎡までは、評価額を8割減できる制度です。

この制度を利用するには相続人によって下記の条件にあてはまっていることが必要となります。

【被相続人が住んでいた戸建・土地を相続する場合】

<被相続人の配偶者>
条件なし

<被相続人の同居親族>
相続開始から、相続税の申告期限まで相続した自宅に住んでいる

<被相続人と同居していない親族>

・被相続人に配偶者がいない
・被相続人が亡くなる直前に同居していた法定相続人がいない
・相続開始の3年以内に日本国内に自分又は配偶者の所有する住居に住んだことがない
・相続開始から相続税の申告期限までその住宅を所有している

【被相続人と生計を共にしていた親族が住んでいた土地の場合】

<被相続人の配偶者>
特になし

<被相続人と生計を共にしていた親族>
相続開始から相続税の申告期限までそのままその戸建に住み、その戸建を所有している

 

このように戸建の場合は土地の評価額について削減できる制度があります。

特に、残された相続財産が、戸建不動産と現金のみで、その財産を相続人同士で分けなければいけなくなった場合は、注意が必要です。

このような制度を使用しながら、支払わなければならない相続税のことも考えて、相続財産を分ける話し合いをするとよいでしょう。

また、この制度を適用しても実際の不動産の価値は変わらないので、そちらは安心してください。

この制度は、平成30年の法改正で見直されている部分になるので、相続を急いでいない場合は、その都度、適用条件を確認することをおすすめします。

 

マンションを相続する場合

マンションも土地とマンションは分けて考えます。

マンションは所有している部屋がマンション全体の何割分になるかで評価されますが、こちらも固定資産税の納税通知書にあらかじめ割られた額で表示されているので、そちらを参考にするといいでしょう。

土地は、戸建と少し計算方法が違います。

まず、路線価を用いてマンションの建っている土地全体の評価額を算出します。

それに、自分が相続した部屋の割合を掛けることで、マンションの場合の土地の評価額となります。

そのほか、被相続人が生前に個人事業やオーナーになって同族企業に貸している土地についても小規模宅地等の特例を適用することができます。

この場合も用途によって適用の上限面積や、減額割合が変わってくるので確認しておくと良いでしょう。

賃貸として貸していた場合は、固定資産税から3割減額して評価されます。

これは、既に住んでいる人がいるとすぐ売ることができないなどの制限がある為です。

しかし、長い間空室になっている場合は、この適用はできません。

 

土地の相続で起こりやすいトラブル例とその解決法

土地の相続で起こりやすいトラブルとその解決法について、ここでは3つのパターンを挙げて説明します。

 

不動産の名義変更をしていなかったことによるトラブル

相続した不動産は多くの場合、そのまま保有するのではなく、改修や売却を行ったり、金融機関での借り入れ時の担保にしたりするでしょう。

しかし、亡くなった被相続人の名義のままでは、そういった取り扱いが一切行えません。

また、その状態で放置されたまま相続人も亡くなってしまった場合は、相続人の相続人に権利が移ります。

相続発生から時間が経つほど相続人が増え、権利関係がさらに複雑化し、名義変更の手続きが困難になっていきます。

そのため、法的義務がないとはいえ、不動産の相続が発生したら遺言や協議内容に従って速やかに名義変更をしておくことが大切です。

 

相続対象である家やマンションに住んでいる相続人と住んでいない相続人の間でのトラブル

相続された家やマンションなどに相続人のうちの一人が住み続けるケースでは、「代償分割」がもっとも適した解決方法になります

しかし、相続した不動産を売却するわけではないため、まとまった現金を用意することが難しく、遺産分割が難航する場合があります。

その場合は、先述の「現物分割、換価分割、共有」の方法を取ることも考えましょう。

現物分割については、相続した不動産を「マンションや家」「その他の土地」などに分割できることが前提です。

換価分割をする場合、現状の家やマンションは維持できなくなりますので、不動産を売却した現金であらためて居住用の不動産を購入する形になります。

共有については、不動産を共有名義で相続するため、名義人であれば家やマンションを使用することができます。

ただし、このケースでは住んでいない相続人には所有権があっても基本的に使用することがないため、あまりメリットがありません。いずれは代償分割もしくは換価分割を検討するケースが多く、単に問題を先延ばしすることになってしまい、トラブルの元となるためあまりおすすめできません。

