すてきな相続は大切な方を亡くしたあとの手続・届出から、
知っているようで知らない「相続」に関する情報をわかりやすく解説します。

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【相続人について】

相続人について説明しています。相続人とは、亡くなった方の財産を引き継ぐひとのことをいいます。法律で定められた相続人を法定相続人と呼び、順位によって受け取る財産の配分に違いがあります。

最新記事

遺産相続時の法定相続人の順位や相続分について

相続は法令・制度が複雑に絡み合い、広範な知識を要する分野です。

ご自身の力で全ての知識を押さえておく必要はなく、必要に応じて弁護士や税理士の力を借りればよいでしょう。

ただ、相続における被相続人(亡くなった人)の『法定相続人』に該当する続柄や、その順位、さらに法定相続分については、遺産分割協議などで自身の相続人としての権利を主張する土台にもなるため、最低限この分野の知識は備えておきたいところです。

法定相続人とは

被相続人(故人)の相続人には、民法の欠格事項や廃除要件に該当しない限り基本的に誰でもなることが可能です。

しかし、明確な規定がないと、相続人の地位や相続割合をめぐりトラブルに発展する可能性もあります。

このような事態にならないために、民法第887条、第889条および第890条の規定で定められた相続人が「法定相続人」です。

具体的には、被相続人の配偶者(内縁関係や愛人関係を除く)・子(養子を含む)または孫・親・兄弟姉妹が法定相続人とされています。

また、法定相続人には順位があり、先程あげた続柄の順に、順位が高くなっています。

この点については次の項でお伝えします。

ちなみに、民法の規定において法定相続人と認められるのは、血の繋がりがある直系の家族である「血族」です。

このため、義理の親や義理の兄弟姉妹などとよばれる人たちは法定相続人に該当しません

法定相続人の順位や相続分

相続人の順位

【常に相続人となる】配偶者

配偶者については、順位が定められていません。

遺産相続順位に関係なく、どんな場合でも常に相続人となるということが民法で明記されています。

民法第890条

「被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第887条(被相続人の子の規定)又は前条(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。」

すなわち、

・配偶者は、被相続人(故人)に子や両親などの血族相続人がいる場合も、順位を問わず遺産を共同相続することができる

・配偶者以外に法定相続人がいなければ、単独の相続人となる

ということになります。

なお、配偶者とは法律上の夫婦、つまり民法上の婚姻届を経て婚姻関係となった夫ないし妻だけが該当し、いわゆる内縁の配偶者や愛人は該当しません。

また、婚姻関係となってからの期間の長さは関係ありません。

たとえ婚姻当日であっても、法律上の夫婦でありさえすれば、配偶者としての相続権が認められます。

【第1順位】子ども

被相続人の子は第1順位の相続人となります。

参照:民法第887条第1項

「被相続人の子は、相続人となる」

民法889条

「次に掲げる者(被相続人の直系尊属及び兄弟姉妹)は、第887条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。」

ここで言う「子」とは、被相続人と法律上の親子関係にある者であり、子である限りは性別、年齢、既婚・未婚、実子・養子、嫡出子・非嫡出子、氏の相違、国籍等は問われません。…

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2019.2.20

相続時に遺留分がある場合の請求方法や注意点

いわゆる法定相続割合については知識があるものの、遺留分についてはそうではないという人は意外に多いようです。

この遺留分という制度は、遺産の取り分に対する各法定相続人の最低限の権利を保証するものです。

しかし、このことを知らずに遺留分を侵害した遺言を書いたために、相続発生後に遺族間でトラブルになってしまったケース、あるいは遺留分が侵害されているにもかかわらず遺留分の概念を知らないまま権利を行使できる時効を迎え、結果的に遺産に対して本来取得できるべき権利を喪失してしまっていたというケースは数多くあるのです。

本コンテンツでは、遺産分割に際して重要なポイントとなる遺留分に関する基礎知識をご紹介します。

遺留分とは

民法第900条では法定相続人の原則的な遺産の取り分について「法定相続割合」を定めていますが、さらに各法定相続人の最低限の取り分として「遺留分」を定めています

遺留分が設けられている背景のひとつは、被相続人の法定相続人である遺族の生活を守るためです。

生前に被相続人(亡くなった人)が自身の遺産の相続人および相続割合を指定する方法として、遺言があります。

この遺言で指定した相続割合は、民法で定められた法定相続割合に優先して強い法的実効力を持ちます。

しかし、たとえ遺言であろうと遺留分の規定に反して遺産分割割合を指定することはできないようになっています。

参考:民法第902条

「被相続人は、前二条(法定相続人および代襲相続人の相続分)の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。ただし、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない」

このように民法では、被相続人の配偶者や子どもなど、被相続人の収入や財産を頼りに生活していたと推定される人には、遺留分として最低限相続することができる財産の割合および請求権を保証しています。

このため、例えば被相続人が、配偶者や小さい子どもがいるにも拘らず遺言で全財産を愛人などの家族に関係ない第三者に譲るような指定を行い、遺された家族の生活に大きな支障が出てしまう、といったことを防ぐことができるのです。

遺留分の対象財産の請求

対象となる財産

遺留分は、基本的に被相続人の財産すべてが対象となります。

言い換えると、遺産として扱われない財産は遺留分の対象となりません。

例えば、被相続人が契約者もしくは被保険者で、保険金受取人を相続人とする生命保険の死亡保険金は、保険金受取人の固有財産とされていますので、遺留分には原則として含まれません。

また、祖父母が信託銀行に孫の教育資金として1,500万円を限度に金銭を信託する「教育資金贈与信託」についても、孫の親―つまり祖父母の子が生きている限りは、孫は祖父母の相続人ではありませんので、これについても原則として遺留分の対象にはなりません。

なお、遺留分は特別受益を考慮する必要があります。

特別受益とは、被相続人の生前に受けた生活資金の援助や住宅などの贈与というように、他の相続人と比較すると特別な利益の供与のことです。

被相続人から特定の相続人に特別受益がなされていると、それがなされていない相続人との間で、財産の分与の観点から不公平が生じます。

したがって、他の共同相続人との公平性を確保するために、遺産の前受け分として特別受益が考慮されるのです。

この特別受益は相続財産ひいては遺留分の算定に加算されるものとされています。

参考:民法第903条

「共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする」…

2019.2.20

相続人には相続順位がある。優先順位や法定相続分を解説

相続が発生してから、自身は相続人としてどのような地位にあるのか戸惑ってしまう人は少なからずいます。

そこで今回は、相続が始まっても慌てたり戸惑ったりする必要がないように、相続の分野で基礎中の基礎ともいえる相続人の定義と優先順位および法定相続分について、民法の各条文を交えながら解説していきます。

法定相続人とは

被相続人の相続人には、民法の欠格事項や廃除要件に該当しない限り基本的に誰でもなることが可能ですが、それでは相続人の地位や相続割合をめぐり収拾がつかない事態も想定されます。

そこで、相続人になれる人の目安のひとつとして民法第887条、第889条および第890条に規定された相続人を、「法定相続人」といいます。

法定相続人の範囲

被相続人の配偶者(内縁関係や愛人関係を除く)・子(養子を含む)または孫・親・兄弟姉妹が法定相続人とされています。

また、民法の規定において法定相続人と認められるのは、血の繋がりがある直系の家族である「血族」です。

このため、義理の親や義理の兄弟姉妹などと呼ばれる人たちは、法定相続人に該当しません

相続順位のパターン

優先順位

【常に相続人】配偶者

民法第890条では、「被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第887条(被相続人の子の規定)又は前条(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。」とされています。

つまり、配偶者は被相続人に子や両親などの血族相続人がいたとしても、順位を問わず被相続人の遺産を共同相続し、もし血族相続人がいなければ単独の相続人となります

なお、配偶者とは法律上の夫婦つまり民法上の婚姻届を経て婚姻関係となった夫ないし妻だけであり、いわゆる内縁の配偶者や愛人は該当しません。

また、婚姻期間の長短は関係なく、たとえ一日だけの婚姻関係でも法律上の夫婦であれば配偶者としての相続権が認められます。

(1)【第1順位】子

民法第887条第1項「被相続人の子は、相続人となる」および民法889条「次に掲げる者(被相続人の直系尊属及び兄弟姉妹)は、第887条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。」から、被相続人の子は第1順位の相続人となります

子とは被相続人と法律上の親子関係にある者であり、子である限りは性別、年齢、既婚・未婚、実子・養子、嫡出子・非嫡出子、氏の相違、国籍等は問われません。

なお、胎児も相続人になります。

ただし、父親が被相続人の場合は認知されていない限り事実上実子であってもここでの「子」にはあたりません。

一方で、母親が被相続人で実の子である場合は非嫡出母子関係は分娩という事実により当然に生じるという考えから、仮に戸籍に記載が無くても子は相続人となります。

なお、他の夫婦と普通養子縁組を結んだ子は実父母の相続人にもなることができます。

一方で特別養子縁組の場合は、これにより養子になった子と実父母および血族との親族関係は終了するため実父母や実兄弟姉妹の相続人になることはできません。

(2)【第2順位】直系尊属

第2順位は被相続人の両親や祖父母などの直系尊属です。

直系尊属は、被相続人に子、子の代襲相続人および再代襲相続人がいない場合に相続人となります。

なお、祖父母も直系尊属人として全員が固有の相続権を有しますが、父母と祖父母のように親等の異なる続柄が相続人である場合は被相続人と親等の近い父母だけが相続人となります。