 

相続税が発生したが不動産価格が高く、相続税を払うための現金がないトラブル

相続した不動産の評価額は、その不動産を取得したときの価格ではなく、相続発生時の時価が基準となります。

そのため、地価の変動などにより、想定していたよりも不動産評価額が高かった場合の相続税が問題になってきます。

この場合、売却などによって現金化することで賄うか、不動産を保有し続ける場合は、不動産を活用して収益をあげ相続税に充てるなどの対策が必要になってきます。

 

相続登記の手続きが必要

不動産を相続した場合、法務省にて相続登記の手続きを行う必要があります。

相続登記は、亡くなった方から相続人に不動産の所有権が移ったことを証明するために行う名義変更の手続きです。

そのため、相続登記を行って初めて売却など不動産に関わるさまざまな手続きが可能になる場合があります。

相続登記を行うことに義務や期限はありません。

しかし、相続登記を行わないことで起こる問題やトラブルは複雑なものが多いため、基本的には相続後、速やかに相続登記を行うべきです。

相続登記のパターンを確認しておく

相続登記には相続の内容によっていくつかのパターンに分けられ、それぞれ必要な書類などが異なります。

そこで、 まずはどのような種類の相続登記があるのか、3つのパターンについて確かめていきましょう。

遺言書による相続登記

亡くなった方が遺言書を残している場合、基本的にその遺言書の内容に応じた相続が行われます。

特に、遺言書は遺産分割協議などよりも優先されるため、遺言書の有無が相続に与える影響は非常に大きいです。

そのため、相続が開始したら遺言書の有無を調べることが必須となっています。

遺言書によって不動産の相続が決定した場合、そのまま相続登記を行えます。

遺産分割協議による相続登記

相続が発生した場合に最も多いケースが、遺産分割協議が行われる場合です。

遺産分割協議は、どの相続人がどのような遺産をどれだけ相続するのかを話し合うために行われ、原則法定相続分よりも協議で決定した内容が優先されます

例えば、1人が不動産を所有し、もう1人が貯金などを相続する、といった内容に分けることもできるのです。

また、遺産分割協議はあくまでも相続の内容を決めるだけの協議ですので、結果的に複数の相続人による名義に変更することも可能です。

遺産分割協議によって相続登記を行う場合は、協議を終えて遺産分割協議書を作成した後に行います。

そのため、協議が終わったからといってすぐに手続きを行おうとしてもできませんので注意が必要です。

法定相続による相続登記

遺産を相続する場合、法定相続分というものが定められており、法律上相続する割合が決まっています。

つまり、遺産分割協議を行わなずに、法定相続分に従って相続分を決定してもいいのです

法定相続によって相続登記を行う場合、法律上定められた配分であることから相続人1人だけで、協議の途中でも相続登記が行なえます。

この場合、1つの不動産を法定相続分に沿って、複数名の相続人で共有して所有する、共同名義として登記を行います。

また、不動産を売却してその売却金を法定相続分に沿って分ける場合などにも、一時的に複数名で相続登記を行うことがあります。

ただし、複数名での登記には問題も多いため、すぐに売却を行うことが決定している場合などを除いてなるべく避けたほうが良いでしょう。

相続登記に必要になるもの

相続登記に必要となる書類を、パターンごとに分けながら説明していきます。

漏れなく取得して、一度の申請で相続登記を終わらせましょう。

絶対に必要になるもの

相続登記のパターンに応じて必要となる書類は変わります。

そこで、まずはどのパターンでも必ず必要となる書類について確かめていきましょう。

故人に関わる書類

相続登記で最も重要な書類となるのが、故人に関係する以下の書類です。

・出生から死亡時まで全ての戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍謄本
・住民票の除票

それぞれの書類は本籍のある自治体の役所などで取得できます。

しかし、戸籍謄本は全てのものを集める必要があるため、引っ越しや結婚した回数が多い場合には、その都度本籍が置かれていた役所で取得しなければいけません。

これらの書類は登記を行うために、本人であることや亡くなったことを証明するために必要ですが、相続人を決定するためにも必要です。

例えば、家族には知らせていない子供がいる場合、この子供にも相続権が発生します。

遺産分割協議は、原則、相続人全員が参加して行わなくてはいけません