また、もし養子に第1順位の相続人がいない場合は養親と実親が共同相続人となり、養親が死亡しておりその父母がいると同時に実親が存命の場合は実親だけが相続人となります。…

2019.2.20

相続人の基礎知識を徹底解説

相続には、専門的な知識と煩雑な手続きを要します。

相続が発生して、自分が相続人になってから限られた期間かつ慌ただしい中で、手続きに必要なすべての知識を吸収することは極めて難しいでしょう

しかし、最低限の基礎を身につけておきさえすれば、必要に応じて弁護士や税理士に依頼することなどで相続手続きを円満に終わらせることが期待できます。

本コンテンツでは、これから相続人になる可能性のある人向けに、相続が発生する前に押さえておくべき相続人としての基礎知識をご紹介していきます。

相続人についての基礎知識

相続人の種類

相続人には、大きく分けて2つの種類があります。

1つ目は被相続人の配偶者、すなわち「配偶者相続人」です。

ここでいう配偶者とは、役所に婚姻届を提出して民法上の正式な婚姻関係にある異性と定義されています。

そのような法的な婚姻関係が無いにもかかわらず、同居して生計を一にしているなど事実婚の状態にある女性を内縁の妻、あるいは単純な恋愛関係にある異性の愛人は相続人としての配偶者とは認められません。

2つ目が被相続人の血縁者、すなわち「血族相続人」です。

被相続人の子ども、父母・祖父母などの直系尊属、あるいは兄弟姉妹が血縁者として相続人に該当します。

また、被相続人の子どもや兄弟姉妹が被相続人の相続発生前に死亡していた場合は、孫や甥・姪が代襲者として相続できます。

この他、未出生の胎児や父親が認知した非嫡出子も相続人になることができます。

相続人の範囲

上記に該当せず被相続人と血縁関係の無い特定の第三者である場合でも、被相続人が遺言で特定の人に財産を譲る旨の意思表示をしていた場合、その人は「受遺者」として相続人になります。

また、「被相続人が死亡したら、その遺産を特定の人に無償で譲る」旨の死因贈与契約を契約していた場合、その人は「受遺者」として相続人になります。

このように、相続人の範囲は広いのです。

相続人の順位

それでは、配偶者相続人と血族相続人、ご参考として代襲相続人に分けて相続人の順位を確認していきましょう。

  • 配偶者|常に相続人

民法第890条では、「被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第887条(被相続人の子の規定)又は前条(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。」とされています。

つまり、配偶者は被相続人に子や両親などの血族相続人がいたとしても順位を問わず被相続人の遺産を共同相続し、もし血族相続人がいなければ単独の相続人となります。

なお、配偶者とは法律上の夫婦つまり民法上の婚姻届を経て婚姻関係となった夫ないし妻だけであり、いわゆる内縁の配偶者や愛人は該当しません。

また、婚姻期間の長短は関係なく、たとえ一日だけの婚姻関係でも法律上の夫婦であれば配偶者としての相続権が認められます。

  • 子ども|第1順位

民法第887条第1項「被相続人の子は、相続人となる」および民法889条「次に掲げる者(被相続人の直系尊属及び兄弟姉妹)は、第887条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。」から、被相続人の子は第1順位の相続人となります

子とは被相続人と法律上の親子関係にある者であり、子である限りは性別、年齢、既婚・未婚、実子・養子、嫡出子・非嫡出子、氏の相違、国籍等は問われません。

なお、胎児も相続人になります。

ただし、父親が被相続人の場合は認知されていない限り事実上実子であってもここでの「子」には当たりません。…

2019.2.20

子供のいない夫婦の場合、相続はどうなる?

子供のいない夫婦の場合、例えば夫が先に亡くなって、妻が遺された場合、夫婦で築いた財産であっても、相続のために家を売らなければならなくなって住む家を失ったり、預貯金を分け与えなければならなくなって、途端に生活に困窮してしまう可能性があります。

そのため、子供のいない夫婦で、夫が突然遺言書を遺す暇もなく、先に亡くなってしまった場合、「残された妻が家を取られて、年齢的に賃貸マンションを借りることもできず、老人ホームに入ることもできず路頭に迷った」なんて話を聞いたことがあります。

最近は、晩婚化が進み、子供のいない夫婦も多くなりました。

そのため、この記事では、そのような子供のいない夫婦の場合に必要な相続の知識や遺言書の効果、遺された者の行く末を守る方法の事例を紹介します。

子供のいないご夫婦の方々、遺された方が路頭に迷うことがないよう、参考になれば幸いです。

遺産相続の基礎

法定相続人とは

子供のいない夫婦の場合、法定相続人の順位は次のようになります。

  • 1位:配偶者
  • 1位:直系尊属
  • 2位:兄弟姉妹(代襲相続あり)

子供のいない夫婦で先に亡くなった方を、この記事では以下「被相続人」といいます。

被相続人の法定相続人の第1位は被相続人の配偶者です

しかし、法定相続人は配偶者だけではありません。

同順位には、被相続人の直系尊属がいた場合、被相続人の父母や祖父母が該当しますが、関係が近い方が配偶者と同順位の法定相続人となります。

直系尊属の場合は、代襲相続はありませんので、全ての直系尊属が亡くなっていた場合は、兄弟姉妹に相続権が移ります。

兄弟姉妹が亡くなった被相続人よりも先に亡くなっていた場合は、その子供が代襲相続人となります。

もしも、被相続人が一人っ子であり、直系尊属の両親も祖父母老いない場合、被相続人の配偶者が亡くなった方の全ての財産を相続できます。

法定相続分の割合

多くの場合、配偶者は第1位の法定相続人です。

ただし、子がいない場合は、先に述べたように、配偶者と同順位の法定相続人がいます。

直系尊属がいた場合は、「被相続人の配偶者」対「直系尊属全員(1人または2人)」は、2対1です。

直系尊属がいない場合は、兄弟姉妹が妻と同位の法定相続人となり、「配偶者」対「兄弟姉妹の総人数(代襲相続人を含む)」は、3対1です。

遺言書を作成する

遺言書がないとどうなるか?

上記で解説したように、被相続人が遺言書を残さなかった場合、法定相続人として、相続人に義父母や義理の兄弟姉妹も加わる事になりますので、夫婦で築いた財産が、義父母や義理の兄弟姉妹に取られてしまって、残された配偶者の生活を脅かすことにもなりかねません。

そのため、被相続人となる可能性がある人は、遺された配偶者に財産を残すために、遺言書を作っておく事をお勧めします

しかし、遺言書を作成しておいたからといって、配偶者に全ての財産を残せるわけではありません。

遺言書の内容を不服に思った法定相続人の「遺留分請求権」については、遺言書で退けることはできないのです。

ただ、遺留分請求権は法定相続分の半分ですから、少しでも多く遺された配偶者に財産を残すことができるのです。

それに、全ての法定相続人が遺留分請求権を行使して、家庭裁判所に申し出るとは限りません。

その場合は、遺言書の通りに財産を相続させることができます。

遺言書の種類

2019.2.8

遺産分割協議で重要な書類、遺産分割協議書とは

遺産分割協議は、これから相続する遺産の割合や種類などを決めるため他の相続人と話し合う場であり、遺産に対する相続人の権利を確定するうえで最も重要なイベントです。

そして、遺産分割協議で合意した内容を後日に活かしトラブルを防ぐために非常に重要な書類です。

本コンテンツでは、円滑な相続手続きを進めるうえで重要な遺産分割協議の基礎、および遺産分割協議書の意義や作成方法についてご紹介します。

遺産分割協議とは

被相続人が亡くなると、それと同時に被相続人の財産(遺産)について相続が発生します。民法第898条によりますと、相続発生時の遺産は「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する」とあります。

しかし、相続発生による相続人間の遺産の共有関係は、基本的に遺産分割によって最終的には消滅する一時的なものです。

相続人が1名であれば遺産は一括して当該相続人が包括承継するだけですが、相続人が複数人いる場合は全ての遺産が相続人全員が共同で相続することになります。

土地や建物など不動産だけではなく預貯金や有価証券までも当然に相続人全員の共有となりますので、このような状態では権利関係の面からどの相続人も遺産を有効に活用することが難しくなります。

したがって、共有状態にある遺産は例えば自宅不動産は配偶者・預貯金は相続人全員で均等に分けるなどというように、相続人それぞれの相続割合を決めてその割合に応じて分割し、それぞれの相続人に帰属させるようにしなければなりません。

これが「遺産分割」であり、遺産分割によって遺産の共有関係は消滅します

遺産分割は民法第906条に「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」とあるとおり、遺産の種類や各相続人の状況などを考慮したうえで行われます。