そのため、相続人の人数を確定し適切に協議を行うためにも、上記のような故人に関わる書類を集める必要があるのです。

不動産を取得する方の書類

相続登記によって名義を変更する場合、その人物の情報に嘘などがなく、適切な人が名義変更を行っているのかを確かめなくてはいけません。

そこで、不動産を取得する人の本人確認を行うためにいくつかの書類が登記の際に必要となります。

・住民票
・戸籍謄本

・印鑑証明書

故人のように全ての戸籍謄本を集める必要はなく、現在の本籍地で取得できるものだけで問題ありません

また、印鑑証明書は相続人が1人の場合には必要ありませんので、状況によっては必要となる書類が減る可能性があります。

これらの書類は全て本籍地の自治体の役所で取得できるため、一度に全てを取得しておくのが良いでしょう。

特に、故人と一緒に住んでいる、同じ自治体で暮らしている場合などは、故人の書類と合わせて取得するようにすると手間を大きく省けます。

登記申請書

相続登記を行うためには、必要な書類を集めるだけでなく申請を行うための登記申請書を記載し用意しておく必要があります。

登記申請書には、不動産を相続するパターンや状況に応じて専用の様式が定められていますので、自分の相続の状況に応じて適切なものを選択しなければいけません

また、登記申請書には氏名や住所など定型的な内容だけでなく、相続関係説明図や不動産の所在地なども記載する必要があります。

場合によっては委任状なども登記申請内に記載されることがあり、複雑な内容になることもあるため注意が必要です。

固定資産評価証明書

相続登記を行う際には登録免許税という税金を収めなければいけません。

登録免許税を算出するためには「不動産の固定資産税評価額×0.4%」という計算式が用いられます。

つまり、相続する固定資産税評価額を提示するために、対象の不動産の固定資産評価証明書が必要となるのです。

固定資産評価証明書は自治体の役所で取得できるため、登記に必要な他の書類と合わせて取得するようにしましょう。

また、登録免許税は収入印紙により納めますので、あらかじめ税額を知っておく必要があります。
そのため、ギリギリに取得するのではなく、余裕を持って取得するほうが良いでしょう。

遺言書がある場合

次は、遺言書があるパターンの相続で必要になるものについて解説していきます。

遺言書

遺言書によって相続を行う場合、忘れてはいけないものが遺言書です。

法務局は相続が適切に行われているかを判断するために、遺言書の内容を確認します。

そのため、手続きの際には遺言書が必須となります。

ただし、注意が必要なのは遺言書の種類によって、申請書が異なることです。

公証役場で作成された公正証書遺言なのか、自筆で作成した自筆証書遺言なのかで申請書が変わってしまうのです。

また、自筆証書遺言の場合は家庭裁判所による検認が必要になりますので、申請書の種類や手順を飛ばさないように気をつけましょう。

必要ないものもある?

遺言書による相続では、遺産分割協議が行われません。

そのため、遺産分割協議書や他の相続人に関する書類などは必要ありません。

また、遺言書によって不動産のみ相続人が決められた場合、その他の遺産については遺産分割協議が行われる場合があります。

こうした場合でも、不動産については協議していないため、その他の協議に関する遺産分割協議書などは不要です。

遺言書による相続は相続の手続きが簡略化されますので、他のケースでは必要となる書類でも必要ないものがあり、法務局に連絡をしてあらかじめ確かめておきましょう。

遺産分割協議を行う場合

続いて、遺産分割協議を行う場合に必要となる書類をまとめていきます。

遺産分割協議書

遺産分割協議によって相続が行われた場合に必須となるのが遺産分割協議書です。

遺産分割協議書は協議による結果を記した書類であり、その遺産の相続を証明する書類となります。

適切な協議が行われ不動産を相続する権利があることを法務局へ伝えることができるのです。

ただし、遺産分割協議書の内容が間違っている場合はもちろん、様式などに不備があると相続登記自体を受け付けてもらえなくなります。

  • 割印
  • 故人の最終本籍地と住所
  • 相続人全員の住所、氏名、実印による押印
  • 登記簿に記載された内容の不動産情報

これらは遺産分割協議書を作成する際に見落としがちなポイントで、書類不備の原因になりがちな事項です。

例えば、相続登記を行う際に、相続人の誰か一人でも住所が違っていたり実印でなかったりすると、書類の不備として扱われ遺産分割協議書の訂正を行わなければ相続登記が行えません。