しかし、遺産分割は民法第907条第1項「共同相続人は、次条の規定(被相続人による遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる」にあるように、被相続人が遺言で指定した方法以外の遺産分割協議そのものを禁止している場合、あるいは遺言の執行者が遺言の内容と異なる遺産分割に反対した場合以外は、原則的に相続人間の協議が行われ相続人全員の合意によって決定されます。

これが「遺産分割協議」です。

相続人間の協議分割の場合、すなわち遺産分割協議の結果として民法の原則である法定相続割合と異なる分割割合あるいは被相続人の遺言とは異なる分割割合になったとしても、それが各相続人の自由な意思に基づくものである限り有効です。

なお、相続人間での協議が調わない場合は民法第907条第2項「遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる」にあるとおり家庭裁判所における調停または審判により定められることになります。

この間に、家庭裁判所が遺産分割割合の判断を下すに際して、相続人の関係などに何らかの特殊な事情を認めた場合は、同第3項「前項の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる」に従い預貯金などの部分分割すら認められなくなることもあります。

遺産分割協議書の作成について

遺産分割協議書の効力

相続人全員の合意のもと遺産分割協議が結了すると、「遺産分割協議書」を作成することが一般的です(家庭裁判所における調停または審判により遺産分割割合などが定められた場合は、裁判所により調停調書または審判書が作成されます)。

遺産分割協議書の作成は任意となっています

しかし、法務局における不動産の相続登記(不動産の名義を被相続人から相続人に変更すること)や金融機関から受ける被相続人名義の預貯金の払い戻しなどの場面において、登記を請求している人や払い戻し請求者が遺産分割協議を経た正当な相続人であり相続人全員の合意のもと権利を行使していることを証明する書類のひとつとして、通常は法務局や金融機関から遺産分割協議書の提示を求められます。

また、仮に遺産分割協議成立後であるのにも拘らず相続人間で遺産をめぐり争いが起きたとしても、この場面で遺産分割協議書は後日に他の相続人と紛争が起きたとしても遺産分割の内容について他の相続人全員と正式に合意済みである旨の証拠として機能すること、あるいは紛争そのものを防止する機能が期待できます。

遺産分割協議書の作成方法

遺産分割協議書には法律で定められたルールや書式はありません。しかし、以下の諸点については漏れが無いようにして頂きたいと思います。

  • 日付を明記する。
  • 相続人全員の住所と氏名は手書きとし、押印は実印とする。
  • すべての換価可能な財産および債務について、種類と金額を記載する。
  • 預貯金などの金融資産は、保護預り先の金融機関名を明記する。
  • 土地や建物など不動産については、登記事項証明書通りに記載する。
  • 代償分割(特定の相続人が不動産など特定の高額な資産を相続する場合、これにより生じる他の相続人との不公平分を金銭の支払いで補填すること)がある場合、その金額や支払う相続人および支払いを受ける相続人を明記する。
  • 遺産分割協議書締結後に新たに見つかった財産および債務の取り扱いについて明記する。

契約書、証明書としての性質

遺産分割協議書は遺産分割の内容について相続人全員が合意したことを記名・押印している書面ですから、契約書に準じる性質を有するものと考えられます。

併せて、先述したとおり相続登記など各種の相続手続きの場面において遺産分割協議が行われ、全ての相続人が遺産分割の内容に合意したことを証する証明書に準じる性質も有しています。…

2019.2.6

孫への生前贈与で相続税の節約をする

孫への生前贈与として相続税の節約をしたいと考えた場合、生前贈与の方法によっては、贈与税が掛かってしまい、孫に負担をかけてしまうことも考えられます。

孫への生前贈与を行う際は、非課税で生前贈与を行い、相続税の節税対策を兼ねることが大切です。

そうすることで、孫に負担をかけることなく、生前贈与を行うことが可能になります。

それでは、孫への生前贈与でどのように相続税の節約をすることができるのかご紹介いたしましょう。

相続以外で孫に財産を渡す

相続以外で孫に財産を渡したいと考えた場合、生前贈与という方法があります。

孫に生前贈与をしたい場合は、暦年贈与という制度と教育資金の一括贈与、結婚・子育ての一括贈与、住宅取得の際の贈与税の特例という制度などを利用することで節税対策をすることが可能となります。

まず、暦年贈与の制度ですが、1月1日から12月31日までを1年間として考え、この1年の間に110万円以下の財産の贈与であれば、贈与者である祖父母から非課税で孫が生前贈与を受けることができます。

また、本来であれば、贈与者が亡くなってから3年前まで遡った生前贈与は相続とみなされ、相続税が発生しますが、孫への生前贈与の場合だと、3年前まで遡っても生前贈与は相続にはならず、贈与のまま受け取ることができます。