そのため、遺産分割協議書の正しい作成方法をきちんと把握しておき、適切な様式で作成しましょう。

相続人全員の書類

遺産分割協議書と同時に提出する必要があるのは、以下のような相続人全員の書類です。

  • 戸籍謄本
  • 印鑑証明書

なぜ必要になるのかというと、遺産分割協議書と照らし合わせて、本当に相続人が了承しているのかを判断するためです。

そのため、本人かどうかを確かめる戸籍謄本だけでなく、使用されている実印が本人のものかを調べるために印鑑証明書も必要になるのです。

ただ、故人の戸籍謄本のように出生から全てのものを用意する必要はありません。

現在の本籍地のものを用意しましょう。

また、「相続人全員」という点にも注意が必要です。

遺産分割協議書に書かれている相続人全員分の書類が必要となるため、申請を行う人や新しく名義が記載される人だけが必要なのではありません。

法定相続を行う場合

法定相続を行う場合には、法律に沿って相続を行うため、他に必要となる特別な書類は必要ありません。

この場合に必要となるのは、名義が記載される本人を確認するための以下のような書類です。

  • 戸籍謄本
  • 住民票

法定相続の場合、相続人全員が法律に則った配分で登記を行うため、これらの書類も相続人全員のものが必要となります。

ただし、遺産分割協議を行う場合と同様に、戸籍謄本は故人のものとは違って現在の本籍地のもので問題ありません。

 

複数人の共有名義で登記する場合

法定相続人全員で登記する場合、または法定相続人のうち複数人の共有名義で登記する場合が該当します。

よって、「遺産分割協議による相続」「法定相続」の場合と同様、相続人全員の戸籍謄本、住民票が必要になります。

相続登記においては、不動産取得者以外の相続人については住民票は原則不要ですが、遺産分割協議による相続登記となる場合は実務上、全員の住民票を要求されることがあります。これは申請する法務局によって異なりますので、事前に確認するようにしましょう。

なお、提出が必須とはされていませんが、「相続関係説明図」を添付することで戸籍等の原本還付を受けることができます。

 

居住地域以外の土地を相続登記する場合

居住地域以外の土地を相続登記する場合、申請先が「不動産の所在地を管轄する法務局」になります。相続人や登記申請人の住所地ではありませんので注意しましょう。

管轄の法務局が遠方であるなどの理由で窓口に直接出向くことが難しい場合は、郵送またはオンラインでの申請が可能になっています。

いずれも必要書類に特別なものはありませんが、オンライン申請には各種ソフトや電子署名が必要となるため、司法書士などの専門家に依頼するのが一般的です。

郵送で申請する場合、内容や書類に不備がないかを直接確認してもらうことができません。そのため、より入念に必要書類を確認しておく必要があります。

なお、郵送後、登記完了予定日を申請先法務局のホームページで確認することができます。

 