そのため、孫への生前贈与は、確実に相続税の節約となります。

しかしながら、贈与者が亡くなり、遺言書に孫に財産を相続させる旨の記載があった場合はこの限りではありません。

遺言書に孫に財産を相続させるとあった場合は、ほかの相続人と同じ扱いとなり、生前贈与で受け取った財産は3年前まで遡って相続とみなされます。

また、贈与者が亡くなった場合、生命保険の受取人を孫に指定している場合は、遺言書で財産を相続させると記載があったときと同様に3年前まで遡って生前贈与分も相続とされます。

次に生前贈与の中でも孫に教育資金の目的で財産を渡したい場合は、教育資金の一括贈与という制度を利用するとよいでしょう。

教育資金の一括贈与であれば、最大1,500万円まで非課税で生前贈与を行うことができます。

ただし、教育資金の一括贈与で受け取った贈与を受贈者である孫は、教育資金目的以外で使用をすることができません。

この制度を利用する場合は、教育資金管理契約をするときに金融機関などを通じて「教育資金非課税申告書」を所轄税務署長に提出する必要があります。

教育資金の一括贈与の制度のメリットは、贈与者が亡くなっても、3年前まで遡って税金が加算されることがない点です。

そのため、相続で財産を残すよりも、格段に節税することができるといえるでしょう。

また、結婚・子育ての一括贈与の場合は、結婚であれば最大300万円、最大子育てであれば最大1,000万円まで非課税で孫は贈与を受け取ることができます。

ただし、結婚・子育ての一括贈与は結婚や子育てに関する目的以外で受け取った贈与を使用することはできません。

また、教育資金の一括贈与と同様に、贈与者が亡くなっても、3年前まで遡って税金が加算されることがないのもメリットの1つです。

ただし、どのような目的で贈与された金銭を使用したかについては、領収書などの書類を保管しておかなければならないため、ほかの非課税になる生前贈与と比較すると少し手間が掛かります。

そして、住宅取得の際の贈与税の特例も孫に生前贈与をする場合にも相続よりもメリットがあります

住宅取得の際の贈与税の特例は、契約の締結日と住宅用の家屋の種類によって、非課税となる金額が異なりますが、300万円から3,000万円までの贈与を非課税で受け取ることが可能です。

この制度を利用する場合は、受贈者である孫が贈与を受ける年の1月1日には20歳である必要があるため、年齢などの条件には気を付けなければなりません。

また、この制度を利用する際は、贈与を受けた翌年2月1日から3月15日の期間に、住宅取得の際の贈与税の特例を利用したことを記載した贈与税の申告書に、一定の書類(戸籍の謄本、登記事項証明書、新築や取得の契約書の写しなど)を添付し、納税地の所轄税務署に提出しなければならないといった決まりがあります。

このように、孫に相続以外の方法で財産を渡す場合は、生前贈与という方法を取るとことができ、同時に節税対策を行うことができます。

ただし、生前贈与には、さまざまな方法があり、利用条件も異なるため、贈与で渡す財産の使用目的が特に受贈者側で決まっていないのであれば、暦年贈与の制度を利用し、贈与の目的が教育や結婚・子育て、住宅の購入などであれば、それぞれ教育資金の一括贈与、結婚・子育ての一括贈与、住宅取得の際の贈与税の特例を利用するとよいでしょう。

生前贈与とは

生前贈与とは、財産を生きている間に自分の選んだ人に渡すことをいいます。

生前贈与をする場合、贈与する人を贈与者といい、贈与される人を受贈者といいます。…

2019.2.6

養子縁組に相続することで得られるメリットとは

相続税対策のために、あるいは代々続く守るべき不動産や資産・会社を跡継ぎのいない夫婦が後世に遺すために…etc.