相続登記のやり方

不動産の相続登記手続きをするには先述した書類を持参し、不動産の所在地を管轄している法務局で相続登記を申請します。

相続登記申請をする際には登録免許税という税金が掛かります。

登録免許税は、不動産を取得した経緯によって税率が異なり、相続登記申請の場合は0.4%の税率になっています。

しかし、被相続人から相続人への遺贈は相続として適用されますが、相続人でない人の遺贈は適用されません。

後者の場合は、贈与による取得となり2%の税率が掛かります。

計算式は、以下の通りです。

登録免許税※1=固定資産課税台帳価格(固定資産税評価額※2)×税率
※1:100円未満切り捨て ※2:1,000円未満切り捨て

不動産の 固定資産税評価額が1,000円未満の場合は、1,000円として計算し、算出した登録免許税が1,000円未満の場合、納税額は1,000円です。

なお、土地と建物はそれぞれに登録免許税が掛かります。

自分で相続登記を行う

不動産の相続登記は、司法書士に頼まなくてはならないと思いがちですが、自分で行うこともできます。

戸籍など、必要な書類を収集し法務局に持ち込んで依頼すればいいのです。

法務局では登記相談も行っているので、予約をすれば専門家から書類作成のアドバイスももらえます。

しかし、助言通り作成しても、素人仕事なので思わぬところにミスがあることもあるでしょう。

書類に記載する内容は、一言一句、誤りがあってはいけません。

ミスを知らせる連絡はもらえても、そのミスの修正を依頼することはできません。

たった1文字の修正であっても、法務局で書類の修正をしなくてはなりません。

法務局に登記相談に訪れ、書類作成をする手間と時間が掛けられるようでしたら、自分でやってみるのもいいでしょう。

代々、共有名義で相続されてきた不動産や、久しく名義を変更していない不動産、抵当権が設定された不動産など、不動産の権利関係が複雑な場合には難しくなりますので、司法書士に依頼しましょう。 

専門家に依頼する

自分で不動産の相続登記をする場合でも、専門家に依頼する場合でも、戸籍謄本など必要となる書類は一緒です。

自分で行うよりも、もちろんスピーディーに相続登記が済みます。

登記を行う不動産の件数や、内容によっても変わってきますが、相続登記のみを依頼するのであれば、報酬の相場は3万円~7万円程度です。

戸籍の取り寄せや遺産分割協議書の作成も併せてサポートする事務所もあります。 

専門家選びのポイント

相続登記を相談するなら、税理士や弁護士、司法書士に相談する際は、ほかの専門家と連携している専門家をおすすめします。

相続関係の手続き全般の知識を持っている専門家であれば、突発的なことが生じても、どの専門家に依頼すればいいかなど、的確な判断ができるでしょう。

ホームページなどでほかの専門家とのネットワークをPRしているような事務所がいいでしょう。

相続手続きや遺言の作成を業務にしている信託銀行も専門家といえますが、その費用は高額になる傾向にあります。

不動産の名義変更等や相続税業務については、信託銀行では行えませんので、別途税理士や司法書士依頼するためです。

では、信託銀行は中継ぎをするだけなのになぜ費用が掛かるのかといえば、相続手続きの進捗管理や税理士や司法書士等の専門家を手配するからです。

信託銀行と普段から付き合いがある場合は、顔なじみの担当者とのやりとりで安心感も得られるかもしれません。

ただし、費用は高額となりますので、莫大な遺産がある場合が適当でしょう。

専門家に依頼することのメリット

相続登記は誰にでもできますが、一方で司法書士に依頼して完了させることができます。

では、専門家に依頼して相続登記を行うメリットとはどんなものなのでしょうか?

  • 相続人の確定が簡単になる
  • 遺産分割協議書に不備がない
  • 遺言書の確認
  • 最短で完了する

専門家に依頼するメリットには上記のようなことが考えられます。

特に、相続登記を行う上で負担になる相続人の確定や遺産分割協議書の作成を全て任せることができるのは、非常に大きなメリットといえるでしょう。

また、専門家を交えて遺産分割協議を行う場合、自分に不利な条件で相続が確定されないこともメリットといえるかもしれません。

いずれにしても、専門家に依頼することで不利益が講じることはありませんので、依頼することのメリットは非常に多いといえるでしょう。

不動産の相続が難しいと感じた方は

相続登記の概要や手続き必要なものなどを説明してきましたが、手続きの内容に関してどう感じましたか?

相続登記は必要な書類を集めて、適切な申請書を作成できれば誰にでも行なえます。

しかし、相続登記の申請を行うまでに必要な過程には複雑なものが多く、場合によっては長い時間が必要なときもあります。

そのため、相続登記の内容や手続きが難しいと感じた方は、専門家に依頼して相続登記を完了させることを考えてみましょう。

依頼費用は必要ですが、大幅に手間や負担を減らして、確実に相続登記を完了させられます。

相続登記について不安があればお気軽にお問い合わせください。

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監修者太田諭哉
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公認会計士・税理士
自身の親族の相続を経験し、複雑で難解な手続の数々を特別な知識がなくても簡単にできる方法を提供しようと思い立ち、『すてきな相続』を設立。
一般家庭の相続や申告のサポートはもちろん、会社の相続ともいえる、中小企業の事業承継にも早くから取り組んでいる。
日本公認会計士協会東京会渋谷地区会長。

執筆
「小説で読む企業会計」(法学書院)
「公認会計士試験合格必勝ガイド」(法学書院)
「オーナーのためのM&A入門」(カナリア書房)
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