このようなさまざまな理由から、昔から財産を引き継がせるための養子縁組がなされてきました。

でも、昔からの常識で、「財産のために養子縁組をするなんて、よほど裕福な人の話!」と自分には関係ない、と思っているあなた、今はそんな時代ではありません。

相続税対策は、もはや裕福な人の贅沢な悩みではないのです。

昨今は「終活」の一つに相続税対策が入る世の中となりました。

そこで重要なのが、相続税の基礎控除です。

法定相続人の人数が多ければ多いほど控除額が高くなります。

つまり、相続税の課税対象額が減るので、重要な相続税対策となります。

そして、法定相続人を増やすのに最も手っ取り早い方法は、養子縁組です。

2親等の関係なら、役所に養子縁組届を出すだけで養子縁組は成立します。

しかし、この養子縁組は手続きが簡単であるのに対し、その効力は一生続く非常に大きなものです。

そこで、この記事では、養子縁組について、そして相続で得られるメリット・デメリットを詳しく紹介します。

そもそも養子縁組とは

概要

養子縁組とは、親子関係にない者同士に、法的手続きによって強制的に親子関係を設定することをいいます。

対象は、血縁関係のない他人、あるいは2親等以上の血縁関係、全くの他人です。

その他人の範囲は広く、国籍を問いません。

ただし、少しだけ条件があります。

親子関係というのですから、養親と養子の年齢が逆転してはいけません

一般的に、養親となる者は養子となる者より親子に相応しいだけの年齢差のある年上でなければなりません。

そして、養子縁組に年齢制限はありませんが、法的な手続きである事から、未成年では養親になることはできません

また、直系尊属、あるいは2親等の関係にある親族の養子縁組は、役所に届け出るだけでよいのですが、3親等以上の関係にある親族の場合は、家庭裁判所の許可が必要となります。

ちなみに、血縁がなかったり、国籍が違ったり、血縁関係が遠くなるほど手続きは複雑になると思っておきましょう。

また、一般的に養子縁組には双方の同意が必要です。

養子となる子供が未成年の場合は、実の親や後継人となる者の同意が必要です。

そして、晴れて養子縁組みを設定して、戸籍上親子関係となると、財産の相続権や祖先の供養・祭祀の権利義務が発生して、実の子供と同じ扱いとなります

認知した子供のように、財産の相続権が半分になったりすることもありません。

それから、最近は、住民票の続柄表記も「長男・長女・次男・次女…」ではなく、全て「子」と表記されますので、戸籍謄本以外で「養子」であることを表記されたり表記したりする場面はありません。

さて、家庭裁判所が考える、養子縁組をする目的とは、以下の3種類とされています。

  1. 孤児や事情があって育てる親がいない子供に両親を与える(福祉の観点:子供の保護)
2019.2.6

遺産相続時に兄弟間トラブルにならないために知っておくべきこと

遺産相続で、親が亡くなったとき、あるいは兄弟のひとりが亡くなって、その亡くなった兄弟に子供のいない妻が遺されたとき、そのような場合に相続争いが起きてしまう話を耳にしたことがある人も多いと思います。

でも、正しい知識を持っていると、トラブルも防ぐことができます。

そこで、この記事では、兄弟間トラブルが起きそうな事案に関しての相続知識について解説します。

ちなみに、2人兄弟だという設定で解説していきます。

遺産相続の法定相続分

父親が亡くなって母親がいる場合

父親が亡くなって、母親が健在なときは、父親の財産を母親が2分の1、残りの2分の1を兄弟で半分ずつ均等に相続できます。

もし、子供(兄弟)が未成年で独立していない場合は、兄弟の相続分は母親が管理します。

もし父親の遺した財産が土地・家だけの時でも、子供の財産は母親の管理の下にあるので、母親が表向き全て相続するのが一般的です。

子供が結婚したり社会人だったりして、20歳以上の場合は、家を不動産として母と2人の子供で分けるとすると、家を売ってお金を作らないといけなくなります。

そうなると、母親の住む場所がなくなるので、子供達は相続放棄の手続きをして、土地・家の権利を母親の名義にすることが多いです

土地と家を売ってお金に替えたときは、そのお金を2分の1が母親、4分の1ずつ兄弟で受け取ります。

父親が亡くなって、母親もいない場合

法定相続人は、子供(兄弟)だけですので、父親の財産全てを兄弟で2分割です。

兄弟が成人して独立している場合は、もしも財産が住んでいる家・土地だけだったら、話し合ってどうするかを決めるのが一般的です。

しかし、もしもまだ未成年でしかも2人とも保護者が必要な年齢であった場合、親戚に引き取られる可能性も考えられます。

その場合は、兄弟が受け取る財産の管理は親戚がする事になります。

また、親戚等引き取ってくれる親族がいない場合は、養護施設等に入所することになります。その場合は、財産の管理ができる年齢になるまで後継人、あるいは施設の職員の管理となります。

結婚している兄が亡くなった場合

遺言書がない場合

遺言書がない場合は、兄の妻に子供がいた場合は、親にも弟にも兄の財産の相続権は発生しません。

しかし、子供がいなかった場合は、親と弟にも法定相続人となり得る可能性が出てきます。

両親の両方、あるいはどちらかが健在の場合は、兄の妻が3分の2、親が3分の1で弟には財産の相続権がありません。

だから、両親が2人とも健在な場合は、3分の1を2人で半分ずつに、母か父の片方だった場合は、1人で3分の1全部となります。

また、両方あるいは片方の親が亡くなっていた場合でも、弟に親の代襲相続の権利は発生しません。

両親とも亡くなっている場合は、子供のいない妻と弟だけが法定相続人となります

その割合は、妻が4分の3相続で、弟には4分の1の相続権が発生します。

遺言書があった場合

例えば法定相続の権利があるのに、遺言書によって相続の権利を排除された場合は、一般的に裁判所に法定相続人の遺留分請求ができるように思われています。

しかし、遺留分請求ができるのは親だけで、兄弟姉妹にはその権利はありません。

そのため、弟は遺言書によって遺留分請求することができずに、兄の財産の相続は諦めるしかありません。

ちなみに、遺留分請求とは、遺言書の内容が納得できない法定相続人が、裁判所に不服申し立てをする請求権のことであり、遺留分請求が認められた場合、法定相続人の取り分の半分を受けとる権利を手にすることができます。

例え息子の遺志であったとしても、遺言書に書かれたとおりに亡くなった息子の全財産を嫁が全て受け取ることが納得できない母親が、息子の財産の相続権の遺留分請求を裁判所に認められた場合、母親の法定相続分の半分である6分の1を相続できます。…

2019.2.5

成年後見人が相続時にするべきこと

成年後見人の仕事は、被成年後見人が亡くなって、その相続手続きのために、全ての財産を整理して、法定相続人、あるいは相続すべき人に、その全財産を手渡したときに終了します。

成年後見人は、被成年後見人の財産を管理するので、自由にできると思われがちですが、実はそうではないのです。

成年後見人が相続までにする事務仕事は、それは膨大な量です。

そこで、この記事では、成年後見人について詳しく解説します。

成年後見制度とは

「成年後見人制度」とは、知的障害・精神障害・認知症等によって、通常の判断能力に欠けていると判断された人が、周囲に騙されて不利益を被らないように、その方の代わりに正しい判断をしてくれる後見人を設ける制度です。

家庭裁判所に申し出ることによって、裁判所が審議して、申し立てに記載された人、あるいは裁判所が選任した人を成年後見人として東京法務局に登記されます。

成年後見人(以下「後見人」という)になった人は、成年被後見人(以下「被後見人」という)の日常生活に関わる程度の食料品や日用品等の買い物以外のあらゆる法的な代理権・決定権を持つ事になります。

もちろん財産に関する決定権も含まれます。

本人には判断能力がないので、成年後見人の決定に本人の同意は必要ありません。

一歩間違えば、財産等を自由にされてしまう恐い権限を持っている事になりますので、その選定には、裁判所も慎重になります。

まず、被後見人となる者が、後見人が必要なほど判断能力が低下しているのかを確認するために裁判所が精神鑑定を行います。

本人の判断力によっては、後見人よりもずっと権限が少ない保佐人や補助人でも十分かもしれないからです。

保佐人や補助人は、代理・決定権はありますが、その決定には本人の同意が必須です。

本人が望まない代理・決定権を行使された場合は、後から取り消すことも可能です。

ところが、後見人の代理・決定権は、被後見人の同意も必要ないし、「後見人が被後見人のために必要」と思えば、何でもできるというわけです。

だから、大きな契約をする場合は、本当に被後見人のために必要な契約かどうかを裁判所へお伺いを立てる必要があります

しかし、精神鑑定の結果、成年後見人が必要と判断された場合、本人に適正な判断力がないのですから、本人を守るためにも成年後見人についての審議が必要となります。

成年後見人の権限は、非常に大きく、本人に大きな影響を与える結果となるので、「本人のことを親身になって真面目に考えてくれる人である」ことを慎重に吟味しなければなりません。

一般的によほどの理由がない限り、申立書にある人物を任命しますが、その人物が相応しくないと判断された場合に限り、裁判所が選定します。

後見開始日が決定され、その日から本人たちは「後見人」「被後見人」と呼ばれるようになります。

成年後見人の役割

成年後見人の主な役割は、被後見人の保護のための代理権・決定権を行使することです。

しかし、通常の判断ができないほど知的・精神的に障害を持っていても、地域に溶け込んで普通に幸せな生活をする権利があります。

そのため、日常生活では被後見人の気持ちを優先し、後見人はノーマライゼーションを広める活動を担っています。

ノーマライゼーションというのは、被後見人が、少しでも自由に活動できるように、家族や周囲の人、地域の理解や優しさを促す活動です。

言い換えれば、知的・精神的障害者や認知症の人に優しい社会づくりを目指す活動です。

言葉にすると簡単ですが、忙しく働く人々の多い世の中で、なかなか難しいことです。

そんな優しい社会で、被後見人が少しでも自由に楽しく暮らせるように見守るのが、後見人の役割でもあるのです。

被後見人の生活保護